「片目の視界が白くぼやけるのは、なぜ?」
この症状の原因を、お医者さんが解説します。
白内障、ぶどう膜炎といった眼病の可能性も考えられます。
悪化すると視力低下を招く恐れもあるので、症状が続いている方は要注意です。
片目の視界が白くぼやける…これ大丈夫?
コンタクトレンズの長時間装用や眼精疲労などによって、一時的に視界が白くぼやけることがあります。
この場合は、コンタクトレンズの使用を控えるなど、目を休めて一旦様子を見てみましょう。
ただし、
- 目を休めても症状が改善しない
- 目に痛みがある
- 虫が飛んでいるように見える
- 視野の中心が見えにくい
- まぶしく見える
- ものが二重に見える
- ものが小さく見える
- ものがゆがんで見える
といった症状がある場合は、目の病気を疑う必要があります。
悪化すると視力低下を招く恐れがあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
病院は何科?
片目の視界が白くぼやける場合は、眼科を受診しましょう。
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2025-09-22
※本記事は2021年9月17日に公開された記事を再編集して掲載しています
「視界に白いフィルターがかかっているみたいで不安…」
「白く見えるけど、放置しても大丈夫なの?」
こうした見え方の変化に不安を感じて検索する方は少なくありません。
視界に白いフィルターがかかったように見えるのは、一時的な疲れや乾燥によることもありますが、白内障など目の病気が原因のこともあります。
この記事では、
視界が白く見える・ぼやける症状の特徴
考えられる原因
自分でできる対処法
病院を受診すべき目安
について、眼科医監修のもと解説します。
視界に白いフィルターがかかる・白く見える症状とは
視界が白くぼやけるとき、人によっては「白いモヤがかかっている」「視界がかすむ」「ぼやけて見える」と表現します。
これは、対象物がはっきり見えず、全体に白っぽいフィルターがかかったように見える状態です。
こうした症状は一時的に現れることもあれば、繰り返し起こる・長く続く場合もあります。
短時間で改善するケースでは疲れや乾燥が関わっていることが多いですが、症状が続く場合には目の病気が原因となっている可能性があります。
特に片目だけに症状が起こる、改善せず繰り返すといった場合は注意が必要です。気になる症状があるときは、眼科を早めに受診することが望まれます。
視界が白くぼやける原因は?
視界に白いフィルターがかかったように見えるときには、いくつかの原因が考えられます。
眼精疲労やドライアイ
スマートフォンやパソコンを長時間使って目に負担がかかると、眼精疲労によって視界が白くかすむことがあります。
また、目が乾燥していると涙の量や質が不安定になり、白いモヤがかかったように見えることがあります。
ストレスや自律神経の乱れ
強いストレスや自律神経の乱れがあると、涙の分泌が減り、目が乾燥しやすくなります。その結果、視界に白いフィルターがかかったように見えることがあります。
角膜の異常
コンタクトレンズを長時間装着したり、不衛生に使用したりすると、角膜に傷や濁りが生じて視界が白くかすむことがあります。
加齢による目の筋肉の衰え
加齢とともに目の筋肉が弱くなると、ピントの調整がしづらくなり、ものが白っぽくぼやけて見えることがあります。
白内障など目の病気
白内障をはじめとした目の病気が原因となり、視界に白いフィルターがかかったように見える場合もあります。
自分でできる対処法は?
視界に白いフィルターがかかったように見えるときは、まずは目を休めることが大切です。
以下のようなセルフケアで症状が和らぐことがあります。
症状を和らげるセルフケア
目を休める
蒸しタオルで目を温める
コンタクトレンズの使用を中断する
スマホ・パソコンから目を離す
市販の人工涙液(目薬)を使う
例えば、蒸しタオルで目を温めると血行が良くなり、かすみや疲れが和らぎます。
スマホやパソコンを使うときは、1時間に10〜15分ほど画面から目を離し、遠くを見て休憩をとるのが理想です。
コンタクトレンズを装着している場合は、一時的に外して角膜への負担を減らしましょう。
乾燥によるかすみ目には人工涙液(目薬)が有効ですが、防腐剤入りは避け、コンタクトレンズ使用中の方は薬剤師に相談してください。
どんな症状が出たら病院に行くべき?
