「とっさに言葉が出ないのはストレスのせい…?」
「上手く話せないのはなぜ?」
原因には“適応障害”や“自律神経失調症”などが考えられます。
心当たりのある症状がないか、確認してみましょう。
病院に行く目安や治療法も解説します。
監修者
経歴
福島県立医科大学卒業
「働く人を支える」薬に依存しない医療を展開する「BESLI CLINIC」を2014年に協同創設、2030年を基準に医療現場から社会を支える医療経営を実践しています。
産業医視点からビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。生薬ベースの漢方内科での経験を活かし、腹診を含めた四診から和漢・井穴刺絡などの東洋医学を扱い、ホルモン、生活習慣をベースに身体から心にアプローチする診療を担当。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了。TMSをクリニックへ導入、日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。
「とっさに言葉が出ない」のはストレスサイン?
とっさに言葉が出ないのは、ストレスが原因になっている可能性があります。
過剰に緊張してストレスがかかると、言葉に詰まり、言葉が思い浮かばなくなることはよくあります。
言葉が出てこなくなるはなぜ?
緊張状態になると、呼吸の浅さや胸の動悸に強く意識が向きます。
これにより次に話す言葉を忘れてしまうと、「言葉が出ない」「何も思い浮かばない」という状態になります。
ストレスで呼吸が浅くなったり、動悸が出たりするのは、交感神経が優位になるためです。
ストレスで自律神経系に異常が出やすい人は、「あがり症」とも呼ばれています。
ストレスで言葉が出てこないとき、どう対処する?
ストレスで言葉が出てこないときは、息を一度止めて呼吸を整えてください。
自然に深呼吸ができるようになると、体の硬直が解けます。
頭が真っ白になっているときは、浅い呼吸になっていることが多いです。
「息を止める」ということに意識を向けると、一時的にストレスから頭が切り替えられ、注意をそらすこともできます。
病院に行ったほうがよい目安

- ストレスが原因で常に頭が回らない
- 人との会話に詰まる
- 症状のせいで困ることが増えてきた
といった場合は、一度医療機関に相談をしてみましょう。
上記症状には、パニック障害・不安障害・うつ病などが隠れているケースもあります。
心の病気が悪化すると、仕事に行けなくなる人もいます。
早めの受診を心がけ、ご自身に合った治療を受けましょう。
病院は何科?
とっさに言葉が出ないときは、心療内科・精神科を受診してください。
お医者さんには、どう伝えればいい?
- どのような状況になると言葉が出てこなくなるのか
- どこの場所、誰と会っている時などに多いか
- いつ頃から、症状が出ているか
- 現在治療中の病気はあるか
- 飲んでいる薬はあるか
- 体に他の不具合はあるか(発熱、吐き気、頭痛、めまいなど)
上記の点を、医師に伝えましょう。
忘れないよう、メモにとっておくのもおすすめです。
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とっさに言葉が出なくなる2つの病気
とっさに言葉が出なくなる場合、
- 適応障害
- 自律神経失調症
が原因となっている可能性があります。
病気① 適応障害
過度のストレスによって、心と体にさまざまな不調が起こる病気です。
とっさに言葉が出ないのはなぜ?
ストレスが大きいと、自律神経に影響が出るからです。
自律神経に異常が起きると、頭が回っていない状態になり、話している内容に集中できなくなります。
主な症状
- 冷静さを失い、通常通りの判断ができない
- 何があっても楽しくない
- イライラする
- 虚しくなる、悪いことばかり考える
- 緊張が解けない
- 仕事へ行けない
- 暴力的になる
- 暴飲暴食する
適応障害を発症する「きっかけ」
- 職場の環境変化(昇進・転職・入職・異動等)
- テレワークから出社へ変更した環境変化
- 対応しきれない仕事の量
- 地震や台風などの自然災害
- 気温の変化
- 睡眠不足・リズム障害
- 未来への不安
- 人間関係
- 解決できない家族問題
真面目な人、悩みを抱えてしまう人、休みの日に2時間以上遅く起きる人は、発症リスクが高いと言われています。
病院は何科?
