「足の裏と手のひらが熱い…」
「熱はないのに、なぜ?」
手足が熱っぽくなる原因を、お医者さんに聞きました。
自律神経失調症、更年期障害といった病気についても解説します。
病院に行く目安や、受診すべき診療科も併せて確認しましょう。
監修者
経歴
日本整形外科学会専門医
日本スポーツ協会 公認スポーツドクター
日本医師会認定産業医
日本オリンピック委員会強化スタッフ
兵庫県アマチュアボクシング連盟医事委員会
高知医科大学卒業後、岸和田徳洲会病院で3年間救急医療に従事したのち、大阪市立大学整形外科医局に入局し、整形外科医として経験を積む。医師としてだけではなく手技療法を学び、2004年12月24日にオルソグループを設立。
現在は、休息療法、栄養療法、運動療法、手技療法、地域医療を連携して提供することにより、健康がもたらされ、笑顔と元気を広げ、日本の健康寿命の延伸に貢献したいと思い活動中。
足の裏と手のひらが熱い…何が起こっている?
発熱がないのに足の裏と手のひらが熱いのは、何らかの影響で血流が活発になり、手や足に血液がたくさん流れ込んでいる状態であることが多いです。
血流が活発になる原因は、もちろん激しい運動の後や体温が上がった時など様々ありますが、時には運動や特別な活動をしていない場合にも起こることがあります。
その場合は自律神経が乱れていたり、病気が潜んでいる可能性もあります。
血流が活発になって足の裏や手のひらが熱くなる原因を説明します。
考えられる原因3つ
熱がないのに足の裏と手のひらが熱い場合、考えられる主な原因は
- ・自律神経の乱れ
- ・ホルモンバランスの乱れ
- ・末梢神経障害(糖尿病など)
の3つです。
原因① 自律神経の乱れ
自律神経が乱れると、体が血流や体温をうまく調節できなくなります。
そのため、ストレスなどにより交感神経と副交感神経のバランスが乱れると、体温が急に上がってしまったり、手足が熱く感じられることがあります。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2種類あり、この2つの神経がバランスよく働くことで血流や体温を正常に保っています。そのため、この自律神経のバランスが乱れると体温をうまく調整できなくなることがあります。
逆に副交感神経が優位になりすぎると、血管が拡張して血流がゆっくりになり一時的に滞るため、手足が冷たく感じる場合がありますが、その後急に血液が流れ込むと、手足が熱く感じることがあります。
自律神経の乱れの原因
- ストレス
- 疲れ
- 睡眠不足
- 急な気温の変化
- 生活リズムの乱れ
自律神経のバランスは日常の生活によって乱れることが多いです。仕事や人間関係で緊張する状況が続いていたり、睡眠不足だったり、疲れが溜まっていたりなどの環境でも乱れます。
また、自律神経は温度差などでも乱れやすいので、真夏に冷房が効きすぎている室内に入ったり、逆に真冬に暖房が効いている部屋に入ったりなどを繰り返すことでも起こりやすいです。
【見分け方】症状の特徴
- ストレスや環境(暑い・寒い)によって悪化や改善が見られる
- リラックス時に症状が目立つ場合が多い
- 手足が冷たいと感じた後に熱く感じる、または交互に繰り返すことがある
- 動悸、息苦しさ、倦怠感、消化不良、不眠などの他の自律神経症状を伴うことが多い
自律神経の乱れによる熱さの場合は、他の部分(例えばお腹や背中など)は熱くないのに、手のひらや足の裏だけが「熱い」と感じることが多いです。
また、冷たいタオルや水に触れても、一時的には気持ちよくなるものの、完全には改善しない場合があります。
原因② ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが乱れると、体温調節がうまくできなくなり、血流の変化や自律神経の働きに影響を及ぼすことがあります。その結果、全身の体温が上がる場合もあれば、手や足の血流が増加して局所的に熱く感じることもあります。
