膵炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
膵炎の主な症状も紹介するので、「膵炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしてみてください。
膵炎とは
膵炎とは、膵臓の消化液が漏れて、臓器を傷つけてしまう病気です。
この膵炎は「急性膵炎」と「慢性膵炎」に分かれます。
「急性膵炎」とは、消化酵素によって膵臓自体がダメージを受けて、炎症が起こっている状態です。
「慢性膵炎」とは、食べ物を消化するための膵液が、長期間に渡って膵臓自身を溶かしてしまう病気です。
「急性膵炎」と「慢性膵炎」それぞれの症状
急性膵炎 |
▼軽度~中等度の症状
- みぞおち周辺から左上腹部の痛み
- 背中の痛み
- 吐き気、おう吐(吐いても症状が改善しない)
- 発熱(37度~38度程度が多い)
- 食欲不振
- 腹部膨満感
▼重度の症状
- 血圧低下
- 皮膚が黄色っぽくなる
- 呼吸困難
- 精神が錯乱してしまうほどの激しい痛み
- 失神
|
慢性膵炎 |
- 腹痛を5〜10年ほど繰り返す
- 急にお腹や背中が痛くなることがある
- 下痢や便秘の症状がある
- みぞおちを押すと痛い
- だるい
- 食欲不振
- 吐き気、嘔吐
- お腹の張り(膨満感)
- 体重減少(※)
※人によって異なりますが、6か月で5%以上を病的な体重減少とすることが多いです。
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左上腹部が痛むのは、なぜ?
お酒をよく飲む方や太っている方は、急性膵炎のリスクがあります。
「何科を受診すべきか」も併せて、お医者さんが解説します。
急性膵炎は治療が必要な病気です。心当たりがないかチェックしましょう。
左上腹部が痛い…これって大丈夫?
一旦様子を見ても良いケース
痛みに“心当たりがある”、例えば
暴飲暴食
ストレスや疲労の蓄積
刺激が強いものの過剰摂取
便秘
による痛みの場合は、一旦様子を見ても良いでしょう。
これらが原因の場合は、生活習慣を見直したり、しっかりと休むことで症状が改善する場合があります。
特に、食べ過ぎやお酒の飲みすぎには注意しましょう。
便秘でお困りの方は、食物繊維の多い食材を食べるようにしてください。
病気の可能性があるケース
ただし、
突然激しい痛みに襲われた
吐き気、嘔吐がある
発熱がある
皮膚が黄色っぽくなる
左側の背中、肩、腕(手)にも痛みがある
仰向けの状態で寝ると痛みがひどくなる
といった場合には、“なんらかの病気”を疑う必要があります。
その痛みは「急性膵炎」が原因かも
左上腹部の痛みは、「急性膵炎」の可能性も考えられます。
「急性膵炎」とは、消化酵素によって膵臓自体がダメージを受けて、炎症が起こっている状態です。
急性膵炎を発症する「きっかけ」
急性膵炎を発症するきっかけには、
お酒の飲みすぎ
栄養不足
胆石症
遺伝的要因(体質)
薬剤の服用の影響
などが挙げられます。
過度の飲酒による膵炎は、アルコールによって膵液が過剰に分泌されたり、膵管が狭くなったりするためと考えられています。
また、胆石症による膵炎は、小さい胆石が膵液を排出する部分を塞いでしまうことが原因と言われています。
他にも、抗てんかん薬、免疫抑制薬などの薬の服用が原因になることもあります。
急性膵炎はどんな人に多い?
