「みぞおちから背中にかけて鈍痛が…」
痛みの原因をお医者さんに聞きました。
病院は何科に行けばいいのか、お医者さんには痛みをどう説明すればいいのかも解説します。
急性膵炎や食道がんなどの病気の可能性もあります。最後まで読んで、対処しましょう。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
みぞおち~背中の鈍痛の正体は?
代表的な原因として、
- 急性膵炎
- 逆流性食道炎
- 食道がん
- 狭心症
が考えられます。
これらの「病気の特徴」と、「あなたが行うべき対処」について、詳しく解説します。
原因1.急性膵炎
膵臓から分泌される消化酵素が過剰に分泌されたり、消化管に溜まったりすることで、膵臓自体を消化し、炎症を起こす病気です。
<症状の特徴>
- みぞおちから左脇にかけて痛む
- 背中が痛むこともある
- 突然激痛があらわれるケースが多い
- 発熱
- 嘔吐
- 寒気
- 食欲不振 等
急性膵炎の対処法
自然治癒は難しいので、病院を受診しましょう。
絶飲食し、点滴を打ちます。痛みを緩和するために、鎮痛剤を使うこともあります。
重症化している場合は、タンパク質分解酵素阻害薬を使用します。
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「お酒を飲みすぎている自覚がある…」
「膵臓が悪いと治療が大変だって聞いて心配…」
膵臓が悪いと出る症状をお医者さんに聞きました。
慢性膵炎の初期症状を確認できるチェックシートも掲載しています。
放置するとどうなるのか、病院を受診すべきなのかも解説します。
「膵臓が悪いと出る症状」チェックシート
「膵臓が悪いのかも」と思っている方は、膵炎の初期症状リストをチェックしましょう。
下記のチェック項目のうち、4つ以上当てはまる場合は早急に医療機関を受診してください。
◎みぞおち周辺の痛み(激痛)
◎背中にまで拡がる持続な痛み
◎黄疸がある
◎へそ周辺の皮膚が暗赤色
●吐き気(吐いても吐き気が止まらない)
●嘔吐
●発熱
●腹部膨満感
●食欲不振
特に、◎の項目が当てはまる場合は要注意です。
膵炎の初期症状には個人差があります。
気になる症状がある場合は早めに病院を受診することをすすめます。
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「膵臓が悪いのかも…」と思ったら
膵臓が悪い症状に当てはまったら、早急に病院を受診してください。
早期発見、早期治療開始により、症状進行の抑制や合併症予防が期待できます。
その上で、次の3点を守りましょう。
アルコールの摂取はNG!
膵炎が悪化する原因になります。
膵炎を起こすメカニズムは明確にはわかっていませんが、アルコールによって膵管が狭窄しやすくなったり、膵液の分泌が過剰になったりする等が原因ではないかと考えられています。
暴飲暴食はNG!脂肪分の多い食品をとりすぎない
脂肪分が多い食品は消化が良くないため控えましょう。また、慢性化を予防するためにも脂肪分が多い食品の摂取は控えましょう。
食物繊維を多くとる
コレステロール等の体外への排泄がスムーズになります。
放置するリスク
治療をせずに放置すると、回復が遅れ社会復帰が困難になることもあります。
さらに、免疫機能の低下や、さまざまな深刻な病気のリスクが高まります。
深刻な病気の例
糖尿病
膵臓がん
膵のう胞
膵石
多臓器不全 等
短命になるってホント?
膵炎は、がん等の重篤な疾患を併発するケースが多いと考えられており、慢性膵炎を患った場合の平均寿命は、日本人の平均寿命よりも10年以上短いとされています。
長期にわたる生活習慣の乱れや、過度の飲酒が大きな原因と考えられています。
こんなときは検査に行こう!
膵炎には、早期受診が肝心です。
次のような症状がある場合はできるだけ早めに受診しましょう。
上腹部に激しい痛みが生じている
吐き気と嘔吐を繰り返す
尿が出なくなった
黄疸がみられる
日頃からアルコールを多量に摂取しているという自覚がある
重症の急性膵炎の場合は、48時間以内に特定診断される必要があります。
早期検査のメリット
早期発見により、痛む部分の拡大を抑えることが期待できます。
日常生活が困難になる前に発見できれば、社会復帰が早くなる可能性があります。
治療したらよくなるの?
治療を継続し、生活習慣を改善できれば、症状の悪化や進行を抑えることができると考えられています。
慢性膵炎の完治は非常に困難と考えられています。
膵臓が広い範囲で壊死してしまった場合は、後遺症(糖尿病、消化吸収障害等)が発生する恐れもあります。
検査費用はどれくらい?