女性ホルモンには主に 「エストロゲン」と「 プロゲステロン」があります。この2つは、月経周期や妊娠を調整するだけでなく、体温や血流、血管の働きをコントロールする重要な役割も担っています。
例えば、「エストロゲン」は血管を広げたり、血流をスムーズにする作用があり、「プロゲステロン」は体温を上昇させる作用があるため、この2つのホルモンのバランスが崩れると体温が上がりやすくなります。
また、エストロゲンが減少すると、体の水分や塩分のバランスが崩れ、むくみが出やすくなります。このむくみにより血流が停滞すると、周囲の組織に炎症や酸素不足が生じ、局所的な熱感につながることがあります。
ホルモンバランスの乱れの原因
- 生理周期(排卵日付近)
- 更年期(加齢)
- 妊娠、産後
- 食生活の乱れ(ダイエット)
- 運動不足・過剰な運動
- ストレス
- 睡眠不足
など
生理周期の中でも、特に排卵日付以降は体温を上昇させる「プロゲステロン」の分泌が増えます。そのため、体温が上がりやすくなり、結果足の裏や手のひらが熱くなることがあります。
【見分け方】症状の特徴
- 体の内側からじんわり熱く感じる
- 冷やしてもすぐに戻る
- 生理前、排卵期など特定のタイミングで感じやすい
- 気分の変化
- 肌荒れ、乾燥
- むくみ
表面だけが熱いわけではなく、体の中からじんわりと熱が上がってくるように感じるのが特徴です。
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2018-10-23
「体がほてる…」
「気分が落ち込む…」
更年期障害の症状について、お医者さんに詳しく聞きました。
「更年期障害を終えた人の体験談」も載せています。
今さら聞けない?更年期障害が起こるしくみ
更年期障害は、女性ホルモンが急激に減少することで起こります。
女性は35歳を過ぎると卵巣内に残っている卵子の数が激減し、「エストラジオール」という女性ホルモンの分泌も減少します。
その結果、
不足を察知した脳が「女性ホルモンの分泌」の指令を出す
指令を受けても、卵巣が女性ホルモンを分泌できない
という矛盾した状態が続き、更年期障害の発症につながると考えられています。
※必ずしもすべての女性が更年期障害になるわけではありません。
こんな症状のお悩み、ありませんか?
更年期障害の症状としては、次のような
体の症状
心の症状
が挙げられます。
① 体の症状
ほてり(ホットフラッシュ)
のぼせ
頭痛
全身倦怠(けんたい)感
めまい など
② 心の症状
無力感
不安を感じやすくなる
憂鬱になりやすい
気分が落ち込む など
症状の現れ方には個人差がある
更年期障害は個人差が大きく、症状も人それぞれです。
更年期障害の症状が全くない人もいれば、症状が軽い人、重い人、医療機関での治療を要するほど重篤な人とさまざまです。
更年期障害の症状は多岐にわたります。この他にも200~300種類も症状が現れることがあるのです。
症状が複数当てはまるなら、医師に相談してみましょう。
更年期障害が重症化しやすい人の傾向
更年期障害が重症化しやすい方には
生真面目
ストレスを抱えやすい
人間関係に問題を抱えている
というような傾向があります。
更年期障害は、エストラジオールという女性ホルモンの分泌減少だけが原因ではありません。
心理的要因も関与するため、個人差が非常に大きく、体中どこでも症状が現れます。
更年期障害が重症化すると…
更年期障害が重症化すると、骨粗しょう症やうつ病、高血圧などの病気を誘発する恐れもあります。
症状を緩和するためには…
欠食をしない
食べ過ぎない
睡眠時間をしっかり確保する
といった規則正しい生活を心がけてください。
更年期障害の症状は徐々に緩和されていくケースが多いです。
乱れた生活を控えて、上手に更年期障害を乗り切っていきましょう。
更年期障害は、いつ終わる?
更年期障害に、終わりはありますか…?
