子どもが鼻づまりで寝付けない…。
どうすればいいの?
鼻づまりで寝られないときの対処法をお医者さんに聞きました。
放置するリスクと病院に行く症状についても解説します。
監修者
経歴
公益社団法人 日本小児科学会 小児科専門医
2002年 慶應義塾大学医学部を卒業
2002年 慶應義塾大学病院 にて小児科研修
2004年 立川共済病院勤務
2005年 平塚共済病院小児科医長として勤務
2010年 北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室勤務
2012年 横浜市内のクリニックの副院長として勤務
2017年 「なごみクリニック」の院長として勤務
2020年 「高座渋谷つばさクリニック」院長就任
鼻づまりで寝付けないときの対処法
対処法として
- 鼻を温める
- 部屋を加湿する
- 体を温める
- 鼻吸い器を使う
- 寝かせ方を変える
という5つの方法があげられます。
対処法1. 鼻を温める
水で濡らしたタオルを電子レンジで適温に(素手で普通に持てる程度の熱さ)温め、鼻の付け根を温めましょう。
詰まっていた鼻水がゆるくなり、出てきやすくなります。
対処法2. 部屋を加湿する
加湿器をつけて、部屋の加湿をしましょう。
乾燥していると、それだけ鼻水からも水分が奪われ、固くなります。加湿器がない場合は、お湯を沸かしたり、濡れた洗濯物やタオルを部屋に干しましょう。
適正湿度: 40%~60%
対処法3. 体を温める
3首といわれる、首・手首・足首をしっかり温めて、体温をあげましょう。
体全体を温めると、血流が良くなり、体温が上がって、鼻水も出てきます。
マフラー、ネックウォーマー、レッグウォーマーなどを活用してください。
入浴をして、体を温めるのも鼻の中まで加湿できて、鼻水が出やすくなるのでおすすめです。
対処法4. 鼻吸い器を使う
ドラックストアなどで販売されている「鼻水取り」を使用し、ママ・パパが鼻水を取ってあげましょう。
奥に溜まっている鼻水までとれるので、しばらくは、すっきりとして眠りやすくなります。手動タイプ、電動タイプなど様々な種類があるので、子どもの鼻にフィットするものを選びましょう。
対処法5. 寝かせ方を変える
少し上体を起こせるような体勢を作ってあげましょう。
仰向けに横になっていると鼻づまりになりやすいです。
- 布団やクッションを重ねて寄りかかるようにする
- うつ伏せで枕を抱えるような姿勢にする
というように、体勢を変えてあげると、鼻水が出やすくなります。
やってはいけない対処法
綿棒で、無理に鼻水を掻き出すのはやめましょう。
鼻づまりがあるからといって無理に綿棒で掻き出すと、粘膜を傷つけます。
綿棒を使う場合は、クリームなどを綿棒に塗り、滑りを良くして、鼻の入り口に溜まっている鼻水を取る程度にしましょう。
ツボは押してもいい?
優しく、肌に傷をつけないようにソフトに押せば、問題ありません。
子どもが嫌がる場合は、無理しないでください。
鼻づまりのツボ
鼻のそばにある、「迎香」と「天迎香」というツボは、鼻づまりに良いとされています。
天迎香:小鼻の付け根
迎香:小鼻の一番出っ張っているところの横
市販薬は飲んでもいい?
年齢にあったものであれば、市販薬を使用するのは構いません。
ただし、インフルエンザの疑いがある場合は、自己判断で市販薬を使うのは避けてください。
鼻づまりに効く市販薬の成分
- 塩酸テトラヒドロゾリン
- 塩酸プソイドエフェドリン
- マレイン酸カルビノキサミン
など
使用の際は、用途・容量を守ってください。
処方薬と比べると、市販薬は、様々な症状に効くようにいろいろな成分を含んでいたり、安全性の観点から有効成分が少なめになっていることが多いです。
また、インフルエンザの疑いがあるのに市販薬を使うのはやめましょう。
ライ症候群をひきおこす薬剤もあります。(急性脳症・肝脂肪浸潤による死亡例があります。)
なぜ?夜に鼻づまりがひどくなる理由
夜はリラックスの「副交感神経」が優位になる影響で、鼻粘膜が腫脹し、炎症などに対しても感受性が高くなり、鼻閉感が強くなります。
また、アレルギーを引き起こす要因ともなる免疫細胞「マスト細胞」が夜の方が活性化されるため、夜は鼻づまりが起こりやすくなります。
加湿器で湿度を上げてあげると、鼻水が出やすくなります。
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2022-04-01
子どもの夜の咳が止まらない・・・。
ひどい咳が続くとき、どうすればいい?