医療機関により異なるため断言はできませんが目安としてご紹介します。
内視鏡検査:およそ4000円~
超音波検査:およそ3000円~
CT検査:およそ4500円~
何科に行けばいいの?
膵臓疾患が疑われる場合には、内科、消化器内科の受診をおすすめします。
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知っておこう!慢性膵炎の治療例
慢性膵炎になっている場合、次のような治療を行います。
生活習慣の改善
禁酒、禁煙、食生活、ストレスを避ける
食事のコントロール
1回の食事量を少なくし、1日4~5回食にする
投薬治療
腹痛がある場合は、鎮痛剤、蛋白分解酵素阻害薬等を用いた治療が行われる。膵臓機能が低下している場合は、インスリン注射、消化酵素薬等を用いた治療が行われる
手術
痛みが改善されない場合は、膵管ドレナージ手術、膵切除術が行われる場合もあります。
「膵管ドレナージ手術」拡張した膵管を切り開いて腸管と接合し、膵液を腸管に送り膵管内圧を低下させる際に行われる術式。
「膵切除術」膵管の拡張がない場合に行われる術式で、膵管狭窄が特に強い部分の膵切除術。
その他
膵管が細い場合は、内視鏡を使用して膵管を拡張する。
膵臓に結石が生じている場合は、内視鏡を使用して除去する等の治療が行われる。
▼参考
福岡市民病院 膵臓
中外製薬 からだとくすりのはなし すい臓
一般社団法人 日本肝胆膵外科学会 急性膵炎と慢性膵炎
福山市医師会 アルコールと膵臓―膵炎について
日本医師会 医療と健康 すい炎
同友会グループ 慢性膵炎についてご存知ですか?
一般社団法人徳洲会 肝臓・膵臓内科の病気:慢性膵炎
国立がん研究センターがん情報サービス 膵臓がんの検査
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膵炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
膵炎の主な症状も紹介するので、「膵炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしてみてください。
膵炎とは
膵炎とは、膵臓の消化液が漏れて、臓器を傷つけてしまう病気です。
この膵炎は「急性膵炎」と「慢性膵炎」に分かれます。
「急性膵炎」とは、消化酵素によって膵臓自体がダメージを受けて、炎症が起こっている状態です。
「慢性膵炎」とは、食べ物を消化するための膵液が、長期間に渡って膵臓自身を溶かしてしまう病気です。
「急性膵炎」と「慢性膵炎」それぞれの症状
急性膵炎
▼軽度~中等度の症状
みぞおち周辺から左上腹部の痛み
背中の痛み
吐き気、おう吐(吐いても症状が改善しない)
発熱(37度~38度程度が多い)
食欲不振
腹部膨満感
▼重度の症状
血圧低下
皮膚が黄色っぽくなる
呼吸困難
精神が錯乱してしまうほどの激しい痛み
失神
慢性膵炎
腹痛を5〜10年ほど繰り返す
急にお腹や背中が痛くなることがある
下痢や便秘の症状がある
みぞおちを押すと痛い
だるい
食欲不振
吐き気、嘔吐
お腹の張り(膨満感)
体重減少(※)
※人によって異なりますが、6か月で5%以上を病的な体重減少とすることが多いです。
膵炎の原因
膵炎の原因には、「お酒の飲み過ぎ」「胆石が胆管で詰まる」などが挙げられます。
ただし、はっきりと原因が分からないケースもあります。
膵炎になりやすい人
お酒をよく飲む
タバコを吸う
暴飲暴食している
脂肪分を多く含む食品のとり過ぎ
就寝直前に食事をとることが多い
刺激が強い飲食物を好む
急性膵炎を疑う場合はすぐ病院へ
膵炎が疑われる場合は、「内科」で受診することをおすすめします。
急性膵炎を発症すると、命に関わるケースもあります。
特に毎日飲酒している方は、腰・背中あたり痛みを感じたら早めに受診しましょう。
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慢性膵炎も放置はNG
慢性膵炎は症状が進行すると、インスリンの分泌量が低下し、糖尿病を発症する恐れがあります。
また、症状が悪化すると、膵臓ガンを発症する恐れもあるため、早めに受診してください。
膵炎の検査・治療法
医療機関では、必要に応じて血液検査、内視鏡、エコーなどを行います。
そこまで痛い検査はありません。
膵炎の治療は、
鎮痛剤の投与
輸血
絶食
などをおこなって症状の改善を図ります。
安定するまで集中治療の管理が行われるため、入院が必要になるケースが多いです。
原因2.逆流性食道炎
胃液や胃の内容物が逆流し、食道が炎症を起こす病気です。