もちろん終わりはあります。
更年期とは、閉経前後の5年ずつを指します。
50歳前後での閉経が平均なので、ほとんどの女性が45~55歳で更年期を迎えます。
更年期障害が治まるのは、平均で閉経5年前後くらいからです。
更年期障害が、いつ終わるかは断言できませんが、長くても10年ほどです。
更年期障害の“終わりのサイン”
生理の出血量、日数が少なくなってくる
性欲がなくなる
生理の周期の規則性がなくなり、回数も次第に減ってくる
上記のサインが見られた後に、症状が自然と終わることが多いです。
生理の出血量、日数が少なくなってきましたが、最期までかなり定期的なサイクルでありました。
(49歳 女性)
私の場合、55歳を過ぎた頃から、突然生理前に性欲がなくなりました。
生理の周期も、若い時に比較したら、規則性がなくなり、回数も次第に減ってきました。
(58歳 女性)
生理が不定期になったころはひどかったのですが、54歳で閉経してから落ち着きました。
あまり意識しませんでしたが、自然におさまりほてりも少なくなると、夜も眠れるようになりました。
(62歳 女性)
【体験談】更年期症状が終わるまで
ホットフラッシュや体の怠さイライラなどが生じ病院へ行ったのですが、「たいしたことはない」と言われてしまったので、市販の命の母を買って飲んでみました。
その後、少しは良くなりホットフラッシュやイライラもなくなっていきました。
(54歳 女性)
最後の方は、生理開始前日に頭痛がするようになりました。
また生理の間隔が大きくなるのではなく、私の場合、28周期から25周期くらいに短くなっていきました。
その他は、特によくあるホットフラッシュ等はあまりありませんでした。
(49歳 女性)
仕事を続けていたので寝込むまではなかったのですが、倦怠感や無気力など精神的な方に症状を感じ、泣きたくなることも多かったです。
特に終わりのサインは感じなかったのですが、50代に入ってすぐの頃、仕事も辞めずに続けていくうちにその感覚は薄れていった気がします。
そのまま自宅にこもったり、一人になったりしていたら良くなかったと感じました。
(61歳 女性)
一人で悩まないで!つらい症状は医師に相談を
症状が気になる方は、迷わず医療機関を受診してくださいね。
更年期障害の悩みは「婦人科」で診療を行っています。
婦人科では、
ホルモン補充療法
漢方薬・抗うつ剤の処方
など、つらい症状を緩和する治療も可能です。
更年期障害を乗り切るには、ご自身の状態を前向きに捉えることが大切です。
症状にお悩みの方は、一度医師のサポートを受けてみることをおすすめします。
婦人科を探す
原因③ 末梢神経障害(糖尿病など)
末梢神経障害とは、脳や脊髄から伸びる末梢神経に異常が生じる病気です。なかでも特に感覚神経に異常があると「熱い」感覚が現れやすいです。
末梢神経障害は糖尿病などによって起こります。
末梢神経が損傷すると、神経が送る信号が異常になり、「実際には熱くないのに熱いと感じる」などの違った情報が脳に伝達。
これにより、実際は熱くないのに足の裏や手のひらが熱く感じることに繋がります。
また、末梢神経障害によって自律神経が乱れることで血流が増減し、熱感やほてりを感じる場合もあります。
末梢神経障害の原因
- 特に手足が熱くなる末梢神経障害の原因は、
- 糖尿病
- アルコール依存症
- ビタミン不足
などです。
糖尿病によって血糖値が高い状態が続くと、末梢神経がダメージを受け、手足が熱く感じたり、しびれたりします。
また特にビタミンB群(B1、B6、B12)の不足は、神経の修復に影響を与え、末梢神経障害を引き起こします。
【見分け方】症状の特徴
- ジリジリと焼けるような熱さ
- 夜間に悪化しやすい
- 手足がしびれることもある
「じんわり」ではなく、「焼けるような熱さ」や「チクチク」とした痛みを伴うことがあるのが特徴。手足がしびれたり、物を触ったときの感覚が鈍くなることもあります。
バーニングフィート症候群とは?何が違うの?
バーニングフィート症候群とは、その名前の通り「足の裏が燃えるように熱く感じる」症状が特徴の状態です。
この症状は主に足の裏に集中しますが、手のひらには現れないのが一般的です。
バーニングフィート症候群は、主に
- ビタミンB群の欠乏
- 慢性的なアルコール摂取
- 末梢血管疾患
- 自律神経の異常
などによって起こりますが、症状が起こるのは足の裏だけで、手のひらに同じ症状が出ることはほとんどありません。
自律神経の乱れやホルモンバランスの乱れがある場合は足の裏だけでなく、手のひらも同様に熱く感じることがあるため、違う現象だと考えられるでしょう。
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2022-12-23
更年期障害ってどんな症状が出るの?
