「そこまで食べてないのに太ってしまう…」
「これってストレスのせい?」
ストレスが原因で太ることがあるのかを、栄養士さんに聞いてみました。
ストレスを軽減させるためにできることや、無理なく続けられるダイエット方法のコツについても詳しく解説します。
監修者
株式会社Luce
栄養士・食育栄養インストラクター
神原 李奈先生
経歴
株式会社Luce・健康検定協会 所属
CA(客室乗務員)の仕事をきっかけに、健康と食の強い結びつきを実感し、食の世界に興味を持つ。大手料理教室の講師の経験を経て、栄養士を目指すことに。栄養士免許を取得後の現在は、現役CAとして世界中を飛び回りながら、栄養士として健康や食に関する情報を発信している。
食べていないのに太る…もしや「ストレス」のせい?
そこまで食べてないのに太ってしまいます。
思い当たるのが“ストレス”くらいなのですが…ストレスで太ってしまうことはあるんでしょうか…?
はい、ストレスが原因で太ることはあります。
長い期間ストレスを抱えていると、あまり食べていないにも関わらず、太ってしまうことがあります。
過度なストレスにより、交感神経が優位な状態が続くと、自律神経の乱れに繋がります。
すると、生活リズムが狂ったり、代謝が悪くなったりして、痩せにくい体質になってしまいます。
また、ダイエットのための食事制限も、食べるのが好きな人にとってはストレスとなり、痩せにくい体質の原因となります。
「無意識にストレスをため込んでしまう」習慣
「そんなに食べていないのに太った」という方は、
- 睡眠不足
- 不規則な生活
- 運動不足
- バランスの悪い食事
に心当たりはありませんか?
当てはまる方は、自律神経のバランスが乱れているかもしれません。
① 睡眠不足
睡眠不足により、自律神経の切り替えがスムーズにいかず、交感神経が優位な状態になり、自律神経の乱れに繋がります。
また、睡眠不足だと心身ともに休めることができず、ストレスの蓄積にもつながります。
睡眠不足の日が続くと、ホルモンバランスも乱れやすくなります。これにより、さらに自律神経の乱れを悪化させる悪循環に陥ってしまうのです。
② 不規則な生活
副交感神経が優位な状態である夜間に活動するなど不規則な生活を続けていると、交感神経が優位な状態になり、自律神経の乱れに繋がります。
③ 運動不足
1日中ダラダラと過ごしていると、交感神経活性は低下し、自律神経の乱れに繋がります。
適度に体を動かすことにより、交感神経を程よく刺激して、自律神経のバランスを保ちましょう。
④ バランスの悪い食事
バランスの偏った食事ばかりとっていると、ホルモンバランスが乱れ、自律神経の乱れに繋がります。
脱!ストレス太り「いま、私ができること」
自律神経を整えて、ストレス太りから脱却するためには、
- 1日7〜8時間の良質な睡眠をとる
- 30分以上の運動を週2日以上行う
- 生活のルーティーンを整える
- 1日3食、バランスの良い食事をとる
といったことを行ってみるとよいでしょう。
対策① 1日7~8時間の良質な睡眠をとる
1日7〜8時間を目安に睡眠時間を確保してみましょう。
パジャマの素材や寝室の温度、湿度、音、光などにも気をつけるとより快適に眠れるようになります。
また、良質な睡眠をとるために、以下の3ポイントを実践するとよいでしょう。
- カフェインをとるのは、就寝の5~6時間前までにする。
- 就寝の2~3時間前にお風呂に入る
- 就寝の2~3時間前までに夕食を済ませる
また、就寝前のアルコールは睡眠を妨げてしまいます。“寝酒”は控えましょう。よけいに太ってしまう原因にもなります。
対策② 30分以上の運動を週2日以上行う
ウォーキングや軽いジョギングなどがおすすめです。
通勤時一駅前でおりて歩くなど、日常生活に組み入れると続けやすいと思います。
また、ひとりで運動するのが難しければ、ご家族やご友人といっしょに運動すると良いでしょう。
対策③ 生活ルーティーンを整える
平日も休日も、できるだけ同じサイクルで生活するようにしてみましょう。
起床したら、カーテンをあけて陽の光を浴びるとよいでしょう。
日中に活動し、夜はしっかり眠れるようにしましょう。
激しい運動をしすぎると、疲労やストレスの蓄積につながってしまうので、激しい運動は控えるようにしましょう。
その④ 1日3食、バランスの良い食事をとる
食事は、1日3食欠かさずに食べましょう。
和定食のようなイメージで、主食、主菜、副菜の揃ったバランスの良い食事を心がけると良いでしょう。
毎日規則正しく食事を取ることを意識すると、習慣化しやすいと思います。
また、朝食は起床してから1時間以内(8~9時ごろ)までに食べるようにしましょう。そうすることで体内時計も整いやすくなります。
どうしてもストレスが溜まる!上手に発散する方法は?
