お酒を覚えたての方や、お酒が好きでつい飲み過ぎてしまうという方に。
この記事では、急性アルコール中毒の後遺症とその危険性について、医師が詳しく解説します。
多量の飲酒や一気飲みなどをしていると、急性アルコール中毒になるだけでなく、胃や脳にその後遺症が残ることもありますので、十分注意しましょう。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
急性アルコール中毒で後遺症が残るケースと確率
急性アルコール中毒で後遺症が残るケース
急性アルコール中毒で病院に搬送されたり、救急の治療を必要とする場合に陥ったりしても、全ての場合で後遺症が残るわけではありません。
急性アルコール中毒の後遺症は、軽度なものから重度なものまで様々です。
重篤な後遺症が出るような状態になるのは、心肺停止となり脳に血液・酸素が長時間運ばれなくなったことで、脳に障害が残った場合です。
重度の場合、記憶や行動に障害が残ることも
障害の程度によりますが、障害を受ける脳の部位によっては、普段の生活はおくれても記憶や行動に問題が起こることがあります。これを高次機能障害と言います。
高次機能障害には、「追行機能障害」「失語症」「記憶障害」「注意障害」などがあります。
それぞれの主な症状については、後ほど詳しく解説します。
後遺症が残る確率
東京都での例では平成30年度に、17,755人が救急搬送されています。
その中で、重症度の患者数は56人(生命に関わるまでの、危険性が高い状態)でしたから約0.003%の確率で、重症度の例となり得るということがわかります。
急性アルコール中毒の後遺症
軽度の後遺症
軽度の急性アルコール中毒の場合は、数日間から数週間にわたって二日酔いのような状態が続くことがあります。
アルコールによる脳の麻痺が一時的に起こり、運動失調でめまいやふらつきが起こります。
また、お酒の飲み過ぎで胃腸に負担がかかり、不調が続く場合があります。
回復するまでの期間
軽い二日酔いのような感じであれば、しっかり休息を取ることで数日程度で快方に向かいます。
稀に数週間続く場合もあります。
重度の後遺症
低酸素脳症による高次機能障害の例
以下、アルコール中毒による重度の後遺症の主な症状です。
- 追行機能障害
考えがまとまらない。指示がなければ行動できなくなる。 など
- 失語症
人の言葉が理解できなくなり、話せなくなる。
- 記憶障害
記憶に関する機能が働かなくなり、覚えられない・昔の記憶を忘れる。
- 注意障害
以前のように幾つかのことをいっぺんに考えながら行動することができなくなる。
昨日まで元気でいた友人や同僚、または自分が、1回の急性アルコール中毒で、今までのようにハツラツとした毎日を過ごせなくなるのが急性アルコール中毒の後遺症です。
高次機能障害は治せるの?
重症度にもよりますが、完全に回復することは難しいです。ただし、リハビリで良くなっていくことは可能です。
急性アルコール中毒を発症した場合|後遺症を残さないためには?
急性アルコール中毒とは、短時間に大量の飲酒をしたため、分解できないアルコールが血流に乗り、脳まで送り込まれ、脳内で神経細胞を麻痺させしまい、様々な症状を起こします。
意識はあるものの、顔面蒼白、吐き気、腹痛、錯乱などの症状が現れた場合は、飲酒をやめて、水やスポーツドリンク、経口補水液などで水分補給をしましょう。
急性アルコール中毒を発症した場合は、必ず人が付いていてください。
通常の意識が戻るまで、楽な姿勢をとりましょう。
通常の状態に回復したかを判断する基準
血中アルコール濃度の測定や意識などを確認することによって回復傾向がわかります。
多くの場合、意識レベルで確認します。
一般的に意識が戻って、自力で歩ければ救急車を呼ぶ必要はありません。
意識がない場合は回復体位で気道を確保する
重症になると、意識がない昏睡や低体温が見られます。
人が触って体温が冷たいと感じる場合は上着をかけるなどして温めましょう。
また、嘔吐したまま倒れている人も呼吸がなくなっている場合がありますので確認が必要です。
応急処置として回復体位※をとり、病院の受診、もしくは、救急車の手配をしてください。
※回復体位…
意識がない人の呼吸が妨げられないようにするための体位。体は横向きに、頭を反らせて気道確保すると同時に、嘔吐した場合も自然に流れるよう口元を床に向ける。
まとめ
残念なことに毎年、急性アルコール中毒で死亡したというニュースが耳に入ります。
アルコールは、人によって弱い・飲めないという体質があります。無理な強要はやめてください。
急性アルコール中毒は、お酒を飲まなければ起こりません。
節度ある飲みの場の雰囲気作りで、楽しい会にしましょう。
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2019-11-08
「お酒を飲みすぎて気持ち悪い…」
「水を飲んでも吐いてしまう…」
二日酔いを早く治すためにできることや、頭痛や吐き気の対処法なども、管理栄養士が詳しく解説します。
二日酔いを早く治したい!
