子どもが「片方の耳の下が痛い」と訴える。
腫れているけど、熱はないみたい…これは何?
もしかして「反復性耳下腺炎」もしくは「おたふく風邪」になっているかもしれません。
それぞれ、症状が似ていますが、対処法が異なります。注意しましょう。
監修者
経歴
大正時代祖父の代から続く耳鼻咽喉科専門医。クリニックでの診療のほか、京都大学医学部はじめ多くの大学での講義を担当。マスコミ、テレビ出演多数。
平成12年瀬尾クリニック開設し、院長、理事長。
京都大学医学部講師、兵庫医科大学講師、大阪歯科大学講師を兼任。京都大学医学部大学院修了。
考えられる、2つの原因
|
反復性耳下腺炎 |
おたふく風邪 |
特徴 |
何度も発症する
耳下腺の腫れのみで、発熱しないことが多い
|
基本的に、1度かかったらもうかからない
耳下腺の腫れに加え、発熱や倦怠感がある
|
うつるか |
うつらない |
うつる |
登園登校 |
可能。
激しい運動やプールは、疲労が大きいので、腫れが引きまでは休ませた方が良い |
不可。
耳下腺の腫れ発生から5日経過し、さらに全身症状が良くなるまでは登園・登校不可 |
発熱がない場合は、「反復性耳下腺炎」だと考えられます。
ただしおたふく風邪と症状がよく似ているので、慎重に行動する必要があります。
ケース1.「反復性耳下腺炎」
「反復性耳下腺炎症」は、風邪をひいたり、病気をしたり、体が弱った時に発症する場合もあります。
乳幼児期から10歳ごろの子ども(2〜5歳で初めて発症するケースが多い)に多いです。
耳下腺(耳の下にある唾液腺)が腫れます。
1度かかったら終わりではなく、何度も繰り返し発症します。
年に何回も耳下腺が腫れる人もいます。免疫がつき、体が強くなってくると頻度は少なくなります。
原因
はっきりとした原因はわかっていませんが
- ストレス・疲労の蓄積
- ウイルス・細菌の感染
- 虫歯や口の中での雑菌感染
などで、免疫力が低下していることが要因だと考えられます。
症状の特徴
- 発熱はないことが多い(高熱になることはほぼない)
- 耳下腺が腫れる(片耳、もしくは両耳)
- 食べ物を飲み込むときに痛む
早く治す方法が知りたい!
体の免疫が下がっているときに発症しやすいので、ゆっくり安静にして過ごしましょう。
痛みがつらいときは、濡れタオルなどで冷やすと楽になります。基本的には、2~3日で自然治癒します。
ケース2.「おたふく風邪」
「おたふく風邪」は、3〜6歳くらいの子どもに多いです。
おたふく風邪のワクチン接種前におたふく風邪の患者と接触すると感染しやすくなります。
潜伏期間(2~3週間)ののち発症します。
子どもの場合、症状が軽いことが多いですが、「髄膜炎」や「難聴」、「膵炎」などの合併症を引き起こすことがあります。
ワクチンを接種していると発症しても軽度で済むことが多く、発症しても気がつかない人もいます。
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2023-01-30
膵炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
膵炎の主な症状も紹介するので、「膵炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしてみてください。
膵炎とは
膵炎とは、膵臓の消化液が漏れて、臓器を傷つけてしまう病気です。
この膵炎は「急性膵炎」と「慢性膵炎」に分かれます。
「急性膵炎」とは、消化酵素によって膵臓自体がダメージを受けて、炎症が起こっている状態です。
「慢性膵炎」とは、食べ物を消化するための膵液が、長期間に渡って膵臓自身を溶かしてしまう病気です。
「急性膵炎」と「慢性膵炎」それぞれの症状
急性膵炎
▼軽度~中等度の症状
みぞおち周辺から左上腹部の痛み
背中の痛み
吐き気、おう吐(吐いても症状が改善しない)
発熱(37度~38度程度が多い)
食欲不振
腹部膨満感
▼重度の症状
血圧低下
皮膚が黄色っぽくなる
呼吸困難
精神が錯乱してしまうほどの激しい痛み
失神
慢性膵炎
腹痛を5〜10年ほど繰り返す
急にお腹や背中が痛くなることがある
下痢や便秘の症状がある
みぞおちを押すと痛い
だるい
