パニック障害は「家族が原因で発症する」ってホント?
パニック障害の原因について、お医者さんに聞いてみました。
パニック障害になりやすい人の特徴も紹介するので、心当たりがないかチェックしましょう。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
「パニック障害」は家族が原因で発症する?
家族が原因でパニック障害を発症するケースもあると考えられます。
- 常に両親のことを脅威に感じている
- 家族から批判ばかりされる
- 虐待されている
などの家庭環境が理由となって、パニック障害を発症することがあります。
特に、幼少期に受ける影響が大きいです。
家族が上記のような関わり方をしていると、子どもは自分の気持ちを抑えて「いい子で居なければ」と無意識に考えるようになります。
すると、蓄積されたストレスが限界に達して、パニック障害を発症することがあります。
ただし、はっきりとした原因はわかっていません
パニック障害を発症する原因は、はっきりとは解明されていません。
ですが、環境による影響が強いといわれているほか、遺伝的要因やストレスなども関与しているケースがあります。
睡眠不足や過労などで、肉体的に追い込まれて体に乳酸がたまると、パニック障害の発症につながるとも考えられています。
そもそもパニック障害とはどんな病気?
パニック障害とは、突然何の理由もなく、動悸・発汗・吐き気・めまいなどの発作が起きてしまい、日常生活に支障をきたす病気です。
この「パニック発作」は、危険を察したときに働く脳のシステムの誤作動が原因のため、自分の力でコントロールできません。
電車やエレベーターなど、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになるため、外出ができなくなってしまう場合があります。
パニック障害になりやすい人の特徴
- 20~30代
- 女性
- 完璧主義者
- 真面目で頑張り屋
- こだわりが強い
- 小さい頃に人見知りだった
- 人混みや狭い空間で緊張を感じやすい
上記に該当する人は、パニック障害を発症しやすいといわれています。
また、仕事や家事、育児で「精神的に大変な状況の人」や、過労で「肉体的に疲労がたまっている人」もパニック障害になりやすいといわれています。
パニック障害はどうやって治すの?
パニック障害を治すためには、病院で治療を受けましょう。
「薬物療法」や「精神療法」によって症状が和らぐと考えられます。
薬物療法では、発作が起きないように、「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」などの「抗うつ薬」や「抗不安薬」を使うことが多いです。
精神療法では主に、発作の対処法を学ぶ「認知行動療法」や、恐怖を覚える対象と向き合う「暴露療法」が行われます。
パニック障害は「心療内科」または「精神科」で治療できます。
心療内科を探す
精神科を探す
自分でできる対処法
個人でできるパニック障害のセルフケアとして、
- こまめにストレスを発散する
- 規則正しい生活を送る
- カフェイン・アルコールを控える
といった方法が効果的です。
上記の習慣を身につけることで、パニック障害の悪化防止につながります。
カフェインやアルコールは、症状を悪化させることがあるため控えましょう。
家族からは離れたほうがいいの?
一概にどちらが良いとは言えません。家族から離れた方がよいケースと、家族のサポートを受けた方がよいケースの両方があります。
患者と家族との関係性や、家族自身がサポートする姿勢を持っているかどうかによって、適切な対応は変わってきます。
医師と相談しながら、慎重に判断していくことが重要です。
パニック障害が治るまでの期間は?
個人差が大きいですが、パニック障害は治るまでに半年から一年ほどかかると考えられています。
ただし、睡眠不足やストレスが多い生活が続いたり、治療を自己判断で中断したりすると、治療期間が長引くケースがあります。
一方で、
- 規則正しい生活を心がけている
- 焦らず前向きに治療に取り組めている
- 家族のサポートが充実している
場合は、治療期間が短くなる傾向にあります。
身近な人がパニック障害を発症したら…
発作が起きたときは、患者さんのそばにいて安心感を与えましょう。
普段接するときは、特別扱いをせずにいつも通りの対応をしてください。
必要に応じて話を聞いたり、ゆっくり休ませたりして気長にサポートしましょう。
心療内科を探す
精神科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
合わせて読みたい
2021-11-08
パニック障害の治療方法をお医者さんに聞きました。
「完治するまでの期間は?」
「薬なしでも治るの?」
治療に関する疑問をはじめ、日常生活の注意点まで詳しく解説します。
パニック障害の「治療を受けるまでの流れ」
まず、問診を行います。
その後、他の病気が疑われる場合は検査をします。(血圧の測定や血液検査など)
最終的に「パニック障害」と診断された場合、治療の方針について相談します。
病院は何科?