お医者さんに「夜にひどくなる子どもの咳」の原因と対策を聞きました。
咳は「夜にひどくなりやすい」
基本的に、咳症状は夜に強く出やすいです。
夜になると副交感神経が優位になる影響で気管支が狭くなったり、体温より冷たい空気に触れることで気管支が敏感に反応しやすくなったりします。
夜の咳の「基本的な対処法」
喉が乾燥していたり、完全に横になる寝姿勢だと咳が出やすくなります。
水を飲む
加湿器をつける
上半身を少し起こす
寝室・寝具を清潔な状態にする
部屋の温度を上げる(※寒い季節の場合)
といった対処をおすすめします。
咳が止まらない時は一度、子どもを起こしてあげてください。横になっている姿勢は、咳が強く出てしまうので、クッションなどに背中を預ける姿勢にしてあげましょう。起こしたら水分補給で喉の乾燥を緩和させましょう。
加湿器がないときの対処法
お湯を沸かすし、加湿する
洗濯物を干す
カーテンに霧吹きをかける
お風呂にお湯を張る
など
市販薬の使用について
咳止め薬を飲んでもいいですか?
感染症や特定の病気が原因でないとわかっている場合は、咳止めも使用できます。
年齢や状態にあったものを使いましょう。
ただし、ウイルス・細菌感染のときは咳止めを使わないでください。咳を止めると、ウイルス・細菌の排出をとめてしまい、症状が長引いたり悪化したりすることがあります。
塗るタイプのくしゃみや鼻づまりを緩和する薬は、使用してもいいですか?
子どもが嫌がらなければ使うことも可能です。
咳症状を緩和させる働きが期待できるものではありますが、細菌感染など、咳の原因が別にある場合は、使用しても良くならない場合もあります。
なぜ?「夜だけ咳がでる」原因とは
夜にひどくなる「子どもの咳」の代表的な原因として
空気の乾燥(コンコンと乾いた咳)
マイコプラズマ感染(肺からでるような重い空咳)
気管支喘息(ゼーゼーとした呼吸)
があげられます。
それぞれの対策を解説します。
原因1 空気の乾燥(コンコンと乾いた咳)
乾燥している部屋で寝ていると咳が出る場合があります。
横になると咳が出やすくなります。
特に、風邪を引いた後は、まだ喉の粘膜の状態がもとに戻っていないので、ちょっとした刺激で咳が出てしまい止まらなくなる場合があります。
<咳の特徴>
横になっていると咳が出やすい
コンコンと乾いた咳が止まらない
どう対処すればいい?
部屋を加湿する
少し状態を起こした状態で寝る
水を飲ませる
の3つを行ってあげましょう。
水を飲んだり加湿器を使うことで、喉を潤してあげましょう。
また、完全に横になるよりは、少し上体を起こす姿勢で横になると咳が出にくくなります。布団を重ねてその上に上半身を置くようにしましょう。
あまりに咳こむようであれば一度、体を起こして水を飲ませます。
小さい子どもで抱っこできる場合はしてあげましょう。楽になる場合もあります。
原因2 マイコプラズマ感染(肺からでるような重い空咳)
マイコプラズマは、子どもが感染しやすいウイルスです。
肺炎の原因にもなります。
<咳の特徴>
咳が止まらない
最初に発熱・鼻水・喉の痛みが出る
徐々に痰の絡まない空咳が出る
さらに咳が激しくなり、痰が絡むようになる
どう対処すればいい?
