風邪で関節に痛みを感じたり、肩こりの症状が出たりする人がいます。
頭痛など、風邪の諸症状と肩こりが同時にあらわれると、とてもつらいですよね。
そんなとき、マッサージで症状の改善はできるのでしょうか?
今回は、肩こりと風邪の関係や薬の選び方、風邪による肩こりの解消法を伺いました。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
風邪と肩こりの関係
風邪は、ほとんどがウイルスに感染して起こります。ウイルス感染の刺激、免疫の活性化に伴い悪寒を感じます。
その悪寒により、肩こり(こわばり)や背中に違和感が生じることがあります。
風邪が原因の肩こりにストレッチやマッサージは避けて
通常の肩こり解消には、ストレッチや適度な全身運動、マッサージも良いのですが、風邪のひき始めに無理をすると症状の悪化につながります。
暖かい服装をして、首の付け根(背中側)〜肩甲骨周りを温めましょう。加湿した部屋でゆっくりと体を休めてください。
症状別|風邪を早く治すために
肩こりを感じる風邪も、他の症状が強い風邪も、風邪そのものを良くするには、自分の免疫力が働き、自然治癒するのを待つようになります。
風邪をひいてしまったら、安静にして体を温めてください。
肩こりがひどい時には、肩周りに温湿布、マフラーを巻くなどして温めましょう。
風邪のひき始めには葛根湯がおすすめ
自宅で安静にして回復を待つ場合は、市販されている葛根湯で体を温めるのも良いでしょう。風邪のひき始めにおすすめです。
※葛根湯は比較的副作用が少ない漢方薬です。しかし、肝臓機能低下や発疹が出る人もいます。違和感が出たら服用をやめてください。
風邪の初期でも症状によって薬の選び方が変わります。
例えば鼻水がでるときは、主に抗ヒスタミン薬を選びます。
喉が痛い、鼻水が出るなど、特定の症状が強い場合は、その旨を医師や薬剤師に伝えましょう。
風邪以外の感染症でも悪寒を感じる場合があります。確認のためにも改善がなければ診察を受けましょう。
頭痛を伴う場合
風邪のひき始めの頭痛であれば、かぜの諸症状に対応している総合かぜ薬を選ぶのも良いです。
頭痛に働くアセトアミノフェンやイブプロフェン、炎症を抑えるトラネキサム酸、咳に働くジヒドロコデインリン酸塩などの成分が、総合して入っています。
今までに感じたことのない頭痛の場合は、脳出血など別の原因があることも考えられます。病院を受診しましょう。
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喉の痛みがある場合
喉の痛みはウイルスと体が戦っている証拠です。
漢方薬では、甘草湯や参蘇飲が、喉の痛みや風邪の咳におすすめです。
薬局やドラックストアで購入する際は、薬剤師にも相談しましょう。
まとめ
風邪は、手洗い、うがいを行い、体を冷やさないようにして予防してください。
運動不足や首の空いた服装が多いと、肩から体が冷えて肩こりにもなりやすく、風邪をひきやすくなります。普段から体を動かし、肩を温め、肩こりになりにくい生活をしましょう。
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2019-11-01
鼻水、咳や喉の痛みなど、つらい風邪の症状をできるだけ早く治すためには、どうすればいいのでしょう。
この記事では、風邪に効く食べ物・飲み物や、市販薬の選び方、控えるべきNG行動まで医師が解説します。
日頃から免疫力をアップさせて風邪を引かないようにするため、ぜひ参考にしてみてくださいね。
風邪を早く治すための「食べ物」
風邪を早く治すには
ネバネバ系の食べ物(水溶性食物繊維・糖たんぱくが豊富)
フルーツ(ビタミン・ミネラルが豊富)
卵・緑黄色野菜(ビタミンAが豊富)
などの食べ物を摂取しましょう。
ネバネバ系の食べ物(水溶性食物繊維と糖たんぱくが豊富)