パニック障害が疑われる時は心療内科、精神科を受診してください。
また、かかりつけ医院がある場合は、一度相談してみるのも良いでしょう。
初診ではどんなことを話す?
初診では
今、困っている症状
いつから症状があるのか
どんな時に症状が出るのか
などをお話します。
うまく話せるかご心配な人はメモしていくことをおすすめします。
家族との関係や、生活の状況について聞かれることもあります。
話しにくい時は無理しなくて大丈夫です。「今はお話しできません」と正直にお伝えください。
受診の際の「持ち物」は?
健康保険証
お薬手帳(持っていれば)
現在服用しているお薬(持っていれば)
自立支援医療受給者証など各種医療受給者証(持っていれば)
他の医療機関からの紹介状(持っていれば)
心療内科を探す
パニック障害の「治療方法」
パニック障害は、薬を使う治療と精神療法を併用して行います。
その他、動悸や発汗など身体から始まる不安の場合、「タッピング法・別名EFT(Emotional Freedom Techniques)」を行うこともあります。
「精神療法」とは
精神療法には発作の原因となっているものに敢えて向き合う「暴露療法」や、受け取り方・考え方をコントロールして発作に対応する力をつける「認知行動療法」などがあります。
「薬を使う治療」とは
セロトニンを調整する「抗うつ薬」と、不安な気持ちを緩和させる「抗不安薬(安定剤)」の2種類の薬を使用します。
1ヶ月間などの短期間、薬を服用して症状を軽減し、精神療法とあわせて再発を予防していきます。
徐々に薬の量を減らしていくことを目指します。
「タッピング法(EFT)」とは
タッピング法は、ネガティブな感情に意識を集中させながら、顔・胸周辺・手など14個所のツボを軽く刺激します。
薬なしで治療はできますか?
現在の日本ではお薬での治療がスタンダードになっています。
ですが、「薬を使用したくない」とご自身の希望を医師に伝え、一緒に治療方針を検討するとよいでしょう。
漢方や鍼灸などもありますが、薬の方が効果的なケースもあります。
信頼できる医師のもとで、よく相談することが大切です。
治療にかかる費用は?
一般的に、初診の費用は保険診療で2000円~3000円前後であることが多いです。
その後は治療方針によっても異なりますが、1回につき1000円~2000円程度となります。
治療の内容や、保険の種類によっても費用が異なるので、事前に電話等で問い合わせておくと良いでしょう。
治るまでの期間は?
症状が良くなるまでの期間は、個人差が大きいですが、数ヶ月~2年ほどかかることが多いといわれています。
早くから治療を始めることで慢性化を避けることができます。
パニック障害克服のために心がけること
医療機関での治療のほかに、「食べ物」「禁酒」「生活習慣の見直し」を意識して、パニック障害の克服を目指しましょう。
食べ物はどう選べばいい?
栄養バランスの良い食事を3食摂り、カフェインやアルコールは控えてください。
生活習慣が悪いと自律神経が乱れ、パニック障害の症状を悪化させます。
おすすめの食材
抗酸化作用がある「ビタミンC」、神経の興奮を落ち着かせる「カルシウム」などの栄養素を意識して摂りましょう。
ビタミンC
みかん・キウイ・レモン・グレープフルーツ・パプリカ・ブロッコリーなど
カルシウム
牛乳・チーズ・ヨーグルト・しらす・ひじき・干しえび・豆腐など
治療中だけどお酒が飲みたい…どうする?
お薬を飲んで治療している時は、お酒は控えてください。
「抗うつ薬」や「抗不安薬」などの薬を服用している時にアルコールを摂取すると、意識が朦朧とし、大変危険です。
寝不足はパニック障害につながる?
睡眠不足や過労は発作を起こす要因となるため、最低7時間の睡眠時間を確保し、疲れやストレスを溜めないようにしてください。
規則正しい生活を送り、焦らずに一歩ずつ治療していきましょう。
心療内科を探す
▼参考
MSDマニュアル家庭版:パニック発作とパニック症
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター:認知行動療法とは一般社団法人日本うつ病センター:パニック障害Q&A