「ゲップがよく出るんだけど、止めるコツはあるの?」
「ゲップが出にくくなる対策はあるの?」
ゲップが出やすくなる食生活、ゲップを止めるコツを医師に聞きました。
隠れた病気の可能性も併せて解説します。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
なぜ?ゲップが止まらない&胃が気持ち悪い…
といった状態だと、ゲップと胃の不快感が出やすくなります。
この場合、胃と食道をつなぐ部分が弱っているため、吸い込んだ空気が逆流してゲップが増えます。
その症状…「呑気症」かも!
呑気症とは、唾液と一緒に空気を飲み込む量が増え、ゲップ・腹部膨満感が起こる状態を指します。
この場合、消化器の異常ではなく、ストレスや食いしばる癖が関係しています。
奥歯を食いしばることが多い人は、唾液がたまりやすくなるため、唾液と一緒に空気を飲み込むことでゲップが多くなります(かみしめ呑気症候群)。
呑気症は、女性に多く発症すると言われています。
呑気症の症状
- 胃の不快感
- ゲップ
- おならが増える
- 胃の痛み
- 腹部の張り
ゲップが止まらないときの対処法
胸を張って顎を引くと、一時的ですがゲップを止められます。
また、食事の2時間後くらいに床でゴロゴロ転がると、胃内の空気が出やすくなり、思わぬゲップを防ぐことができます。
ゲップの回数を減らすには?
- 脂肪分が多い食べ物・香辛料を控える
- 炭酸飲料を控える
- 早食いしない
- 食べ過ぎないようにする
といった点を心掛けると、ゲップを減らせる場合があります。
「脂肪分が多い食事」「香辛料」は食道や胃の負担となり、下部食道括約筋が弱くなるため、ゲップを増やす原因となります。
また、「早食い」や「食べ過ぎ」は、飲み込むときに空気を一緒に飲んでしまうことで、ゲップの原因となります。
呑気症を治すには?
- 良く噛んでゆっくり食べる
- 姿勢を正す
- 鼻呼吸をする
- ストレスの原因となるものを避ける
といった点を心がけると、ゲップが改善される場合があります。
ゲップや胸焼けが続いている場合は、内科・消化器内科に相談を!
- 今までにない量のゲップが3日以上続いている
- 食後のゲップ、胸焼けが続いている
- ゲップ以外に、胃痛、吐き気などを感じる
上記に当てはまる場合は、内科・消化器内科の受診をおすすめします。
医師に伝えるポイント
- いつからゲップが止まらないか
- ゲップとともにある症状
などを伝えると、診療がスムーズに進みやすいです。
どんな治療を行うの?
まず聴音波検査、腹部CT、内視鏡、レントゲンなどを行い、病気が隠れていないか調べます。
その後、薬物療法、生活指導、カウンセリング、「マウスピース(スプリント)で嚥下を調節する」などの方法で、症状の改善を図ります。
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2020-12-07
食欲不振、吐き気、ゲップ、胃もたれ…。
なんとなく続く、胃の違和感の原因は何?
胃の違和感が続いている原因や対処法について、お医者さんにお聞きしました。
なかなか胃の不調が治らなくて、お悩みの方はぜひチェックを!
胃の違和感が続くのはなぜ?