下記の逆流性食道炎の症状の特徴に思い当たることがあれば、一度検査をするのが安心です。特に日常生活に支障がある場合は、早めに受診しましょう。
<症状の特徴>
- 背中やみぞおちの痛み
- 胸やけや胃もたれ
- 咳
- 喉の違和感 等
- 呑酸(胃酸により、口の中や喉が酸っぱく感じること)
- ゲップ
- 胃もたれ
逆流性食道炎の対処法
症状が続く場合は、病院を受診しましょう。
食生活の改善と薬物療法を行います。
受診することで、食道がんのリスクが高まるバレット食道(胃酸が食道に逆流することで食道粘膜が炎症を起こし、胃粘膜に近い粘膜に置き換えられてしまう状態が一定以上起こること。)などが早期に見つけることができます。
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逆流性食道炎とはどのような病気なのか、分かりやすくまとめました。
逆流性食道炎の主な症状や原因、なりやすい人の特徴も紹介するので、心当たりがないかチェックしましょう。
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは、胃酸や胃の中の食べ物が食道に逆流することで食道で炎症が起こり、胸やけなどの症状があらわれる病気です。
逆流性食道炎の症状チェック
胸焼け(空腹時や夜間に多い)
胃もたれ
げっぷ
呑酸(※1)
喉の違和感
咳
声のかすれ
睡眠障害
(※1)胃酸により、口の中や喉が酸っぱく感じること
症状が長く続いている場合、睡眠障害を起こし、日常生活に支障をきたすことがあります。
症状が一つでもある場合は、早めに受診して、検査をおこなうことが大切です。
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎はストレスや肥満、更年期が原因となっているケースが多いです。
原因① ストレス
胃と自律神経系は深い関わりがあり、ストレスを受けるとその刺激が自律神経系に伝わります。自律神経系の働きによって胃酸の分泌が過剰になり、食道に逆流しやすくなります。
胃の粘膜には胃酸から粘膜を守る仕組みがありますが、食道にはその仕組みがありません。
さらに、ストレスによって胃や食道の運動機能が落ちているため、胃酸にさらされる時間が長くなり、炎症が起こりやすいと考えられています。
原因② 肥満
お腹が圧迫されると、胃の中の圧も高くなるため、胃酸が食道に逆流しやすくなります。
肥満の人は、脂肪でお腹が圧迫されやすいため、逆流性食道炎の原因となる可能性があります。
また、肥満の人は食道裂孔ヘルニアになりやすく、食道裂孔ヘルニアになると胃に圧がかかりやすい状態であるため、逆流性食道炎を発症しやすいといわれています。
原因③ 更年期
更年期になると胃酸や胃の内容物の逆流を防ぐ下部食道括約筋が衰え、逆流性食道炎を発症しやすくなります。
さらに、食道の働きの衰え・唾液の量の減少も加わり、逆流した胃酸を胃へ戻しにくくなるため、逆流性食道炎を起こしやすくなっています。
逆流性食道炎になりやすい人は?
過食
早食い
肥満
脂肪を多く含む食品をとり過ぎている
お酒をよく飲む
炭酸飲料をよく飲む
タバコを吸う
逆流性食道炎は自力で治せる?
脂肪分を控える
酸味の強いものも控える
満腹まで食べない
重いものを持たない(腹圧が強くかかるため)
ベルトを締めすぎない
といったセルフケアで、改善が期待できます。
ただし、上記のケアで改善が見られない、不調が悪化している、といった人は医療機関で相談してください。
逆流性食道炎の治し方|食事・市販薬など
しばらくの間は、油っこくない、さっぱりとした食事を心がけましょう。
また、早食いや食べ過ぎ、食後すぐに横になる行為は控えてください。
調理方法は「蒸す」「茹でる」を中心にすると、油の摂取量を減らすことができます。
食事の際は、一口ずつよく噛んで、ゆっくりと時間をかけて食べてください。
また、就寝の3時間前に食事を済ませるようにしましょう。
食後2~3時間は体を起こしておくと、発症予防になります。
市販薬で治るの?
逆流性食道炎(胸やけ)に向けた市販薬は、医療薬から転用されたスイッチOTC薬※「H2ブロッカー」です。
ただし、H2ブロッカーは完全に胃酸の分泌を抑える処方薬ではないので、あくまで症状を徐々に和らげるものと考えてください。
※処方薬だった成分が、処方箋がなくても一般薬として薬局・薬店で購入できるようになった薬
商品名は各メーカーにより異なりますが、パッケージや添付文書に「H2ブロッカー胃腸薬」「H2受容体拮抗剤」と表記されています。
こんな症状は早く病院へ
胸焼け
酸っぱい液体が上がってくる、ゲップが出る
せき
のどの不快感
上記のような症状が見られる場合は、病院を受診しましょう。
病院は何科?