40歳~60歳代の男性
お酒をたくさん飲む人
脂肪分を多く含む食品の摂取量が多い人
太っている人
血中の中性脂肪が多い人(高脂血症)
急性膵炎の痛み方
痛みの感じ方には個人差がありますが、激痛が長時間続くケースが多いです。
急性膵炎の痛みは、
焼けるような痛み
刺し込むような痛み
転げまわるような痛み
などと表現されています。
痛みが生じやすい場所は、みぞおち周辺から左上腹部(肋骨下側)です。
痛みが背中まで拡がることも多いです。患部やその周辺を押すと、痛みが強くなる場合もあります。
<痛みが出るタイミング>
脂っこいものを食べたり、お酒を飲んだりした数時間後に痛みが出やすいです。
ただし、前触れなく突然痛みが生じる、数日間かけて少しずつ出現するといった場合もあります。
急性膵炎の主な症状
▼軽度~中等度の症状
みぞおち周辺から左上腹部の痛み
背中の痛み
吐き気、おう吐(吐いても症状が改善しない)
発熱(37度~38度程度が多い)
食欲不振
腹部膨満感
▼重度の症状
血圧低下
皮膚が黄色っぽくなる
呼吸困難
精神が錯乱してしまうほどの激しい痛み
失神
急性膵炎は“命にかかわる”ケースも
「急性膵炎」の恐いところは、発症すると膵臓だけでなく、他の臓器にまで炎症を起こすケースが多いことです。
そのため、多臓器不全を起こして命に関わるような状態に陥るケース(重症急性膵炎)もあります。
病院は何科?
左上腹部が痛むときは、まずは内科、消化器内科を受診してください。
たとえ痛みが消えたとしても、念のため検査を受けることをおすすめします。
急性膵炎は、知らず知らずのうちに徐々に重症化していくというケースもあります。
また、
じっとしていられないほどの痛み
突然の背中の激痛
が起きた場合には、早急に受診してください。
急性膵炎の場合、重症化すると命に関わるケースもあります。
重症化を防ぐためには、医療機関で痛みの原因を特定することが重要です。
内科を探す
病院で受ける治療
医療機関では、必要に応じて血液検査、内視鏡、エコーなどを行います。
そこまで痛い検査はありません。
入院して絶飲食、また輸液を点滴します。痛みには鎮痛剤を投与します。
お医者さんになんて伝えたらいい?
医師には
いつから痛いか
どんな痛みか
痛みがどれくらい続いているか
を説明しましょう。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人 日本肝胆膵外科学会 急性膵炎と慢性膵炎
日本医師会 医療と健康 急性すい炎
厚生労働省 急性膵炎
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2021-02-04
日頃からたくさんお酒を飲む方、頻繁に腹痛が起こる方は、慢性膵炎の可能性があります。
「慢性膵炎の症状やなりやすい人」について、お医者さんに聞きました。心配な方は、チェック項目に当てはまるかを確認してみましょう。
慢性膵炎ってどんな病気?
慢性膵炎とは、食べ物を消化するための膵液が、長期間に渡って膵臓自身を溶かしてしまう病気です。
慢性膵炎になると、膵臓の中に石が発生するなど様々な障害を引き起こします。
放置すると、膵臓ガンや糖尿病に移行することもあります。
慢性膵炎は「自覚症状がない」場合もある!
患者さんによっては、「痛みをほとんど感じない人」や、「放っておくと、腹痛が弱まっていく人」もいます。
しかし、痛みを感じなくても膵臓では炎症が起こっています。「大量に飲酒する」習慣がある人は、特に注意すべき病気です。
慢性膵炎の「自覚症状がある」ケースだと…
慢性膵炎には下記の症状があります。
腹痛を5〜10年ほど繰り返す
急にお腹や背中が痛くなることがある
下痢や便秘の症状がある
みぞおちを押すと痛い
だるい
食欲不振
吐き気、嘔吐
お腹の張り(膨満感)
体重減少(※)
※人によって異なりますが、6か月で5%以上を病的な体重減少とすることが多いです。
これらの症状があらわれている場合は、早急へ病院に行きましょう。
慢性膵炎になりやすいのはどんな人?
40〜50歳代の男性
長期間、大量に飲酒をしている人
脂肪分が多い食事をとっている人
喫煙者
肥満の人
ストレスが溜まりやすい人
家族に慢性膵炎の人がいる(遺伝)
「膵炎かも」と思ったら、放置はNG!
