頭の中がごちゃごちゃする…。
これってADHDのせい?
ADHDの特性によって「頭の中がごちゃごちゃする」ことはあるのか、お医者さんに聞いてみました。
集中できないときの対処法も紹介するので、頭の中をすっきり整理させたい人は必読です。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
ADHDだと「頭の中がごちゃごちゃする」のはなぜ?
ADHDの人が「頭の中がごちゃごちゃする」のは、脳内の神経伝達物質が正常に働いていないためだと考えられています。
特定の脳の領域の活動が低下してしまうため、上手く思考が整理できず、「前もって計画を立てられない」「優先順位を考えて行動できない」等につながることが多いです。
ADHDの人に多く見られる特徴
- ミスが多い・同じミスを繰り返す
- スケジュール・タスクを順序立てて行うことが苦手
- 締め切りを守れない
- 忘れ物や失くし物が多い
- 仕事や作業に集中できない
- 失言をしてしまう
- 衝動買いをしてしまう
- 独断で重要事項を決めてしまう
- 常にそわそわしている・体を小刻みに揺らす(貧乏ゆすりなど)
上記のような特性が見られる場合、ADHDの可能性があります。
ただし、特性のあらわれ方には個人差が大きく、一概に判断することはできません。
もし「自分はADHDかもしれない」と感じつつ、まだ診断を受けていない場合は、一度医療機関で相談することをおすすめします。
大人でADHDを疑う場合は、「精神科」を受診するとよいでしょう。
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頭の中をすっきり整理する3つの対策
- 付箋に予定・タスクなどをメモする
- デスクを片付ける
- 雑音をカットする
ADHDの人が頭の中をすっきり整理するには、上記の3つの対策が効果的です。
対策① 付箋に予定・タスクなどをメモする
その日の予定やタスクを付箋にメモしておいて、パソコンや冷蔵庫などのよく見えるところに貼っておきましょう。
予定やタスクを「見える化」することで、忘れにくくなりますし、頭の中を整理しやすくなります。
対策② デスクを片付ける
作業するデスクには必要なものだけを置きましょう。
不要なものは作業開始前に片付けるようにしてください。
作業中に余計なものが目に入ると、気が散ってしまいやすいです。
デスクを片付けることで、今やるべきことに集中でき、頭の中も整理しやすくなるでしょう。
対策③ 雑音をカットする
「耳栓」や「ノイズキャンセリングイヤホン」で雑音をカットしましょう。
周囲の話し声などの雑音は、集中を途切れやすくさせるため、頭の中がごちゃごちゃしてしまう原因となります。
「頭の中のごちゃごちゃ」を改善する薬は?
- ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)
- コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)
など
上記の薬は、脳の中枢神経に作用して、「頭の中のごちゃごちゃ」などのADHDの症状を緩和する効果があります。
なお、これらの薬は下記の副作用を伴う場合があるため、使用できるかどうかは医師が慎重に判断します。
▼「ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)」の副作用
- 肝機能障害
- 肝不全
- 肝機能検査値の上昇
- 黄疸
- アナフィラキシー
- 血管神経性浮腫
- 吐き気
- 食欲減退
- 腹痛
- 蕁麻疹 など
▼「コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)」の副作用
- 食欲減退
- 吐き気
- 体重減少
- 動悸
- 鼻炎
- 鼻咽頭炎
- 咽頭炎
- 胃腸炎
- ヘルペスウイルス感染
- 不眠症 など
薬以外の治療法は?
薬物治療以外では、「心理・行動療法(カウンセリング)」があります。
普段の行動パターン・考え方の癖を見直す治療法です。
心理・行動療法は、ADHDを根本的に改善させるために、薬物療法と並行して行うことが多いです。
感情のコントロールやスケジュール管理などを上達させ、日常生活でのトラブル回避につなげます。
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2023-01-27
ADHDの人は話し方に特徴があるってホント?
ADHDの人の「話し方の特徴」を、お医者さんに聞いてみました。
セルフチェックリストも紹介するので、心当たりがないか確認しましょう。
ADHDの話し方に特徴はある?
