「片目のまぶたが下がってきた…。これはなぜ?」
その症状は“眼瞼下垂(がんけんかすい)”が原因かもしれません。
日頃からまぶたに負担をかけている方は、要チェックです。
なぜ?「片目のまぶただけ下がってくる」
片目のまぶたが下がってくる場合、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」を発症していると考えられます。
「眼瞼下垂」とは、まぶたを動かす筋肉が緩んでいる状態です。
眼瞼下垂の症状チェック
- まぶたが重い、まぶたの開きが悪い
- 黒目が上まぶたで覆われている
- 眼球が上方にあり下の白目が見える(三白眼)
- 額にシワできる、眉毛の位置が上がる
- まぶたの変化(一重が二重になる等)
- 視力の低下
- 眼精疲労
- 目の奥の痛み(特に夕方以降)
- 光を眩しく感じる(特に夜間)
- 物が二重に見える
- 頭痛、肩こり
眼瞼下垂になりやすい人の特徴
- 40歳以上
- 長期間ハードコンタクトレンズを使用している
- アイメイクを強くこすって落としている
- うつむく状態が続く仕事等をしている
- 一重、奥二重
- まつ毛が下向きに生えている
- 内眼手術を経験した人(白内障等)
「眼瞼下垂」を発症する主な原因として、加齢による変化が挙げられています。
また、まぶたに刺激を与える習慣(アイメイクやメイク落とし等)も、発症リスクを上昇させる原因の一つです。
加齢の場合、“まぶたの皮膚にたるみが生じて下がってくる”というケースも考えられます。
刺激が原因の場合、まぶたの筋肉がまぶたの内側にある“瞼板(けんばん)”から外れる、というケースもあります。
眼瞼下垂かも…どうしたら治る?
自然治癒する可能性はほぼないため、治すには医療機関での治療が必要です。
これ以上悪化させない方法として
- 目を動かす体操でトレーニング
- 瞼に負担を与えないように意識する
この2つを行いましょう。
① 目を動かす体操
目線を下に向けて口を軽く開いた状態で、1秒に1回の間隔で目を左右に動かしてみましょう。
これにより、まぶたを上げる役割を担う“ミュラー筋”が鍛えられます。
② 瞼に負担を与えない
目をこする癖がある人は、意識して目を触らないようにしてください。
また、アイメイクを落とす際は、ゴシゴシせずに優しく丁寧に洗ってください。
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2022-05-31
「目を開けているのがつらい…」
「これって目の病気なの?」
目が開けづらくなる原因を、眼科の先生に聞いてみました。
目の休め方・マッサージ方法なども解説します。
目を開けているのがつらい…大丈夫?
目が乾燥したり眼筋が緊張したりすると、一時的に目を開けにくくなることもあります。
目を休めて症状が改善するのであれば、過剰に心配しなくて大丈夫です。
目の乾燥・眼筋の緊張は、「眼精疲労」や「自律神経の乱れ」などが原因となって起こります。
特に、
パソコン・スマホの画面を長時間見ていた
度が合っていないメガネ・コンタクトレンズの使用
コンタクトレンズの長時間の装用
過度の疲労・ストレス
睡眠不足
などに当てはまる人は、一時的に目を開けるのがつらくなりやすいです。
「しょぼしょぼする」「涙が出る」「しみる」のはドライアイかも
目の使いすぎ・ストレス等に心当たりがある人は、ドライアイ(目の乾燥)を発症している可能性が高いです。
この場合の「目が開けるのがつらい」という症状は、角膜の乾燥が原因で起こっていると考えられます。
ドライアイの「主な症状」
目の乾燥・しょぼしょぼする
目がしみるように痛む
目の疲れ・かすみ
充血
目が重たく感じる
眩しいと感じる
涙が出る
ドライアイの症状が出たときは、液晶画面での作業を避けてできるだけ目を休めて過ごしましょう。
また、市販の「人工涙液」を点眼して、目の表面に潤いを与えるのもよいでしょう。
なかなか改善しない場合は、一度眼科で診てもらうことをおすすめします。
ドライアイの場合、主に目薬を使った治療を行いますが、症状によっては手術が必要になるケースもあります。
眼科を探す
まずは「目を休める」ことが大切!
目を開けているのがつらいときは、温めたタオルをまぶたの上に乗せて、目を休ませてみましょう。
眼精疲労・ドライアイが原因の場合、血行が促進されると症状が和らぎやすくなります。
また、
液晶画面を見る作業のときは、1時間に15分間程度の休憩を挟む
まばたきの回数を増やす
といった点も意識しましょう。
仕事でなかなか休憩を挟めないときには、作業の合間に遠くを見るようにしてください。
まばたきの回数は涙の分泌量を増やす上で大切です。エアコンによる空気の乾燥にも注意しましょう。
目の潤いが保たれるようになると、目を開けやすくなるでしょう。
「優しくマッサージ」もおすすめ!