慢性膵炎は、完治が困難といわれています。
「放っておいて自然に治るものではない」と考えてください。
慢性膵炎を放置すると…
膵臓周辺の臓器に悪影響を及ぼす
悪性腫瘍(がん)の原因になる
糖尿病を引き起こす
など重篤な病気を合併することがあります。
症状が悪化すると、後遺症が残る・命を落とすこともあります。
また、慢性膵炎を患った場合、日本人の平均寿命よりも10年以上短命になるとされています。
早期にしっかりとした治療を受けましょう。
病院に行く目安
お腹や背中が激しく痛む(特に飲酒後や脂肪が多いものを食べ過ぎた後)
吐き気や嘔吐を繰り返す
体重が減少する
黄疸がある
尿が出にくい
これらの症状がある場合は、速やかに内科や消化器内科を受診しましょう。病院では、問診や血液検査、CT検査などを行ったうえで、症状にあわせた治療を行います。
内科を探す
▼参考
慢性腎不全ガイドブック
日本消化器学会ガイドライン
一般社団法人 日本肝胆膵外科学会
日本医師会
膵炎の原因
膵炎の原因には、「お酒の飲み過ぎ」「胆石が胆管で詰まる」などが挙げられます。
ただし、はっきりと原因が分からないケースもあります。
膵炎になりやすい人
- お酒をよく飲む
- タバコを吸う
- 暴飲暴食している
- 脂肪分を多く含む食品のとり過ぎ
- 就寝直前に食事をとることが多い
- 刺激が強い飲食物を好む
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2022-11-30
便の様子がいつもと違う…これって脂肪便かも?
脂肪便の見た目について、お医者さんに聞いてみました。
脂肪便が出た場合、膵臓の機能が低下している可能性もあります。
心当たりのある症状がないかチェックしましょう
脂肪便の見た目の特徴
白っぽい
灰色っぽい
便器中の水に浮く
油が浮く
便が柔らかい・水っぽい
ベトベトしている
脂肪便には、上記のような特徴が見られます。
脂肪便は、消化不良や膵臓機能の低下によって、便に白っぽい脂肪分が残っている状態です。
脂肪分は比重が小さいため、便が沈まずに浮くという特徴があります。
また、見た目以外にも、脂肪便は「強い臭い(酸性臭)がする」場合があります。
脂肪便の原因は?
脂肪分を多く含む食品のとり過ぎ
膵臓の機能が低下している
脂肪便が出るよくある原因として、上記が考えられます。
脂肪分を多く含む食品を過剰に摂取した場合、消化不良を起こすことで脂肪便が出やすくなります。
膵臓の機能低下もよくある原因の一つです。摂取した脂肪分を消化する働きがある「リパーゼ(消化酵素)」等が分泌されにくくなることで、脂肪の吸収がうまくできなくなります。
その結果、便に脂肪が含まれたまま排泄されることがあります。
脂肪便にはダイエット効果があるって本当?