適応障害が疑われるときは、心療内科・精神科を受診してください。
必要に応じてお薬の処方や、お薬に頼らないTMS治療(※1)などで心身状態を改善します。
その後、カウンセリングや認知行動療法(※2)などを行います。
また、自律神経を整えるために、生活習慣の見直しも促します。
※1 TMS治療…
脳に磁気を当て、脳の特定部位を活性化させる治療方法。
※2 認知行動療法…
医師やカウンセラーとともに不安感や恐怖心に対する自分の考え方・とらえ方の偏りを認識して、自分自身で修正していく治療方法。
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病気② 自律神経失調症
全身の機能調節に関わる「自律神経」に異常が生じ、体と心にさまざまな不調が起こる病気です。
とっさに言葉が出ないのはなぜ?
倦怠感やイライラなどの体調不良のせいで、人との会話に集中できなくなります。
これにより「とっさに言葉が出ない」と感じる場合があります。
主な症状
- 倦怠感、疲れやすい
- 動悸
- イライラする、うつ症状が出る
- めまい、耳鳴り
- 頭痛、肩こり
- 関節痛
- 体が冷える
- のぼせる、異常に汗が出る
- 生理不順
- 便秘、下痢
自律神経失調症を発症する「きっかけ」
- 精神的なストレスやプレッシャー
- 極度の疲労
- 睡眠不足
- ホルモンバランスの乱れ
真面目な性格の人、妊娠中・出産後の女性、更年期の女性に発症しやすい傾向があります。
病院は何科?
自律神経失調症が疑われるときは、心療内科・精神科を受診しましょう。
治療では、飲み薬の処方や生活習慣の見直しが行われます。
処方されるお薬には、抗不安薬、自律神経調整薬、漢方薬、抗うつ薬、睡眠薬などがあります。
なお、長期的な薬の使用は依存の恐れがあるため、可能な限り生活指導での改善を試みます。
薬に頼らない治療として、鍼灸やTMS治療を行うこともあります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
合わせて読みたい
2022-10-28
最近、急に話せなくなった…。
ストレスのせい?それとも病気?
考えられる原因を、お医者さんに聞きました。
「心の病気」が原因の場合、放置していると、うつ病を発症する恐れもあります。
心当たりのある症状がないか、チェックしてみましょう。
「急に話せなくなった」原因は?まさか病気?
最近、急に人と話ができなくなってしまいました…。
何かの病気かもしれないと思い、不安です。
どんな原因が考えられますか?
急に言葉が出なくなったり、人と話せなくなったりした場合、精神的なストレスや過度の緊張が原因として考えられます。
症状が出て間もないときは、
安静にしてゆっくり深呼吸する
水分をとる
といった対処を行いましょう。
深呼吸するときのポイント
自然に任せて息を大きく吸い込み、ゆっくりと、フーと長く時間をかけて息を吐きましょう。
ゆっくり息を吐くという動作により、リラックスできて、緊張が緩和されます。
症状が改善しない場合は「心の病気」の可能性も
上記の対処を行っても、「人と話せない」「声が出ない」といった症状が続く場合は、心の病気が原因となっている可能性があります。
特に、
動悸・息切れ・吐き気
過度の発汗
体の震え・しびれ
等の症状を伴う場合は、病気が強く疑われます。
考えられる3つの病気
これまでは普通に話せていたのに、急に話せなくなった場合、
場面緘黙症(選択性緘黙)
社交不安障害
心因性失声症
などの病気が原因となっている可能性があります。
それぞれ解説していくので、当てはまる症状がないか確認しましょう。
病気① 場面緘黙症(選択性緘黙)
場面緘黙症とは、家庭内では普通に話せるのに、学校や職場等の特定の状況下では、声を出して話せない状態が1ヶ月以上続く精神疾患です。
本人の意志で話そうとしないわけではなく、「本当は話したいのに言葉が出ない」「言葉にしたいのにできない」状態と考えられています。
こんな症状は「場面緘黙症」かも
家庭内では普通に話せるが、学校・職場等の特定の状況下では話せない
初めての状況下では、思うように身体が動かない
些細な刺激で、強い不安・恐怖を感じてしまう
他者からの質問に返事ができない
言いたいことがあるのに、発言できない
内容が分からないのに、聞き返せない
上記に心当たりがある場合は、場面緘黙症が疑われます。
発症しやすい人は?
