「みぞおちを押すと痛い…」
「原因はストレス?それとも病気?」
みぞおちを押すと痛みが出る症状について、医師詳しく解説します。
なぜ?みぞおちを押すと痛い…
「みぞおちを押すと痛い」という症状は、胃が炎症を起こしているため、圧迫によって痛みが出ていると考えられます。
思い当たる?「胃が炎症を起こす4つの原因」
自律神経の乱れ(ストレス)
- 過度の精神的ストレス
- 室内外の温度差等による身体的ストレス
が原因で、自律神経の働きが乱れると、過剰分泌された胃酸が胃、十二指腸粘膜に傷を付ける場合があります
暴飲暴食(食生活の乱れ)
食べ過ぎや飲み過ぎにより、胃腸に負担をかけると、みぞおちに痛みが生じる場合があります。
刺激物の過剰摂取
- 香辛料
- にんにく
- コーヒー
- 炭酸ドリンク
- アルコール
- たばこ
などを過剰摂取すると、胃酸分泌を促進し、胃や十二指腸粘膜に傷を付けることで痛みがでることがあります。
食あたり
食あたりや水あたりが原因で、みぞおちに激痛が起こる場合があります。
自分でできる「3つの対処法」
- みぞおちをやさしくさする
- 横向きで寝る
- 市販薬を使用する
といった対処をとることができます。
対処① やさしくさする
両手を擦って、熱くなった手でみぞおちを優しくさすると、みぞおちが暖まって痛みが軽減される可能性があります。
また、片方の手をみぞおちに当て、もう片方の手を軽く握った状態でみぞおちに当てている手の甲部分を軽めに10回ほどトントンすると、痛みが治まる場合があります。
対処② 横向きで寝る
みぞおちに痛みが生じている場合、横向きの体勢で寝ると痛みが多少軽減される場合があります。
また、胃痛の原因が、胃に入った食べ物が負担となって起こっている場合は、右を下にして横になると改善されることがあります。
右を下にするのは、胃の内容物が円滑に腸へ流れるための姿勢です。
市販薬を使用して様子をみる
症状が軽い場合は、市販薬を用いて様子をみるという対処法があります。
▼過度のストレスが原因で生じるみぞおちの痛みには、神経性胃炎に有効とされる市販薬を服用するケースが多いようです。
▼また、暴飲暴食が原因の場合は、胃腸薬の服用で症状の改善が期待できると考えられています。
病院に行くべき目安
- 市販薬を使用しても症状が改善しない
- みぞおちの痛みが続く
- 痛みがひどい
という場合は、病気が潜んでいる可能性もあります。
早めに医療機関を受診してください。
内科を探す
※病院の専門性・設備・症状によって、適切な医療機関を紹介されることもあります。
こんな病気の可能性があります
考えられる代表的な病気
- 急性胃炎
- 逆流性食道炎
- 神経性胃炎
- 胃潰瘍
- 食中毒
- 虫垂炎(盲腸)
- 急性胆嚢炎
- すい炎
- 胃がん
- 心筋梗塞
について紹介します。
早急に対処すべき病気のケースもあるので注意が必要です。
急性胃炎
みぞおちがキリキリと痛くなる、吐き気、下痢、嘔吐、吐血等の症状が出現する場合があります。
急性胃炎が疑われる場合は、消化器内科を受診しましょう。
逆流性食道炎
みぞおち周辺から胸下部にかけて胸やけ、不快感、痛みが起こる場合があります。
その他にも、胸痛、げっぷ、喉の違和感、声がかすれる、耳痛等を起こす場合もあります。
逆流性食道炎が疑われる場合は、消化器内科を受診しましょう。
消化器内科を探す
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2023-01-30
逆流性食道炎とはどのような病気なのか、分かりやすくまとめました。
逆流性食道炎の主な症状や原因、なりやすい人の特徴も紹介するので、心当たりがないかチェックしましょう。
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは、胃酸や胃の中の食べ物が食道に逆流することで食道で炎症が起こり、胸やけなどの症状があらわれる病気です。
逆流性食道炎の症状チェック
胸焼け(空腹時や夜間に多い)
胃もたれ
げっぷ
呑酸(※1)
喉の違和感
咳
声のかすれ
睡眠障害
(※1)胃酸により、口の中や喉が酸っぱく感じること
症状が長く続いている場合、睡眠障害を起こし、日常生活に支障をきたすことがあります。
症状が一つでもある場合は、早めに受診して、検査をおこなうことが大切です。
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎はストレスや肥満、更年期が原因となっているケースが多いです。
原因① ストレス
胃と自律神経系は深い関わりがあり、ストレスを受けるとその刺激が自律神経系に伝わります。自律神経系の働きによって胃酸の分泌が過剰になり、食道に逆流しやすくなります。
胃の粘膜には胃酸から粘膜を守る仕組みがありますが、食道にはその仕組みがありません。
さらに、ストレスによって胃や食道の運動機能が落ちているため、胃酸にさらされる時間が長くなり、炎症が起こりやすいと考えられています。
原因② 肥満
お腹が圧迫されると、胃の中の圧も高くなるため、胃酸が食道に逆流しやすくなります。
肥満の人は、脂肪でお腹が圧迫されやすいため、逆流性食道炎の原因となる可能性があります。
また、肥満の人は食道裂孔ヘルニアになりやすく、食道裂孔ヘルニアになると胃に圧がかかりやすい状態であるため、逆流性食道炎を発症しやすいといわれています。
原因③ 更年期
更年期になると胃酸や胃の内容物の逆流を防ぐ下部食道括約筋が衰え、逆流性食道炎を発症しやすくなります。
さらに、食道の働きの衰え・唾液の量の減少も加わり、逆流した胃酸を胃へ戻しにくくなるため、逆流性食道炎を起こしやすくなっています。
逆流性食道炎になりやすい人は?
