風邪を引いたときに悩むのがお風呂です。
「入った方が良いの?入らない方が良いの?」
結局のところ、風邪を早く治すにはどうするのがベストなのでしょうか…?
この記事では、風邪をひいた時のお風呂について解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
風邪をひいたときお風呂に入っても良い?
重篤な症状がなければOK
重篤な症状がなければ入浴はしていただいて構いません。
全身症状を考慮して、入浴できるか判断してください。
風邪をひいているときは、発熱・鼻水・喉の痛み・咳・悪寒などの症状が総合的に現れます。
まず、高い熱が出ているときは脱水している可能性があります。湯船に浸かっての入浴は、さらに脱水を進める可能性があります。
また高熱の場合、急なふらつきやめまいによって、卒倒してしまう場合もありますので、無理に入浴するのは避けましょう。
風邪のひきはじめの入浴で悪化を防ぐ
風邪っぽい時にお風呂で体を温め、冷えないうちにゆっくり就寝すれば、風邪が悪化するのを防げる可能性があります。
入浴しても熱は下がらない!
実は、入浴して汗をかいても熱を下げることはできません。
汗は体温調節の役割があるため、入浴して汗をかくことで一時的に下がる可能性はあります。
しかし、炎症によって発熱している最中は、ウイルスと戦っているための発熱ですから、外から何をしても下げられないのです。(解熱剤は別です。)
まだふらつきやめまい、食欲もない時期は、無理な入浴はせずに水分補給をしてゆっくり安静にしてください。
お風呂は微熱に下がってから
微熱に下がって、体調が良くなってきていれば、汗を流す程度であれば問題ないでしょう。
しかし、病気の時は、判断能力が下がっています。急な体調不良を起こす場合もありますので、長湯は避けましょう。
お風呂の加湿された環境は喉・鼻の症状に良い
咳は、浴室の加湿されている環境では楽になります。鼻水も、入浴で体が温まると出やすくなります。
高熱はなく、喉や鼻の症状がつらいときは、お風呂に入ることで緩和されることもありますので、試してみるのも良いでしょう。
シャワーだけの場合は「冷え」に注意
熱が上がりきって汗をかいた後は、さっとシャワーを浴びて汗を流しても構いません。
浴室を出た後はすぐに着替えをして髪の毛を乾かし、冷えないようにしてください。
朝風呂は?
朝風呂は、前日の夜まで高熱があって、次の日もなんとなくフラフラするようであれば、お風呂で倒れるリスクもあるので控えた方が安心です。
特にフラフラせず、不快感をさっぱりさせるほどの軽い入浴であれば問題ありません。
朝は、体温が低いので体調が良く感じる場合もありますが、夕方にかかって人間の体温は上がっていきます。
朝だけで判断せずに、夕方や夜、熱が上がらないかで入浴が可能かを判断しましょう。
赤ちゃんが風邪をひいたときの入浴
赤ちゃんはまだ体力がないので、風邪にプラスして入浴をすると一気に体力を消耗してしまう場合があります。
体調が元どおりになるまでは、入浴は避けて汗を拭いてあげましょう。
風邪はお風呂でうつる?
お風呂で風邪がうつる可能性は低い
風邪のウイルスは、高温多湿では生存できません。
そのため、入浴場所で風邪をもらってしまう可能性は低くなります。
ノロウイルスなどウイルス性胃腸炎は注意!
