急な腹痛、それはもしかして「冷え」が原因?
この記事では、冷えからくる腹痛の原因と対処法を解説します。
腹痛以外にも、冷えによってどんな症状があらわれるのかを知っておくことで、体の不調にいち早く気づくことができます。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
冷えからくる腹痛の原因と他の症状
冷えからくる腹痛のメカニズム
急に体が冷えると、体の機能も停滞します。
血液は各細胞、臓器の栄養源なので、血液の巡りが悪いと体の機能も停滞しやすいです。
胃腸も動きが弱くなり、食事を消化できずに未消化で腸へ送り出してしまい、腹痛の原因になります。
慢性的な冷えがあると下痢や便秘といった症状を併発する人もいます。
腹痛と一緒にあらわれやすい症状
体が冷えると腹痛だけでなく、下痢になる人もいます。
うまく腸が働かずに、排出されてしまいます。
便秘やガス溜まりを伴うことも
また、冷えていて便秘気味、お腹にガスが溜まって苦しいという人は、腸の蠕動運動が停滞していると考えられます。
ガスが溜まっていると、おならが増える人もいます。
吐き気がある場合はウイルス性胃腸炎にも注意
吐き気を伴う場合は、胃腸の不調だけでなく、ウイルス性胃腸炎の可能性もあります。
妊娠中は冷えやすい
妊娠中は、思うように運動ができなくなる・妊娠によるストレス・自律神経のバランスの乱れなどで、多くの人が冷えを感じる場合があります。
冷えると生理痛の悪化に
生理中は、基礎体温も下がります。
体温が下がれば血の巡りも悪くなり、痛みを感じやすくなるのです。
そのため、生理中は体を温めて血流を良くしてあげる必要があります。
冷えによる腹痛の対処法
腹部と腰回りを温める
痛い部分を中心に、腹部と腰回りを温めましょう。
カイロを使って温めるのも良いのですが、貼るタイプではなく動かせるタイプのものを使って、時々温める場所を変えましょう。
カイロを使う場合は、一部だけに熱を加えて低温火傷にならないように気をつけてください。
適度な運動と温かい食事
激しい腹痛の際は安静にするのが良いですが、動けるようであればウォーキングやラジオ体操、体をひねるようなストレッチなど、体全体を動かすものがお勧めです。
血行を良くするために適度な運動をしたり 、温かいものを食べたり、飲んだりして体を温めましょう。
食べ物なら根菜や豆類、飲み物は温かいハーブティーやルイボスティーなど、ノンカフェインのものを摂るのがおすすめです。
1日の終わりには、湯船に浸かり体全体を温めましょう。
薬は下痢止めではなく整腸剤を
下痢止めは避けましょう。整腸薬の方がお勧めです。
下痢症状は、消化できなかったものやウイルス(ウイルス性胃腸炎の場合 )を排出してくれています。
薬で無理に止めずに、不要なものは出し切ってしまいましょう。
冷えからくる腹痛にも整腸薬の方がお勧めです。
冷えによる腹痛を解消してくれるツボ
温溜(おんる)というツボがあります。
手の甲を上にし、肘と手首を線で結んだ中間点より少し手首寄り、親指側の骨に位置するツボです。
気持ちいい程度に押して、複数回繰り返してください。
滞っている血の巡りを良くしてくれる働きが期待できます。
体が冷えないように普段から気をつけること
体の冷え対策
女性は特に腹部を日頃から冷やさないようにしましょう。
腹巻きやカイロを使用し、腹部を温めるのも良いです。
食事も体を温める根菜や豆類などを積極的に摂ることで、冷えを対策できます。
筋力をつけることで冷えにくい体に
通常時から体力をつけて、筋力鍛えておくと冷えにくい体になります。
エアコンの風は直接当たらないように工夫を
クーラーを使うときは扇風機を回して、冷風が部屋全体に行き渡るようにしましょう。
直接体に風にあたると、冷えや乾燥の原因になります。
まとめ
体やお腹が冷えると腹痛や下痢といった辛い症状を引き起こします。
特に慢性的に冷えてしまうと便秘、腹部の張り、おならなども起こります。
腸が元気に働けるように毎日、温めて快適に過ごしましょう。
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2020-05-18
「ガス型の過敏性腸症候群かも…?」
そんな心当たりがある方向けの症状チェックリストを掲載しています。
早く治すためにやるべきこと、やめるべきこともお医者さんに聞きました。
市販薬を使ってもいいのか、病院に行ったほうがいいケースはどういう場合なのかも解説します。
ガス型過敏性腸症候群セルフチェック
ガス型過敏性腸症候群かどうか、セルフチェックしてみましょう。
下記の症状のうち1つでも当てはまるものがあり、日常生活に支障をきたすほどであれば、検査をおすすめします。
お腹が張る
おならがよく出る
おならを我慢すると、腹痛が起こる