肺から感じる重い咳がどんどんひどくなっている場合は、医療機関で検査を受けましょう。
マイコプラズマ感染は、一般の風邪薬では治りません。
医療機関で処方される特定の種類の抗生物質を飲む必要があります。
原因3 気管支喘息(ゼーゼーとした呼吸)
夜、急に咳き込む”夜間発作性”の咳が強い場合は、「気管支喘息」の可能性があります。
気管支喘息は気管支の慢性的な炎症により、気管支の収縮が発作性に起こる病気です。
日中は気管支を拡張させるホルモンなどが多く分泌されていますが、夜間にそれが減るため、夜間から早朝にかけて気道が狭くなり咳がでやすくなります。
<咳の特徴>
急に咳き込む(発作性の咳)
夜間から早朝にゼーゼーと呼吸をする(息を吐くとき)
どう対処すればいい?
医療機関にて気管支喘息の検査を受け診断を受けてください。
適切な治療により、咳症状は改善します。
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「夜咳がずっと長引いている」ときはアレルギーかも
子どもの夜の咳が長引いています。
なぜでしょうか…?
病気ではなく、加湿をしても咳がひどい場合は、アレルギーなどの可能性も考慮しましょう。
アレルギーの原因の例
カビ
細菌
ダニの死骸や糞
花粉
埃などのハウスダスト
アレルギーの対処法
部屋の掃除をして、布団や布団カバーは清潔なものを使用してみましょう。
アレルギーは、原因を取り除かなければ良くならない場合もあります。
病院受診の目安
咳が1週間以上続くときは、医療機関に行きましょう。
咳がそこまで続く場合は、何らかの病気(喘息・アレルギー・マイコプラズマ肺炎・百日咳など)の可能性があります。医療機関で検査してもらいましょう。
咳の特徴
こんな症状がでるかも
喘息
急な発作的な咳がでる
呼吸時にゼーゼー」「ヒューヒュー」呼吸音がする
アレルギー
特定の場所・時間に、コンコンと短い乾いた咳がでる
鼻水・喉のイガイガ・目のかゆみなどを伴うことがある
マイコプラズマ肺炎
肺からでるような重い咳が止まらない(最初は空咳→痰がからむ咳になる)
38〜40度以上の発熱
百日咳
コンコン、エホエホという短い咳が続く
息を吸うときに、「ヒューヒュー」と音がする。
翌日以降、一度受診したほうがよい場合
咳はでるが眠ることができる
何度か咳で目をさますが、また治まる
といった場合は、次の日まで待って受診してもよいでしょう。
状態に気を付けて経過をみられてください。
※ただし、状態が悪化したときには夜間受診してください。
夜間診療を利用すべき場合
息はできているが、明らかにつらそうで症状が治まる気配がない場合は、夜間診療を受けましょう。
夜間診療を受けた場合、必ず翌日に昼間の医療機関でも診療を受けてください。
救急車を呼ぶ場合
咳がひどく、息ができない
息がしづらい
息をするときにゼーゼーと胸を上下させている
呼吸が止まった
といった場合は、至急救急車の手配をしましょう。
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たかが鼻づまり…ではない!放置するリスク
鼻づまりを放置すると、副鼻腔炎(ちくのう症)を発症する場合があります。
初めは、風邪からスタートした鼻づまりも、適度に排出させず放置すると、副鼻腔炎などを発症する原因になってしまいます。さらに悪化すると、慢性化して慢性副鼻腔炎や中耳炎の原因なることがあります。
また、耳と鼻はつながっているので、「滲出性中耳炎」などの耳の病気や、頑固な咳の原因になることもあります。
鼻づまりの放置は危険です。
鼻水は溜めずに、なるべく早く、取り除くようにしてあげましょう。
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2023-01-30
副鼻腔炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
