風邪ウイルスの潜伏期間について、お医者さんに詳しく聞きました。
「風邪ウイルスは潜伏期間中もうつるの?」
「発症前に治す方法はあるの?」
といった疑問にもお答えします。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
風邪ウイルスの潜伏期間はどれくらい?
風邪のウイルスに感染すると、平均2~5日の潜伏期間を経て、熱や鼻水などの症状があらわれます。
風邪の原因になるウイルス
風邪の原因になるウイルスとして、
- ライノウイルス
- コロナウイルス
- アデノウイルス
- RSウイルス
- ヒトメタニューモウイルス
などが存在します。
ライノウイルスに感染することで発症するケースは全体の30~50%と最も多くなっており、次に多いのがコロナウイルスの10~15%です。
感染から発症するまでの期間
個人差はあるものの、ウイルスに感染してから発症するまで1〜3日程度のものが多いです。
新型コロナウイルスのように発症まで1日〜14日と幅があるものもあります。
潜伏期間は免疫力や環境の差で異なる
潜伏期間の長さは、個人の免疫力や置かれている環境でも変わると考えられます。
同じ程度の免疫力があっても、寒くて乾燥した場所にいる人の方がウイルスの繁殖が高まり、早く発症するでしょう。
赤ちゃんや子どもの場合は?
風邪のウイルスは数多く存在しているので、お母さんが感染したことのない風邪のウイルスに赤ちゃんが感染すれば、生後すぐにでも発症します。
子どもは大人よりも免疫も弱いので、風邪にかかりやすいと言えます。
赤ちゃんは生まれてしばらくは、お母さんからの免疫があるとされていますが、それはお母さんが感染したことのあるウイルスに限った話です。
生後すぐの赤ちゃんの不用意な外出は控えた方が良いでしょう。
潜伏期間中に「風邪は治せる?」
潜伏期間中にウイルスを増やさないように注意して、体の免疫が侵入したウイルスに打ち勝てば、症状が出ないで済む場合もあります。
発症しにくい「弱いウイルス」もいる
風邪のウイルスには弱いものも多く存在しています。
この場合、人の免疫が勝ち、症状が出ないまま終わりやすいです。
潜伏期間中に発症を抑えるための対策
- 部屋を加湿する
- 疲労やストレスをためない
- 規則正しい生活を送る
- 質の良い睡眠をとる
- バランスの良い食事3食とる
ウイルスは湿気に弱いので、加湿しましょう。
また、部屋の湿度を上げることはすぐにできても、体の免疫を上げるのは1日では難しいです。
日頃から規則正しい生活やバランスの良い食生活を心掛け、体の健康づくりを行いましょう。
風邪のウイルスの「感染期間」はいつまで?
風邪ウイルスの感染期間は、潜伏期間と症状がなくなるまでの期間を合わせた期間で、多くは1週間程度でしょう。
ただし、個人の回復力やウイルスによって、感染期間の長さは多少前後します。
風邪の感染力はいつまで続く?
風邪の感染力が最も強いのは発症して1〜2日です。
ウイルスは、くしゃみや咳などで飛び散ります。
症状が弱くなっても咳やくしゃみ、接触などがあれば、2~3日間は他人にウイルスをうつしてしまう可能性があります。
また、寝不足や体力が落ちているのときは、症状が長引きやすくなり、感染力も維持されやすいです。
潜伏期間中でも人にうつるの?