脂肪便を出すとダイエットに有効であるという医学的な根拠はありません。
脂肪便とは消化不良や膵臓機能の低下による症状であり、ダイエットとは関係がありません。
脂肪便を放置していると…
脂肪便を改善せずに放置していると、腸内環境が悪化し、下痢・便秘・免疫力の低下・肌トラブルなどの原因となる可能性があります。
脂肪便が出ている場合は、健康や美容のためにも、食生活を改善していくことをおすすめします。
脂肪便を改善するための「3つの習慣」
肉類や揚げ物の食べ過ぎに気をつける
お酒を控える
善玉菌を増やす食生活を送る
脂肪便が出ている人は、上記の3つを普段から心がけましょう。
おすすめ習慣① 肉類や揚げ物の食べ過ぎに気をつける
消化不良を防ぐために、「肉類」などの動物性脂肪を多く含む食品や「揚げ物」を食べ過ぎないようにしましょう。
特に、就寝直前に食べるのは控えてください。
お肉を食べる場合は、「脂身を取り除く」「赤身肉を選ぶ」といった工夫をするとよいでしょう。
肉類以外にも、動物性脂肪を多く含むケーキ・チョコレート・アイスクリームといったお菓子の食べ過ぎにも注意してください。
おすすめ習慣② お酒を控える
お酒は適量に抑えましょう。
ビールは500mlの缶1本、日本酒は1合までが目安です。
お酒の飲みすぎは、膵臓の炎症を招く恐れがあります。
炎症が慢性化すると、膵臓の機能が低下して消化不良を起こし、脂肪便につながります。
おすすめ習慣③ 善玉菌を増やす食生活をする
発酵食品や麹菌・乳酸菌・ビフィズス菌を含む食品は、善玉菌を増やしてくれるので、積極的にとりましょう。
善玉菌が増えると、腸内環境が改善され、脂肪便の解消につながります。
発酵食品
納豆・キムチ
麹菌
味噌・醤油・甘酒
乳酸菌・ビフィズス菌
ヨーグルト
また、善玉菌のエサとなる食品を一緒にとるとよいでしょう。
水溶性食物繊維を含む、昆布・里芋・オーツ麦・大麦・果物などがおすすめです。
要注意!脂肪便には病気が隠れている可能性も
膵炎
消化不良症候群
膵ガン
脂肪便が出る場合、上記の病気が疑われるため、注意が必要です。
病気① 膵炎
膵炎とは、膵臓が炎症を起こしている状態です。
膵臓の機能が低下し、脂肪分を消化する酵素が出にくくなるため、脂肪やタンパク質の消化不良を起こします。
その結果、脂肪便が出ることがあります。
膵炎は、急激な炎症によって起きる「急性膵炎」と、長期にわたって膵臓の細胞が壊されていき、膵臓の機能が低下する「慢性膵炎」に分けられます。
こんな症状は膵炎の疑いアリ
激しい腹痛
下痢
食欲の低下
体重の減少
など
膵炎の原因は?
膵炎の原因には、「お酒の飲み過ぎ」「胆石が胆管で詰まる」などが挙げられます。
ただし、はっきりと原因が分からないケースもあります。
膵炎なりやすい人の特徴
お酒をよく飲む
タバコを吸う
暴飲暴食している
脂肪分を多く含む食品のとり過ぎ
就寝直前に食事をとることが多い
刺激が強い飲食物を好む
など
心当たりがあるときは…内科で相談を
膵炎が疑われる場合は、「内科」で受診することをおすすめします。
病院では、「薬剤を用いて膵液の流れを改善する治療」や「鎮痛剤を用いて膵臓の炎症を抑える治療」などが受けられます。
症状が進行すると、インスリンの分泌量が低下し、糖尿病を発症する恐れがあります。
また、慢性膵炎が悪化すると、膵臓ガンを発症する恐れもあるため、早めに受診してください。
内科を探す
病気② 消化不良症候群
消化不良症候群は、消化・吸収の働きが低下することで、栄養が十分に吸収できていない状態です。
摂取した脂肪分の消化・吸収ができなくなり、脂肪便が出る場合があります。
こんな症状は消化不良症候群の疑いアリ
腹痛
全身の倦怠感
むくみ
貧血
お腹の張り
下痢
など
消化不良症候群の原因は?
消化に関わる臓器に何らかの病気が生じている
腸を切除した
などにより、消化不良症候群を発症することがあります。
心当たりがあるときは…内科で相談を
消化不良症候群が疑われる場合は、「内科」で受診しましょう。
軽度であれば、食事療法や消化酵素を用いた治療が行われます。
そのまま放置すると、低栄養状態を起こす恐れがあるので、早期の受診が大切です。
内科を探す
病気③ 膵ガン
膵ガンとは、膵臓に悪性腫瘍ができている状態です。
膵臓機能が低下し、「食べ物の消化がスムーズに行えない」「脂肪が消化されずに排泄される」という状態になるため、脂肪便が出る場合があります。
こんな症状は膵ガンの疑いアリ
腹痛
腰の痛み
背中の痛み
お腹の張り
食欲不振
黄疸
下痢
黒色っぽい色の便が出る
など
膵ガンの原因は?