とにかく水分補給をしましょう。
おすすめは経口補水液です。
二日酔いのときは水分補給をしてください。体内に水分を素早く補給できる経口補水液やスポーツドリンクもおすすめです。
二日酔いが酷く、水も受け付けないという場合は病院で点滴を受け、水分補給をすることもできます。
二日酔いの原因
二日酔いの原因は、アルコールが分解されてできる有毒なアセトアルデヒドです。
アセトアルデヒドが、寝て起きた次の日も体内に残っていると、頭痛、吐き気、胃の不調などの原因となります。
アルコールには利尿作用があり、飲んでいる間は体内の水分がどんどん排出されてしまいます。その後、水分を取らないと体が脱水状態のままです。
脱水状態では、肝臓がアルコールやアセトアルデヒドを分解する力が落ちてしまい、二日酔いがひどくなってしまうという現象が起きます。
アセトアルデヒドをさらに無毒化するための力は個人差があり、いわゆるお酒が強い、弱いという方が存在します。
「頭痛」がひどいときの対処
頭痛がひどいときは、薬剤師に相談の上で鎮痛剤を使用ができます。また水分補給もしましょう。
二日酔いによる頭痛は、アルコール(アセトアルデヒド)が体内に残っていたり、脱水状態になっているのが原因です。
なので、水分補給をし、早めに排泄させることでも頭痛を軽減することができます。
「吐き気」がひどいときの対処
胃腸が弱っているので、胃腸薬の使用をおすすめします。また、水分を受け付けるようであれば水分補給をしてください。
吐き気が強い場合は、しばらく経ってから少しずつ水分を入れ胃腸の調子が戻るのを待ちます。脂っこいもの・刺激の強い辛いもの・香辛料の効いたものは避けてください。胃痛の原因となります。
食べ物・飲み物のおすすめ
おかゆやうどん、経口補水液がおすすめです。
胃に負担がかからないもの、ビタミンやミネラルを補給できるものを摂りましょう。
食べ物→おかゆ・うどん・シジミの味噌汁がおすすめ
胃に負担がかからない温かいおかゆやうどんがおすすめです。
また、シジミの味噌汁はビタミンミネラルを補給できます。即効性を求めるのであれば、お酒を飲んでいる時からシジミの味噌汁も合わせて飲むと良いでしょう。
飲み物→経口補水液・ウコン等ドリンク剤がおすすめ
脱水状態の時には、体内に水分を素早く補給できる経口補水液が良いでしょう。経口補水液以外にも、できるだけ多くの水分を摂取してください。
また、二日酔いになってしまった後のウコンなどのドリンク剤は肝機能を高めるので多少効果が期待できます。(※お酒を飲む量など個人差があります。)
こんな対処はNGです!
サウナ
長湯
迎え酒
はNGです。
ただでさえ脱水症状を起こしているのに、サウナや長湯をすると、さらに体の脱水を招きます。入浴は、さっとシャワーを浴びる程度にし、まだふらつきがある場合は入浴は避けましょう。
また、迎え酒という、「二日酔いで苦しい時にさらにアルコールを摂取すると二日酔いがよくなる」という言い伝えのようなものがありますが、医学的・栄養学的にはNGです。
アルコールにより一時的に二日酔いの症状が麻痺されたように感じる人もいますが、すぐにひどい二日酔いになります。
二日酔いは、いつまで続く?
