ついつい物事を深く考えすぎてしまう…。
もしかして病気が原因?
「物事を深く考えすぎる」場合に疑われる病気を、お医者さんに聞いてみました。
不安神経症などの病気が潜んでいる恐れもあるので、症状に心当たりがないかチェックしましょう。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
深く考えすぎてしまう…まさか病気?
いつも、物事を深く考えすぎてしまいます…。これって病気なのでしょうか?
必ずしも病気とは限りません。日常生活に支障が出ないのであれば、病気の可能性は低いでしょう。
ただし、「物事を深く考えすぎる」ことに加えて、次の症状に心当たりがある場合は、何らかの「心の病気」が疑われます。
- 仕事や学校に行けない
- 外出できない
- 電車に乗れない
- 家事が手につかない
- 不安な気持ちが一日中続く
- 眠れない日が続く
- 落ち着きがなくなる
- 人前に出ると極度の緊張や不安を感じる
考えられる2つの病気
「物事を深く考えすぎてしまう」場合に疑われる病気として、上記の2つが挙げられます。
それぞれの主な症状を紹介するので、当てはまるものがないかチェックしてみてください。
病気① 不安神経症
不安神経症とは、過度な不安や心配を抱くことで、日常生活に支障をきたす病気です。
特定の場所や状況(人前に出るときなど)で、症状が出やすいという特徴があります。
自律神経が乱れることで、頭痛・めまい・動悸といった症状が出現する場合もあります。
不安神経症の主な症状
- 落ち着きがない
- イライラしやすい
- 不眠
- 頭痛
- めまい
- 動悸
など
どんな人がなりやすい?
- 真面目
- 責任感が強い
- 心配性
- 完璧主義
- 負けず嫌い
上記に当てはまる人は、不安神経症になりやすいと考えられています。
また、若い女性に多くみられるという特徴もあります。
不安神経症かも、と思ったら
不安神経症が疑われる場合は、「精神科」または「心療内科」で相談しましょう。
適した治療を行うことで、症状を早く和らげることができます。
放置すると、「うつ病」などの精神疾患を発症するリスクが高まります。
なお、不安神経症の人は、そうではない人に比べて、うつ病を発症する可能性が2倍程度高くなるといわれています。
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病気➁ 適応障害
適応障害とは、特定のストレスによって、心身に不調をきたす病気です。
個人差が大きいですが、「気分が落ち込む」「考えこみすぎて涙が出る」場合もあります。
適応障害は、環境を変えるなどしてストレスの原因から離れると、6ヶ月以内に症状がなくなるという特徴があります。
適応障害の主な症状
- 気分の落ち込み
- 不安感
- 感情の高ぶり
- 集中力の低下
- めまい
- 動悸
- 不眠
など
どんな人がなりやすい?
- 真面目
- 責任感が強い
- 几帳面
- 完璧主義
- 心配性
- 他人からの評価が気になる
- 人に頼ることが苦手
適応障害かも、と思ったら
適応障害は自分で根本的に症状を軽くすることが難しいため、病院に行きましょう。
「精神科」または「心療内科」で相談してください。
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2022-12-23
適応障害ってどんな病気?
適応障害の症状や発症する原因について、分かりやすくまとめました。
適応障害が疑われるときの対処法もご紹介します。
適応障害って、どんな病気?
「適応障害」は、職場の人間関係などのある特定の状況や出来事が、その人にとって、とてもつらく耐えがたく感じられたために、心や体の調子を崩す病気です。
ストレス因子(=ストレスを引き起こす要因)を取り除く・緩和する、もしくは、ストレス因子から離れると、だんだんと調子はもとに戻ります。
うつ病とはどう違うの?