里芋・なめこ・オクラ・納豆などに含まれています。
おかゆなどに細かく刻んで、入れたり、スープに入れたりして摂りましょう。
風邪といえば、鼻水の症状が出ますが、鼻水は病原体を洗い流し、奥に入れないように働いてくれています。
風邪になってしまってからも鼻粘膜にいい食事を摂ることで、鼻の粘膜の機能が正常に働き、強化することができます。
フルーツ(ビタミン・ミネラルが豊富)
フルーツには、ビタミンやミネラルなど風邪で消耗しやすい栄養素が多く含まれています。風邪のときに食べるといいでしょう。
体を冷やすイメージがあるフルーツですが、かき氷や氷水のようなものでなければ、食べ物で急に体が冷えるということはないので、風邪のときに食べても大丈夫です。
卵・緑黄色野菜(ビタミンAが豊富)
皮膚粘膜を強化、免疫力をアップさせてくれるビタミンAは、卵や緑黄色野菜に豊富です。人参・ほうれん草・かぼちゃなども食べてください。
風邪を早く治すための「飲み物」
ビタミンCの摂取ができる、レモネードが風邪の時にはおすすめです。
ホットで飲めば体も温まります。
ビタミンCは、体の免疫力である白血球の働きを高めてくれます。また、抗酸化の働きがあり、風邪予防にもぴったりです。
市販薬の選び方
辛い症状があると食事が取れない場合もあり、そのような時には、咳や鼻水などの症状を個別で緩和してくれるものを選ぶといいでしょう。
風邪は、多くの症状が現れます。
しかし、結局は、風邪自体を治療することはできません。自分の免疫力でウイルスを撃退する必要があるのです。
また、市販薬は、一概に価格が高い方がいいとは言い切れません。後発品であったり、容量の違いであったり、様々な要因で価格が決められています。
どの市販薬にすればいいのかと悩む場合は、薬剤師に相談しましょう。
漢方薬の選び方
漢方薬も様々あり、風邪のひき始めにいいもの(葛根湯)や長引く風邪のときに飲むといいタイプ(竹茹温胆湯、柴胡桂枝湯など)などがあります。
普通の薬と漢方薬、併用してもいい?→NGです!
漢方薬は、薬です。他の薬と同様に併用しての使用はおすすめできません。
併用の場合は、事前に薬剤師、医師に相談して確認してください。
お風呂は入ってもいい?
お風呂に入っていけないことはありませんが、無理をするのはやめましょう。
汗をかくためにと、風邪の時に入浴する人がいますが、熱があるときやふらつく際には、入浴で立ちくらみや貧血を起こす場合も多いです。
普段、貧血症状がない人も、発熱により症状が出る可能性があります。
しかし、身体を清潔に保つためにも、昔言われていたように「風邪だとお風呂に入ってはいけない」という事はありません。
ただし、入浴やシャワーは短めにして、脱水、血圧低下などには注意してください。
これはNG!控えるべき3つの行動
体を冷やす外出
過度の飲酒
喫煙
このような行動はNGです。
風邪を早くよくするには、自己の免疫力が必要です。
体を冷やせば、免疫力が上がらずよくなりません。
また、「冷え」は体を冷やし、風邪にかかりやすくします。肩や首周り、足首などを冷やさないように着るものや服装にも気をつけてください。
過度の飲酒は、眠りを妨げ、体力低下を招きます。
また、風邪で喉に負担がかかっているのに喫煙を行えば、さらに喉への負担がかかります。
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2020-03-10
「風邪がいつまで経っても治らない・・・」
「治るどころか悪化している気がする・・・」
なかなか治らない風邪の原因と早く治すための対処法、隠された病気の可能性まで、医師が詳しく解説します。
なぜ?風邪が治らない原因
体力が低下している場合や免疫力が落ちている場合は風邪が長引きます。
また、風邪以外のウイルスや感染症にかかっている可能性があります(2次感染症)。
風邪とは鼻腔や咽頭、喉頭におこる感染症のことです。ほとんどはウイルスが原因です。
