「完治しない」といわれている性器ヘルペス。感染力が強く、相手にうつしてしまうリスクがあるため、性行為を行ってもいいのか悩んでいる方も多いと思います。
今回は性行為を行うことで生じる性器ヘルペスの感染リスクと、予防策や対処法などについて、医師に聞きました。
監修者
経歴
長崎大学医学部医学科 卒業
九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て 現在は 医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務
専門は泌尿器科
性器ヘルペスになると性行為できない?
感染リスクはある。でも予防策をとればリスクを低くできる
性器ヘルペスは一度感染すると完全にウイルスが消滅することがないため、どうしても感染リスクはあります。ですが一生性行為ができないというわけではなく、しっかりとリスクを理解した上でお互い予防策をとることで感染リスクは減らすことができます。
ヘルペスは神経節に潜伏しているウイルスが活性化しておこるので、発症していない時でもウイルス自体は体の中にいる状態。そのため、症状が出ていない時でも性行為などの直接接触を行えば、どうしても感染してしまうリスクはあります。
ですが、逆にウイルス感染でおこるものだからこそ、ウイルスさえ侵入されなければ感染しないともいえます。しっかりとパートナーとお互いに予防策を行うことでウイルスの侵入を防げば、リスクを低くすることができるのです。
相手の理解も必要。お互いに予防策をとることが大事
感染リスクを減らすには、どちらか一方だけではなく、お互いに予防策をしっかり行うことが大切です。そのためには、相手にヘルペスについて理解してもらうことがとても重要。行為をする際は隠さずにしっかり相手にリスクのことを伝え、二人で予防策を行いましょう。
どんなに予防をしても、残念ながら感染リスクがゼロになることはありません。特に女性は、出産時に新生児が感染させてしまうリスクがあります。新生児ヘルペスは重篤な症状を引き起こす可能性があることは理解しておく必要があるでしょう。
そのため、性行為のパートナーしはしっかりヘルペス感染のリスクを伝え、理解してもらうことが大切。二人で最大限の予防策を行い、性行為を行うようにしましょう。
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2020-10-06
私、もしかして梅毒?
心当たりはないのに…なぜ?
梅毒の感染経路は、性行為だけではありません。
何が原因で感染するのか、お医者さんに聞きました。
間違えやすい他の病気もご紹介します。
梅毒?心当たりがないのに…
梅毒は通常の性行為をはじめ、オーラルセックスやキスだけでも感染することもあります。
梅毒とは、性病の一種です。「梅毒トレポネーマ」という病原菌に感染すると発症します。通常、性行為によって感染しますが、口に梅毒の病変がある患者とのキスで感染することもあります。
昔は、助からない病気でしたが、現在は薬で治療が可能です。
梅毒以外の「別の病気」の可能性は?
梅毒と症状が似ている病気もあります。
皮膚科で治療しましょう。
痛みがない、少し弾力のあるしこりや潰瘍(通常1個)は、梅毒の可能性があります。
それ以外の場合は、梅毒ではないことがあります。
病気① 乾癬
皮膚の表皮が過剰に増殖を起こす病気です。
主な症状
紅斑(こうはん):炎症があり赤くなる
肥厚(ひこう):皮膚が過剰に増殖して盛り上がる
鱗屑(りんせつ):ウロコ状に白いカサカサになる
落屑(らくせつ):増えた角質がポロポロと落ちる
※頭や膝、肘、腰などにそれらの症状が現れ、かゆみを伴うことがあります。痒くて掻いてしまい、出血することもあります。
皮膚科を探す
病気② ジベルばら色粃糠疹
皮膚に赤い紅斑が無数に現れ、数ヶ月でなくなる病気です。
主な症状
紅斑(こうはん):炎症があり赤くなる
鱗屑(りんせつ):ウロコ状に白いカサカサになる
かゆみ
皮膚科を探す
※この他、SLEやシェーグレン症候群なども少し似た症状が出現することがあります。
怖い…!体を蝕む「梅毒の症状」
「梅毒」の主な症状は皮膚への湿疹です。
しかし、この湿疹は、放置していても無くなります。梅毒が怖いのは、ここからです。
その後、少しずつ体を蝕み、視覚異常、頭痛、意識障害、難聴、精神異常、不眠、めまい、排尿障害、人格障害など様々な影響が起きることがあります。
1期 感染してから約3週間後
しこりができる:感染した部位にしこりができてきます。大きさは、小豆粒大ほどです。コリコリした硬さがあり、中心部が固く盛り上がりがあります。このしこりは、痛みを感じる人と感じない人がいます。
リンパ節が腫れる:特に多いのは、太ももの付け根にあるリンパ節が腫れてきます。痛みは通常ありません。
注意!