なりやすい人の特徴は?
更年期障害について、分かりやすくまとめました。
普段の生活で心がけたいポイントや、病院に行く目安も紹介します。
更年期障害とは
女性は40代頃から、卵巣から分泌される「女性ホルモン」が急激に減少します。
これに伴ってあらわれる、さまざまな心身の不調を総称して、更年期障害と呼びます。
更年期障害は何歳から始まる?
更年期とは、閉経前後の5年ずつを指します。
50歳前後での閉経が平均なので、ほとんどの女性が45~55歳で更年期を迎えます。
更年期障害はいつ終わる?
更年期障害が、いつ終わるかは断言できませんが、長くても10年ほどです。
更年期障害の症状をチェック
のぼせ・顔のほてり(ホットフラッシュ)
息切れ・動悸
頭痛
めまい
不安を感じやすい、イライラしやすい
など
上記の症状は、更年期障害の主な症状の一例です。
更年期の症状は多岐にわたるため、上記以外の症状があらわれる人もいます。
「更年期の症状が出やすい人」の特徴は?
以下、それぞれの項目ごとに2~3個ずつ当てはまる場合、更年期障害を発症しやすいと考えられています。
▼睡眠
24時以降に眠り、10時以降に起床する日が週に3日以上ある
低血圧で、朝起きるのがつらい
夜中に目が覚めやすい
寝る前にスマートフォンやパソコンを使っている
浅い眠りしかとれず、熟睡感がない
▼食事
1日3食はとらない(よく欠食する)
食事の時間がバラバラ
食事量を過度に制限するなど「極端なダイエット」をしている
暴飲暴食している
好き嫌いがあり「偏った食生活」になっている
▼性格
人に比べて神経質
何事にも真面目
完璧主義
仕事などを頑張りすぎてしまう
怒りっぽく、些細なことでもイライラしやすい
▼その他
疲れやストレスが多い生活を送っている
休みが少なく、心身ともにリラックスできる時間がない
体が冷えやすい
運動する習慣がない
産後うつ・月経前症候群が重かった
※これらの症状に当てはまらない場合でも、更年期障害を発症する可能性はあります。
今からできる!更年期の症状を和らげる「5つの対策」
1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
1日7〜8時間程度の質のよい睡眠をとる
週3~4日、有酸素運動を行う
入浴のときは「湯船に浸かる」
こまめにストレスを発散させる
更年期の症状を和らげるには、自律神経を整えておくことが大切です。
上記の点を意識して、生活習慣を見直していきましょう。
こんな症状があったら「婦人科」で相談を!
眠れないことで憂うつな気分が続く
強い不安感がある
食欲がなく、体重が減った
息切れ・動悸がする
めまい・吐き気がする
激しい頭痛がある
上記のような症状が出ている方は、一度「婦人科」に相談してみましょう。
放置していると、症状が悪化して仕事に行けなくなるなど、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
また、更年期症状の影響により不眠が続くと、睡眠に対するこだわりが強くなり、眠れないことへの恐怖心から症状が慢性化する恐れもあります。
どんな検査を受けるの?
更年期症状で病院を受診した場合は、一般的に、
問診
身長・体重・血圧の測定
検査(血液・子宮・卵巣・甲状腺・心臓等の検査)
を行い、患者さんの症状に合わせて治療が選択されます。
※検査内容等は、受診する医療機関によって異なることがあります。
どんな治療法があるの?