ADHDの人は、話し方に特徴があるケースが多いと考えられています。
ADHAは3タイプに分けられますが、特に「多動・衝動性型のタイプ」の人は、特徴的な話し方であることが多いです。
ADHDのタイプ
特徴
多動・衝動性優勢型
動きが活発
落ち着きがない
感情を調節することが苦手
不注意優勢型
注意力の欠如により、ケアレスミスが多くなる
集中力が続かない
混合型
「不注意型」「多動・衝動性型」のどちらの特徴も持つ
タイプ別|ADHDの話し方の特徴
タイプ① 「多動・衝動性優勢型」の話し方の特徴
おしゃべり
話し出すと止まらない
会話の内容がコロコロ変わる
会話中の声が大きい
相手の話に割り込んで話し始める
ついカッとなって言い過ぎることが多い
「多動・衝動性優勢型」のADHDの人は、上記のような話し方をすることが多いです。
多動・衝動性のタイプは、「動きが活発で落ち着きがない」「相手の気持ちを考えることが難しい」といった特徴があり、これらが話し方に影響していると考えられています。
「多動・衝動性優勢型」の話し方以外の特徴
そわそわと手足を動かす
じっと座っていられない
静かに過ごすことが苦手
落ち着きがない
活発に活動し続ける
他者の活動を遮ったり邪魔したりする
衝動買いをしやすい
タイプ➁ 「不注意優勢型」の話し方の特徴
不注意優勢型の場合、話し方に際立った特徴はないことが多いです。
ただし、長い時間会話に集中できないことが多いため、下記のような特徴が見られます。
話を聞いていないように見える
きちんと理解しているか相手に確認される
不注意優勢型は、注意力・集中力の欠如によって、「ケアレスミスが多くなる」タイプのADHDです。
「不注意優勢型」の話し方以外の特徴
気が散りやすい
物忘れが多い
整理整頓できない
順序立てて物事を実行できない
指示されたことを遂行できない
継続して物事に取り組めない
タイプ③ 「混合型」の話し方の特徴
混合型とは、不注意型と多動・衝動性型のどちらの特徴も持つタイプのADHDです。
どちらの症状が強く出るかによって、話し方の特徴も異なるため、個人差が大きいでしょう。
「混合型」の話し方以外の特徴
忘れっぽい
落ち着きがない
順番を守れない
衝動的な行動をとる
ADHDは「会話が嚙み合わない」ってホント?
ADHDの場合、他者との会話が噛み合わなくなるケースがある※と考えられています。
特に、
長時間続く会話
興味がない内容の会話
自分の出番がくるまで話せない
など、ADHDの人が苦手な状況だと、会話が噛み合わなくなることが多いでしょう。
※個人差があるため、ADHDの人全てに当てはまるわけではありません。
ADHDは「おしゃべりが止まらない」ってホント?
個人差はありますが、ADHDの場合、おしゃべりが止まらなくなるケースもあると考えられます。
ADHDの人は、「他者の気持ちを考えて行動することが苦手」「自分の気持ちを上手にコントロールできない」等の特性により、ついついしゃべり過ぎてしまうケースが多いと考えられています。
特に、
他者の意見を聞く状況
自分が発言できる順番ではない状況
他者の発した一言が気になってしまう状況
等の場合、「しゃべりすぎ」という印象を持たれることが多いです。
何個当てはまる?ADHD診断テスト
▼「日常生活」で見られる特徴
必要以上にしゃべり続ける
じっとしていられない
他者の話を聞けない
ケアレスミスが多い
忘れ物が多い
計画的に物事に取り組めない
気が散りやすく集中力がない
▼「仕事」で見られる特徴
ケアレスミスが多過ぎる
注意力の欠如
身の周りを整理整頓できない
忘れっぽい
フットワークが軽い(活動的なタイプの場合)
アイデアが豊富に出てくる
上記に当てはまる特徴が多い人は、ADHDの疑いがあると考えられます。
※あくまでも目安です。正しい診断を受けるためには、医療機関を受診する必要があります。
診断を受けるべきか迷っている方へ
ADHDが疑われる症状が6か月以上続いている
日常生活に支障が出て、生きづらさを感じる
自尊心がひどく低下している
強い劣等感を抱いている
上記に該当する人は、病院で検査や治療を受けてみることをおすすめします。
ADHDを放置していると、日常生活に支障が出たり、うつ病などの精神疾患を患ったりする恐れがあるので、できるだけ早く診断を受けましょう。
ADHDの検査は、「精神科」や「心療内科」で受けられます。
ただし、医療機関により専門が異なる場合があるため、事前にウェブサイトや電話・メールで確認してから受診することをおすすめします。
受診時に医師に伝えるポイント
ADHDが疑われる症状が出現した時期
出現している症状について
うつ等の精神的症状が出現しているかどうか
現状最も困っていることについて
受診の際に上記の点を医師に伝えると、診察がスムーズに進むと考えられます。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
特定非営利活動法人ADDS ADHDの会話の特徴は?子ども・大人別の会話例と解説
公益社団法人 日本精神神経学会
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2022-11-29
なぜ?人の話を聞いているときに、つい違うことを考えてしまう…。
考えられる原因をお医者さんに聞いてみました。
発達障害の可能性や病院に相談する目安についても解説します。
なぜ?「人の話を聞けない」「違うことを考えてしまう」
人の話をしっかりと聞けず、会話中に違うことを考えてしまいます…。どんな原因が考えられるでしょうか。
人の話を聞けず、違うことを考えてしまうという状態は、「体調不良」や「疲れ」により、一時的に集中力が低下していることが原因と考えられます。
体調を崩していたり、疲労やストレスが溜まっていたりすると、集中力が下がります。
すると「人の話の内容が頭に入ってこない」という状態になることがあります。
心当たりはありませんか?
最近、体の不調が続いている
疲れがたまっている
睡眠不足
仕事などで気を使うことが多く、ストレスがたまっている
上記に心当たりがある人は、休息が必要な状態です。
無理をし過ぎず、適度に休憩して体をいたわってあげましょう。
発達障害の可能性はある?