典型的なうつ病を発症している場合は、ストレス因子から離れても、気分の落ち込みが改善することはありません。
適応障害は「甘え」ではない
適応障害は、環境に適応することができず、心や体が疲れてしまう病気です。
決して「甘え」などではありません。
適応障害の原因
適応障害は、下記をきっかけとしたストレスが原因で発症します。
職場の環境変化(昇進・転職・入職・異動等)
テレワークから出社へ変更した環境変化
対応しきれない仕事の量
地震や台風などの自然災害
気温の変化
睡眠不足・リズム障害
未来への不安
人間関係
解決できない家族問題
適応障害の症状
言葉が出てこない
何があっても楽しくない
イライラする、暴力的になる
虚しくなる、悪いことばかり考える
不安が強くなる
緊張が解けない
仕事へ行けない
暴飲暴食する
適応障害になりやすい人
普段から真面目で、物事に慎重に取り組む
ストレスに弱い
神経質、人に物事を相談できない
上記に当てはまる人は、適応障害を発症するリスクが高いと考えられます。
適応障害かも…と思ったら
まずは、ストレスの原因から離れることが大切です。
仕事が合っていないのであれば、休職も考えましょう。また、ストレスを与えてくる人とは距離を置いてください。
普段から、十分な運動や睡眠、バランスの取れた食事など、ストレスに強くなるライフスタイルを心がけましょう。
自分一人で抱え込まず、家族や親しい友人に相談することもよいでしょう。
病院は何科?
適応障害が疑われるときは、心療内科・精神科を受診してください。
精神的な症状が強いときは「精神科」、体の症状が強いときは「心療内科」で受診しましょう。
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適応障害の治療法
適応障害の治療では、必要に応じてお薬の処方や、お薬に頼らないTMS治療などで心身状態を改善します。
その後、カウンセリングや認知行動療法などを行います。
また、自律神経を整えるために、生活習慣の見直しも促します。
▼TMS治療
脳に磁気を当て、脳の特定部位を活性化させる治療方法
▼認知行動療法
医師やカウンセラーとともに不安感や恐怖心に対する自分の考え方・とらえ方の偏りを認識して、自分自身で修正していく治療方法
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
HSPの可能性も
病気を疑ってしまうほどに「物事を深く考えすぎる」場合、HSP(※)の特性を持っている可能性があります。
HSPは病気ではないですが、さまざまな刺激に反応しやすく、物事を深く考えてしまいがちです。
※HSP(Highly Sensitive Person)とは、生まれつき脳の扁桃体の働きが強く、脳内の神経が高ぶりやすい体質のことです。病名ではありません。
HSPの特徴
- 感受性が強い
- 緊張しやすい
- 音楽や美術に心を動かされやすい
- 幼少期に周囲から「繊細」「人見知り」だと言われていた
- 大きな音や明るい光が苦手
HSPかも、と思ったら
日常生活で生きづらさを感じる場合は、一度「精神科」または「心療内科」で相談してみてもよいでしょう。
HSP自体は病気ではありませんが、病院で診てもらった結果、「不安神経症」「適応障害」などの診断を受けるケースもあります。
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2022-11-24
HSPかもしれないけど、病院に行くべき?
何科で相談できる?
HSPが疑われる人は病院に行くべきか、お医者さんに聞きました。
受診の目安となる症状や、おすすめの診療科も紹介します。
HSPかもしれない…病院に行くべき?
HSPは、その人が生まれ持った気質であり、治療する対象ではありません。
そのため、自分が「HSPかもしれない」というだけで、病院を受診する必要はないでしょう。
HSP(Highly Sensitive Person)とは、「非常に敏感な人」を意味しており、生まれ持った「気質」を表す心理学の言葉です。
病気や障害を表す医学的な診断名ではありません。
最近では、書籍やネット上のチェックリストによって、自分を「HSP」だと自己診断されている方も多いですが、それらには明確な根拠がないケースもあります。
一方で、自分がHSPであると認識して安心感を得たり、同じように悩む人の存在を励みにできたりするという価値もあると考えられます。
「HSP」には、どんな特徴があるの?