遺伝的要因
糖尿病・慢性膵炎などの病気を患っている
タバコを吸う
などにより、膵臓ガンを発症するケースがあります。
心当たりがあるときは…内科で相談を
膵臓ガンは命に関わるリスクが高いため、早急に「内科」で受診しましょう。
病院では、抗ガン剤治療や手術を行うケースが多いです。
内科を探す
脂肪便が3日続くときは、病院で検査を受けよう
脂肪便が3日以上続くような場合には、病院で検査を受けることをおすすめします。
他にも、下記の症状が見られる場合は、早めに病院で受診しましょう。
腹痛が続いている
みぞおちの強い痛み
背中の強い痛み
下痢が続いている
食欲がなく体重が低下していく
黄疸
脂肪便の原因が病気だった場合、膵臓の機能消失や、糖尿病・膵臓ガンの発見が遅れるリスクがあります。
原因不明の脂肪便は、何科で相談すればいい?
まずは「内科」で受診するとよいでしょう。
病院では、
血液検査
腹部超音波検査
超音波内視鏡
CT検査
MRCP(磁気共鳴胆管膵管造影)
ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)
などの検査が行われます。
医師に伝えるポイント
症状が始まった時期
脂肪便以外に出現している症状
既往歴
日常的なアルコール摂取量
食生活
「脂肪便が続く」という症状で受診する際は、上記を医師に伝えるとスムーズです。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト アルコールとすい臓病
杏林製薬 脂肪便
大正製薬グループ あなたの便は美便?それとも…?
日本消化器病学会 慢性膵炎ガイドQ&A
国立研究開発法人国立がん研究センター 膵臓がん 予防・検診
急性膵炎を疑う場合はすぐ病院へ
膵炎が疑われる場合は、「内科」で受診することをおすすめします。
急性膵炎を発症すると、命に関わるケースもあります。
特に毎日飲酒している方は、腰・背中あたり痛みを感じたら早めに受診しましょう。
内科を探す
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2021-03-30
「仰向けで寝ると腰が痛いのはなぜ?」
その痛みは“病気のサイン”かもしれません。
どんな病気の可能性があるのか、お医者さんにお聞きしました。
“仰向けで寝ると腰が痛い”のは病気のせい?
仰向けになると腰が痛い症状には、筋肉や神経、内臓の病気が隠れていることもあります。
特に、
腰の痛みが3日以上続いている
同じ箇所が痛む
痛みが強く眠れない
といった場合は、病気の疑いが強くなるため要注意です。
放置して悪化すると入院が必要になるケースもあります。
痛みが気になる方は、念のため整形外科で相談してみましょう。
整形外科を探す
どんな病気の可能性があるの?
仰向けで寝ると腰が痛いのは
慢性膵炎
腰椎椎間板ヘルニア
の可能性があります。
病気① 慢性膵炎
慢性膵炎とは、消化酵素によってゆっくりと膵臓が溶かされていく病気です。
激しい痛みを生じる急性膵炎と異なり、比較的痛みが軽いため、腰痛と勘違いすることもあります。
膵臓はみぞおち〜へその間にあり、腫れるとみぞおちや背中、腰周辺の痛みが起きます。
こんな症状に心当たりありませんか?
発熱
吐き気、嘔吐
背中の痛み
みぞおちの痛み
上腹部痛
慢性膵炎の原因
アルコールの過剰摂取が原因で発症するケースが多いです。
お酒をたくさん飲む中高年に男性は要注意です。
また、胆石症・膵石症なども、慢性膵炎の発症リスクを上昇させます。
<胆石症>
「胆石症」は、胆嚢や胆管に結石ができる病態の総称です。
もともとの体質や、コレステロールなどの高脂肪などの食生活が影響すると考えられています。
<膵石症>
「膵石症」は、膵臓の中に結石ができる病態の総称です。
過度のアルコール・低栄養などが影響していることもありますが、原因がわからないものもあります。
自分でできる対処法は?