これらの症状は自然に消えていきますが、治ったわけではないので注意が必要です。
2期 感染してから約3か月後
全身に症状が現れ始めます。
ばら疹:赤色の湿疹が顔や体に出ます
疹性梅毒疹:赤みがなくなってくると、しこりが全身に現れます
扁平コンジローマ:性器や肛門、脇の下などに柔らかいイボができます。
梅毒性アンギーナ:喉や扁桃が赤く腫れる
その他、脱毛・口内炎・全身リンパの腫れ・熱・食欲減退・関節の痛みなど
これらの症状は、3ヶ月ごろから発症し、3年間ほど続く人もいます。自然に消えていきますが、治ったわけではないので注意が必要です。
3期 感染してから約3年以上経過後
ゴム種と呼ばれる、弾力性の潰瘍が皮膚、内臓に広がります。
この潰瘍により臓器が圧迫されて壊されます。他に血管が炎症を発症します。
4期 末期症状
各器官に異常が現れます。視覚や聴覚に影響が及び、目が見えない・難聴となることもあります。脳や脊髄にまで腫瘍ができて、認知症・言語障害などが現れます。
梅毒を疑う場合は「早急に病院へ」
梅毒は、早期に治療を開始すれば、投薬治療のみで完治する病気なので、初期段階で発見することがとても重要です。
受診するのは何科?
皮膚科・内科を受診しましょう。
内科を探す
放置は絶対NG!あなたの命にかかわります
重症化すると、心臓、血管、神経、目などに重い障害が出て、命にかかわるリスクがあります。
参考
梅毒 厚生労働省
性行為でヘルペスをうつすリスクを減らす予防策4つ
ヘルペスはウイルスによっておこるため、ヘルペスウイルスを相手に付着させないことがヘルペスに感染しないための予防において大切な考え方です。
そのため、相手に感染させないようにするには
- 自分の持っているウイルスの量を減らす
- 相手にウイルスに侵入されないような体づくりをしてもらう
の2つを意識することで、感染するリスクを下げることができます。
性行為でヘルペスをうつすリスクを減らすには、
- 抗ウイルス薬を定期的に服用する
- コンドームを使用する
- 発症時の性交渉は避ける
- 性行為の前後に性器をよく洗う
の4つの予防策を行いましょう。
①抗ウイルス薬を定期的に服用する
感染している方は、医師の指示に従って抗ウイルス薬を服用することで、ウイルスの排出を減少させることができます。
ヘルペスはウイルスの活性化によりおこるので、抗ウイルス薬でウイルスの動きを抑えることが大切です。そのため、感染が分かったら早めに病院へ行き、医師の指示のもと適切な抗ウイルス薬を服用することで、感染リスクを低くすることに繋がります。
②コンドームを使用する
コンドームをすることで、覆われている部分は肌が直接触れ合いません。さらに性行為中に分泌される体液にはウイルスが含まれていることがありますが、コンドームをしていれば体液の交換を防げるため、ウイルス感染のリスクが下がります。
ですが、もちろんコンドームに覆われていない部分に感染するリスクはありますし、感染を完璧に予防することはできません。コンドームの使用は重要な予防策のひとつですが、コンドームだけでは感染を防ぎきれないことを理解して、他の予防もしっかり行うことが大切です。
③発症時の性交渉は避ける
ヘルペスの症状が現れている期間は、特に感染力が強いです。この期間は性行為を避けるようにしましょう。
一般的に、かさぶたがはがれて皮膚が完全に再生されると感染力が低くなると言われています。それでも感染リスクはゼロではありませんが、少なくとも一番感染力の高い症状発現期間は性行為を控えるようにしましょう。
④性行為の前後に性器をよく洗う
ウイルスの付着や広がりを最低限に抑えるため、性行為の前後に性器をよく洗うように心がけましょう。性器周辺を清潔に保つことで、細菌やウイルスの増殖を抑えることに繋がります。