胃腸内科や消化器内科を受診しましょう。
症状に関しての相談は内科でも行う場合がありますが、検査は胃腸専門の病院が良いでしょう。
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病院での治療法は?
病院では、薬物療法や外科的治療を行います。
薬物療法では、胃酸の分泌を抑制する薬、胃や食道の運動を高める薬、粘膜を保護する薬を使用する場合が多いです。
薬物療法で改善が見られない場合、手術により逆流を防止する治療を行うケースもあります。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
原因3.食道がん
食道の内側の覆う粘膜ががんになる病気です。
初期症状がないことが多く、進行していくと症状があらわれます。
<症状の特徴>
- みぞおちや背中の痛み
- 胸の違和感
- 咳、
- 声のかすれ 等
食道がんの対処法
がんの進行度合いによりますが、内視鏡治療や手術、放射線治療、薬物療法などで治します。
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原因4.狭心症
心臓の筋肉へ酸素を送る冠動脈の血流が悪くなり、心臓が酸素不足になることで起こる病気です。
運動後に症状があらわれることが多いです。
<症状の特徴>
- 締め付けられるような胸の痛み
- みぞおちや背中の痛み
- 冷や汗
- 吐き気
狭心症の対処法
自然治癒は難しいので、病院を受診しましょう。
経皮的冠動脈形成術(PCI)を行い、狭くなった冠動脈を拡げ、血液の通りを良くします。
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この鈍痛、自然に治る?
逆流性食道炎は自然に治るケースもあります。
急性膵炎、食道がん、狭心症は、自然治癒は難しいため、病院で治療を受ける必要があります。
放置すると…どうなる?
病院へ行かずに放置すると、以下のようなリスクがあります。
- 不快感や痛みが続く
- 合併症を引き起こす
- 多臓器不全を起こす
- 周囲の臓器が出血や壊死する
- 悪化してガン化する
- 他の臓器にがんが転移する
- 最悪の場合、死に至る
今すぐにやめるべき生活習慣
みぞおちから背中にかけて鈍痛がある場合、あなたの生活習慣によって症状を悪化させてしまうこともあります。
次の5つに、思い当たる点はありませんか?
ご自身の生活を見直し、改善していきましょう。
- 喫煙
逆流性食道炎を悪化させたり、食道がんのリスクをあげたりします。
- 大量の飲酒
急性膵炎を引き起こすことがあります。お酒を飲むのであれば、大量に飲むことは避け、一日に純アルコールで20グラム程度におさめましょう。(ビール中瓶1本、日本酒1合、チュウハイ(7%)350mL缶1本、ウィスキーダブル1杯程度)
- 脂肪の多い食事やアルコール
逆流性食道炎を悪化させる恐れがあります。また、香辛料や酸味の強いものも粘膜を刺激し、悪化を招きます。
- 寝る3時間前の食事や食べすぎ
肥満を招くだけでなく、逆流性食道炎の悪化に繋がります。
- 濃い味の食事
高血圧になりやすく、動脈硬化を招き、狭心症のリスクを高めます。出汁や酸味などを活用し、減塩を心がけましょう。
治すには…早期受診が鍵!
速やかに病院を受診することで、命を守ることができます。
また、命の危険性がない場合でも、病気が進行する前に治療を受けることで、早く治る可能性が高まります。
不快感や痛みがある場合は、病院を受診しましょう。
受診の目安
以下のような症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう。
- 胸やけを繰り返す
- 締め付けられるような胸の痛みや違和感がある
- 息苦しい
- 激しい痛みがある
- 吐き気や嘔吐、発熱、寒気、食欲不振などの症状がある
お医者さんには、痛みをどう伝える?
病院を受診する際は、
- 症状の開始時期と経過(良くなっているのか悪くなっているのかなど)
- 症状(どこがどんな風に痛いか、どういう時に痛みが強くなるか、その他の症状)
- 他の病院の受診や薬の服用の有無
を医師に伝えてください。
忘れないようにメモに書き残して、受診の際に持参すると良いでしょう。
何科を受診すればいい?
それぞれの病気によって、受診科目が異なります。
何科を受診したらいいのかわからない場合、まずは内科を受診しましょう。
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2020-07-22
なぜ?みぞおちと背中に鈍痛がある…。
ひょっとすると、「すい炎」や「胃潰瘍」を発症しているかもしれません。
病院に行く目安は?受診するのは何科?