治療法としては、エストロゲン・プロゲステロンなどの女性ホルモンを飲み薬・塗り薬・貼り薬で補う「ホルモン補充療法(HRT)」や、「漢方薬」を使った治療法があります。
うつ症状が強く表れているときは、抗うつ薬や抗不安剤などの「向精神薬」が処方されます。
※飲み合わせの関係でホルモン補充療法や他の薬が使いにくい場合もあります。治療中の病気や飲んでいる薬は医師に伝えたうえで、薬を処方してもらいましょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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もしかして糖尿病の前兆?セルフチェックしてみよう
- 足の裏や手のひらが焼けるように熱い、またはチクチクする感覚がある
- 特に夜間や安静時に熱さを強く感じることが多い
- 喉が渇きやすく水分を頻繁に欲しくなる
- 尿の量や回数が増えたと感じる
- 疲れやすい
- 体重が急に減少した
- 食後に眠気やだるさを感じやすい
- 傷や切り傷が治りにくい、悪化しやすい
- 足の裏にしびれや感覚の鈍さがある
- 目がかすむ、または視力が落ちたように感じる
★7個以上当てはまった場合、糖尿病の可能性が高いです。早めに医療機関を受診して検査を受けてください。
今すぐ自分でできる対処法
- 足や手を冷やす
- 足や手を高い位置にする
- ゆっくり深呼吸する
- 水分補給をする
- 気分を落ち着ける
などを試してみましょう。
対処法① 足や手を冷やす
手や足が熱く感じるときは、血流が集中している場合があります。冷やすことで血管が収縮し、血流が落ち着くため、熱さを和らげられます。
やり方
冷たいタオルや保冷剤を布で包んで、足の裏や手のひらに当てましょう。
冷水に手や足をつける方法も有効です(20分以内)。
\この行動はNG!逆効果です/
手足を急激に冷やす行為は避けましょう。熱いからといって氷や冷たい水に当てるのはNGです。
急激に冷やすと、体温を戻そうとする働きが活発になるため、逆にさらに手足が熱くなることがあります。
対処法② 足や手を高い位置にする
血液が手足に滞っている場合、重力を利用して血流を全身に分散させることができます。これにより、熱さの感覚が軽減されることがあります。
やり方
仰向けに寝て、クッションや枕を使って手や足を心臓より高い位置に上げます。
そのまま手を開いて閉じて「グー、パー」を繰り返すとさらに効果的です。
対処法③ ゆっくり深呼吸する
自律神経の乱れが原因の場合、リラックスすることで交感神経(活動モード)から副交感神経(リラックスモード)に切り替わり、血流の異常が改善されることがあります。
やり方
静かな場所で座り、鼻から深く息を吸い、口からゆっくり息を吐きます。
これを数回繰り返しましょう。
特に緊張やストレスを感じている時などにおすすめです。
対処法④ 水分補給をする
体内の水分不足は血液の循環を悪化させ、体温調節がうまくいかなくなることがあります。十分な水分を摂取することで体内の循環が改善されます。
やり方
常温または少し冷たい水をゆっくり飲みます。スポーツドリンクもおすすめです。
対処法⑤ 気分を落ち着ける
ストレスが原因で自律神経が乱れている場合、気分を落ち着けることで交感神経の過剰な働きを抑えることができます。
やり方
散歩をする、好きな音楽を聴く、アロマを使ってリラックスするなど、自分が落ち着ける方法を実践しましょう。ぬるめの湯船にゆっくり浸かるのもおすすめです。
足の裏と手のひらの熱さ…放置していて大丈夫?
足の裏や手のひらの熱さが一時的なものであったり、マッサージをしたり軽く動くと改善する場合は一旦様子を見てよい場合が多いです。
ただし、足の裏や手のひらの熱さが数日以上続く場合や、しびれ、痛みを伴う場合は末梢神経障害なども考えられます。早期に病院へ行くのが望ましいでしょう。
様子を見て受診をするのが望ましい場合
環境的なものや、物理的なもので何か自分ではっきりと原因が分かる場合であれば一旦様子をみてもいいでしょう。
- 数分~数時間で自然に治まる
- 他に体調の不調を感じない
- 動いたりマッサージをすると改善する
などです。
運動後、暑い場所での活動、ストレスや疲労などによって一時的に血流が増えたり、自律神経が刺激されたりすることで起こっている場合が多いです。体を休めたり、静かな場所でリラックスしてみましょう。
ただ、大したことないと思ってても何か見付かることがあります。原因が分からなければまず内科を受診してみましょう。そこで「何もない」と言われれば安心です。
できるだけ病院を受診するのが望ましいでしょう。
緊急性がある場合
- 足の裏や手のひらの熱感が数日以上続く
- 徐々に熱さが強くなる
- しびれや痛みを伴う
- 疲れやすい、だるい
- 夜に症状が悪化する
- 頻繁な手足のむくみがある
末梢神経障害や自律神経の異常、ホルモンバランスの乱れが考えられます。病院へ行くことで楽になることもあるため、一度専門医にみてもらうといいでしょう。
病院は何科?行く目安は?