胃の機能が通常より低下、胃の粘膜に炎症が起こっている可能性が高いです。
考えられる2つの原因
長期間続く胃の違和感は、
機能性ディスペプシア
逆流性食道炎
が原因となっている可能性が高いです。
原因① 機能性ディスペプシア
原因が見当たらないのに、胃に不調を感じる病気です。
なってしまう原因
強い緊張、ストレス
脳細胞の過労
胃の機能の低下
胃酸過多
ピロリ菌の感染
アルコールの過剰摂取
生活習慣の乱れ
なりやすい人
ストレスを感じやすい人
喫煙者
睡眠不足の人
胃の違和感の特徴
食後の胃もたれ・痛みを感じることが多いです。
その他にも
すぐに満腹になってしまう
食欲がない
吐き気・嘔吐する
げっぷが出る。
といった症状があります。
自分でできる対処法
暴飲暴食・アルコールやカフェインの過剰摂取はやめましょう。
ストレスや疲労を溜めないために、休息や睡眠をしっかりとりましょう。
原因② 逆流性食道炎
胃酸や胃の中の食べ物が食道に逆流することで、食道で炎症が起こる病気です。
なってしまう原因
胃酸の過剰分泌
胃から食道までの逆流を阻止するシステムの異常
脂肪分が多い食品の過剰摂取
お腹に圧がかかる(肥満・便秘・妊娠)
なりやすい人
肥満傾向の方
早食いをする人
食事後すぐに横になる人
過剰に飲酒する人
煙草を吸う人
胃の違和感の特徴
胃の痛みが、空腹時や夜間にあらわれることが多いです。
その他にも
胸焼け
酸っぱい感じの液体が口に戻ってくる感覚
胸の痛み(締め付けられる痛み、つかえ感)
咳が出る
ゲップが多くなる
といった症状があります。
自分でできる対処法
食べすぎや早食いを避け、寝る直前の食事はやめましょう。
炭酸飲料・柑橘類・香辛料は胃酸を分泌しやすくなるので控えましょう。
クッションなどで上半身を高くして寝ましょう。
下着やベルトは締め付けが少ないものを着用し、胃に圧力をかけないでください。
病院に行く目安
市販の胃薬を飲んでも胃の違和感が1~2週間以上続く場合、何らかの病気が原因になっている可能性があります。
病院を受診してください。
何科を受診する?
消化器内科の受診をおすすめします。
近くに消化器内科がない場合は、内科でも良いでしょう。
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胃の違和感は早めに病院で相談を!
早期に病院を受診することで、早い段階から適切な治療を受けられます。
胃がんや食道がんなど、隠れた病気を悪化する前に発見できる可能性があります。
▼参考
日本消化器外科学会ガイドライン:機能性ディスペプシア(FD)
武田薬品工業株式会社:胸焼けのお話
「胃・食道の病気」が見つかるケースも
ゲップの症状に、
- 逆流性食道炎
- 食道裂孔ヘルニア
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍
- 慢性胃炎
- 胃がん
といった病気が隠れているケースもあります。
病気① 逆流性食道炎
食道へ胃酸が逆流してしまう病気です。
食道の炎症によって「下部食道括約筋」が緩み、ゲップが出やすくなります。
発症の原因には、
などが挙げられます。
病気② 食道裂孔ヘルニア
胸の部分まで胃が押し上げられてしまった状態です。
もともと食道の構造に異常がある人が、腹圧が上がることで発症します。
発症のきっかけには、
などがあります。
病気③ 胃潰瘍、十二指腸潰瘍
胃酸によるダメージで、胃や十二指腸の粘膜がただれたり、えぐれたりしている状態です。
「腸の働きの低下」「下部食道括約筋の緩み」によってゲップが出やすくなります。
- 胃酸過多
- ピロリ菌の感染
- 非ステロイド性抗炎症薬の副作用
などが原因で発症します。
病気④ 慢性胃炎
胃粘膜に慢性の炎症が生じている状態です。
胃粘膜が傷つくことで下部食道括約筋が緩み、ゲップが出やすくなります。
慢性胃炎は、ピロリ菌感染が主な原因です。
病気⑤ 胃がん
胃粘膜に発生する悪性腫瘍です。
日本人では、肺がんや大腸がんなどに次いで死亡率が高いがんです。
発症すると、胃と腸を結ぶ通路が狭まります。
これにより空気や食べ物が腸へ送られにくくなると、胃内圧が上昇するため、ゲップが出やすい状態になります。
- ピロリ菌感染
- 胃に悪い食生活
- アルコールの過剰摂取
などが原因と考えられています。
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2019-12-27
「逆流性食道炎を、自力でなんとかしたい!」
「市販薬でも…治るの? 」
お医者さんに、逆流性食道炎の「市販薬の選び方」や「自分でできる対処法」を聞きました。市販薬に頼りすぎない方がいいケースもあるので要注意です。
逆流性食道炎の市販薬「H2ブロッカー」
逆流性食道炎(胸やけ)に向けた市販薬は、医療薬から転用されたスイッチOTC薬※「H2ブロッカー」です。
商品名は各メーカーにより異なりますが、パッケージや添付文書に「H2ブロッカー胃腸薬」「H2受容体拮抗剤」と表記されています。
※「スイッチOTC薬」とは…処方薬だった成分が、処方箋がなくても一般薬として薬局・薬店で購入できるようになった薬。
H2ブロッカーと胃薬、どっちがおすすめ?