性行為後は皮膚や粘膜にウイルスが付着している可能性が高いです。しっかり洗うことで、物理的にウイルスを洗い流せるので、ウイルスの量が減少し、感染リスクを減らすことができます。お互いに清潔を保つためにも、行為の前後はしっかり洗浄するようにしましょう。
オーラルセックスにも気を付けよう
性器にできる性器ヘルペスと主に口にできる口唇ヘルペスは、どちらも「単純ヘルペスウイルス」の感染によっておこります。そのため、性器ヘルペスや口唇ヘルペスはそれぞれ性器や口にお互いうつります。性器ヘルペスの感染期間中にオーラルセックスを行うことで、相手が口唇ヘルペスになる可能性があるため、控えるようにしましょう。
オーラルセックスを行うことで、口腔内にヘルペスウイルスが入り込み、口唇ヘルペスとして発症するケースもあります。感染期間中は相手のためにもなるべく直接接触することは避け、感染が拡大しないように予防することが大切です。
【気を付けて】ヘルペス感染している状態で性行為をするときの注意点
感染=発症ではない。症状がなくても注意が必要
ヘルペスウイルスは感染後すぐに発症するわけではないため、性行為後、症状がないからといって感染していないとは限りません。安心して予防策や対処を怠らずに、常に警戒しておくことが重要です。
先述の通り、ヘルペスウイルスは感染すると神経細胞を通って神経節に潜伏します。その後免疫力が落ちた時に再発するため、性行為すぐに症状が現れない時もあります。ピリピリ、チクチクとした違和感を覚えたらウイルスが再活性化し始めているサインなので、すぐに病院で診てもらえるよう注意していましょう。
症状が出ていなくても要注意。「ウイルス排出」は気づかない
ただ、注意しなければいけないのが「ウイルス排出」の期間。症状が出ていなくても性行為で相手に感染させるリスクが高いので注意が必要ですが、これは自分で気づくことができません。感染リスクを減らすには、日ごろから徹底した感染対策を行うことが必要です。
ヘルペスウイルスは、症状が出ていない時期でも皮膚や粘膜から分泌される「ウイルス排出」があり、ウイルス排出が起きていると症状が現れていなくても性行為を通じて感染するリスクがあります。
そのため、残念ながら「絶対に感染しない」という期間はありません。ですが、お互いにリスクがあることを認識した上で適切な予防策をとればリスクを減らすことができるのが「ヘルペス感染」です。
しっかり日ごろから再発防止や感染防止を行うことが大切です。
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2024-08-08
ヘルペスが再発しない人ってどういう人?
どうすればヘルペスが再発しなくなる?
頻繁に再発する時はどうすればいい?
口唇ヘルペスの再発について、医師が詳しく解説します。
ヘルペスの再発防止に重要なのは「免疫力」
再発しない人=免疫力が高い人!
口唇ヘルペスは、神経節に潜伏しているウイルスが活性化・増殖することで再発します。免疫力が高ければウイルスの活動が抑えられているため、再発しにくくなります。免疫力を高めることが一番の再発防止方法です。
口唇ヘルペスウイルスは感染すると、症状がおさまった後も神経節に潜伏し、基本的には消滅しません。その後潜伏しているウイルスが再度活性化すると、口唇ヘルペスの症状が再発します。
普段は免疫力でウイルスの活動を抑えているのですが、免疫力が低下するとウイルスが活性化してしまい、再発に繋がります。
そのため、再発を防ぐにはとにかく免疫力を高めて、潜伏しているウイルスを活性化させないことが重要!