無意識におならが出てしまう
症状が重くなると、他人の前で意識せずともガスが漏れしてしまうようになります。“おなら恐怖症”とも呼ばれていて、一種の対人恐怖症とも考えられています。
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早く治すために「やるべきこと」
・ストレスを溜めないように生活する
・朝はトイレに座る
この2つを意識しましょう。
① ストレスの対策
ストレスを溜めない、またストレスに強い精神と体づくりが大切です。
強いストレスを感じると、自律神経が乱れ、腸が過敏になり、ガスが溜まる原因となります。
また、真面目な人や内向的な人、うつ傾向がある人は発症しやすいといわれています。
② 毎朝トイレに座る習慣をつける
出かける前には、便やガスを出す習慣をつけておきましょう。
便意がなくても、トイレに座ることが大切です。朝、トイレの時間に余裕を持てるよう、早寝早起きを心がけましょう。
早く治すために「やめるべきこと」
早食いはやめましょう。
急いで食事をすると、空気を飲み込みやすくなってしまいます。
飲み込んだ空気はやがてガスとして出るため、ガスを増やさないようゆっくり食べましょう。また、炭酸飲料やガムもガスを発生させる要因になるため、控えるようにしましょう。
市販薬・漢方薬は飲んでもいい?
過敏性腸症候群に対する市販薬もあるため、症状が軽い場合は使用してもよいと考えられます。
ただし、市販薬を使用できるのは、医師による診断を以前に受けたことがある人に限ります。
また、市販薬を使用する場合は、自己流の治療で症状を悪化させる可能性もあると念頭に置いておきましょう。市販薬で症状が良くならない場合は、必ず病院を受診してください。
漢方薬で良くなるってホント?
漢方薬が体に合う人もいます。
漢方薬は、一人ひとりの体質や体力にあわせて選択できることがメリットです。薬剤師やかかりつけ医に相談して選ぶとよいでしょう。
半夏厚朴湯や大建中湯、加味逍遥散などの漢方薬がよく使われています。
こんな場合は病院を受診しよう
おならが出ることで日常生活に支障をきたしている場合は、病院を受診しましょう。
特に、ストレスを感じた時に症状が強くなる場合は、過敏性腸症候群の可能性が高いといえます。
人に話しにくい症状であることから、受診をためらう人も多いようです。しかし、治療すればコントロールできる疾患なため、早期に受診するようにしましょう。
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病院での治療法
まずは、生活習慣の見直しを指導します。
特に、改善すべき生活習慣は次の通りです。
食事は1日3食食べる
暴飲暴食をしない
刺激物や脂質が多い食事を避ける
アルコールを控える
生活習慣を見直しても症状が良くならない場合、薬を使用して治療します。
過敏性腸症候群では、一般的には消化管の機能を調節する薬や、プロバイオティクス(※1)などが処方されます。
ガス型の症状に対しては、ガスを吸着する薬としてガスコンという薬が使われます。その他、漢方薬の処方で症状が良くなる人もいます。
また、ストレスが原因の場合や、うつ症状がある場合には抗不安薬や抗うつ薬を使います。
プロバイオティクスと抗不安薬を組み合わせた治療をすることもあります。
(※1)プロバイオティクス…人間や動物の体に対して、良い働きをする生きた微生物のこと
何科を受診すればいい?
胃腸内科、消化器内科を受診しましょう。
ストレスや心因的なものが原因となっている場合は、心療内科での治療をすすめる場合もあります。
まずは、他の消化器疾患がないかを確認することが大切です。過敏性腸症候群が疑われる場合、一度は胃腸内科、消化器疾患を受診することが望ましいでしょう。
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▼参考
日本消化器学会ガイドライン:過敏性腸症候群(IBS)ガイドQ&A
ニプロ株式会社:すこやかネット Vol.46若い女性、働き盛りの人に急増 過敏性腸症候群に迫る
田辺三菱製薬株式会社:『セレキノンS』の特長
クラシエホールディングス株式会社:そもそも漢方薬とは何?その効果は?│よくあるご質問
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2020-07-29
お腹が痛い…。
トイレから動けない…。
「下痢を出し切る方法を教えて!」
下痢を全部出すためにはどうすればいいのか、お医者さんに聞きました。
「ただの下痢」と思っていたら、実は重い病気が隠れている可能性もあります。
病院に行く目安も解説しますので、ぜひ最後まで読んでください。
ちょっと待って!こんな下痢には要注意!