HSPの人は、脳の扁桃体(恐怖・不安などの感情に関わる部位)が過剰に働くことで、恐怖や不安を感じやすいと考えられています。
そのため、大きな音や光が苦手であったり、他人の気持ちに振り回されて人間関係に疲れやすかったりすると言われています。
ただし、こんな症状が出たら病院へ
夜、眠れない状態が2週間以上続いている
職場や学校に通えなくなった
1日中、気分が憂うつ
他人の言動に左右されやすく、極度に対人関係に疲れを感じている
家以外の場所では、常に緊張状態である
刺激から逃げたくなり、引きこもりたくなることがある
上記の症状に心当たりがある場合は、病院で相談してみましょう。
HSPの繊細な特性が原因で、疲れやストレスが蓄積することで、これらの症状が現れている可能性があります。
この状態を放置していると、本来持っている能力を仕事や日常生活で発揮できなくなり、「うつ病」「適応障害」「不安障害」などの病気につながる可能性があります。
また、ストレスが蓄積した状態が慢性化するため、体の不調が続く恐れもあります。
精神科と心療内科、行くならどっち?
精神的な症状が強い 場合は「精神科」、体の不調を伴う(頭痛・腹痛など) 場合は「心療内科」で受診するとよいでしょう。
※両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
精神科は、心の病気そのものを治療する診療科です。
一方、心療内科は、さまざまなストレスに対して現れる体の症状に対して治療を行います。
症状がなくても、HSPの相談はできる?
先に挙げた症状がない場合でも、HSPの相談ができる病院はあります。
最近では、HSPに特化した外来診療や、臨床心理士・公認心理士によるカウンセリングを行っている病院も増えています。
ただし、これらの対応はどこの病院でも受けられるわけではないので、事前に病院に問い合わせておくといいでしょう。
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病院ではどんな治療をするの?
病院では、まず「うつ病」や「不安障害」などの病的な要因がないかを見極めます。
その上で、症状に応じて、
カウンセリング
薬を使った治療
TMS治療(磁気刺激治療)
といった治療を行うことがあります。
治療法① カウンセリング
うつ病や不安障害などの病的な要因がない場合は、カウンセリングを通して、自身の繊細な特性を知ったり、自分の強みを見つけたりしていきます。
特に、自己肯定感が低下しているために、生きづらさを感じている人を対象に行われることが多いです。
自分自身のことを見つめ直し、繊細な特性を受け入れることで、生活が送りやすくなるため、症状の緩和につながります。
保険は適用される?
保険は適用されません。
病院にもよりますが、カウンセリングの費用は1万円~1万5千円前後であることが多いです。
治療法➁ 薬を使った治療
HSPによって、
過度な緊張・不安・不眠を生じている
「うつ病」などの病気を合併している
場合には、それらの症状を和らげる薬を使って治療します。
薬はあくまで補助的に使い、心理療法も併せて行われることが多いです。
なお、薬を飲むことに不安を感じて、さらに不安感やうつ症状が現れる人もいます。
また、薬の副作用を感じることもあります。
保険は適用される?
保険は適用されません。
自由診療の場合、薬を使う治療の費用は5千円~6千円前後であることが多いです。
※「うつ病」の治療として薬を使用する場合には、保険が適用されることもあります。
治療法③ TMS治療(磁気刺激治療)
脳に、磁気による刺激を与える治療法です。
病院にもよりますが、1回5~20分程度、週に2~5日継続して行います。
TMS治療は、副作用がほとんどないため、薬の副作用を受けやすい人に特に向いています。
磁気の刺激により脳の血流を増やすことで、脳の機能を活性化させ、うつ症状やHSPの特性による諸症状を和らげます。
保険は適用される?
保険は適用されません。
自由診療の場合、病院にもよりますが、20~30回の治療で、10万円~60万円程度の費用がかかります。
※「うつ病」の治療として磁気刺激治療が行われる場合は、保険が適用されることもあります。
診察時の症状の伝え方
自分をHSPだと思うようになったキッカケ
どのような方法で、自分はHSPだと判断したのか
特に、どのような症状に悩んでいるか
症状が出始めた時期
どんな時に、症状が強くなるのか
食事や睡眠の状況について
これまでにかかったことがある病気の有無
喫煙・飲酒の状況について
受診の際は上記の点を医師に伝えると、診察がスムーズに進むと考えられます。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
社会福祉法人恩賜財団済生会:音や光がすごく気になる…過敏なあなたは「HSP」かも
沢井製薬株式会社:心が疲れやすくて生きづらい…それは「HSP」かもしれません
考え方を変えたい!軽く受け止める方法は?