お腹の風邪と別名もある「ウイルス性胃腸炎の原因菌(ノロウイルスやロタウイルス)」は、お風呂場でも死滅しません。
保菌者と一緒の入浴やその後の入浴で感染する場合もあります。
ウイルス性胃腸炎を発症している場合は、入浴は避けましょう。
次に誰も入らないお湯(一番最後のお風呂)に浸かる、シャワー浴の場合なら大丈夫です。そのあとは、しっかり浴槽周辺、イス、洗面器などをしっかり掃除し、次の人が入るようにしましょう。
お風呂の適温
お風呂のお湯は、通常時でも高すぎれば心臓や肌に負担になります。
また、ぬるすぎれば体が冷えますので、40〜41度くらいのお湯に入りましょう。
まとめ
お風呂に入ることで、咳や鼻水の症状は、良くなる場合があります。熱が微熱程度で、だるさや気分の悪さがなければ入浴してみましょう。
血流も良くなるので、体も軽く感じます。ただし、長湯は、のぼせや疲れの原因に。出てからの冷えにも注意して入浴してくださいね。
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2019-11-01
鼻水、咳や喉の痛みなど、つらい風邪の症状をできるだけ早く治すためには、どうすればいいのでしょう。
この記事では、風邪に効く食べ物・飲み物や、市販薬の選び方、控えるべきNG行動まで医師が解説します。
日頃から免疫力をアップさせて風邪を引かないようにするため、ぜひ参考にしてみてくださいね。
風邪を早く治すための「食べ物」
風邪を早く治すには
ネバネバ系の食べ物(水溶性食物繊維・糖たんぱくが豊富)
フルーツ(ビタミン・ミネラルが豊富)
卵・緑黄色野菜(ビタミンAが豊富)
などの食べ物を摂取しましょう。
ネバネバ系の食べ物(水溶性食物繊維と糖たんぱくが豊富)
里芋・なめこ・オクラ・納豆などに含まれています。
おかゆなどに細かく刻んで、入れたり、スープに入れたりして摂りましょう。
風邪といえば、鼻水の症状が出ますが、鼻水は病原体を洗い流し、奥に入れないように働いてくれています。
風邪になってしまってからも鼻粘膜にいい食事を摂ることで、鼻の粘膜の機能が正常に働き、強化することができます。
フルーツ(ビタミン・ミネラルが豊富)
フルーツには、ビタミンやミネラルなど風邪で消耗しやすい栄養素が多く含まれています。風邪のときに食べるといいでしょう。
体を冷やすイメージがあるフルーツですが、かき氷や氷水のようなものでなければ、食べ物で急に体が冷えるということはないので、風邪のときに食べても大丈夫です。
卵・緑黄色野菜(ビタミンAが豊富)
皮膚粘膜を強化、免疫力をアップさせてくれるビタミンAは、卵や緑黄色野菜に豊富です。人参・ほうれん草・かぼちゃなども食べてください。
風邪を早く治すための「飲み物」
ビタミンCの摂取ができる、レモネードが風邪の時にはおすすめです。
ホットで飲めば体も温まります。
ビタミンCは、体の免疫力である白血球の働きを高めてくれます。また、抗酸化の働きがあり、風邪予防にもぴったりです。
市販薬の選び方
辛い症状があると食事が取れない場合もあり、そのような時には、咳や鼻水などの症状を個別で緩和してくれるものを選ぶといいでしょう。
風邪は、多くの症状が現れます。
しかし、結局は、風邪自体を治療することはできません。自分の免疫力でウイルスを撃退する必要があるのです。
また、市販薬は、一概に価格が高い方がいいとは言い切れません。後発品であったり、容量の違いであったり、様々な要因で価格が決められています。
どの市販薬にすればいいのかと悩む場合は、薬剤師に相談しましょう。
漢方薬の選び方
漢方薬も様々あり、風邪のひき始めにいいもの(葛根湯)や長引く風邪のときに飲むといいタイプ(竹茹温胆湯、柴胡桂枝湯など)などがあります。
普通の薬と漢方薬、併用してもいい?→NGです!
漢方薬は、薬です。他の薬と同様に併用しての使用はおすすめできません。
併用の場合は、事前に薬剤師、医師に相談して確認してください。
お風呂は入ってもいい?
お風呂に入っていけないことはありませんが、無理をするのはやめましょう。
汗をかくためにと、風邪の時に入浴する人がいますが、熱があるときやふらつく際には、入浴で立ちくらみや貧血を起こす場合も多いです。
普段、貧血症状がない人も、発熱により症状が出る可能性があります。
しかし、身体を清潔に保つためにも、昔言われていたように「風邪だとお風呂に入ってはいけない」という事はありません。
ただし、入浴やシャワーは短めにして、脱水、血圧低下などには注意してください。
これはNG!控えるべき3つの行動
体を冷やす外出
過度の飲酒
喫煙
このような行動はNGです。
風邪を早くよくするには、自己の免疫力が必要です。
体を冷やせば、免疫力が上がらずよくなりません。
また、「冷え」は体を冷やし、風邪にかかりやすくします。肩や首周り、足首などを冷やさないように着るものや服装にも気をつけてください。
過度の飲酒は、眠りを妨げ、体力低下を招きます。
また、風邪で喉に負担がかかっているのに喫煙を行えば、さらに喉への負担がかかります。
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2019-12-05
風邪をひいているとき、お酒を飲んでもいいのでしょうか?