食欲不振
吐き気、嘔吐
お腹の張り(膨満感)
体重減少(※)
※人によって異なりますが、6か月で5%以上を病的な体重減少とすることが多いです。
膵炎の原因
膵炎の原因には、「お酒の飲み過ぎ」「胆石が胆管で詰まる」などが挙げられます。
ただし、はっきりと原因が分からないケースもあります。
膵炎になりやすい人
お酒をよく飲む
タバコを吸う
暴飲暴食している
脂肪分を多く含む食品のとり過ぎ
就寝直前に食事をとることが多い
刺激が強い飲食物を好む
急性膵炎を疑う場合はすぐ病院へ
膵炎が疑われる場合は、「内科」で受診することをおすすめします。
急性膵炎を発症すると、命に関わるケースもあります。
特に毎日飲酒している方は、腰・背中あたり痛みを感じたら早めに受診しましょう。
内科を探す
慢性膵炎も放置はNG
慢性膵炎は症状が進行すると、インスリンの分泌量が低下し、糖尿病を発症する恐れがあります。
また、症状が悪化すると、膵臓ガンを発症する恐れもあるため、早めに受診してください。
膵炎の検査・治療法
医療機関では、必要に応じて血液検査、内視鏡、エコーなどを行います。
そこまで痛い検査はありません。
膵炎の治療は、
鎮痛剤の投与
輸血
絶食
などをおこなって症状の改善を図ります。
安定するまで集中治療の管理が行われるため、入院が必要になるケースが多いです。
原因
ムンプスウイルスによって発症します。
症状の特徴
- 発熱する
- 倦怠感
- 耳下腺が腫れる(片耳、もしくは両耳)
- 食べ物を飲み込むときに痛む
早く治す方法が知りたい!
おたふく風邪に感染したら、ゆっくり休ませるようにしましょう。
症状が耳下腺の腫れのみで軽く済む人もいますが、体はウイルスに感染し、戦っています。安静にしてゆっくり休まないと、疲労やストレスで重症化する場合もあります。
痛みがつらいときは、濡れタオルなどで腫れているところを冷やすとよいでしょう。
現在、おたふく風邪に対する特効薬はありません。基本的に1週間~2週間で自然治癒します。医療機関では対症療法(つらい症状を緩和する治療)がとられます。
見分け方は?「反復性耳下腺炎」と「おたふく風邪」
発熱がなく、耳下腺の腫れのみであれば、「反復性耳下腺炎」の可能性が高いです。
発熱・倦怠感があるときば、「おたふく風邪」の可能性が高いです。
おたふく風邪を発症した人と接触があった場合は、おたふく風邪が濃厚です。
ただし、おたふく風邪は一度かかれば抗体ができ、2度は感染しません。過去におたふく風邪にかかった子どもは、「反復性耳下腺炎」だといえるでしょう。「反復性耳下腺炎」の場合は、何度でも感染します。
ただし、自分ではどちらかわからない場合は「おたふく風邪」だと思って行動しなければいけません。
保育園や学校に行ってもいい?
「おたふく風邪」はうつるため、休む必要があります。
登園・登校ができるようになるのは、「腫れが出た後5日を経過し、かつ全身状態が良好になってから」です(厚生労働省による感染症対策ガイドライン)。
どっちかわからないときは…どうすれば?
「反復性耳下腺炎」はお休みする必要はありませんが、「おたふく風邪かどっちかわからない」ときは休まなければいけません。この場合、医療機関で血液検査をして「おたふく風邪の免疫を既に持っている」とわかったら、お休みしなくてもよくなります。
どっちかはっきりさせたいときは、病院で検査しよう!
医師は、発熱の有無や子どもの体調、季節や流行など複合的に見て判断します。血液検査で確定することが可能です。はっきりさせたい場合は、医療機関で血液検査を受けましょう。
「反復性耳下腺炎」は何度も繰り返すことがあるので、次腫れたときに休まなくてもすむように、血液検査を受けておくことをおすすめします。
ホームケアの方法
どちらの場合も、安静にしながら水分摂取をして、やわらかいものを食べましょう。
食事は、消化のよいおかゆ・うどん・ゼリーなどがよいでしょう。
発熱していて、食欲がないときは、無理に食べさせなくても大丈夫です。水分補給を行い、脱水を避けてください。
避けたほうがよい食べ物
よく噛まないといけない硬い食べ物は、痛みを感じたり、腫れを悪化させるので避けてください。しょっぱいものや酸っぱいものも避けましょう。
お風呂ははいってもいい?