物事を深く考えすぎないようにするには、
- 気分転換をして注意をそらす
- 毎日20~30分ほど運動する
- 考え事を紙に書き出す
といった対処法が効果的です。
対処法① 気分転換をして注意をそらす
考え込んでしまうときは、映画を観たり音楽を聴いたりして、注意をそらしましょう。
気分転換することで、物事を軽く受け止められるようになることがあります。
対処法② 毎日20~30分ほど運動する
などの運動を、1日20~30分程度でいいので継続して行いましょう。
運動することによって心が安定し、気持ちが前向きになるため、考え事を軽く受け止めやすくなるでしょう。
対処法③ 考え事を紙に書き出す
深く考え込んでしまうことを、具体的にノートに書き出しましょう。
自分の思考や不安なことを客観視することにつながるため、落ち着いて不安に向き合うことができます。
考えすぎてつらいときは、病院で相談しよう
深く考え込んでしまうことでつらいと感じている場合は、病院で相談してみましょう。
「精神科」または「心療内科」で相談することをおすすめします。
物事を深く考えすぎることは、「慎重に行動できる」「人の気持ちを考えて行動できる」という側面もあるため、デメリットばかりではありません。
自分とうまく向き合うためにも、まずは病院で相談してみてください。
病院ではどんな治療が受けられる?
病院では一般的に、「カウンセリング」を受けられます。
病気の診断を受けた場合は、「薬物療法」が行われることが多いです。
カウンセリングは、医師や臨床心理士と話すことで、思考や行動を改善したり、新しい視点を得られたりする可能性があります。
薬物療法では、「抗うつ薬」などの薬を飲むことで症状の改善を図ります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2022-12-27
「うつ病がなかなか治らない…」
「このまま一生治らなかったらどうしよう…」
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病や適応障害の症状が長引く理由を解説します。
うつ病や適応障害が治らず焦りを感じている方は必見です。
※動画による解説は記事末尾から
うつ病・適応障害が治りにくい4つの原因
うつ病・適応障害がなかなか治らない場合
生活習慣の乱れ
環境がよくない
考え方のクセ
躁うつ病(双極性障害)を発症している
などの原因が考えられます。
原因① 生活習慣の乱れ
昼夜逆転した生活
過度な飲酒
ほとんど家から出ない
上記に当てはまる場合は、うつ病が治りにくくなる可能性があります。
「不規則な生活リズム」「お酒の飲みすぎ」「外出せずほとんど体を動かさない」などの習慣が続くと、心身の調子が悪くなり、うつ病・適応障害の改善の遅れを招きます。
【対処法】一定の生活リズムを習慣化しよう
うつ病や適応障害を改善するためには、「どういう行動習慣を積み重ねていくか」ということが重要です。
睡眠や食事の時間を一定にする
お酒を控える
日中は外出して体を動かす
上記を習慣化して、治療にとってプラスになる行動を積み重ねていきましょう。
生活習慣を整えることで、心身の調子が整いやすくなります。
また、その行動の積み重ねが脳への刺激になり、うつ病や適応障害の改善につながると考えられます。
原因② 環境がよくない
職場に相性のよくない上司がいる
家に居場所がない
子育て・介護などでストレスを感じている
上記のように、職場や家庭の環境がよくない人は、うつ病や適応障害が治りにくくなることがあります。
うつ病・適応障害の症状は、日々の行動だけでなく、環境からも大きな影響を受けます。ストレスの多い環境で過ごす時間が積み重なると、症状の改善が遅れる原因となります。
【対処法】「転職・異動」「支援サービスの利用」を検討しよう
環境がよくないと感じる場合、
転職・異動の相談をする
家族と話し合いをする
自治体のサポート窓口を利用する
といった方法で、環境を変えることが選択肢の一つとなります。
環境の変化には良い面も悪い面もあるため、一概に「環境を変えるべき」というわけではありません。