視界に白いフィルターがかかったように見える症状は、セルフケアで改善することもありますが、中には目の病気のサインである場合もあります。
次のような症状があるときは、早めに眼科を受診しましょう。
病院に行くべき症状
視力の低下を感じる
視界に糸くずのような物体が見える
目の充血や痛みがある
視野が歪んで見える
目薬を使ってもすぐに乾燥する
これらの症状を放置すると、視力に影響が出たり、治療が難しくなることもあります。
気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関で原因を確認することが大切です。
よくある原因① 眼精疲労
視界に白いフィルターがかかったように見える原因のひとつに、眼精疲労があります。
目を酷使すると、ピントを調整する筋肉が凝り固まり、遠くや近くを見るときに焦点が合いづらくなります。その結果、視界がかすんだり白っぽくぼやけたりすることがあります。
スマートフォンやパソコンを長時間使用する人は、眼精疲労を起こしやすい傾向があります。
対処法
まずは目を休めることが大切です。
作業中は1時間に15分程度の休憩をとるようにしましょう。画面は目の高さよりも低めに設定し、手元を明るくするなど工夫すると、目の負担軽減につながります。
また、眼鏡やコンタクトレンズの度数が合っていないと症状が悪化することがあります。必要に応じて調整しましょう。
眼科を受診すべき目安
目の痛みやかゆみを伴う
休んでも疲れがとれない
まぶたが重い
こうした症状があるときは、眼科を受診してください。
放置すると視力低下や長期的な治療が必要になることもあります。
よくある原因② ドライアイ
視界に白いフィルターがかかったように見えるとき、ドライアイが関わっていることもあります。
目が乾燥すると表面に傷がつきやすくなり、視界がかすんだり白っぽくぼやけて見えることがあります。
ドライアイの主な原因には、以下のようなものがあります。
ドライアイの主な原因
まばたきの回数が減る
アレルギー疾患
ストレス過多
加齢
免疫系の病気
これらによって涙の分泌量や質が変化し、目を十分に潤せなくなると、ドライアイの症状が現れます。
対処法
目の乾燥を防ぐためには、部屋の湿度を調整する、エアコンの風が直接目に当たらないようにする、意識してまばたきを増やすといった工夫が有効です。
さらに、ドライアイにはストレスも関わるため、気分転換や十分な休養をとることも大切です。
眼科を受診すべき目安
視力の低下を感じる
目の痛みや異物感がある
目の乾燥が改善しない
このような症状があるときは眼科を受診してください。
放置すると角膜に傷がつき、視力低下のリスクがあります。
すぐに治療が必要な病気① 白内障
白内障は、水晶体が白く濁ることで視界に白いフィルターがかかったように見える病気です。
加齢や紫外線などが原因で進行し、悪化すると緑内障発作を引き起こすこともあります。
白内障の主な症状
視力の低下
視界のかすみやぼやけ
光をまぶしく感じる
物が二重に見える
メガネやコンタクトを調整しても見えにくい
照明があっても暗く感じる
白内障になりやすい人
白内障は70歳以上の高齢者に多い病気ですが、40代頃から少しずつ進行することもあります。
特に以下のような人は発症リスクが高いとされています。
発症リスクが高い人
糖尿病を患っている人
アトピー性皮膚炎がある人
目に怪我をした経験がある人
抗精神病薬やステロイド薬を長期的に使用している人
白内障の治療法
薬による治療で進行を抑えることもありますが、根本的に改善するには濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入する手術が一般的です。
放置すると進行し、失明につながる恐れもあるため、早めに眼科で相談することが重要です。
白内障の自己診断チェックリスト|幕張久木元眼科
知らないと損する白内障手術の保険適用と費用|南船橋眼科
すぐに治療が必要な病気② ぶどう膜炎
ぶどう膜炎は、眼球全体を包み込んでいる膜状の組織「ぶどう膜」に炎症が起こる病気です。
視界が白くかすむ、光がまぶしい、目の痛みや充血などを伴うことがあり、放置すると失明につながる恐れもあります。
ぶどう膜炎の主な症状
視界のかすみ
光をまぶしく感じる
目の痛みや充血