再発しにくい人は「ウイルスの活動を抑えられている人」ということなので、免疫力が高い人ということです。
免疫力の低下でウイルスが活性化する
免疫力は体内のウイルスや細菌を抑制する働きがあるため、この免疫力が低下すると感染してしまったヘルペスウイルスが活性化してしまいます。ウイルスの活性化を抑えることは口唇ヘルペスを防ぐのに一番大切なこと。そのためには免疫力を高めておくことが重要です。
免疫力を高めてウイルスの活性化を抑えることが再発防止に重要
免疫は、再活性化しようとするウイルスの動きを速やかに認識し、攻撃してくれる役割があります。そのため、免疫力を高めれば高めるほど、ウイルスの再活性化が抑えられるので再発防止に繋がります。
神経節に潜伏しているヘルペスウイルスは消滅しなくても、活性化を抑えれば再発を抑えることはできます。
しっかり免疫力を高めることで、再発を防止していきましょう!
口唇ヘルペスの感染から再発の流れ
ヘルペスは完治しない。ウイルスは潜伏し続ける
ヘルペスウイルスは感染すると神経節へ潜伏し続け、症状がおさまった後も消滅せず、一生涯残ると言われています。これは潜伏状態のヘルペスウイルスが免疫系から認識されづらい特性を持っているため、免疫システムがウイルスを見つけて倒すのが難しいからです。
ヘルペスウイルスは免疫システムから逃れるための色々な方法を持っています。特に潜伏状態のウイルスはほとんど活動せずに隠れているため、免疫システムがウイルスを完全に倒すのが難しくなります。
ですが、免疫力が高ければ、再活性化しだしたウイルスを即座に見つけて攻撃することができるため、症状の発症は抑えることはできます。
「感染している(潜伏している)」と「ヘルペスを発症する」は全く違う状態なのです。
再発は潜伏しているウイルスが活性化して皮膚表面に出てくることでおこる
免疫力が低下しウイルスが再活性化してしまうと。再活性化したウイルスは神経細胞の中を通って皮膚の表面に向かいます。表面に到達すると再び水疱や赤み、腫れなどが現れて再発となります。
免疫力が落ちている時は要注意。再発しやすくなる
免疫力が落ちていると、再活性化しだしたヘルペスウイルスを攻撃することができないため、皮膚までウイルスが到達しやすくなり、結果再発に繋がります。
睡眠不足やストレスなどで免疫力は下がるので、まったく自分では予期していない場面でヘルペスが再発してしまうことも。日ごろから免疫力を高める生活を意識することが大切です。
【再発予防】免疫力を上げてヘルペス再発を予防する方法
免疫力を上げるには日ごろの生活習慣が大切!
免疫力を高めるには、
バランスのとれた食生活
十分な睡眠
ストレスを溜めない
日焼け予防
適度な運動
などを心がけるようにしましょう。
また、アルコールの過剰摂取や過労なども免疫力が下がる原因に。自分の身体をいたわりながら、日々の生活でストレスを溜めないことが大切です。
ビタミンC・ビタミンE・亜鉛を摂ることを意識しよう
ビタミンCやビタミンE、亜鉛には抗酸化作用があり、免疫機能をサポートしてくれるため積極的に摂るように心がけましょう。腸内環境を整えることも免疫力強化に役立ちますよ。
ビタミンCは柑橘類やパプリカ、ブロッコリーに多く含まれ、ビタミンEはアーモンドやひまわりの種、アボカドに豊富です。一方、亜鉛は牡蠣や牛肉、豆類から摂取できます。