高熱でふらついていなければ入浴可能です。
ただし、体が温まると、腫れが悪化したり、痛みが増す場合があります。シャワー浴がおすすめです。
腫れが痛いときは…
痛みがあるときは、保冷剤などをタオルにくるんでで冷やすと楽になります。
腫れている部分を無理に押したり、触ったりしないでください。
負荷がかかると腫れがおさまりにくくなります。
病院に行く目安
「反復性耳下腺炎」か「おたふく風邪」かはっきりさせたいときは、医療機関を受診しましょう。
その他にも
- 40度以上の高熱
- 脱水症状
- 意識低下
- ぐったりしている
などの症状があるときは、早急に医療機関を受診しましょう。
高熱を放置すると、脳症や後遺症が出ることもあるため、医療機関で治療を受けましょう。
受診の際は、おたふく風邪の可能性を考え、マスクをして受診しましょう。
受診の際に、お医者さんに伝えること
診察時は、お医者さんに
- 症状が出始めた時期
- 症状の経過
- 症状の特徴
- 服用している薬の有無
などを伝えましょう。
どんな治療をするの?
「反復性耳下腺炎」も「おたふく風邪」も、どちらも対症療法(つらい症状を和らげる治療)が主体です。痛み止めや解熱剤の投与が行われます。
病院は何科にいけばいい?
子どもの場合は「小児科」、大人の場合は「内科」を受診しましょう。
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2022-04-01
「耳が痛い」と子どもが訴える。
原因は何?応急処置はどうすれば?
熱がない場合や、高熱を伴う場合の看病の対処法や、救急診療の必要がある場合についても解説します。
【原因別】子どもの耳が痛いときの対処法
中耳炎やおたふくかぜ、あご関節症など。
耳が痛くなる原因別に、「症状の特徴」と「看病の方法」を解説します。
原因1.急性中耳炎
耳の鼓膜内側にある中耳に、ウイルスや細菌が侵入して炎症が生じる急性の疾患です。
子どもは耳管が短いため、鼻咽腔から侵入した細菌が中耳まで達するため中耳炎を起こしやすいと考えられています。
症状の特徴
元気に過ごしていたのに、急に耳の痛みを訴える場合は急性中耳炎の可能性が高いです。
主な症状は、突然の高熱(38.5度以上)、元気がない、耳の痛み、耳だれが出る等が挙げられます。上気道炎を併発する場合もあります。
応急処置・自宅ケアの方法
常備している解熱鎮静剤(子ども用)がある場合、その使用により痛みの緩和が期待できます。
また、耳の下(首周辺)や耳のまわり等、子どもが嫌がらない部分を冷やしてあげると痛みが緩和される場合があります。
耳だれが出ている際は、綿球等を耳の穴に当てて、耳だれが垂れないようにしてください。
鼻水が溜まると中耳炎が悪化する恐れがあるため、できるだけまめに鼻水を吸い取ってあげてください。
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原因2.外耳炎
耳の中にできものができた状態です。
外耳道粘膜は少しの刺激で傷付きやすいため、耳の触りすぎ、耳掃除のしすぎ、プールの水が入ってしまったことなどが原因で炎症が生じます。
症状の特徴
主な症状は、耳の痛み、耳のかゆみ、発熱、耳の熱感、耳から膿が出る、耳が臭う等です。
炎症が悪化すると、耳の下や耳の後ろにまで痛みが拡がり、眠れないほどの痛みを生じます。(腫れる場合もあり)
応急処置・自宅ケアの方法
耳を清潔にして、痛みがある場合は冷やしてあげましょう。
耳だれが出ている場合は、垂れないように綿球等で押さえてください。
軽症の場合は、軟膏塗布や点耳液等による治療が行われます。炎症が強い場合は、抗菌剤を用いた治療が行われるケースが多いようです。
原因3.外耳道異物
耳の中に、虫などの異物が侵入した場合に起こります。
症状の特徴
発熱がないケースが多く、痛みの程度も強くない場合が多いですが、虫が侵入した場合は、外耳道の奥で動くため鼓膜に接して強い痛みが出る場合があります。
応急処置・自宅ケアの方法
