発熱や結膜炎など「アデノウイルス感染で症状がつらい」とき、病院では、どんな治療をするの?
お医者さんに聞いてみました。
受診目安や治療期間の目安についても解説します。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
アデノウイルスの「症状」
アデノウイルスは何種類もあります。
そのため、何度でも感染することがあり、目・喉・発熱など、どの症状が強く出るかが異なります。
目に出る症状
など
目が真っ赤になる「結膜炎」を発症します。
喉にでる症状
など
喉が真っ赤に腫れます。
痛みがあるため、食事を飲み込まない子どもも多いです。
全身に出る症状
高熱がでます。
3~4日程度高熱が続くことが多いです。
アデノウイルス感染症「治療法」
医師が診察をして、お薬を処方するケースが多いです。
アデノウイルスに感染したら、症状を緩和する「対症療法」を行います。
お薬で対処することが一般的なので、“痛い”“怖い”治療は基本的にありません。
目の症状に対する治療
目やに・結膜炎の治療には、点眼薬(目薬)を使用します。数滴を目の中に入れます。
※抗菌薬は市販されていません。医師に処方してもらいましょう。
喉の症状に対する治療
痛みを緩和する鎮痛剤を処方します。
全身症状に対する治療
発熱症状がつらい時は、解熱剤を処方します。
アデノウイルス「治療薬」
アデノウイルス感染症に効く「特効薬」はありません。
通常は、「症状を和らげるお薬」を医師が症状を判断して処方します。
目の症状の治療薬
アデノウイルスに感染し、結膜炎を発症すると目の免疫も落ちています。そのため、他の目の病気に感染しやすくなるので、感染しないように抗菌薬、炎症を抑えるためにテロイド点眼薬などが処方されます。
喉の症状の治療薬
痛み止めの鎮痛薬を処方します。
子どもの場合は、「アセトアミノフェン」がよく使用されます。
全身症状の治療薬
解熱剤を処方します。
こちらは、子どもの場合は、「アセトアミノフェン」が多いでしょう。
治療期間はどれくらい?
一般的に、1週間程度で快方に向かいます。
病院行くべき?行かなくてもいい?
意識がはっきりして元気がある場合や40度以下の熱であれば、通常は自宅療養してもらいます。
ただし、次のような症状が出ている場合は、病院を受診してください。
「目の症状」の受診目安
結膜炎による充血・痛み・目やにがひどいという状況が2日以上続く場合は受診しましょう。
また、痛みが強い場合は、他の病気の疑いもあるので早急に受診してください。
眼科を探す
「喉の症状」の受診目安
喉が腫れて飲むことができないということが半日〜1日あれば、すぐに受診してください。
脱水症状を引き起こす可能性があります。
保護者の方は、スプーンに水や飲み物をのせ、口に含ませるだけでもこまめに行ってください。体が小さな子どもほど、脱水が進むのは早いです。水分補給はこまめに行います。
小児科を探す
全身症状の受診目安
40度以上の発熱が2日以上下がらないときは、病院で診察を受けましょう。
小児科を探す
子どもの様子は、こまめに確認しましょう。
子どもの年齢・体格・体調によっては、急変する場合もあります。
通常、アデノウイルス感染は、数日〜1週間程度でよくなりますが、元々の体調が悪いとウイルスに体が負けてしまう場合があります。
病院は、何科に行けばいい?
目の症状は、眼科を受診しましょう。
喉の症状は、耳鼻いんこう科、小児科を受診しましょう。
発熱などの全身症状は、小児科を受診してください。
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入院基準は?
高熱は、急な体調変化や脳症を発症することがあります。急変に備えて入院してもらい、いつでも治療が受けられるようにします。
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2022-02-28
マイコプラズマ肺炎になって発熱したとき、どう看病するのが正しいの?
熱が続くとき、熱が上がったり下がったりするときの症状別の対処法と、熱が続く期間も解説します。
熱が下がらないときの対処
熱が長引いてなかなか下がらないとき、どうしたらいいのでしょうか・・・?早く治す方法を聞きました。
対処法
熱があるときは、体が病気と闘っています。無理に冷やさずに安静にしましょう。
体は温めてください。あまりに高熱(38度以上)となると体に支障が出る場合もあるので、病院を受診します。
熱が上がりきるまでは、寒がったり、ガタガタ震えたりする症状が現れる場合もあります。
汗を掻き、手足が温まったら、熱が上がりきった証拠なので、着替えをこまめに行い、体を冷やさないようにしてください。
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原因
発熱は、感染と体が戦っている体の免疫反応です。
熱が上がったり下がったりするときの対処
熱が下がってもぶり返したり、夕方から夜だけ上がるという子どももいます。
対処法
熱が下がって回復したと思っても、もう少し体を動かさずに安静にしてください。
体は、病気と闘っている最中です。病気を快方に向かわせることに集中しましょう。
原因
少し元気になってくると起き上がり、TVを見たり、インターネットをしたりしていませんか?
じっとしているのに飽きて家の中で動き回っていませんか?
日中も安静にせず、動いてしまうと、まだ、体調が万全でない体は疲れてしまい、熱がぶり返す場合があります。
マイコプラズマ肺炎の熱、いつまで続く?