H2ブロッカーは「胃酸分泌抑制剤」で、病院でも逆流性食道炎の治療薬として使用されるので、H2ブロッカーの方がおすすめです。
太田胃散やパンシロンは胃酸過多の症状の緩和には使えます。
ですが、逆流性食道炎という治療薬というよりは、あくまでも対症療法です。
H2ブロッカーの4つの注意点
副作用のほかに、使用するにあたり注意点があるので、しっかり読んでから服用しましょう。
長期に渡り、自己判断で使用しないほうがいいでしょう。胃酸は、食物や栄養の消化吸収を助け、胃に入ってくる細菌から体を守っています。安易に抑えるのは、体にとってマイナスになる場合もあります。
高齢者にはあまりすすめられません。(もともと胃酸が少ないため)
薬をやめると同じ症状を繰り返す場合は、医師の診察を受けましょう。別の病気が隠れている可能性もあります。
別の処方薬を飲んでいる人は、使用前に必ずかかりつけの医師に確認をとりましょう。
市販薬「H2ブロッカー」の副作用
H2ブロッカーの副作用は、皮膚への発疹や発赤、かゆみ、腫れ、だるさ、気分が悪くなるなどがありますが、薬自体は副作用が出にくいとされています。
市販薬で治るの?
H2ブロッカーは完全に胃酸の分泌を抑える処方薬ではないので、あくまで症状を徐々に和らげるものと考えてください。
H2ブロッカーは、胃酸の分泌を少なくする薬です。
胃酸が少なくなれば、逆流する胃酸もなくなり、徐々に胸やけがおさまります。
「市販薬」と病院の「処方薬」の違い
市販薬のH2ブロッカーは胃酸の分泌を徐々に抑え、止めてくれるので、穏やかな治癒が期待できます。
病院では胃酸を止める薬だけでなく、胃酸を中和するタイプの薬や保護する薬、消化機能を良くする薬など、必要な治療薬を複合的に処方してもらえます。
処方薬「PPI」について
酸抑制効果が強いのがPPIです。
PPIは、H2ブロッカーよりもさらに強力に胃酸の分泌を抑えることができます。
病院ではH2ブロッカーが効かない時にPPIを処方することもあります。即効性があるのはH2ブロッカー、持続性があるのがPPIと特徴が違うので、どう使うかはそのときによって異なります。
※PPIは市販での購入はできません。
処方薬「PPI」の副作用
食道、胃、十二指腸の粘膜を傷害し、潰瘍ができる、下痢や肺炎の悪化、骨の脆弱化などがあります。
再発防止のために注意すること
逆流性食道炎を発症するタイプの人は、
食後すぐに横にならない(2時間程空ける)
早食い
上記2つの行動に注意しましょう。
食べ過ぎに気をつける食べ物・飲み物
フライ・天ぷらといった揚げ物や油を多く使った高脂肪料理
唐辛子やスパイスが多い料理
アルコールや炭酸系のもの
上記の食事は胃に負担をかけるので、食べ過ぎないように注意しましょう。
ピロリ菌を除菌すると逆流性食道炎に?
消化性潰瘍(胃潰瘍や十二指腸潰瘍)の要因ともなるピロリ菌※を除菌すると、逆流性食道炎を発症することがあります。
ただ、除菌後に発症した場合、一過性であったり、軽症ですむことがほとんどです。
除菌によって消化性潰瘍の再発が大幅に減少するメリットの方が大きいため、ピロリ菌陽性の場合は除菌がすすめられるので、主治医とよく相談をしましょう。
※ピロリ菌…胃粘膜に住み着く、胃潰瘍や胃がんなどを引き起こすリスクを高める細菌。
基本的には「一度病院を受診する」のがおすすめ
逆流性食道炎の症状がある人は、一度病院で検査を受けることをおすすめします。
市販薬は体の診察をして飲むものではないので、本来の病気にあっているかはわかりません。
また、逆流性食道炎と消化性潰瘍の両方がある場合は、基本的にピロリ菌の除菌をすすめられます。
もしピロリ菌が胃の中にいる場合は、市販薬だけでは根本的な治療にはなりません。
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