不安を抱えやすい・不安を感じやすい気質
言葉に対する苦手意識がある
馴染みのない言語の環境に置かれた(海外等)
おとなしい性格
孤立やいじめ等のつらい経験がある
発達障害がある
場面緘黙の原因は、まだはっきりとわかっていません。
上記のような様々な要因が複雑に絡み合って、発症すると考えられています。
言語や話し言葉に苦手意識があり、それらに対する不安・恐怖から自分自身を守るために、症状が現れるケースもあると考えられています。
「場面緘黙症かも」と思うときは…
場面緘黙症が疑われる場合には、早めに病院を受診することをおすすめします。
場面緘黙症は認知度があまり高くないため、自身がそうであると気が付かないまま、つらい思いを抱えているケースが多いです。
また、「発達障害」や「うつ病」を併発している可能性もあります。
放置することで、「症状が改善せずつらい日々が続く」「発達障害・うつ病等の疾患を見逃す」等のリスクが高まると考えられます。
何科で受診すればいい?
「心療内科」または「精神科」を受診しましょう。
病院では、主に、
薬物療法(抗うつ薬)
認知行動療法(自身の考え方や行動の癖を把握する)
TMS(脳の前頭葉を磁気で刺激して症状の改善を図る)
等の治療が行われます。
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病気② 社交不安障害
社交不安障害は、いわゆる「あがり症」が悪化したものです。
人前で話す・注目を集める等により、極度の緊張や不安を感じることで常に苦痛を感じ、日常生活に支障が生じます(6ヶ月以上続く)。
人前で失敗したり、恥をかいたりした経験から、「また同じ状況が起こるのではないか」と過度に不安や恐怖を感じてしまい、そのような状況を避ける傾向があります。
こんな症状は「社交不安障害」かも
過度の緊張・不安感
過剰な発汗(冷や汗)
動悸・めまい
口渇(口や喉が激しく渇く)
赤面
体の震え・しびれ
頭が真っ白になる
上記に当てはまる場合は、社交不安障害が疑われます。
人前で話したり注目を集めたりすることに対して、強い緊張や不安を感じやすいです。
発症しやすい人は?
人前で話すことが苦手
緊張しやすい
ストレスを抱えやすい(ストレスに弱い)
真面目・完璧主義
自意識過剰(自分を否定的に捉える)
他者からの評価を気にしてしまう
人見知り
人前での食事が苦手
社交不安障害を発症する人には、他者から注目されたり、失敗したりすることを過度に恐れる傾向があります。
「社交不安障害かも」と思うときは…
社交不安障害が疑われる場合には、できるだけ早く病院を受診して治療を受けることをおすすめします。
治療を受けず放置していると、症状が悪化して心身のバランスを崩し、「パニック障害」や「自律神経失調症」を併発したり、「うつ病」を発症したりするリスクが高まると考えられています。
何科で受診すればいい?
「心療内科」または「精神科」を受診しましょう。
病院では、症状に応じて、
薬物療法(抗うつ薬・抗不安薬)
心理療法(認知行動療法)
等の治療が行われます。
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病気③ 心因性失声症
心因性失声症とは、過剰なストレスや心的外傷(過去に受けた心の傷)等により、声を出せなくなってしまう状態です。
失声症は、脳や声を出す器官には何も異常がないケースが多いです。
こんな症状は「心因性失声症」かも
声が出せない(突然声が出せなくなる)
声が出てもかすれ声になる(しわがれ声)
会話ができない
上記の症状に心当たりがある場合は、心因性失声症が疑われます。
発症しやすい人は?
30代以降の女性
ストレス過多
ストレスに弱い(ストレスの影響を受けやすい)
心因性失声症は、精神的ストレスを過剰に抱えることで発症しやすくなると考えられています。
「心因性失声症かも」と思うときは…
声を出せない状態が続くことで、日常生活に支障をきたしている場合には、早めに病院を受診しましょう。
受診せず放置していると、症状が悪化して「うつ病」等の精神疾患を発症するリスクが高まると考えられています。
何科で受診すればいい?