ストレスを感じているときには、意識して腹式呼吸をしてみましょう。
腹式呼吸をすることで、リラックスしたときに優位になる副交感神経を刺激することができます。
<腹式呼吸の方法>
- 身体の力を抜く。
- おへその下あたりに手をあてて、お腹の中の空気を全て吐き切るイメージで、ゆっくりと長く息を吐く。
- 息を吐ききり、下腹部が限界まで凹んだら、下腹部に空気を入れて膨らませるイメージで息を吸う。この時、鼻から空気を吸う。
- 限界まで息を吸い込み、3秒程度息を止める。
- 再び息をゆっくり吐く。
5分〜10分ほど繰り返し行うとよいでしょう。
ストレス以外にも落とし穴が!「食べていないのに太る」は他にも…
ストレスや自律神経の乱れ以外に、食べていないのに太る原因として、
- 塩分の摂取量が多い
- 糖質や脂質の多い食事を摂っている
- たんぱく質不足
が考えられます。
その① 塩分の摂取量が多い
塩分をとりすぎることによって、体内に水分をためこみ、結果むくみに繋がります。
インスタント食品や市販の惣菜・弁当、外食の頻度が多いと、塩分の過剰摂取につながるので、控えるようにしましょう。
その② 糖質や脂質の多い食事を摂っている
量は食べていないけれども、糖質や脂質の多い食事を摂っていることで、脂肪が蓄積しやすくなります。
糖質の多い食べ物を空腹時にとると血糖値が急上昇し、インスリンというホルモンが多く分泌されます。その結果脂肪蓄積を促し、痩せにくくなります。
特に夜遅い時間の食事は、活動量が減ることから消費エネルギー量も少なくなり、脂肪蓄積を促しますので注意が必要です。
その③ たんぱく質不足
たんぱく質が不足すると筋肉が分解され、筋肉量が減ってしまいます。そうすると、基礎代謝量も減り、痩せにくくなります。
例えば野菜のサラダばかり食べているような生活では、たんぱく質が不足して痩せにくくなります。
色々な食材を組み合わせ、毎食しっかりたんぱく質をとりましょう。
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2022-03-31
「ランニングでお腹は痩せないの…?」
「お腹の脂肪を落とす方法を教えて!」
ランニングでお腹の脂肪を落とすことは可能なのかを栄養管理士さんに聞いてみました。
ランニングによって、落ちやすい脂肪や、お腹に効くランニングフォーム、運動メニューについても詳しく解説していきます。
ランニングで「お腹が痩せにくい」理由
ランニングでダイエットしているのですが…お腹が痩せません!
ランニングのような有酸素運動をしても、お腹の脂肪が落ちるまでには、時間がかかることが多いです。
個人差がありますが、基本的には肝臓から遠い場所から脂肪が落ちていきます。
具体的には、手首→ふくらはぎ→二の腕→太もも→お尻→お腹の順で痩せていく傾向があります。
今は焦らず、ランニングを続けましょう。
ランニングは全身を使う有酸素運動のため、お腹の脂肪を落とすことが可能です。
全身の脂肪をゆっくりと減っていく中で、お腹の脂肪も落ちていきます。
お腹のお肉がつまめる「皮下脂肪タイプ」の人は、時間がかかることも…!