口唇ヘルペスに感染しない・感染した場合に発症させないために、しっかり内側からも免疫力を高めていくことが大切ですよ。
ストレスや睡眠不足は免疫力を下げるので注意
特にストレスや睡眠不足は日常生活の中でも気づかずに免疫力を下げることになってしまうので要注意。
ストレスがかかると免疫系の機能を抑制するホルモンが分泌されるため、免疫力が低下することに繋がります。
また、睡眠不足にも要注意。
睡眠中は体の免疫細胞の修復と生成にとても大事な時間なのですが、睡眠不足になることによって妨げられ、免疫細胞の数や機能が低下してしまいます。
ストレスがかかると分泌される免疫系の機能を抑制するホルモンも同時に分泌されるため、日ごろから睡眠はしっかりとることが大切です。
生理前にも免疫力が下がる
女性は特に、生理前にも免疫力が下がってしまうので注意しましょう。生理前はホルモンの変動で免疫系の活性化が減少します。
生理前になるとエストロゲンというホルモンが低下し、プロゲステロンというホルモンが高くなりますが、どちらの現象も免疫力を下げることに繋がります。
生理前は心身ともに不安定になる時期でもあるので、なるべくヨガやストレッチなどで心をゆったりと落ち着け、ストレスを溜めないように心がけることが大切です。
【対処法】もしも再発してしまったら。おすすめの市販薬はコレ
再発してしまったらすぐに対処しよう!早めの対処が大事
口唇ヘルペスはウイルスによる感染症のため、症状をひどくしないためにはとにかくウイルスの増殖を抑えることが大切。対応が遅れれば遅れるほどウイルスが増殖し、腫れや赤みも増してしまいます。
そのため、感染したと思ったら何よりもウイルスを増殖させないよう、まだウイルスが少ない段階でとにかく抑えることが重要!ウイルスの増殖を防ぐためには「抗ウイルス薬」を使用するのがいいでしょう。
本当は感染の疑いがある段階で病院へ行くのが望ましいですが、難しい場合は市販薬を使用するだけでも発症を遅らせることに繋がります。
「抗ウイルス薬」を塗るのもひとつの方法
うつったかもと感じたり、唇にかゆみやピリピリ感を感じた場合、その段階で「抗ウイルス」薬を塗るのがおすすめです。
病院で対処してもらうのが望ましいですが、すぐに行けなければ市販のヘルペスウイルスの増殖を抑えられる抗ウイルス薬を使いましょう。ウイルスの増殖を抑え、症状を軽減する効果が期待できる成分が入っている塗り薬などがおすすめです。
薬局で買えるのは「アラセナS」「アクチビア軟膏」
抗ウイルス作用がある成分「アクシロビル」や「ビダラビン」は、発症初期に使用することで水膨れやかゆみを早く治めることが期待できます。
この2つの有効成分のどちらかが入っている市販薬を選びましょう。
アラセナS
抗ウイルス成分「ビタラビン」が配合されているクリームです。クリームタイプで伸びがよく、べたつきが少ないのが特徴。塗った後も目立ちにくいので、メイクの前や人と会う時にも使いやすいです。
アクチビア軟膏
抗ウイルス成分「アシクロビル」がヘルペスウイルスの増殖を抑えてくれます。軟膏タイプなのでより患部に留まって保護してくれるので、痛みが強い方や寝る前などに使用する時におすすめです。
唇のかゆみ、ピリピリ、むずむずを見逃さないで!