副鼻腔炎の主な症状も紹介するので、「副鼻腔炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしましょう。
副鼻腔炎とは
副鼻腔炎とは、副鼻腔(鼻の奥にある空洞)や鼻の粘膜に、細菌やウイルスが侵入し、炎症が起こる病気です。
副鼻腔に膿が溜まったり、腫瘍が発生したりすることで、目の下の骨に痛みが生じることがあります。
副鼻腔炎の症状
鼻がつまる
黄色や緑色の鼻水(膿性鼻水)が出る
発熱する
痰がからむ咳が出る
ほほ、おでこに痛みが出る
頭が痛い
目が痛い
歯が痛い
副鼻腔炎の原因
副鼻腔炎にかかる原因としては、下記が挙げられます。
風邪
ハウスダスト
花粉
カビ
風邪以外の原因に関しては、それらが鼻から入って副鼻腔にまで侵入し、炎症を起こして鼻水が臭うこともあります。
副鼻腔炎になりやすい人
副鼻腔炎は、誰にでも発症する可能性のある病気ですが、次のような人は特に注意が必要です。
75歳以上の高齢者
糖尿病、慢性肺疾患、慢性腎疾患などにかかっている方
ウイルスや細菌感染による鼻症状を繰り返している方
過去一ヵ月に抗菌薬を使用した方
肥満傾向の方
喫煙習慣のある方
ぜんそくや気管支炎のある方
副鼻腔炎に使える市販薬は?
市販の鼻炎薬を使用することで、回復することもあります。
市販薬の例
アレルギー性副鼻炎の場合…
ナシビンメディ:佐藤製薬
アルガード鼻炎クールスプレーa:ロート製薬
風邪による副鼻炎の場合…
パブロン鼻炎アタックJL:大正製薬
アレルギーによる場合には、副鼻腔炎だけでなく鼻閉(鼻づまり)も併発している可能性があるため、点鼻薬がおすすめです。
また、最近では漢方薬による副鼻腔炎の治療薬も出始めています。
蓄膿症の漢方薬としても用いられている辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)がおすすめです。
こんな症状は早く病院へ
副鼻腔炎が悪化している場合、自然に治りにくいです。症状が2週間以上続いているときは、早めに受診しましょう。
副鼻腔炎が悪化すると、症状の慢性化や中耳炎を発症するリスクがあります。
中耳炎は聴力に悪影響を及ぼす恐れがあるため、注意したいものです。
さらに、重症化して髄膜炎(※)を引き起こすケースも稀にあります。放置しないようにしましょう。
※「髄膜炎」…頭蓋骨と脳の間にある「髄膜」という膜に、細菌・ウイルスなどが感染し、炎症を起こす病気。頭痛や嘔吐、錯乱などの症状が現われ、最悪の場合命に関わることもある。
病院は何科?
副鼻腔炎の症状は、耳鼻いんこう科で相談しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
副鼻腔炎の治療法
薬の処方、点鼻噴霧ステロイド、鼻洗浄を行います。
処方するお薬には、鼻の中の環境を整える「抗菌薬」、痰を出しやすくする「去痰薬」などがあります。
症状によっても異なりますが、2〜3ヶ月程度で治るケースが多いです。
なお、薬物療法で改善が見られない場合には、内視鏡での手術も検討されます。
こんな鼻づまりは病院に!
2週間以上たっても鼻づまりが良くならない場合は、医療機関を受診しましょう。
風邪の後にしばらく鼻づまりが続くのは良くあることです。しかし、2週間以上たっても症状が良くならない場合は、病気や鼻の炎症・アレルギーなどを疑い、受診しましょう。
<こんな症状も医療機関へ!>
- 匂いを感じにくい
- 鼻水が臭い
- 一定の季節になると花粉症の症状(※1)があり、生活に支障がある
(※1)鼻づまり・くしゃみ・目がかゆい・目が赤くなる など
鼻づまりは、花粉症(アレルギー鼻炎)や副鼻腔炎の症状の場合もあります。
鼻水が臭い場合は、急性副鼻腔炎や慢性副鼻腔炎(蓄膿症)になっている可能性もあります。早めに病院を受診しましょう。
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