「目が疲れている」と感じるときは、目の周りにあるツボを指先でやさしくマッサージするのもおすすめです。
血行が促進されて、眼精疲労の症状が落ち着きやすくなります。
※眼球周りの骨の縁を沿うように押すのがポイントです。
※マッサージは、メイクを落としてから行ってください。
食事から「ビタミン」を積極的に摂取しよう!
ビタミン類には、目の回復を促す作用があります。
食事をとる際に意識して食べるようにしましょう。
栄養素
効果・効能
おすすめ食材
ビタミンA
角膜の代謝を促す
緑黄色野菜(小松菜/人参など)
ビタミンB群
目の粘膜を正常な状態に維持する
ナッツ類/レバー/かつお/さんま
ビタミンC
目の粘膜を守る作用、抗酸化作用がある
いちご/かんきつ類
ビタミンE
血行促進作用がある
ナッツ類/緑色野菜(ほうれん草など)
「眼瞼けいれん」という病気が疑われるケースも
眼瞼けいれんの「主な症状」
目を開けているのがつらい
まぶた周辺の筋肉がピクピク動く
まばたきがしにくい
まぶたが下がってくるように感じる
眩しいと感じる
目の乾燥
目の痛み
眼瞼けいれんとは、わかりやすくいうと脳の誤作動によって「まぶた周辺の筋肉」が勝手に収縮してしまう病気です。
まばたきが難しくなり、目を開けているのがつらく感じることがあります。
眼瞼けいれんの明確な原因は未だ判明していません。
現段階では、
「睡眠薬」や「抗うつ薬」等の使用
パーキンソン病
がキッカケとなって発症するケースがあると考えられています。
眼瞼けいれんは「女性」に発症しやすい
眼瞼けいれんは、40歳代以上の女性に多くみられる病気です。
女性は男性の2倍発症しやすいと言われています。
自分でできる対処法はある?
眼瞼けいれんは、セルフケアのみでの改善は困難です。
悪化すると、自分の力で目を開けなくなる恐れがあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
病院は何科?
眼瞼けいれんを疑うときは、眼科で受診してください。
医療機関では、薬や専用のメガネ(眼瞼下垂矯正めがね)、手術による治療が行われています。
現在では、保険適用が承認されている「ボトックス療法」を行うケースが多いです。
ボトックス療法とは、目の周辺に薬物(ボツリヌストキシン)を注射し、筋肉の緊張を和らげる治療法です。
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2日以上も「目をあけるのがつらい」ときは眼科へ
「目が開けているのがつらい」という症状が2日以上改善しない場合は、眼科の受診をおすすめします。
特に、
目の痛み・異物感
目のかすみ
目の充血
視力低下
まぶたが下がってくる
光がまぶしい
といった症状が続いている場合は、目の病気が疑われるので、早めに受診しましょう。
緑内障・白内障などの重い病気が原因だった場合、放置すると症状が悪化し、最悪の場合失明するリスクもあります。
目の病気は、早期治療によって重症化を防ぎやすくなります。医療機関で検査を受け、目の状態をきちんと調べてもらいましょう。
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▼参考
大塚製薬株式会社 ドライアイチェック
公益社団法人 日本眼科医会 ドライアイに悩む方へ―生活の注意と治療の目安―
“早めの受診”をおすすめする理由
重症化する前に医療機関を受診すると、負担の少ない手術を選択できる可能性が高まります。
また、稀に重い病気が隠れているケースもあるため、医療機関で原因を特定することが大切です。瞼が下がる症状でお困りの方は、まず眼科で相談してみましょう。
また、他の病気(脳梗塞や糖尿病など)が原因の可能性もあるため、瞼の下がりがある方は早めの受診をおすすめします。
病院は何科に行けばいい?
眼瞼下垂の場合、まずは眼科を受診してください。
眼科を探す
どんな治療をするの?
手術による治療が基本です。
症状の重さや状態によって、行われる術式は異なります。
また、日常生活に影響がない場合は、手術等の治療は行わずに経過観察する場合もあります。
軽度の場合
<余剰皮膚切除術>
まぶた内の筋肉には手を加えず、余ってたるんでいる皮膚を切除して調整する方法です。
<挙筋腱膜タッキング術>
瞼板上の挙筋腱膜の枝が付いている状態のままで、挙筋腱膜の根元と末端を固定する術式です。
<ミュラー筋タッキング術>
挙筋腱膜とミュラー筋の間を剥がして、ミュラー筋だけを手繰り寄せて瞼板に固定する術式です。
硬い腱膜を剥がし、軟らかい筋肉を使用することで、まぶたの開き方が自然になりやすいと考えられています。
<挙筋腱膜前転術>
瞼板とミュラー筋から挙筋腱膜を剥がし、挙筋腱膜を前転させて瞼板に固定する術式です。
重度の場合(黒目が半分以上隠れる状態 等)
<挙筋腱膜短縮術>
結膜から挙筋腱膜とミュラー筋を剥がし、どちらも一緒に瞼板に固定する術式です。
<前頭筋吊り上げ術>
大腿の筋膜や人工筋膜などを使用して、上まぶたと前頭筋(額の筋肉)の間に移植する術式です。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2021-03-30
眠いわけじゃないのに、目が開かない…これはなぜ?