慢性膵炎の進行を防ぐには、禁酒・禁煙が大切です。
また、急激な痛みを感じた際は、必ず医療機関を受診してください。
急性膵炎を発症すると、命に関わるケースもあります。
特に毎日飲酒している方は、腰・背中あたり痛みを感じたら早めに受診しましょう。
何科を受診すればいい?
急性膵炎を疑う場合は、内科・消化器内科を受診しましょう。
内科を探す
病気② 腰椎椎間板ヘルニア
仰向けに寝たときの腰の痛みは、腰椎椎間板ヘルニアも考えられます。
腰椎椎間板ヘルニアは、骨と骨の間でクッション材の役目を担う“椎間板”が飛び出している状態です。
クッション材がなくなることで、腰に負担がかかって痛みが起こります。
また、骨との骨が圧迫し合い、神経にも負担をかけるので、足のしびれや痛みも発症しやすいです。
こんな症状に心当たりありませんか?
ジンジンと炎症があるような痛み
体の重みが負担に感じる
足のしびれ
足の痛み
足が動かない
麻痺しているように感じる
腰椎椎間板ヘルニアの原因
猫背、中腰の姿勢
腰に負担がかかる作業
喫煙
ストレス
などが原因として挙げられています。
重い荷物を運ぶ仕事をしている人は、特に発症リスクが高くなります。
また、デスクワーク中心の仕事をしている人は、悪い姿勢に注意しましょう。
自分でできる対処法は?
ご自身での対処法はありません。
痛み
しびれ
感覚が鈍い
などの症状が続いている場合は、医療機関を受診しましょう。
悪化すると痛みが強くなり、歩行に支障が出るため、早めの治療が大切です。
何科を受診すればいい?
腰椎椎間板ヘルニアを疑う場合は、整形外科を受診してください。
整形外科を探す
腰の痛みが続く場合は、病院で相談しましょう
「仰向けで寝ると腰が痛い」という症状には、内臓や神経の病気が隠れている可能性も考えられます。
放置すると悪化し、入院が必要になってしまうケースもあります。
腰の痛みが続く場合は早めに医療機関で相談し、病気の進行を防ぎましょう。
原因がわからない方は、まず整形外科で相談してください。
整形外科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人日本肝膵外科学会 急性膵炎と慢性膵炎
慢性膵炎も放置はNG
慢性膵炎は症状が進行すると、インスリンの分泌量が低下し、糖尿病を発症する恐れがあります。
また、症状が悪化すると、膵臓ガンを発症する恐れもあるため、早めに受診してください。
膵炎の検査・治療法
医療機関では、必要に応じて血液検査、内視鏡、エコーなどを行います。
そこまで痛い検査はありません。
膵炎の治療は、
などをおこなって症状の改善を図ります。
安定するまで集中治療の管理が行われるため、入院が必要になるケースが多いです。
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2021-03-29
左上腹部が痛むのは、なぜ?
お酒をよく飲む方や太っている方は、急性膵炎のリスクがあります。
「何科を受診すべきか」も併せて、お医者さんが解説します。
急性膵炎は治療が必要な病気です。心当たりがないかチェックしましょう。
左上腹部が痛い…これって大丈夫?