下痢に伴って、
嘔吐
激しい腹痛
血便
がある場合は、自分で対処しようとせず、病院に行きましょう。
下痢を出し切る方法はある?
下痢がつらいです。
下痢を出し切りたいのですが、いい方法はありませんか?
下痢をしているときは、無理に出そうとせず、安静にして過ごしてください。
下痢を早く出し切るという方法はありません。
まずは「お腹を温める」「安静にする」の2点を行いましょう。
早く治したい場合は、病院に行って原因を突き止めるのが先欠です。
下痢をしたら…この3つを守ろう!
下痢のときは、次の3つを心がけてください。
1.水分補給
下痢により体内の水分が失われるため、脱水症状にならないよう、水分をこまめに摂るようにしましょう。
効率よく糖質や電解質を摂取できる経口補水液がおすすめです。
2.栄養補給(食事がとれる状態であれば)
脱水症状を起こしていると体に必要な栄養素が失われてしまいます。消化のよいものを食べましょう。
※消化の良いもの…食物繊維や脂肪分の少ない食材がおすすめ。材料を細かく切り、煮る・蒸す・茹でるなどし、やわらかく仕上げるとよいです。
3.保温
お風呂に入ったり、腹巻やカイロを使ったりすると良いでしょう。
市販薬は使っていい?
むやみに薬をするのは避けましょう。
早く治そうとして下痢止めを使用すると、原因となっているウイルスや細菌が体内にとどまり、症状が悪化する恐れがあります。
また、下剤の使用は、腸を刺激することで症状を悪化させて、脱水症状を引きおこす可能性があります。
なぜ?下痢が止まらない…もしや病気?
「出しても出しても下痢が止まらない…。」
そんなときは、単なる下痢ではなく、次のような病気の可能性もあります。
病気1.感染性胃腸炎
嘔吐や下痢が主な症状です。
37~38度の発熱、腹痛、脱水症状などが起こることもあります。
自分でできる対処法
安静にして過ごしましょう。
もしも嘔吐している場合は、嘔吐したものが喉につまらないよう横向きに寝るようにしてください。
こんなときは病院へ
嘔吐や腹痛などの症状が重い場合や、安静にしても2日以上改善しない場合は、病院に行きましょう。
ただし、嘔吐や下痢などで脱水症状を起こしたり、耐えられない痛みの場合は早急にいきましょう。
病気2.下痢型過敏性腸症候群(IBS)。
ストレスや緊張が原因で、お腹の痛みや不快感、下痢、便秘、吐き気、嘔吐といったの症状があらわれます。
自分でできる対処法
規則正しい生活、良質な睡眠、適度な運動を心がけましょう。暴飲暴食を避け、糖質や脂質の多い食品や香辛料も控えてください。ストレスをためないようにすることも大切です。
こんなときは病院へ
過敏性腸症候群を疑う場合は、一度医療機関を受診するといいでしょう。専用の内服薬などもあります。
消化器内科を探す
深刻な病気のケースも
下痢の症状が頻繁に起こる場合、次のような重い病気を発症している可能性もあります。
深刻な病気1.潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜に炎症が起こる難病です。
血や粘液を含む下痢や腹痛、便意切迫感が主な症状です。重症化すると、発熱、体重減少、貧血などが起こる場合もあります。
深刻な病気2.大腸がん
大腸の粘膜に発生するがんで、便秘と下痢を繰り返します。
そのほか、下血や血便、残便感、腹痛、腹部膨満感、貧血、体重減少などが起こります。
逆に全く症状がないこともあります。
こんな症状は病院へ!
次のような症状がある場合は、早急に病院で処置を受ける必要があります。
激しい下痢をしている。
血が混じった便が出る。
吐き気や嘔吐が止まらない。
発熱している。
排便しても腹痛が続く。
症状が悪くなっている、もしくは、良くなる兆しがない。
脱水症状を起こしている。
水分補給ができない状態である。
※このような症状がなくても、子どもや高齢者の場合や、心臓病や糖尿病、腎臓病にかかっている人は、病院に行きましょう。
何科を受診する?
消化器内科を受診してください。
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