どう対応すればいいのか、お医者さんに詳しく聞きました。
「みぞおちと背中の痛み」の原因
よくある原因として
すい炎
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃食道逆流症(GERD)
が考えられます。
それぞれの病気について、詳しく解説します。
1.「すい炎」のケース
すい炎とは、膵臓が炎症を起こしている状態です。
主に大量の飲酒が原因です。
また、中性脂肪が高すぎるのもすい炎の原因になります。
すい炎には、突然症状が現れる「急性すい炎」と、症状が持続する「慢性すい炎」の二種類があります。
<急性すい炎>
みぞおちから左わきにかけて、ズキズキとした痛みがあります。背中が痛むこともあります。
痛みは強く、突然あらわれることが多いです。咳きこむ、深呼吸をする、体を大きく動かす際に痛みが強くなる傾向があります。人によっては、食後に痛みを感じます。
その他、発熱、嘔吐、寒気、食欲不振などの症状があります。重症化すると、冷や汗やめまい、血圧の低下、意識障害などを起こします。
<慢性すい炎>
食事を摂って数時間した後や、あおむけで寝ているときに強く痛みます。ズキズキとした痛みで、前かがみになると痛みが和らぎます。
痛み以外に、吐き気、嘔吐、倦怠感、腹部膨満感、下痢、黄疸などの症状があります。炎症が長い期間続き、すい臓の機能が低下すると消化不良が起こり、下痢や体重減少がみられるようになります。
病院に行くべき?
すい炎の症状がみられたら、すぐに病院へ行きましょう。
みぞおち付近から背中にかけて激しく痛む、冷や汗・めまい、血圧や意識の低下等の症状がみられる場合、急性すい炎の可能性が高いため、すぐに病院へ行きましょう。
急性すい炎は早期の治療が大事です。
黄疸や数か月以上繰りかえす腹痛がみられたら、慢性すい炎の可能性があるため、病院を受診しましょう。
2.「胃潰瘍・十二指腸潰瘍」のケース
ピロリ菌に感染することで、胃や十二指腸潰瘍の粘膜が炎症を起こす病気です。
どちらの病気も、焼けつくような痛みが特徴です。
痛み以外には、吐き気や胸やけ、嘔吐、ゲップ、腹部膨満感、食欲不振などの症状が見られます。
「胃潰瘍」は食事をとった60~90分後に痛みを感じやすく、「十二指腸潰瘍」は空腹時や夜中に痛むことが多いです。十二指腸潰瘍は、食事を摂ると痛みが和らぎます。
病院に行くべき?
吐血や下血をしている場合は、すぐに病院へ行きましょう。
3.「胃食道逆流症(GERD)」のケース
食道に胃酸が逆流することで、食道に炎症が起こる病気です。
食道のあたりにしみるような痛みを感じます。痛みは食後に起こることが多いです。
その他、胸やけ、胃もたれ、咳や喉の違和感などの症状があります。重症化すると、食べ物を飲み込みにくくなります。自覚症状がない人もいます。
病院に行くべき?
胃食道逆流症(GERD)の症状がみられたら、病院を受診しましょう。
みぞおちと背中の鈍痛は、何科?
消化器内科を受診しましょう。
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放置すると…どうなっちゃうの?
みぞおちと背中の鈍痛を放置するのは、やめましょう。
痛みや不快感が続くのはもちろん、食べ物が飲み込みにくくなったり、貧血等の合併症が現れて、生活に支障をきたす可能性があります。
また、重症化した場合は入院や手術が必要になります。
特に、慢性すい炎は糖尿病やすい臓がん、胃食道逆流症(GERD)は食道がんのリスクが高くなり、最悪の場合、命を落とす恐れもあります。
このような事態を防ぐために、必ず病院に行くようにしましょう。
参考
一般社団法人 日本膵臓学会 急性膵炎診療ガイドライン2015
http://www.suizou.org/APCGL2010/APCGL2015.pdf
日本消化器病学会 日本消化器病学会ガイドライン 慢性膵炎
https://www.jsge.or.jp/guideline/guideline/mansei.html
日本消化器病学会 慢性膵炎ガイドブック
https://www.jsge.or.jp/files/uploads/06_suien.pdf
日本消化器病学会 消化性潰瘍ガイドブック
https://www.jsge.or.jp/files/uploads/02_kaiyou.pdf
日本消化器病学会 日本消化器病学会ガイドライン 胃食道逆流症(GERD)ガイドQ&A
https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/gerd_2.html