ぽっこりとお腹周りだけ出ている「内臓脂肪タイプ」は、ランニングでもお腹の脂肪が落ちやすいです。
ただし、お腹周りだけでなく体全体に脂肪がついている場合は、「皮下脂肪タイプ」です。この場合、お腹の脂肪が落ちるのに時間がかかります。
ぽっこりお腹に”効く”ランニングフォーム
体の軸をまっすぐにし、背筋を伸ばしやや前傾姿勢になります。
肩の力を抜き上半身はリラックスした状態にします。
目線は正面にし、左右の重心のバランスを取りながらまっすぐ走りましょう。
正しいフォームでランニングすると疲れにくくなります。
疲れにくくなると、長距離を走れるようになるため、効率的に脂肪を燃焼し、お腹痩せにもつながります。
空腹時のランニングがおススメ
お腹痩せを効果的に行うためには、空腹時にランニングすることがおすすめです。
空腹の状態で走ると体に貯蔵された糖質が少ないため、脂肪をエネルギーとして効率的に使うようになります。そのため、お腹痩せにも効果的です。
また食後でも、1時間ほど経ってからランニングを行うことで、食べたものを効率的にエネルギーとして使うことができるので、お腹の脂肪蓄積予防になります。
また、ランニングだけで消費エネルギー量を増やすのではなく、「他の運動と組み合わせる」「生活の中で消費エネルギー量を増やす」といった工夫を併せて行うとさらに効率的です。
「筋トレ」を組み合わせるのがおすすめ!
ランニングは、大体30分以上行わないとエネルギー消費量を確保できません。
そのため、短時間の運動でもエネルギー消費量の多い「筋トレ」を組み合わせて行うようにしてください。
筋トレをプラスすると、より多くのエネルギーを消費することができるため、効率的に脂肪を減らすことができます。
お腹をグッと引き締め!運動メニュー
ランニング以外の「お腹を引き締める運動」メニューとして、
全身運動:バーピー
プランク
ドローイン
といったことがおすすめです。
その① 全身運動:バーピー
その場にしゃがみ、両手を床に着け軽くジャンプして、両足を後ろにのばします。
その後、両手を上に伸ばしながら、その場でジャンプし元の位置に戻ります。
30秒全力で行い、1分程度インターバルを取ります。これを3セット、週2~3回を目安に行いましょう。
バーピーは強度の高い運動なので、筋肉を休ませるためにも休息日をはさみながら無理のないペースで継続しましょう。
\ポイント!/
食前に行うことで、より効率的に脂肪燃焼を行うことができます。
また、運動後に食事でたんぱく質を補給することで、効率的に筋肉をつけることができます。
その② プランク
うつぶせになり、両肘を床に着け上半身を起こします。
脚は、つま先を立てて下半身を持ち上げ、頭から全身が一直線になるよう姿勢をキープします。
1回20秒からスタートし、少しずつ姿勢をキープする時間を伸ばしていきましょう。インターバルを取りながら、1日に3セットくらいを目安に行いましょう。長時間行うよりも正しい姿勢をキープすることを意識して行った方が効果的です。
プランクは、強度がさほど高くない運動なので、毎日行っても問題ありません。
\ポイント!/
食後2~3時間後に行った方が、体にたんぱく質が補充されている状態なので、筋肉が分解されず効果的に鍛えることができます。
その③ ドローイン
床にあおむけに寝たら膝を立て、両手は床に着ける姿勢になります。
鼻から息を吸い、お腹を膨らませます。
その後ゆっくりと息を吐いて、お腹を凹ませます。
はじめは2日に1回程度のペースからはじめ、慣れて来たらできるだけ毎日5分程度行うようにし継続して行いましょう。
継続して行うことで、インナーマッスルが鍛えられ、姿勢も正しくなり、お腹がへこみやすくなります。
自分にとってやりやすいタイミングで行い、継続させることが大切です。
さらに…食事コントロールもすれば完璧!
有酸素運動や筋トレなどの運動で消費ネルギーを増やすとともに、食事での摂取エネルギーの調整を行うとより効率的に痩せることができます。
消費エネルギー量を増やしていても、それ以上に摂取エネルギー量が多ければ痩せることはありません。そのため、食事の調整を行い、消費エネルギー量より摂取エネルギー量が下回るように調整しましょう。
▼参考
e-ヘルスネット
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2022-03-31
「筋肉が落ちてきた…」
「落ちた筋肉を取り戻すには?」
筋肉を取り戻すにはどうすればいいのか、管理栄養士さんに聞いてみました。
おすすめの筋トレ・食事などもご紹介します。
落ちた筋肉を取り戻したい!