心因性失声症が疑われる場合、まずは声帯に異常がないか調べるために、「耳鼻いんこう科」で受診することをおすすめします。
検査しても声帯に異常が認められない場合は、主治医に相談して「精神科」の受診を検討するとよいでしょう。
病院では、症状に応じて、
薬物療法(抗うつ薬・抗不安薬)
心理療法(認知行動療法)
音声治療(声を上手に出すための発声訓練)
等の治療が行われます。
耳鼻いんこう科を探す
精神科を探す
こんなときは、早めに病院へ!
突然、声が出なくなった
人前で話すと過剰に緊張して発汗が止まらない
声が出ないことに加えて、身体的症状も現れている
過剰な緊張で呼吸困難や意識障害を起こす
等の症状がみられる場合には、躊躇せず、病院で相談しましょう。
病院を受診して治療を受けることで、精神的負担が減り、症状緩和につながるケースが多いです。
心の病気は、放置していると症状が悪化して、仕事や外出ができなくなるなど、通常の日常生活が送れなくなることもあります。
周囲の理解を得られない場合には、孤立したり、どんどん気持ちが落ち込んだりして、悪い方向に向かってしまう恐れもあります。
病院は何科?
症状
おすすめの診療科
精神的な症状(不安感など)が強く出ている
精神科
身体的な症状(動悸・めまいなど)を伴う
心療内科
状況・場所に関係なく、声自体が出せない
耳鼻いんこう科
受診する診療科は、上記を参考にしてください。
※精神科・心療内科に関しては、両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
医師に伝えるポイント
症状が出始めた時期
症状が現れたタイミング
症状が現れる頻度
「急に話せなくなった」こと以外の症状
考えられる原因・きっかけ
既往歴
使用中の薬剤の有無
受診の際は上記の点を医師に伝えると、診察がスムーズに進むと考えられます。
精神科を探す
心療内科を探す
耳鼻いんこう科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
沢井製薬株式会社 「緊張」や「あがり症」を克服する2つのトレーニング
養命酒製造株式会社 あがり症を治す呼吸法とは?医師が教える不安や緊張を和らげる方法
合わせて読みたい
2022-12-27
「うつ病がなかなか治らない…」
「このまま一生治らなかったらどうしよう…」
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病や適応障害の症状が長引く理由を解説します。
うつ病や適応障害が治らず焦りを感じている方は必見です。
※動画による解説は記事末尾から
うつ病・適応障害が治りにくい4つの原因
うつ病・適応障害がなかなか治らない場合
生活習慣の乱れ
環境がよくない
考え方のクセ
躁うつ病(双極性障害)を発症している
などの原因が考えられます。
原因① 生活習慣の乱れ
昼夜逆転した生活
過度な飲酒
ほとんど家から出ない
上記に当てはまる場合は、うつ病が治りにくくなる可能性があります。
「不規則な生活リズム」「お酒の飲みすぎ」「外出せずほとんど体を動かさない」などの習慣が続くと、心身の調子が悪くなり、うつ病・適応障害の改善の遅れを招きます。
【対処法】一定の生活リズムを習慣化しよう
うつ病や適応障害を改善するためには、「どういう行動習慣を積み重ねていくか」ということが重要です。
睡眠や食事の時間を一定にする
お酒を控える
日中は外出して体を動かす
上記を習慣化して、治療にとってプラスになる行動を積み重ねていきましょう。
生活習慣を整えることで、心身の調子が整いやすくなります。
また、その行動の積み重ねが脳への刺激になり、うつ病や適応障害の改善につながると考えられます。
原因② 環境がよくない
職場に相性のよくない上司がいる
家に居場所がない
子育て・介護などでストレスを感じている
上記のように、職場や家庭の環境がよくない人は、うつ病や適応障害が治りにくくなることがあります。
うつ病・適応障害の症状は、日々の行動だけでなく、環境からも大きな影響を受けます。ストレスの多い環境で過ごす時間が積み重なると、症状の改善が遅れる原因となります。
【対処法】「転職・異動」「支援サービスの利用」を検討しよう
環境がよくないと感じる場合、
転職・異動の相談をする
家族と話し合いをする
自治体のサポート窓口を利用する