一旦様子を見ても良いケース
痛みに“心当たりがある”、例えば
暴飲暴食
ストレスや疲労の蓄積
刺激が強いものの過剰摂取
便秘
による痛みの場合は、一旦様子を見ても良いでしょう。
これらが原因の場合は、生活習慣を見直したり、しっかりと休むことで症状が改善する場合があります。
特に、食べ過ぎやお酒の飲みすぎには注意しましょう。
便秘でお困りの方は、食物繊維の多い食材を食べるようにしてください。
病気の可能性があるケース
ただし、
突然激しい痛みに襲われた
吐き気、嘔吐がある
発熱がある
皮膚が黄色っぽくなる
左側の背中、肩、腕(手)にも痛みがある
仰向けの状態で寝ると痛みがひどくなる
といった場合には、“なんらかの病気”を疑う必要があります。
その痛みは「急性膵炎」が原因かも
左上腹部の痛みは、「急性膵炎」の可能性も考えられます。
「急性膵炎」とは、消化酵素によって膵臓自体がダメージを受けて、炎症が起こっている状態です。
急性膵炎を発症する「きっかけ」
急性膵炎を発症するきっかけには、
お酒の飲みすぎ
栄養不足
胆石症
遺伝的要因(体質)
薬剤の服用の影響
などが挙げられます。
過度の飲酒による膵炎は、アルコールによって膵液が過剰に分泌されたり、膵管が狭くなったりするためと考えられています。
また、胆石症による膵炎は、小さい胆石が膵液を排出する部分を塞いでしまうことが原因と言われています。
他にも、抗てんかん薬、免疫抑制薬などの薬の服用が原因になることもあります。
急性膵炎はどんな人に多い?
40歳~60歳代の男性
お酒をたくさん飲む人
脂肪分を多く含む食品の摂取量が多い人
太っている人
血中の中性脂肪が多い人(高脂血症)
急性膵炎の痛み方
痛みの感じ方には個人差がありますが、激痛が長時間続くケースが多いです。
急性膵炎の痛みは、
焼けるような痛み
刺し込むような痛み
転げまわるような痛み
などと表現されています。
痛みが生じやすい場所は、みぞおち周辺から左上腹部(肋骨下側)です。
痛みが背中まで拡がることも多いです。患部やその周辺を押すと、痛みが強くなる場合もあります。
<痛みが出るタイミング>
脂っこいものを食べたり、お酒を飲んだりした数時間後に痛みが出やすいです。
ただし、前触れなく突然痛みが生じる、数日間かけて少しずつ出現するといった場合もあります。
急性膵炎の主な症状
▼軽度~中等度の症状
みぞおち周辺から左上腹部の痛み
背中の痛み
吐き気、おう吐(吐いても症状が改善しない)
発熱(37度~38度程度が多い)
食欲不振
腹部膨満感
▼重度の症状
血圧低下
皮膚が黄色っぽくなる
呼吸困難
精神が錯乱してしまうほどの激しい痛み
失神
急性膵炎は“命にかかわる”ケースも
「急性膵炎」の恐いところは、発症すると膵臓だけでなく、他の臓器にまで炎症を起こすケースが多いことです。
そのため、多臓器不全を起こして命に関わるような状態に陥るケース(重症急性膵炎)もあります。
病院は何科?
左上腹部が痛むときは、まずは内科、消化器内科を受診してください。
たとえ痛みが消えたとしても、念のため検査を受けることをおすすめします。
急性膵炎は、知らず知らずのうちに徐々に重症化していくというケースもあります。
また、
じっとしていられないほどの痛み
突然の背中の激痛
が起きた場合には、早急に受診してください。
急性膵炎の場合、重症化すると命に関わるケースもあります。
重症化を防ぐためには、医療機関で痛みの原因を特定することが重要です。
内科を探す
病院で受ける治療
医療機関では、必要に応じて血液検査、内視鏡、エコーなどを行います。
そこまで痛い検査はありません。
入院して絶飲食、また輸液を点滴します。痛みには鎮痛剤を投与します。
お医者さんになんて伝えたらいい?