耳に虫が侵入した場合、虫が自ら出るようにするために、虫が入った方の耳を上にしてみてください。
無理やり出そうとするのは危険なので、出てこない場合は耳鼻いんこう科を受診してください。
原因4.乳様突起炎
急性中耳炎を発症した後、数週間経過してから感染が拡がり、耳の後ろ側にある「乳様突起」の内側部分が破壊されて症状が出現します。
骨内に膿が溜まる場合もあります。
症状の特徴
主な症状は、乳様突起上の発赤、痛み(触れたとき)、耳介の後ろに腫れが生じ、耳介が立つ(耳介の変形)、発熱、膿性の耳だれ、圧痛等です。
悪化すると顔面神経麻痺、項部硬直等を伴い髄膜炎を併発する恐れがあります。
応急処置・自宅ケアの方法
痛みがある部分を冷やすことで症状の緩和が期待できますが、抗菌薬の服用や、手術加療が必要な場合もあるため、早めに耳鼻科を受診してください。
原因5.おたふく風邪
ムンプスウイルスの感染が原因で発症します。
潜伏期間は、2~3週間ほどでこの期間中に唾液腺内でウイルスが増殖し、おたふく風邪を発症します。
症状の特徴
主な症状は、耳の下・顎の下の腫れや発熱です。
まれに髄膜炎、膵炎、睾丸炎、卵巣炎等の合併症、難聴等を起こす恐れがあります。
応急処置・自宅ケアの方法
痛みがある部分、腫脹がみられる部分を冷やしてあげると症状が緩和される場合があります。
原因6.がく関節症
あごの関節の炎症です。
歯の噛み合わせが悪さや、あご運動異常等が原因で起こります。
顎関節部分に疼痛が生じる場合があり、その痛みを耳の痛みと捉えるケースがあります。
ストレス、睡眠不足、疲労等が関係しているケースもあるようです。
症状の特徴
かむ動作をする際に痛みが生じやすく、コリッという音が出る場合があります。
応急処置・自宅ケアの方法
消炎剤の使用で改善するケースもありますが、長く続く場合には歯科、口腔外科を受診することをおすすめします。
夜中に耳が痛くて眠れなくなった場合
夜中に耳が痛くなるのは、急性中耳炎を発症しているケースが多いと考えられています。
対処法
痛みが生じている部分や腫れが生じている部分を冷やしてあげる
鼻水が出ている場合は、鼻水を吸い取ってあげる
自宅に解熱鎮静剤を常備している場合は、その薬を服用する(子どもが使用しても問題ない薬の場合)
次の日の行動について
次の日、「痛くなくなった」と平気そうにしています。
このまま放っておいて大丈夫でしょうか?
念のため、耳鼻いんこう科等の医療機関を受診することをおすすめします。
軽症の場合、自然治癒するケースもあるようです。
しかし、気が付かないうち症状が悪化してしまうと、鼓膜が破れたり、中耳炎が慢性化したりする可能性があります。
耳鼻いんこう科を探す
薬の服用について
市販の痛み止めは使ってもいいのでしょうか?
急に耳の痛みが起きた場合には、解熱鎮静剤(痛み止め薬)等の市販薬を使用することで痛みの緩和が期待できます。
ただし、使用するときは、子ども用であるかどうかを確認してからにしてくださいね。
病院の受診について
以下のような症状がある場合、病院を受診してください。
元気がなくぐったりしている
熱がある(高熱)
耳漏がみられる
耳が聞こえにくい
触れると激しい痛みが生じる
嘔吐する
救急診療が必要な場合
このような症状がある場合、救急診療を受けてください。
我慢できないほど耳が痛い
ひどい頭痛を伴う
何度も嘔吐を繰り返す
耳後方部が腫脹し耳介が前方に起き上がった状態になっている(赤く腫れる)
フラフラして倒れてしまう
受診は何科?
耳鼻いんこう科や小児科を受診するケースが多いです。
小児科を探す
耳鼻いんこう科を探す
参考
小児救急ハンドブック 大分県
子どもの病気ハンドブック(広島県)
急性中耳炎(一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会)
耳を痛がっている、耳がおかしい場合(日本医師会)
教えて!ドクター(佐久医師会)
家庭でできる応急対応(一般社団法人広島県医師会)
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