といった方法で、環境を変えることが選択肢の一つとなります。
環境の変化には良い面も悪い面もあるため、一概に「環境を変えるべき」というわけではありません。
ただし、「どうしても今の環境と相性が悪い」と感じる場合は、選択肢の一つとして考えてみるといいでしょう。
職場の環境が合わないと感じる場合は、「転職を検討する」「上司や人事部に異動の相談をする」などの方法もあります。
家庭内でストレスを感じている場合は、まずは家族と話し合うことが必要なケースもあります。
子育てや介護などでお悩みの場合は、自治体のサポート窓口を活用してみるのもいいでしょう。
子育てや介護に関するお悩みは、お住まいの自治体の子育て支援センターや、地域包括支援センター※などの機関で相談可能です。
※地域包括支援センターとは
主に自治体が設置する高齢者の健康や生活をサポートする施設。
▼参考
地域包括ケアシステム(厚生労働省)
原因③ 考え方や性格のクセ(完璧主義・人と比べる)
自分を責めてしまう
完璧主義
他人と自分を比べる
上記のような考え方・性格のクセがある人は、うつ病や適応障害の治療が遅れる可能性があります。
「考える」ということも一種の行動です。自責や他人との比較など、自分にダメージを与える思考を繰り返すことも、病気の改善を妨げる行動を積み重ねる行動になります。
【対処法】「前向きになれる考え方」を練習しよう
自分にダメージを与える考え方のクセがある人は、「自分も他人も責めない」「前向きになれることを考える」といったことを意識するといいでしょう。
ただし、考え方が根強いクセになっている場合、すぐには変えにくいこともありますよね。
その場合は、
出てきた考えを真に受けすぎず、なるべく受け流す
否定のクセを薄めて、成功体験を徐々に積み重ねる
この2つを心がけてみてください。これらの思考を積み重ねていくことが、結果として、否定的な考えが出てくる頻度を減らすことに繋がります。
原因④ 躁うつ病(双極性障害)を発症している
抗うつ薬などによる治療を続けていて、生活習慣・環境・考え方などの見直しを行っているにもかかわらず、症状の改善が見られない場合は、躁うつ病(双極性障害)を発症している可能性があります。
躁うつ病ってどんな状態?
躁うつ病とは、気分が高揚して活動的になる「躁状態」と、気分が沈んで意欲がなくなる「うつ状態」を交互に繰り返す状態です。
人によっては、躁状態の症状が軽くて期間が短く、うつ状態が長く続く「双極性障害Ⅱ型」のケースもあり、この場合は一般的なうつ病との区別がつきにくいです。
うつ病と躁うつ病は使う薬が違うので、この見極めができていないと、病気が長引く恐れがあります。
躁うつ病かを判断する4つのヒント
過去を振り返って、躁気味な時期があった
家族に躁うつ病の人がいる
周期的にうつ病を繰り返している
抗うつ薬を使うと躁状態になる傾向がある
躁うつ病かどうかを判断するヒントとして、上記の4つが挙げられます。
「ある時期だけ妙に活動的だった」「ある時期だけ妙にお金を使っていた」など、過去に躁気味な期間があった場合は、躁うつ病である可能性が出てきます。
自分ではわからなくても、『ちょっといつもと違う』『いつもより妙に元気だね』などと、周りの人から言われる時期があったかどうか、ということも参考になります。
また、家族に躁うつ病の人がいると、発症の可能性が少し高くなると言われています。
その他、周期的にうつ病の症状を繰り返す場合や、抗うつ薬を使ったときに躁状態になる傾向がある場合も、躁うつ病を発症している恐れがあると考えられます。
躁うつ病を疑う場合は主治医に相談を
躁うつ病の発症を疑う場合は、早めに主治医に相談しましょう。
うつ病と躁うつ病では、治療に使う薬が違います。そのため、うつ病か躁うつ病かを的確に判断することは、症状を早く改善するために、非常に重要であると考えられています。
▼動画による解説はこちら
※本記事は、チャンネル運営者の許可を得て作成しています。
≪チャンネル紹介≫
こころ診療所チャンネル【精神科医が心療内科・精神科を解説】
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病・適応障害・パニック障害など、こころの不調やその対策について、わかりやすく解説。
こころの不調を抱える方が、少しでも症状を改善するヒントとなるような情報の提供を目指しています。