人の話を聞けない場合、発達障害の可能性もあると聞きました。これって本当なのでしょうか…?
ADHD(注意欠如・多動性障害)という発達障害は、集中力が続きにくい特性があるため、人の話をじっと聞くのが苦手な場合があります。
ただし、「人の話を聞けず、違うことを考えてしまう」というだけで、ADHDであると一概には言えません。
ADHDの人の場合、会話に集中できないこと以外にも、日常生活で何らかの困難を抱えていることが多いです。
以下のチェックリストで、当てはまるものがないか確認してみましょう。
ADHD症状チェックリスト
簡単なミスを繰り返す
集中力が続かない
指示を忘れる
落ち着きがない
早とちりが多い
忘れ物が多い
今現在やっていたことを忘れる
じっとしていられない
人との会話が苦手(特に集団での会話)
話がまとまらない
順番待ちができない
状況に関係なく体が動いてしまう
意図せず人の邪魔をしてしまう
上記のうち5個以上当てはまる人は、ADHDが疑われます。
※あくまでも目安です。
発達障害は脳機能の障害なので、子どものころから上記のような行動が見られます。
「ADHDかも」と思ったら…
先に紹介したチェックリストはあくまでも目安です。
本当にADHDなのかどうか正しく診断してもらうためにも、まずは医療機関で相談しましょう。
ADHDは病気ではなく脳の障害であり、特性です。
医療機関で専門家のトレーニングを受けることで、日々の生活で感じる負担の軽減が期待できます。
日常生活で困ることが多いと感じているなら、精神的負荷がさらに強くなる前に一度相談してください。
大人の発達障害は、「精神科」で相談できます。
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こんな病気が隠れていることも
人の話を聞けず、いつも違うことを考えてしまう場合、下記の病気が隠れている可能性も考えられます。
うつ病
統合失調症
自律神経失調症
それぞれ特徴的な症状を紹介するので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
病気① うつ病
うつ病は気分障害の一つです。
「常に落ち込んでしまう」などの症状が出現するため、人の話を聞けない状態に陥ります。
主にストレスや環境的要因により発症します。まじめで責任感が強い人は、特に発症しやすいと考えられています。
こんな症状がでていませんか?
何をしても楽しめない
悪い方へ考えが向きやすい
反応が遅くなる
疲れやすい
頭痛
食欲低下
便秘・下痢
睡眠障害
上記のような症状が見られる場合は、うつ病が疑われます。
病院に行く前にできるセルフケアは?
休息を取り、心と体を休ませましょう。
自分で対処できないときは、できるだけ早く医療機関で受診してください。
うつ病は、「精神科」で相談できます。
頭痛や下痢など、身体的な症状を伴う場合は「心療内科」で受診してもよいでしょう。
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病気② 統合失調症
統合失調症は、気持ちや考えがまとまらなくなる病気です。
妄想や幻聴などの症状が出現し、行動や人間関係に影響します。
はっきりとした原因は判明していませんが、ストレスや対人関係の悩みなどが影響していると考えられています。
こんな症状がでていませんか?
幻聴
幻覚
妄想が強くなる
意欲低下
感情が少なくなる
記憶力低下
仕事などの手順がわからなくなる
異常な大声を出すなどの興奮
考えがまとまらない
上記のような症状が見られる場合は、統合失調症が疑われます。
病院に行く前にできるセルフケアは?
生活リズムを整える
趣味で気分転換をする
など、ストレスをためないように過ごすことが大切です。
ただし、興奮・妄想・幻聴などで生活に支障が出ている場合は、早めに「精神科」で受診してください。
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病気③ 自律神経失調症
自律神経失調症は、全身の器官をコントロールする自律神経が乱れて、様々な不調を起こす病気です。
不安や緊張が続くなどの症状が出現し、人の話が聞けなくなっている可能性があります。
自律神経失調症の原因には、ストレスや疲労、生活リズムの乱れ、更年期、出産などが考えられます。
こんな症状がでていませんか?
倦怠感
睡眠障害
立ちくらみ・めまい
のぼせ
息切れ・動悸
体の冷え・便秘
イライラ感
不安感・緊張感が続く
上記のような症状が見られる場合は、自律神経失調症が疑われます。
病院に行く前に自分でできる対処法は?
生活リズムを整えて、適度に休息をとりましょう。
ただし、精神症状などの異変を感じたら、早めに医療機関で受診してください。
精神的な症状が強くでている場合は「精神科」、身体的な症状を伴う場合は「心療内科」で相談するとよいでしょう。
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違和感が2週間以上続く場合は病院へ
「人の話が聞けない」症状に伴い、体調不良や違和感がある場合は要注意です。
2週間以上経っても改善されないときは、精神的な病気かもしれないので病院で相談しましょう。
病院は何科に行けばいい?
精神的な症状が強く出ている → 「精神科」
頭痛・倦怠感など身体的な症状を伴う → 「心療内科」
というように受診するとよいでしょう。
受診する際は、
いつ頃から異変を感じるのか
身体的・精神的な不調
をまとめておきましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス 統合失調症