個人差はありますが、一般的にはしっかり睡眠をとり、体を休めれば、1日程度で体調は快方に向かいます。
こんな症状は病院へ
二日酔いだと思っていても、風邪や胃腸炎の場合があります。
過度のふらつきや、発熱している→風邪やインフルエンザ感染
胃腸の具合が悪く、何度も水を大量に吐く→胃腸炎への感染
というケースも考えられます。
また、脱水が進むと意識障害が出る場合もあります。いつもと違う症状があれば、病院を受診しましょう。二日酔いがきつい場合は、体の免疫も落ちている場合が多いので、体調変化には気をつけましょう。
胃腸内科を探す
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2020-02-28
「お酒を飲みすぎて気持ち悪い…」
「水を飲んでも吐いてしまう…」
二日酔いによる嘔吐の原因と対処法をお医者さんに聞きました。
気持ち悪いときに楽に吐く方法や、病院に行くべき危険な症状も紹介します。
二日酔いで吐いてしまう理由
頭痛・吐き気などの二日酔いの症状が現れるのは、肝臓がアルコール摂取でできる有害物質(アセトアルデヒド)を分解しきれず、血中のアセトアルデヒド濃度が高まることが原因です。
また、大量のアルコールの刺激により胃腸が弱っている状態で食事を摂ると、食物を受け付けずに嘔吐してしまいます。
「胃液」の嘔吐が止まらない理由
アルコールによって体の機能が正常に働かなくなっていることに加え、体内のアルコールを外に出そうとして吐き気が続いているという要因もあります。
大量のアルコール摂取でおかしくなっている身体の働きは、一定時間おかないとおさまりません。
そのため、吐くものが胃液しかないのに吐き続けます。
二日酔いは「我慢せずに吐いた方がよい」
身体が吐きたいというシグナルを出しているときは我慢せずに吐きましょう。
二日酔いのときの胃腸は消化できる状態ではないので、胃の中の食物を吐けばその分楽になります。
嘔吐を伴う二日酔いの状態は、これ以上アルコールを取り込むことはできない・体の異常事態を知らせる信号でもあります。
ただ、嘔吐は胃や食道などに負担をかけます。
強制的に吐くというのは避けましょう。
少しでも「楽に吐く方法」
吐きたいときは、水分を摂って胃に刺激を与えるといいでしょう。
身体の準備が整うと唾液の分泌が多くなり、これから食物と一緒に出てくる胃液や胆汁から食道や口の中を守ります。
水を飲んでも吐いてしまう場合
1~2時間程度時間をあけて、嘔吐がおさまってから少量ずつ(スプーン1杯程度)水分を摂ってみましょう。
時間をおいても嘔吐が止まらない場合は、体から水分がどんどん失われ、脱水症状となる場合があります。
口の中や口の周りが乾いてきた、ひどい頭痛、意識が薄れるなどの症状がある場合は、躊躇わず早急に病院で点滴による治療を受けましょう。
こんな吐き方はNG!
指を入れて無理やり吐く
大量の水を飲んで吐く
このような吐き方は胃液や胆汁で食道や口などを傷つける原因になってしまいます。
水分を摂ること自体は、体内のアルコール濃度を薄めるためにはいいことです。しかし、胃の中のものを出そうと、大量の水を飲むのは消化管を傷つける恐れがあるのでやめましょう。
「吐き気で気持ち悪い」ときの対処
楽な姿勢をとる
風通しのいい場所で衣類を緩めて休む
といった対処法があります。
嫌な匂いや空気のこもった場所で嘔吐していると、その匂いで嘔吐を誘発します。
薬を飲んでもいい?
嘔吐が止まらない場合は、吐き止めの薬を使用しましょう。
「一度吐いて、30分くらい嘔吐がないものの、それでも吐き気が続く」という場合は、服用するといいです。
吐き止めの薬は市販薬でもありますし、病院でも処方してもらえます。
「苦い・緑色の胃液を吐いた」ときの対処
嘔吐が続く際は、吐き気止めの使用や病院受診(内科、胃腸内科)を検討してください。
胃や十二指腸で酸化された胆汁の色です。数時間で徐々に体調が戻っていけば問題ありません。
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「血を吐いたとき」の対処
専門医(消化器内科・胃腸内科)による治療が必要です。
嘔吐の刺激で粘膜が傷つき、少量の血が混ざる場合もあります。
しかし、大量の鮮血が出た場合は、早急に病院を受診してください。
嘔吐による腹圧が原因で、胃と食道の間が裂けて出血するマロリー・ワイス症候群を発症している可能性があります。
消化器内科を探す
二日酔い対策をしてお酒を楽しみましょう
胃が空っぽの状況では、アルコールの吸収がよくなって急激に酔いが回り、飲みすぎる原因になります。
二日酔いがすぐによくなるという薬はありません。
そのため、飲酒前に食べておくか、食べながら飲むようにしましょう。
また、水分を摂取してから眠れば二日酔いになりにくくなります。
寝る前に嘔吐していたり、脱水状態を自覚する場合は、経口補水液やスポーツドリンクもおすすめです。
<参考>
回復体位とは…
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/201312/chudoku/
(東京消防庁 他人事ではない「急性アルコール中毒」
急性アルコール中毒の重症度数
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/201312/chudoku/
(東京消防庁 他人事ではない「急性アルコール中毒」