熱が続く期間
マイコプラズマ肺炎は、初期に発熱が2〜3日ほど続きます。
その後咳が見られます。咳は解熱した後も3週間ほど続くことがあります。
自然治癒する?
マイコプラズマ肺炎は自然治癒することもありますが…。
抗生物質や気管支拡張薬を使うことで、症状が長引かず、早く治癒します。
病院にいく目安
マイコプラズマ肺炎になったら、子どもは、小児科、もしくは内科、呼吸器内科を受診してください。大人の方は、内科、呼吸器内科を受診しましょう。
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症状の目安
発熱が38度以上になったら病院を受診しましょう。
マイコプラズマ感染の合併症には、肺炎、無菌性髄膜炎や脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など様々な合併症があります。
熱はそのサインの場合もありますので、体調が急変する前に病院を受診してください。
病院での検査方法
病院では、マイコプラズマ感染の可能性があれば迅速キットを用いて検査します。検査結果は、15分ほどでわかります。
マイコプラズマ肺炎は、RSウイルスなどの風邪、気管支炎、肺炎を引き起こすウイルスや細菌と症状が似ています。区別が難しいのです。咳が主体の風邪の症状でインフルエンザウイルス感染やRSウイルスでもないようなら、マイコプラズマ肺炎を疑って検査されます。マイコプラズマ肺炎の検査は、綿棒でのどを拭い取るだけの簡単な検査で、どんな人でも受けられます。
入院が必要な場合
肺炎や脳炎など、他の病気の可能性がある場合や、各種症状が重い場合は、入院を必要とする場合もあります。
▼参考
マイコプラズマ肺炎とは - 国立感染症研究所
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2020-04-09
アデノウイルスに感染したかも?
検査はどこで受ければいいの?
検査タイミングや、検査の流れ、費用や時間まで、まるごと解説します。
アデノウイルス感染したらどんな症状が出る?
子どもの間で流行するアデノウイルス感染で有名なのは、咽頭結膜炎熱(通称:プール熱)です。
プール熱の症状は、
発熱
喉の炎症(腫れ・赤み・痛み)
目やに
目の充血
だるい
食欲不振 など
が現れます。
通常、4~5日で程度症状が続きます。
プール熱以外にも、肺炎や上気道炎、咽頭炎、胃腸炎、膀胱炎、流行性結膜炎などの多くの病気をアデノウイルスは引き起こします。
また、アデノウイルスは50種類以上もあるため、何度も感染することがあります。
検査を受けるタイミング
発熱症状
喉の腫れ
目の充血
がある場合は、プール熱(咽頭結膜炎)の可能性があり、検査が推奨されます。
ただし、アデノウイルスは何種類もあります。また検査で確定されても、治療は対症療法です。
そのため、アデノウイルスの検査は、診察をした医師に「検査を受けましょう」と勧められてから受けてもよいでしょう。
発熱や喉の痛みによって、子どもが飲んだり食べたりできなくなることもあります。その場合、ウイルスの種類を知るために検査を受けたほうがいいこともあります。
検査は何科で受けられる?
主に小児科・内科で受けられます。
目の症状があると眼科でも検査される場合があります。
特に、
症状が悪化している
喉の痛みや発熱で水分補給が難しい
呼吸がおかしい
ぐったりしている
といった場合は、早めに医師に相談しましょう。
小児科を探す
検査費用はどのくらい?
医師が「検査が必要だ」と判断すれば保険適用(咽頭・眼のみ)になります。
保険適用の場合、未就学児は2割負担なので、600円ほどです。
ただし、自治体によってによって乳幼児医療費助成制度があり、支払い額には差があります。病院によっても料金は異なります。心配な方は事前に確認しておくとよいでしょう。
患者もしくは家族の希望で検査を受ける場合は、基本的に保険適用外となります。その場合は診察料と合わせて6,000〜8,000円程度かかるでしょう。
アデノウイルスの検査の方法
アデノウイルス感染の検査は、主に2タイプあります。
病院を受診した際に行われるのは「迅速検査」が一般的です。
「迅速検査」
喉にアデノウイルスがいるか検査をします。のどを綿棒でこすって、ぬぐった液を検査します。
15分程度で結果が出ます。
「血液検査」
採決して、その血液を検査します。白血球の多さや炎症の反応などで総合的に判断されます。
通常、結果が出るのは数日後です。
治療方法も知っておこう
アデノウイルス感染の場合、症状を和らげる対症療法がとられます。
アデノウイルスは、抗ウイルス薬がありません。対症療法が基本です。
高熱には解熱剤、喉の痛みには炎症を抑える薬が処方されます。目の症状がある場合は、眼科で抗生剤やステロイド点眼薬などが使われる場合があります。
早く治すために親ができること
栄養と水分補給を行い、部屋の環境(湿度や室温)を整えてあげましょう。
自己免疫力でウイルスをやっつける必要があります。
喉が痛いと、飲食ができない子がいるので、ゼリーやプリンなど、飲み込みやすいものを用意しましょう。また脱水には十分注意しましよう。
参考
“Dr.365”のこどもの病気相談室 著/白岡亮平