お酒に強い人の中には、風邪をひいたときでも普段通りお酒を飲むという人も多くいますね。
ですが、風邪のときは普段より酔いやすくなったり、薬と飲酒の飲み合わせは危険だと耳にします。
また一方では、風邪の症状を改善するために飲む「たまご酒」などもあります。
この記事では、風邪をひいたときのお酒はOKかNGか、医師に詳しく解説してもらいました。
風邪のときお酒はOK?
風邪のときにお酒を飲むのはNG
風邪は、発熱・悪寒・喉の痛み・咳・鼻水など多くの体の不調が現れます。
このような状態でお酒を飲めば、一時的に麻痺した感覚となり、楽になったと感じる人もいるかもしれません。
しかし実際は、血流がアップして頭痛がひどくなり、アルコールを分解するために肝臓が働かなくてはならず、逆に体は疲労が増し、風邪の症状も悪化させる可能性が高いと考えられます。
睡眠の質の低下、脱水症状のおそれも
飲酒は睡眠の低下を招き、体力の低下により風邪を長引かせる要因となる可能性もあります。
また、お酒には利尿作用があるため、水分が奪われて脱水になってしまうリスクがあります。
風邪で発熱している時は、ただでさえ水分が失われているのに、さらに利尿効果で水分が排出されると脱水症状が増悪する場合もあるのです。
お酒で喉のアルコール消毒!?
中には、喉が痛いとアルコール消毒と言って飲酒する方がいますが、一般的なお酒はアルコール濃度が低いため、殺菌などの働きは期待できません。
風邪のときは酔いやすい?
風邪のときは体の免疫力が落ちて体力も消耗しているため、お酒に酔いやすくなります。
風邪薬とお酒の飲み合わせには注意!
風邪薬を服用して飲酒すると危険!
風邪薬を飲んでアルコールを摂取すると、薬が通常より早く吸収され、成分が過剰に働くリスクが上がります。
風邪薬を飲んだ後にアルコールをとると、眠くなる成分が働きすぎて思わぬ事故につながった事例もあります。
風邪薬を飲んだらアルコールの摂取は控えてください。
飲んでしまったときの対処法
気が付いた時点でやめましょう。
水分補給を行い、安静にして睡眠をとることをおすすめします。できれば家族やパートナーと一緒に眠り、変化があった場合は対応してもらいましょう。
お酒を飲まなければいけないときは?
薬によって体から抜ける期間は異なるため、薬剤師や医師に確認しましょう。
通常病気や風邪のときは、アルコールは飲まないようにした方が体のためです。
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お酒を飲んだあとは風邪を引きやすい
お酒を飲むとリラックスして楽しい気分になれるので体にいい気もしますが、実際には睡眠不足や肝臓機能の疲労などを招き、体の免疫は低下しています。
その隙にウイルスや細菌に感染してしまい、風邪や体調不良を発症するリスクが高まるのです。
たまご酒や甘酒で風邪対策?
たまご酒の効果は?
現在ではあまりおすすめできません。
たまご酒は昔、栄養のある食べ物が貴重だった頃に卵という栄養価値の高いものと温めた日本酒を混ぜ合わせ、栄養摂取とアルコールで体を温め、良く眠れるようにするという働きを期待したもののようです。
酒粕ではなく米麹の甘酒がおすすめ
酒粕が原料の甘酒はアルコールが入っているのでおすすめできません。
米麹が原料の甘酒は、アルコール分が入っていないので風邪対策に活用できます。
甘酒にはブドウ糖、オリゴ糖、必須アミノ酸、ビタミンB群など、風邪予防に働く栄養素が多く含まれています。
風邪をひいて食欲がないときの栄養補給にも良いですね。
まとめ
風邪のときのお酒は、いっときの体が温まる働き以外には、良い働きは期待できません。
風邪の症状の悪化や治癒を長引かせる原因になりかねません。
風邪のときは、アルコールは、控えて食事や睡眠をしっかりとり、早く体調を元に戻したいですね。