過食
早食い
肥満
脂肪を多く含む食品をとり過ぎている
お酒をよく飲む
炭酸飲料をよく飲む
タバコを吸う
逆流性食道炎は自力で治せる?
脂肪分を控える
酸味の強いものも控える
満腹まで食べない
重いものを持たない(腹圧が強くかかるため)
ベルトを締めすぎない
といったセルフケアで、改善が期待できます。
ただし、上記のケアで改善が見られない、不調が悪化している、といった人は医療機関で相談してください。
逆流性食道炎の治し方|食事・市販薬など
しばらくの間は、油っこくない、さっぱりとした食事を心がけましょう。
また、早食いや食べ過ぎ、食後すぐに横になる行為は控えてください。
調理方法は「蒸す」「茹でる」を中心にすると、油の摂取量を減らすことができます。
食事の際は、一口ずつよく噛んで、ゆっくりと時間をかけて食べてください。
また、就寝の3時間前に食事を済ませるようにしましょう。
食後2~3時間は体を起こしておくと、発症予防になります。
市販薬で治るの?
逆流性食道炎(胸やけ)に向けた市販薬は、医療薬から転用されたスイッチOTC薬※「H2ブロッカー」です。
ただし、H2ブロッカーは完全に胃酸の分泌を抑える処方薬ではないので、あくまで症状を徐々に和らげるものと考えてください。
※処方薬だった成分が、処方箋がなくても一般薬として薬局・薬店で購入できるようになった薬
商品名は各メーカーにより異なりますが、パッケージや添付文書に「H2ブロッカー胃腸薬」「H2受容体拮抗剤」と表記されています。
こんな症状は早く病院へ
胸焼け
酸っぱい液体が上がってくる、ゲップが出る
せき
のどの不快感
上記のような症状が見られる場合は、病院を受診しましょう。
病院は何科?
胃腸内科や消化器内科を受診しましょう。
症状に関しての相談は内科でも行う場合がありますが、検査は胃腸専門の病院が良いでしょう。
消化器内科を探す
病院での治療法は?
病院では、薬物療法や外科的治療を行います。
薬物療法では、胃酸の分泌を抑制する薬、胃や食道の運動を高める薬、粘膜を保護する薬を使用する場合が多いです。
薬物療法で改善が見られない場合、手術により逆流を防止する治療を行うケースもあります。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
神経性胃炎
胃酸が過剰に分泌されることで、みぞおちの痛み、気分が落ち込む、胸やけ、喉のつかえ等の症状が出現する場合があります。
神経性胃炎が疑われる場合は、消化器内科を受診しましょう。
胃潰瘍
胃潰瘍の場合、左のみぞおち周辺に鈍い痛みが生じる場合があります。
みぞおち周辺のズキズキするような重い痛み、胸やけ、胃もたれ、吐き気、悪心、食欲不振等の症状が出現する場合があります。
胃潰瘍が疑われる場合は、消化器内科を受診しましょう。
食中毒
みぞおち周辺に痛み、吐き気、嘔吐、下痢、発熱等の症状が出現する場合があります。
食中毒が疑われる場合は、内科を受診しましょう。
内科を探す
虫垂炎(盲腸)
虫垂炎(盲腸)の初期段階にみぞおちに痛みが生じる場合があります。
その後、痛みが右下腹部へと移動するケースが多いようです。
右下腹部を押さえると痛い、微熱等の症状を伴う場合もあります。
虫垂炎が疑われる場合は、消化器内科・消化器外科を受診しましょう。
急性胆嚢炎
主に食後に、右のみぞおちや右上部の肋骨あたりが痛む疾患です。
吐き気、嘔吐、発熱(高熱)、食欲不振等の症状が出現するケースや、黄疸、肝機能障害が起こるケースもあります。
また、炎症が悪化するにつれて痛みが広がり、呼吸をするだけで強い痛みが生じるようになります。
急性胆嚢炎が疑われる場合は、外科を受診しましょう。
外科を探す
すい炎
みぞおち周辺に激しい痛みが生じるケースが多く、左のみぞおちから背中にかけて痛みが生じる場合があります。
吐き気、嘔吐、発熱等を伴ったりするケースもあります。咳、深呼吸、運動等により、痛みが悪化する場合もあります。
すい炎が疑われる場合は、消化器内科を受診しましょう。
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胃がん
胃がん初期は自覚症状がない場合が多いようですが、症状が進行していくと、みぞおち周辺の痛み、吐き気、胸やけ、食欲不振、貧血、体重減少、胃の張り感等の症状があらわれます。
胃がんが疑われる場合は、消化器内科・消化器外科を受診しましょう。
消化器内科を探す
心筋梗塞
突如、みぞおち周辺や胸に激しい痛みが起こります。
吐き気、冷や汗等の症状を伴う場合もあります。
心筋梗塞が疑われる場合は内科・循環器内科を受診しましょう。
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