潜伏期間中でも他人へ風邪をうつすおそれはあります。
喉や鼻粘膜で繁殖しているウイルスに触れ、体内に取り入れてしまうとうつります。
潜伏期間中にうつる確率
風邪のウイルスは種類が数多くあり、差があるので一概には言えません。
しかし、免疫が低下している人・もともと免疫が低い人(子供・妊婦・高齢者・病人)は、うつる確率が上がると考えられます。
ウイルス潜伏期間中の「感染予防の対策」
風邪に感染しているおそれがあるときは、ほかの人へ感染させないように、次の対策をしてください。
- こまめにうがいと手洗いをする
- バランスのよい食事を心がける
- 睡眠を十分にとる
- 鼻水やたんなどを含んだティッシュはすぐに捨てる
- マスクを着用する
- タオルを共用しない
感染した人と同居している場合は、風邪に感染しないように、次の対策をしてください。
- こまめにうがいと手洗いをする
- バランスのよい食事を心がける
- 睡眠を十分にとる
- 手洗い後にアルコール消毒する
- 快適な室温(夏は28度、冬は20度)を保つ
- 湿度は50~60%程度を保つ
- 日中1~2時間ごとに5~10分間窓を開けて換気をする
人からうつる以外の感染経路
感染経路として
- くしゃみや咳でウイルスがドアやTVリモコンなど付着
- 他の人がそのドアやリモコンなどを触る
- そのウイルスが付いたままの手を、口や鼻に入れてしまい感染する
といったものが考えられます。
感染を防ぐ方法
風邪ひいている人はマスクをして、ウイルスが飛び散らないようにしましょう。
他者と共有することが多い、ドアやリモコンは除菌スプレー(シート)で拭いてください。
風邪を発症したときの対処法
- 十分な睡眠時間を確保する
- 食事は、油分控えめのうどんやおかゆなど消化よい食べ物を食べる
- 首・手首・足首を温める
- 常温のスポーツドリンクや経口保水液で水分補給をする
- 部屋の湿度は50~60%程度を保つ
しっかりと休んで、体の免疫を高めることが大切です。
また、水分を十分にとると、ウイルスを体外に排出しやすくなります。
風邪は人にうつすと治るって言うけど…ホント?
人にうつしても風邪は良くなりません。
うつされた人の潜伏期間とうつした人の症状改善のタイミングが重なることで、うつすと治るなどと言われていたようです。
できるだけ悪いウイルスを繁殖させないよう、感染したらマスクの着用をして、人に接触しないよう努めましょう。
まとめ
風邪の多くは、くしゃみや咳でウイルスが飛びだし、他の人にうつしてしまうことで拡大します。
ご自身の症状の悪化を防ぐためにも、人へうつさないためにも、内科で受診しましょう。
また、小さなお子さんや赤ちゃんから大人に感染することもあります。
近くにいる分、どうしても感染しやすいので、マスクの着用と手洗いを徹底し予防しましょう。
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なぜ?熱はないのに悪寒がする原因
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悪寒の症状は、ウイルスや細菌による感染症のサインである可能性が高いのです。
様子を見ても大丈夫?病院に行くべき?
悪寒がある場合は、体を温めて安静にして様子をみましょう。
感染症が原因で悪寒が生じている場合、熱が上がりきったら、悪寒の症状はなくなります。
それまでは体を温めるようにしましょう。太い血管が集中している、首・手首・足首をカバーできる服装をしてください。体を温める飲み物を飲むのもよいでしょう。
ただし、吐き気・腹痛など他症状が現れた場合は、病院に行ってください。
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こんな症状がでてくるかも!
感染症によっては、悪寒以外に次のような症状があらわれます。
呼吸器感染症のケース
発熱、のどの痛み、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、たん、せき、倦怠感、頭痛など
消化管感染症のケース
発熱、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、倦怠感など
尿路感染症のケース
発熱、腰痛、吐き気、嘔吐など
考えられる病気
ウイルスや細菌感染により、風邪、インフルエンザ、カンピロバクター感染症、腎盂腎炎などを発症している可能性があります。
病院は何科?