医師には
いつから痛いか
どんな痛みか
痛みがどれくらい続いているか
を説明しましょう。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人 日本肝胆膵外科学会 急性膵炎と慢性膵炎
日本医師会 医療と健康 急性すい炎
厚生労働省 急性膵炎
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2021-08-31
「ご飯を食べると背中が痛い…これは何?」
この症状の原因を、お医者さんが解説します。
逆流性食道炎や膵炎といった病気も疑われるため、要注意です。
病院に行く目安も併せて確認しましょう。
ご飯を食べると背中が痛い…これはなぜ?
食事に影響する消化器(食道、膵臓など)に不具合が起きている可能性が高いです。
この痛みは大丈夫?病院へ行くべき?
症状が一時的なものであれば、心配いらないケースが多いです。
最近、食べ過ぎたり、飲みすぎたりしていませんか?
暴飲暴食に心当たりがある人は、胃を休めて様子を見てください。
ただし、痛みを継続して感じているという場合は、注意が必要です。
なんらかの病気が隠れているケースも考えられます。
特に、こんな症状は早く病院へ!
食後の背部痛に加え、
嘔吐
発熱
などの症状を伴うときは、早急に医療機関を受診してください。
急性膵炎の場合、悪化すると意識障害やショック症状によって、命に関わる危険性があります。
病院は何科?
食後に背中が痛むときは、内科・消化器内科を受診しましょう。
医療機関では、症状に合わせて薬の処方などを行われます。
悪化を防げるよう、早めの受診を心がけましょう。
内科を探す
考えられる2つの病気
ご飯を食べると背中が痛む場合、
逆流性食道炎
膵炎
などの病気が疑われます。
病気① 逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流してくる病気です。
胃酸によって食道の背中に近い部分に炎症が及ぶと、背中に激痛を感じることもあります。
症状の特徴
胸焼け、胃もたれ胸の痛み
腹部の張り
耳の違和感
のどの炎症、声のかすれ
咳が出る
ゲップ
逆流性食道炎の原因
胃と食道のつなぎ目にある「下部食道括約筋」の筋力低下が大きな原因です。
この筋力低下は、主に加齢によって生じます。
どんな人に多い?
暴飲暴食が長期にわたり続いている
食後すぐ横なる癖がある
腹部を締め付ける服装が多い
猫背
便秘症
などに当てはまる人に発症しやすいです。
自分でできる対処法は?
脂肪分を控える
酸味の強いものも控える
満腹まで食べない
重いものを持たない(腹圧が強くかかるため)
ベルトを締めすぎない
といったセルフケアで、改善が期待できます。
ただし、上記のケアで改善が見られない、不調が悪化している、といった人は医療機関で相談してください。
病院は何科?
逆流性食道炎を疑うときは、内科・消化器内科を受診しましょう。
逆流性食道炎の場合、内服薬での治療が基本です。
また、合わせて生活指導も行われます。
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病気② 膵炎
膵臓の消化液が漏れて、臓器を傷つけてしまう病気です。
膵臓は胃の裏側にあるため、背中に痛みが発生することがあります。
症状の特徴
みぞおちの痛み
背中や左脇腹の痛み
突然の激痛を感じることが多い
嘔吐、吐き気
発熱
意識障害
※急性膵炎の場合、食後数時間で痛みを感じ始めます。
膵炎の原因
過度の飲酒、食生活の乱れ、胆石の詰まりなどが原因となって発症します。
どんな人に多い?
アルコールを長期的に大量に飲んでいる人
脂っこい食事が多い人
胆石症を患っている人
女性よりも男性の発症率が高いです。
自分でできる対処法は?
ご自身でできる対処法はありません。
早急に医療機関を受診して、治療を受けてください。
背中やみぞおちに激しい痛みを感じるときは、膵炎の疑いが強くなります。
重症化すると、命に関わることもあるため、放置は厳禁です。
病院は何科?
膵炎を疑うときは、内科・消化器内科を受診しましょう。
膵炎の場合、
鎮痛剤の投与
輸血
絶食
などによって、症状の改善を図ります。
安定するまで集中治療の管理が行われるため、入院が必要になるケースが多いです。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人日本肝膵外科学会