ただし、「どうしても今の環境と相性が悪い」と感じる場合は、選択肢の一つとして考えてみるといいでしょう。
職場の環境が合わないと感じる場合は、「転職を検討する」「上司や人事部に異動の相談をする」などの方法もあります。
家庭内でストレスを感じている場合は、まずは家族と話し合うことが必要なケースもあります。
子育てや介護などでお悩みの場合は、自治体のサポート窓口を活用してみるのもいいでしょう。
子育てや介護に関するお悩みは、お住まいの自治体の子育て支援センターや、地域包括支援センター※などの機関で相談可能です。
※地域包括支援センターとは
主に自治体が設置する高齢者の健康や生活をサポートする施設。
▼参考
地域包括ケアシステム(厚生労働省)
原因③ 考え方や性格のクセ(完璧主義・人と比べる)
自分を責めてしまう
完璧主義
他人と自分を比べる
上記のような考え方・性格のクセがある人は、うつ病や適応障害の治療が遅れる可能性があります。
「考える」ということも一種の行動です。自責や他人との比較など、自分にダメージを与える思考を繰り返すことも、病気の改善を妨げる行動を積み重ねる行動になります。
【対処法】「前向きになれる考え方」を練習しよう
自分にダメージを与える考え方のクセがある人は、「自分も他人も責めない」「前向きになれることを考える」といったことを意識するといいでしょう。
ただし、考え方が根強いクセになっている場合、すぐには変えにくいこともありますよね。
その場合は、
出てきた考えを真に受けすぎず、なるべく受け流す
否定のクセを薄めて、成功体験を徐々に積み重ねる
この2つを心がけてみてください。これらの思考を積み重ねていくことが、結果として、否定的な考えが出てくる頻度を減らすことに繋がります。
原因④ 躁うつ病(双極性障害)を発症している
抗うつ薬などによる治療を続けていて、生活習慣・環境・考え方などの見直しを行っているにもかかわらず、症状の改善が見られない場合は、躁うつ病(双極性障害)を発症している可能性があります。
躁うつ病ってどんな状態?
躁うつ病とは、気分が高揚して活動的になる「躁状態」と、気分が沈んで意欲がなくなる「うつ状態」を交互に繰り返す状態です。
人によっては、躁状態の症状が軽くて期間が短く、うつ状態が長く続く「双極性障害Ⅱ型」のケースもあり、この場合は一般的なうつ病との区別がつきにくいです。
うつ病と躁うつ病は使う薬が違うので、この見極めができていないと、病気が長引く恐れがあります。
躁うつ病かを判断する4つのヒント
過去を振り返って、躁気味な時期があった
家族に躁うつ病の人がいる
周期的にうつ病を繰り返している
抗うつ薬を使うと躁状態になる傾向がある
躁うつ病かどうかを判断するヒントとして、上記の4つが挙げられます。
「ある時期だけ妙に活動的だった」「ある時期だけ妙にお金を使っていた」など、過去に躁気味な期間があった場合は、躁うつ病である可能性が出てきます。
自分ではわからなくても、『ちょっといつもと違う』『いつもより妙に元気だね』などと、周りの人から言われる時期があったかどうか、ということも参考になります。
また、家族に躁うつ病の人がいると、発症の可能性が少し高くなると言われています。
その他、周期的にうつ病の症状を繰り返す場合や、抗うつ薬を使ったときに躁状態になる傾向がある場合も、躁うつ病を発症している恐れがあると考えられます。
躁うつ病を疑う場合は主治医に相談を
躁うつ病の発症を疑う場合は、早めに主治医に相談しましょう。
うつ病と躁うつ病では、治療に使う薬が違います。そのため、うつ病か躁うつ病かを的確に判断することは、症状を早く改善するために、非常に重要であると考えられています。
▼動画による解説はこちら
※本記事は、チャンネル運営者の許可を得て作成しています。
≪チャンネル紹介≫
こころ診療所チャンネル【精神科医が心療内科・精神科を解説】
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病・適応障害・パニック障害など、こころの不調やその対策について、わかりやすく解説。
こころの不調を抱える方が、少しでも症状を改善するヒントとなるような情報の提供を目指しています。