内科を受診しましょう。
特に高熱が出てきた場合は、早めに病院を受診してください。
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参考
MSDマニュアル家庭版 ウイルス感染症の概要
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/16-感染症/ウイルス感染症の概要/ウイルス感染症の概要
一般社団法人 日本女性心身医学会 女性の病気について
http://www.jspog.com/general/details_31.html
公益社団法人 日本産婦人科学会 更年期障害
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=14
一般社団法人 日本臨床内科医会 わかりやすい病気のはなしシリーズ19 自律神経失調症
https://www.japha.jp/doc/byoki/019.pdf
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2019-11-01
鼻水、咳や喉の痛みなど、つらい風邪の症状をできるだけ早く治すためには、どうすればいいのでしょう。
この記事では、風邪に効く食べ物・飲み物や、市販薬の選び方、控えるべきNG行動まで医師が解説します。
日頃から免疫力をアップさせて風邪を引かないようにするため、ぜひ参考にしてみてくださいね。
風邪を早く治すための「食べ物」
風邪を早く治すには
ネバネバ系の食べ物(水溶性食物繊維・糖たんぱくが豊富)
フルーツ(ビタミン・ミネラルが豊富)
卵・緑黄色野菜(ビタミンAが豊富)
などの食べ物を摂取しましょう。
ネバネバ系の食べ物(水溶性食物繊維と糖たんぱくが豊富)
里芋・なめこ・オクラ・納豆などに含まれています。
おかゆなどに細かく刻んで、入れたり、スープに入れたりして摂りましょう。
風邪といえば、鼻水の症状が出ますが、鼻水は病原体を洗い流し、奥に入れないように働いてくれています。
風邪になってしまってからも鼻粘膜にいい食事を摂ることで、鼻の粘膜の機能が正常に働き、強化することができます。
フルーツ(ビタミン・ミネラルが豊富)
フルーツには、ビタミンやミネラルなど風邪で消耗しやすい栄養素が多く含まれています。風邪のときに食べるといいでしょう。
体を冷やすイメージがあるフルーツですが、かき氷や氷水のようなものでなければ、食べ物で急に体が冷えるということはないので、風邪のときに食べても大丈夫です。
卵・緑黄色野菜(ビタミンAが豊富)
皮膚粘膜を強化、免疫力をアップさせてくれるビタミンAは、卵や緑黄色野菜に豊富です。人参・ほうれん草・かぼちゃなども食べてください。
風邪を早く治すための「飲み物」
ビタミンCの摂取ができる、レモネードが風邪の時にはおすすめです。
ホットで飲めば体も温まります。
ビタミンCは、体の免疫力である白血球の働きを高めてくれます。また、抗酸化の働きがあり、風邪予防にもぴったりです。
市販薬の選び方
辛い症状があると食事が取れない場合もあり、そのような時には、咳や鼻水などの症状を個別で緩和してくれるものを選ぶといいでしょう。
風邪は、多くの症状が現れます。
しかし、結局は、風邪自体を治療することはできません。自分の免疫力でウイルスを撃退する必要があるのです。
また、市販薬は、一概に価格が高い方がいいとは言い切れません。後発品であったり、容量の違いであったり、様々な要因で価格が決められています。
どの市販薬にすればいいのかと悩む場合は、薬剤師に相談しましょう。
漢方薬の選び方
漢方薬も様々あり、風邪のひき始めにいいもの(葛根湯)や長引く風邪のときに飲むといいタイプ(竹茹温胆湯、柴胡桂枝湯など)などがあります。
普通の薬と漢方薬、併用してもいい?→NGです!
漢方薬は、薬です。他の薬と同様に併用しての使用はおすすめできません。
併用の場合は、事前に薬剤師、医師に相談して確認してください。
お風呂は入ってもいい?
お風呂に入っていけないことはありませんが、無理をするのはやめましょう。
汗をかくためにと、風邪の時に入浴する人がいますが、熱があるときやふらつく際には、入浴で立ちくらみや貧血を起こす場合も多いです。
普段、貧血症状がない人も、発熱により症状が出る可能性があります。
しかし、身体を清潔に保つためにも、昔言われていたように「風邪だとお風呂に入ってはいけない」という事はありません。
ただし、入浴やシャワーは短めにして、脱水、血圧低下などには注意してください。
これはNG!控えるべき3つの行動
体を冷やす外出
過度の飲酒
喫煙
このような行動はNGです。
風邪を早くよくするには、自己の免疫力が必要です。
体を冷やせば、免疫力が上がらずよくなりません。
また、「冷え」は体を冷やし、風邪にかかりやすくします。肩や首周り、足首などを冷やさないように着るものや服装にも気をつけてください。
過度の飲酒は、眠りを妨げ、体力低下を招きます。
また、風邪で喉に負担がかかっているのに喫煙を行えば、さらに喉への負担がかかります。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。