口唇ヘルペスの症状を悪化させないためには、何よりも早くウイルスの増殖を抑えることが大切。症状が出始めたと感じたら、とにかく早く対処をするようにしましょう。
そのためには、赤みや水疱ができる前のかゆみや、ピリピリ、むずむずした感じといった違和感を見逃さないこと!その時点で治療をすればひどくならずに抑えられることもあります。
すでに赤みや腫れが出てきてしまっている場合でも、なるべく早くしっかりとウイルスをなくすことが口唇ヘルペスを早めに治すには必要不可欠。
市販の軟膏で炎症の拡大を抑えつつ、早めに病院を受診してウイルスを内側からしっかりやっつける薬をもらうようにしましょう。
この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを公開前の段階で専門医がオンライン上で確認する「メディコレWEB」の認証を受けています。
なぜ?ヘルペスが「完治しない」と言われる理由
ヘルペスウイルスは一度感染すると潜伏し続ける
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスに感染することでおこります。ヘルペスウイルスは一度感染すると症状がおさまった後も神経節に潜伏し続け、消滅しません。
潜伏しているウイルスは免疫力が下がると再活性化し、ヘルペスの再発に繋がります。
ヘルペスの再発というのは、潜伏しているヘルペスウイルスが再活性化し、神経細胞を通って表面に到達しておこります。再び水疱や赤み、腫れなどの症状がおさまった後、ウイルスはまた神経節に戻ってしまいます。
ヘルペスウイルスは免疫系から逃れるウイルス
ヘルペスウイルスは免疫システムから逃れるための色々な方法を持っています。特に潜伏状態のウイルスはほとんど活動せずに隠れているため、免疫システムがウイルスを完全に倒すのが難しくなります。そのため、「完治しない」と言われているのです。
どれほど免疫力を高めても、ヘルペスウイルスは免疫系の攻撃を逃れてしまうため攻撃ができないと言われています。
症状が出ていなくても要注意。「ウイルス排出」は気づかない
注意しなければいけないのが「ウイルス排出」の期間です。
症状が出ていなくても性行為で相手に感染させるリスクが高いので注意が必要ですが、これは自分で気づくことができません。感染リスクを減らすには、日ごろから徹底した感染対策を行うことが必要です。
ヘルペスウイルスは、症状が出ていない時期でも皮膚や粘膜から分泌される「ウイルス排出」があり、ウイルス排出が起きていると症状が現れていなくても性行為を通じて感染するリスクがあります。
そのため、残念ながら「絶対に感染しない」という期間はありません。ですが、お互いにリスクがあることを認識した上で適切な予防策をとればリスクを減らすことができるのが「ヘルペス感染」です。
しっかり日ごろから再発防止や感染防止を行うことが大切です。
【ヘルペスにならないために】とにかく免疫力を上げておこう
感染リスク減らすには「免疫力」も重要!
ウイルスの侵入、活性化や増殖を防ぐには免疫力を上げておくことが何よりも大切。
免疫力が高ければ、そもそもウイルスが侵入せず、感染しにくくなります。感染したとしてもウイルスが活性化せず、潜伏したままで口唇ヘルペスを発症させないことにもつながるので、免疫力を高めることは口唇ヘルペスの予防でとても大切です。
逆に、免疫力の低下は、ウイルスが活性化する大きな原因のひとつ。身体の抵抗力が弱まることで潜伏しているウイルスが増殖し、口唇ヘルペスの症状があらわれることに繋がります。しっかり日常生活から意識して、免疫力を上げていきましょう。
免疫力を高める方法
免疫力を高めるには、
- バランスのとれた食生活
- 十分な睡眠
- ストレスを溜めない
- 日焼け予防
- 適度な運動
などを心がけるようにしましょう。
また、アルコールの過剰摂取や過労なども免疫力が下がる原因に。自分の身体をいたわりながら、日々の生活でストレスを溜めないことが大切です。
ビタミンC・ビタミンE・亜鉛を摂ることを意識しよう
ビタミンCやビタミンE、亜鉛には抗酸化作用があり、免疫機能をサポートしてくれるため積極的に摂るように心がけましょう。腸内環境を整えることも免疫力強化に役立ちますよ。
ビタミンCは柑橘類やパプリカ、ブロッコリーに多く含まれ、ビタミンEはアーモンドやひまわりの種、アボカドに豊富です。一方、亜鉛は牡蠣や牛肉、豆類から摂取できます。
口唇ヘルペスに感染しない・感染した場合に発症させないために、しっかり内側からも免疫力を高めていくことが大切ですよ。
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2022-09-13
食事で免疫力を上げたい!
おすすめの食べ物・飲み物は?
「免疫力を高める食べ物・飲み物」をお医者さんに聞きました。
おすすめのレシピやコンビニで商品を選ぶ際のポイントも紹介します。
免疫力を高める食べ物とは?4つの栄養素に注目!