その症状は、“眼瞼けいれん”かもしれません。
過度のストレス・疲労に心当たりがある方は要注意です。
また、ストレス以外の原因についても解説します。
目が開かないのはストレスのせい?
ストレスによって「目が開かない」という症状が起こるケースもあります。
この場合、眼瞼けいれんを発症していると考えられます。
「眼瞼けいれん」ってどんな病気?
眼瞼けいれんは、目の周囲の筋肉がけいれんして、まぶたを動かしにくくなる病気です。
「眼瞼けいれん」になってしまう原因はいろいろ考えられますが、ストレスもそのひとつです。
眼瞼けいれんの主な症状
目を開けられない
目を開けているのがつらい
まぶたのけいれん
瞬きが増える
光が眩しい
目の異物感
目の乾燥
眼瞼けいれんの原因
目や体の疲れ
過度のストレス、疲労
ドライアイ
薬の副作用
などが挙げられていますが、明確な原因はわかっていません。
男性よりも女性に多く、睡眠導入剤・抗精神薬を飲んでいる人に発症しやすい傾向があります。
どうしたら治るの?
軽度であれば、
まぶたに触れる
ガムをかむ
といった動作で症状が和らぐことがあります。
上記で治らない場合は、医療機関での治療が必要です。
症状に気付いたら早めに受診しましょう。
病院は何科に行けばいい?
目が開かないときは、まず眼科で相談しましょう。
「眼瞼けいれん」は、一度悪化すると元に戻すのが難しい病気です。
早めに治療を開始することで、重症化を防ぎやすくなります。
どんな治療をするの?
軽度の場合は、飲み薬の処方や“まぶたを持ち上げるメガネ”を使った治療を中心に行います。
基本的に、早期治療を行うことができれば、軽い治療で済む確率が上がります。
また、症状に合わせて眼の筋肉に注射したり、外科手術によってまぶたの一部を切除することもあります。
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“深刻な病気”が隠れている可能性も
「まぶたが垂れ下がっている」という症状を伴う場合は、
眼瞼下垂(がんけんかすい)
糖尿病
脳の病気
などの病気が隠れている可能性もあります。
病気① 眼瞼下垂(がんけんかすい)
眼瞼下垂になると、目を開けにくくなります。
まぶたを動かす筋肉が緩んだり、伸びたりすることで発症すると考えられています。
こんな症状がある方は要注意!
まぶたが重い
まぶたが下がってくる
まぶたの開きが悪い
まぶたの変化(一重が二重になる、二重の幅が広がる)
物が二重に見える
眼瞼下垂(がんけんかすい)の原因
加齢
ハードコンタクトレンズの長期使用
目をこする動作
などが原因として挙げられます。
放置するとどうなる?
眼瞼下垂を放置して悪化すると、視野が狭くなります。
眼科、または形成外科にいきましょう。
眼科を探す
病気② 糖尿病
糖尿病の影響によって神経に障害が起こると、目が開けにくくなる場合があります。
こんな症状がある方は要注意!
喉の渇き
頻尿
目が霞む など
糖尿病の原因
糖尿病は、インスリンが十分に働かないために起こります。
暴飲暴食、運動不足、ストレス などが発症リスクを高めます。
放置するとどうなる?
糖尿病を放置すると、動脈硬化による心筋梗塞を発症する恐れがあります。
また、腎臓がダメージを受けるため、腎不全を発症するリスクも上昇します。
糖尿病は命に関わる病気であり、放置は危険です。
心当たりがある方は、早めに内科で治療を受けましょう。
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病気③ 脳の病気
脳梗塞や脳動脈瘤といった病気によって、目が開けにくくなる場合があります。
まぶたを開くための筋肉に指令を出す神経が麻痺した場合、目が開けにくくなることがあります。
こんな症状がある方は要注意!
しびれ
吐き気
嘔吐
歩行障害
脳の病気の原因
脳の病気は、脳の血管が詰まったり、血栓ができるために起こります。
放置するとどうなる?
脳梗塞の場合、放置すると命に関わります。
脳の病気を疑う場合は、早急に脳神経内科を受診してください。
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目が開かないときは、病院で相談しよう
目が開かない症状には、ストレス以外の原因も考えられます。しかし重い病気が隠れているケースもあるため、放置は危険です。
早めに受診することで病気の悪化防止つながります。
まずは眼科を受診し、目の周りに原因がないか調べましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
日本神経眼科学会 眼瞼けいれん