筋肉をつけるために最初にやるとよいのは、
立ったまま靴下をはく
なるべく階段を使うようにする
椅子に座ったときは「両足をくっつけて」座る
など、日常生活の中で少しずつ筋肉に負荷をかけることです。
「少しキツイ」と感じる動きで負荷をかけると、日常動作も筋トレになります。
逆に楽な動きばかりしていると、どんどん筋肉は衰えていきます。
落ちた筋肉はすぐには戻りません。
“継続”して徐々に取り戻していきましょう。
筋肉を取り戻す「筋トレの方法」
生活で体を動かす習慣がついてきたら、次はしっかりと筋トレしてみましょう。
筋トレによるケガ防止のために、STEP①~STEP③の順で取り組んでみてください。
STEP① 筋トレ前は「ストレッチ」しよう
まずは
膝を伸ばす
肩・腰など、凝り固まった部分をほぐす
などのストレッチを行いましょう。
使っていなかった筋肉をストレッチでほぐすと、スムーズに動くようになるため、ケガ防止につながります。
STEP② まずは「軽めの筋トレ」から
日常の動きにプラスして
椅子スクワット
もも上げ運動
などの軽い筋トレを行いましょう。
急に負荷をかけすぎないよう、軽く負荷のかかる動きからはじめ、徐々に強度を高めていきます。
日常の動きよりも筋肉に負荷をかけることで、筋肉がつきやすくなります。
「椅子スクワット」のやり方
肩幅くらい足を広げ、椅子の前に立つ
ゆっくり膝とを曲げ、椅子に座る
椅子から立ち上がる
※これを5〜10回ほど繰り返す
「もも上げ運動」のやり方
腰に手を当て、背筋を伸ばして立つ
一定のリズムで片方ずつ太ももを持ち上げ、同時に腕もしっかり振る
※30回ほど繰り返す。
STEP③ 慣れてきたら、負荷を上げてみよう
余裕が出てきたら、
スクワット
プランク
など、強度の高い筋トレも取り入れていきましょう。
筋肉に多く負荷をかけることで、筋肉はより丈夫になろうとするため筋肉が太くなっていきます。
「スクワット」のやり方
足を肩幅ぐらいに広げる
背中を伸ばしてゆっくりと腰を落とす(かかとに体重をかける)
太ももが床と並行になるまで下げて、戻す
※膝はつま先より前に出さないようにしてください。
※腰に力を入れないようにしましょう。
1セットあたり20〜30回程度続けましょう。
「プランク」のやり方
うつ伏せの状態になる
つま先と肘を肩幅程度に開き、床につけて体を支える
②の状態で30秒〜1分程度保つ
※体は一直線な状態を意識して、腰やお腹を下げすぎないようにしましょう。
プランクは1セット3回程度行いましょう。
筋肉を増えやすくする「食事」
食事の中で「たんぱく質」を多く含むもの(肉・魚・卵・大豆製品)を意識して摂るようにしましょう。
目安は体重1㎏あたりたんぱく質1~1.2gです。
(※)しっかり運動している場合は、これよりも多いたんぱく質が必要となります。
たんぱく質は“筋肉を作る材料”です。
筋トレで負荷をかけても材料がなければ、筋肉を作ることはできません。
筋肉を取り戻すために…まず1週間続けてみよう
筋肉を取り戻すために、まずは1週間を目標に続けてみましょう。
この期間で体が動かしやすくなり、習慣化されていくでしょう。
筋肉がついたと実感するまでにはもっとかかりますが、まずは習慣化させることが大切です。
「筋肉がついた」と実感できるのはいつ頃?
個人差がありますが、約3ヶ月間続けていると実感してくる人が多いでしょう。
特に下半身の筋肉は筋トレによる変化を実感しやすい部分です。
「継続できないかも…」そんな人へ!
いきなり負荷の大きい筋トレなどを行わず、簡単にできる動きからはじめ、徐々に強度を上げていくと、少しずつ変化を感じて続けるモチベーションにつながります。
また、筋肉をつけることよりも、まずはトレーニングを継続させることを目標にすると、継続しやすくなります。
▼参考
e-ヘルスネット