「熱がないのに足の裏や手のひらが熱い」と感じるとき、原因がわからない場合はまず内科を受診するのがおすすめです。
足や手の熱さは、自律神経の乱れ、ホルモンバランスの問題、末梢神経障害、血行不良、糖尿病など、多くの原因が考えられます。
内科では、これらの病気を特定するための問診や血液検査、必要に応じて他科への紹介が可能です。
病院で何を伝えればいい?
病院では、
- いつから熱さを感じるようになったのか
- どんなときに症状が強くなるのか(夜間、運動後、緊張時など)
- 他に感じる症状(しびれ、疲労感、むくみ、喉の渇きなど)
を伝えるとスムーズに診断できるでしょう。
病院に行く目安は?
- 1週間以上足や手の熱さが続いている
- 手足のしびれ、むくみなどがある
- 急に熱さが増す
- 足や手に赤み・青みが出る
などの症状がみられた場合は、病院へ行くのが望ましいでしょう。
足の裏や手のひらの熱さが一時的で、足や手を冷やしたり、リラックスすることで症状が軽減する場合は様子を見てもいいでしょう。
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2020-05-19
「最近イライラしてばかり…」
「急に泣きたくなるのはなんで…?」
その症状、もしかしたら自律神経失調症かもしれません。
自律神経失調症のセルフチェックと病院の受診目安、治療法などを医師が解説します。
自律神経失調症かも。何科に行けばいい?
まずは、身体に現れている症状に合わせた診療科を受診してみましょう。
様々な全身症状がでている→内科
耳・鼻の症状、めまい→耳鼻いんこう科
婦人科関連の症状がある→婦人科・産婦人科
そこで原因がわからず、症状が改善しない場合は、心療内科や精神科を受診しましょう。
何科を受診しようか迷っている時には、直接病院に問い合わせてみると丁寧に教えてくれますので、決心がつかないときには聞いてみるとよいでしょう。
▼様々な全身症状がでている→内科へ
内科を探す
▼耳や鼻の症状、めまいがある→耳鼻いんこう科へ
耳鼻いんこう科を探す
▼婦人科関連の症状がある→婦人科・産婦人科へ
婦人科を探す
▼上記で症状が改善しない、ストレス症状が出ている→心療内科や精神科へ
心療内科を探す
どんな治療をするの?
自律神経失調症は、患者さんの症状・タイプ・原因によって治療法が変わります。
基本的には症状に対する薬物療法を行い、並行してその他の治療法が適用されます。
心身両面に働きかける治療や、根本治療のために生活環境・習慣を整える指導が行われます。
具体的な治療法の例
薬物療法
自律訓練法などによるセルフコントロール
カウンセリングやリラクゼーション法などの心理療法
指圧やマッサージ、整体や鍼灸、ストレッチなどの理学療法
音楽療法、アロマテラピーなど、五感に働きかける治療法
自己管理によるライフスタイルの見直し
※この他にも、医療機関によって専門分野や連携施設などがある、治療法も多岐に渡ります。
自律神経失調症のセルフチェック
「自律神経失調症かも…」
と心配な方は、セルフチェックしてみましょう。
当てはまる数が多いほど、自律神経失調症を発症している可能性が高いです。
<身体的症状>
慢性的な疲労、だるさ
めまいや立ちくらみ
片頭痛
動悸、息切れ、窒息感
火照り、発汗
不眠、睡眠不足、寝つきが悪い
悪夢、金縛り
便秘や下痢
微熱
胸痛
肩こり、腰痛
耳鳴り
手足のしびれや震え
口やのどの不快感、つっかえ感
頻尿や残尿感
風邪でもないのに咳が出る
気候の変化に弱い
月経不順
<精神的症状>
イライラや焦り
不安感
疎外感
気分の落ち込み
やる気が出ない
憂鬱になる
感情の起伏が激しい
あなたはどれ?自律神経失調症の4タイプ
自律神経失調症は、主に4つのタイプに分けられます。
本態性型
神経症型
心身症型
抑うつ型
それぞれのタイプについて解説します。
1.本態型
自律神経の調節機能が乱れやすい体質の方(虚弱体質・低血圧など)に多くみられます。