放っておいても、風邪のほとんどは1週間前後で自らの免疫力で治ります。
微熱が長引く
→インフルエンザやエイズなどの病気が隠れている場合もあります。
鼻水が長引く
→副鼻腔炎の可能性があります。副鼻腔炎は、副鼻腔の粘膜に炎症が起こっている状態です。炎症が続くと粘膜が腫れて膿が溜まってしまいます。
咳が長引く
→肺炎などの病気も疑う必要があります。
“解熱剤”によって風邪が長引くケースも
発熱時に免疫力が高まっている状態で、ウイルスや細菌と戦っている状態なので、無理に解熱剤を使って熱を下げてしまうと、ウイルスや細菌が死滅せずに風邪が長引く可能性があります。
発熱はウイルスや細菌と戦うための身体の正しい反応です。
解熱剤を服用する場合は、熱が上がり切ってから(38.5度以上)にしましょう。
“季節の変わり目”は風邪が長引きやすいことも
季節の変わり目に風邪が長引く理由として、朝・昼・晩の気温の差が激しいことがあります。
寒暖差が大きいと体温調節が難しくなり、風邪が長引く原因になります。
また、季節の変わり目は自律神経が乱れやすく、身体がうまく対応できずに風邪を引きやすく、治りにくい傾向にあります。
子ども・高齢者の風邪は長引きやすい
成人に比べると小さな子どもや高齢者は免疫力が低く、風邪が長引きやすいです。
特に、保育園や幼稚園に通っている子ども、施設に入っている高齢者は集団生活を行っていて、様々なウイルスに感染しやすい環境にいるため、風邪が長引いてしまう原因となります。
妊娠中は必ず病院へ
高熱が続く場合は、胎児に悪影響を与える場合もあるため、必ず病院へ行って診察してもらいましょう。
妊娠中は、市販の薬でも胎児に影響を与えてしまうものも多いため、医師や薬剤師に相談してから薬を服用するようにしてください。
「早く治したい!」どう対処すればいい?
睡眠をとる
水分補給をする
体を温める
手洗い・うがいをする
でている症状に特化した薬を選ぶ
上記の対処をおこないましょう。
睡眠時間をしっかりと確保し、水分補給をして身体を温めましょう。
また、他のウイルス感染を防ぐためにも手洗い・うがいは必須です。
薬は、熱を下げるのであれば「解熱剤」、頭痛やのどの痛みを和らげたいのであれば「鎮痛薬」、鼻水を抑えたいのであれば「抗ヒスタミン剤」を選ぶようにします。
また、これらをまとめたものを「総合感冒薬」といいますが、様々な風邪の症状を和らげてくれるため、長引く風邪にも有効です。
咳などが続く場合「麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)」、微熱や吐き気がある場合「柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)」などがおすすめです。
風邪の「病院に行くタイミング」
風邪は放っておいても、1週間前後で治ることが多いです。
そのため、2週間以上症状が続く場合は病院を受診しましょう。
病院は何科?
基本的には内科を受診し、咳などが気になる場合は呼吸器内科を受診しましょう。
妊娠中の場合は、まずはかかりつけの産婦人科に連絡し、指示を仰いでください。
内科を探す
「ただの風邪じゃない!」重篤な病気が隠れているケースも
咳が治らない
微熱がなかなか下がらない
といったケースは、重篤な病気が隠れている可能性もあります。
咳が治らない場合
肺炎以外にも、ぜんそくや百日咳、中高年ではCOPD(慢性閉塞性肺疾患という気道が狭くなる状態が続く病気)も考えられます。
特にCOPDは、重症化すると咳以外に体重減少やむくみなどが生じる特徴があります。
微熱がなかなか下がらない場合
インフルエンザ
肺結核
エイズ
白血病
悪性リンパ腫
なども考えられます。
白血病は大量の発汗や貧血・あざ・出血などが起こり、悪性リンパ腫は体重減少や大量の寝汗・リンパ節のしこりなどが見られます。