身体の免疫機能を維持するためには、栄養バランスのとれた食事が大切です。
中でも、
タンパク質
ビタミン
ミネラル
食物繊維
を豊富に含む食べ物を積極的に食べるようにしましょう。
これらの栄養素には、免疫力にかかわる物質の材料になったり、免疫機能の増強をサポートしたりする働きがあります。
以下、それぞれの栄養素の働きと「おすすめの食べ物」を紹介するので、普段の食事にとり入れてみてくださいね。
おすすめ① タンパク質が豊富な食べ物
肉(豚レバー・鶏肉)
魚(うなぎ・いか)
卵(鶏卵)
大豆製品(豆腐・納豆)
乳製品(ヨーグルト・チーズ)
「タンパク質」は、病原体や異物が身体の内部に侵入した際に駆除する機能を持つ「免疫抗体」の材料となります。
そのため、免疫力を高めるために必要不可欠な栄養素と考えられています。
おすすめ➁ ビタミンが豊富な食べ物
野菜(ブロッコリー・カボチャ・パプリカ・ニンジン・玉ねぎ)
果物(バナナ・レモン・オレンジ)
これらのビタミン群には抗酸化作用(※)があり、基礎的な抵抗力強化につながります。
特に、ビタミンC・ビタミンEを多く含むブロッコリーはおすすめの食材です。
(※)抗酸化作用…身体の老化、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病をすすめてしまう「酸化」の働きを抑える作用のこと。
名称
各ビタミンの働き
ビタミンA
マクロファージ(細菌やウイルスを殺す細胞)の機能を増強させて、健康的な身体を作り、免疫力を高める
ビタミンB
ビタミンB1は体内の糖質の分解を促進し、ビタミンB2は身体の代謝全体を促進して細胞を活性化する
ビタミンC
白血球の機能を強化する
ビタミンE
血行を促進する
おすすめ③ ミネラルが豊富な食べ物
野菜(ブロッコリー・ほうれん草・ニンジン・オクラ・アボカド)
果物(イチゴ・キウイフルーツ)
ナッツ類(カシューナッツ)
卵(鶏卵)
乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ)
ミネラルが豊富な食べ物も積極的に摂取しましょう。
「ミネラル(カルシウム・亜鉛・カリウムなど)」には、身体の調子を整える働きがあります。
特に、ミネラルの一つである「亜鉛」が不足すると、免疫力が下がりやすくなります。
おすすめ④ 食物繊維が豊富な食べ物
穀類(玄米・麦めし・とうもろこし)
野菜(キャベツ・白菜)
豆類(大豆・うずら豆・あずき)
食物繊維の豊富な食べ物も摂取するようにしてください。
食物繊維は、病原体を身体の内部から排除して腸内環境を整えてくれる働きがあります。
飲み物で選ぶならこれ!
緑茶
コーヒー
赤ワイン
カカオ
紅茶
ポリフェノールが含まれている飲み物がおすすめです。
ポリフェノールは、抗酸化作用があるため、免疫力を高めてくれます。
また、白血球の機能を高める作用があり、悪性腫瘍や感染症の予防にもつながります。
免疫力アップに!おすすめレシピ
鶏肉とパプリカのマリネ
カボチャのサンドイッチ
上記のメニューには、免疫力アップが期待できる食材が使われています。
どちらも手軽で食べやすいメニューなので、普段の食事にとり入れてみましょう。
おすすめメニュー① 鶏肉とパプリカのマリネ
鶏肉とパプリカ、カボチャを使ったマリネです。
鶏肉からは「タンパク質」、パプリカから「ビタミンC」、カボチャからは「ビタミンA・E」を摂取できます。
材料(2人分)
鶏むね肉1枚(約250g)
パプリカ(赤):1個
パプリカ(黄):1個
カボチャ:1/2個
新玉ねぎ:1個
―マリネ液
黒酢大さじ:4杯
はちみつ大さじ:2杯
しょうゆ大さじ:1杯
塩小さじ:1/2~1杯
オリーブオイル:大さじ4杯
作り方
すべての食材を一口大に切る。
鶏むね肉は薄切りにして、ゆでる。
あらかじめ混ぜ合わせておいたマリネ液に①と②の食材を和える。