本能性型は、病院で検査をしても特に異常が見られない、ストレスなどが原因ではないのが特徴です。
<どんな人がなりやすい?>
子どもの頃からすぐに吐いてしまう、下痢しやすい、疲れやすい、冷え性、癇癪持ちといった傾向があります。
2.神経症型
神経症型は、心理的な影響によって発症するタイプです。
神経質で、くよくよしがち、感受性が過敏であるなど、心理的な問題が原因となります。
イライラや不安感など、感情の移り変わりが症状に出やすい傾向にあります。
<どんな人がなりやすい?>
自分の体調の変化に対してとても敏感で、少しの精神的ストレスでも体調を崩してしまうような、精神状態に左右されやすいタイプの方です。
3.心身症型
日々のストレスを無理に抑え込もうとすると発症してしまうことのあるのが、このタイプです。
自律神経失調症の中でも特に患者数が多いタイプと言われています。
身体的・精神的のどちらか、またはどちらにも症状が現れます。身体的な症状(下痢・吐き気・だるさ・微熱など)、精神的な症状(不安感・気分の落ち込み・やる気が出ない・憂鬱・焦燥感など)があり、出る症状は人それぞれ異なります。
<どんな人がなりやすい?>
周りの目を気にしすぎて自分の意見をはっきり言えない、神経が過敏でストレスに弱い性格の方に多いです。
また、引越しや転職など、環境の変化によるストレスなどが原因となるケースもあります。
4.抑うつ型
3番の心身症型がさらに進行してしまうとこのタイプになります。
肉体的にも精神的にも複数の症状が現れることが多いと言われています。
やる気が起きない、気分がどんより沈んでいる、興味が湧かないといったうつ症状、身体的には、頭痛や微熱・倦怠感・食欲不振・不眠や寝付きが悪いなどの症状が現れます。
<どんな人がなりやすい?>
几帳面、努力家、真面目、完璧主義な性格の方がなりやすい傾向にあります。仕事などで頑張りすぎてしまったり、はっきりと断ることができなかったりと、ストレスに弱い性格なども原因になりえます。
病院の受診目安
セルフチェック(※上記)に該当する症状が多い
症状が2〜4週間続いている
日常生活に支障をきたす
という場合は、病院に行きましょう。
自律神経失調症は、人によって症状が様々で、複数の症状が出ることが多いため、一定の受診目安をお伝えすることは難しいですが、辛い・苦しいと感じている場合は、我慢せずに、病院を受診することをおすすめします。
受診するタイミングはいつがいい?
症状が出ているときでも落ち着いているときでも、ご自身が行けるタイミングでいきましょう。
症状が出ていて、外出するのが嫌だという場合は落ち着いてからいきましょう。
早期受診をおすすめする理由
ストレスや生活習慣が原因で自律神経が乱れていることが多いため、そのままの生活を続けていても改善することはほとんどないといえます。
原因にもよりますが、何かを変えない限りは治らないため、治すためには治療を受けましょう。
また、自律神経失調症を放置すると、
治りが遅くなる
うつ病など、深刻な病気を見逃す
糖尿病、甲状腺機能異常症などの疾患を見逃す
治療に時間がかかる
といったリスクも生じます。
病院に行くメリット
症状や身体に合わせて、治療法やお薬の選択をしてくれます。
また、病院によっては、専門家によるカウンセリング等の心理療法や、ストレッチ等の理学療法など、症状や原因に合わせたアプローチをしてくれるので、適切な治療を受けることができます。
▼様々な全身症状がでている→内科へ
内科を探す
▼耳や鼻の症状、めまいがある→耳鼻いんこう科へ
耳鼻いんこう科を探す
▼婦人科関連の症状がある→婦人科・産婦人科へ
婦人科を探す
▼上記で症状が改善しない、ストレス症状が出ている→心療内科や精神科へ
心療内科を探す
▼参考
【医師が解説】自律神経失調症の症状・診断・治療 | こころみ医学
広報誌 健康倶楽部/2010年8月号 自律神経失調症ってどんな病気なの?/総合南東北病院