マリネ料理に豊富に含まれているビタミンA・C・Eは、そのアルファベットの頭文字をとって「ACE」と呼ばれており、ビタミンの中でも特に重要な栄養素として、文字通りエース的な存在です。
さらに、良質なタンパク質とこれら3つのビタミン群を同時に摂取することで、抗酸化作用が強くなり、免疫力アップにつながると考えられています。
おすすめメニュー➁ カボチャのサンドイッチ
材料(2人分)
食パン(8枚切り):2枚
バター:適量
―(A)
サラダチキン:60g
カボチャ:200g
玉ねぎ:1/8個
キュウリ:1/2本
塩・こしょう:少々
酢:小さじ1
マヨネーズ:大さじ1
作り方
カボチャは2cm角くらいに切り、電子レンジで加熱(600wで約5分)する。
※加熱後も硬いようなら追加で加熱してください。
サラダチキンは細かく裂き、玉ねぎはみじん切りに、キュウリは薄切りにする。
(A)の具材をすべて混ぜ合わせる。
食パンは、オーブントースターで軽く色がつく程度まで焼く。焼いた後に表面に軽くバターを塗る。
(A)の具材をパンで挟む。
サラダチキンを利用することで、手軽にタンパク質を摂取できます。
一年中どこでも手に入る食材だけで作れるので、毎日の食事にとり入れやすいですよ。
コンビニではどんな食べ物・飲み物を選ぶべき?
手軽なコンビニ食で選ぶなら、
低脂質のヨーグルト
緑茶
紅茶
などがおすすめです。
ヨーグルトをはじめとする乳製品は、タンパク質の含有量が多く、カルシウムなどのミネラルも含まれています。脂肪分をとり過ぎないよう低脂質のものがいいでしょう。
注意!免疫力を低下させる食べ物&飲み物
砂糖を多く含む食品や飲料は、多くとり過ぎると免疫力を下げやすくなると考えられます。
砂糖を過剰に摂取すると、腸の中に悪玉菌が増えてしまい、免疫力を低下させる恐れがあります。
砂糖が多く使われている「甘いお菓子」や「炭酸飲料」は、食べ過ぎ・飲み過ぎに注意しましょう。
どうしても食べたい・飲みたいときは?
1日に食べる・飲む量を決めておきましょう。
厚生労働省と農林水産省が共同で策定した「食事バランスガイド」(※)によると、お菓子やジュースなどの嗜好飲料の1日の摂取量の目安は200kcalです。
商品の表示を確認して、摂取カロリーが多くなり過ぎないようにしましょう。
なお、冷え過ぎた飲み物を飲むと、胃腸に負担がかかってしまい、全身の血流が悪くなる恐れがあります。
冷やし過ぎず、なるべく常温に近い温度で飲むことをおすすめします。
「有酸素運動」もプラスして免疫力を高めよう
免疫機能の働きをアップさせるためには、
ウォーキング
ジョギング
サイクリング
ストレッチ
ヨガ
などの有酸素運動もおすすめです。
適度な有酸素運動は、筋肉や骨に刺激を与えるため、免疫系機能の改善が期待できます。
ただし、無理な運動をすると、かえってストレスになり、免疫細胞に悪影響を与える恐れがあります。
週に3~5回、1回30分程度を目安にとり組むとよいでしょう。
短期間に限定して行うのではなく、日々の習慣として継続していくことが重要なポイントです。
適度な運動は「ストレス解消」にもつながる!
適度な運動を習慣にすることは、ストレスの解消にもつながります。
ストレスの解消は、免疫低下を防ぐ上で重要です。
過剰なストレスは免疫細胞の機能を低下させ、風邪や肌荒れの原因になります。
▼参考
AquaClala HP:炭酸水にはどのような効果がある?おすすめの飲み方や注意点とともに解説
この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを公開前の段階で専門医がオンライン上で確認する「メディコレWEB」の認証を受けています。
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