視界に糸くずのような物体が見える
視力の低下
ぶどう膜炎になりやすい人
ぶどう膜炎は、ストレスや疲労がたまっている人に発症しやすいと言われています。
また、以下のような疾患や状態を抱えている人はリスクが高いとされています。
発症リスクが高い人
免疫異常がある人
ウイルスや細菌による感染症にかかっている人
糖尿病を患っている人
白血病や悪性リンパ腫を抱えている人
ぶどう膜炎の治療法
ぶどう膜炎の治療では、原因が感染症の場合は薬を使って治療します。炎症を抑えるためにステロイド薬が用いられることも多いです。
炎症が長引くと白内障や緑内障、網膜剥離を合併することがあるため、早めに眼科を受診することが重要です。
まとめ|視界に白いフィルターがかかるときは早めの眼科受診を
視界に白いフィルターがかかったように見えるときは、眼精疲労やドライアイといった一時的な原因のこともありますが、白内障やぶどう膜炎などの病気が隠れている場合もあります。
放置すると視力低下や失明につながる恐れもあるため、症状が続く、または繰り返すときは早めに眼科を受診しましょう。
▼参考
公益社団法人 日本眼科医会 パソコンと目
公益社団法人 日本眼科医会 屈折異常と眼精疲労
公益社団法人 日本眼科医会 ドライアイに悩む方へ―生活の注意と治療の目安―
公益社団法人 日本眼科医会 ぶどう膜炎
考えられる2つの病気
片目の視界が白くぼやけるのは
- 白内障
- ぶどう膜炎
など病気の可能性もあります。それぞれ詳しく解説していきます。
病気① 白内障
白内障によって、片目の視界が白くぼやけることがあります。
これは、レンズの役割を担う“水晶体”が濁り、光が散乱するために起こります。
こんな症状はありませんか?
- ものがかすんで見える
- ものが二重に見える
- まぶしく見える
- 目が重い感じがする
通常痛みはないですが、稀に痛みを伴うケースもあります。
白内障の原因
- 加齢による変化
- ケガ
- アトピー性皮膚炎
- 薬剤や放射線の影響
などが挙げられます。
明らかな原因はわかっていませんが、加齢によって起こるケースが多いです。
また、若い世代に発症する白内障の場合、ケガやアトピー性皮膚炎が原因になりやすいです。
発症リスクを高める生活習慣
- 直射日光を長期間浴びる
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 偏った食生活
などの習慣により、白内障の発症リスクが高まります。
白内障かも…どうすればいい?
眼科を受診しましょう。
白内障を改善させるためには、医療機関での検査や治療が必要です。
片方の目が白内障になると、もう片方にも発症する可能性が高いため、症状に心当たりがある場合は早めに受診してください。
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病気② ぶどう膜炎
ぶどう膜とその周辺の組織が炎症を起こすと、視界が白くぼやけることがあります。
ぶどう膜とは、眼球全体を包む膜状の組織を指し、虹彩・毛様体といった視力に関わる部分も含まれます。
◆虹彩(こうさい)
→“眼の中に入る光の量”を調整する機能があります。
◆毛様体(もうようたい)
→ピント調節の機能があります。また、毛様体には房水と呼ばれる透明の体液があり、眼圧を一定に保つ働きも担っています。
ぶどう膜炎の症状の特徴
- 虫が飛んでいるように見える
- 視野の真ん中が見えにくい
- まぶしく感じる
- ものがかすんで見える
- ものが小さく見える
- ものがゆがんで見える
- 目が充血する
- 目の痛み
※見え方の変化は、両目に起こるケースもあります。
ぶどう膜炎の原因
免疫系の病気とは、外敵から体を守る役割を持つ“免疫機能”の異常によって、さまざまな不調が起こるものです。
ぶどう膜炎を発症する免疫系の病気には、“サルコイドーシス”や“フォークト-小柳-原田病”、“ベーチェット病”などがあります。
発症リスクを高める生活習慣
- 不規則な生活
- 偏った食事
- 睡眠不足
- 疲労やストレスの蓄積
上記の習慣は免疫力の低下を招くため、感染症による“ぶどう膜炎”を引き起こしやすくなります。
ぶどう膜炎かも…どうすればいい?
ぶどう膜炎を疑う場合は、眼科を受診してください。
医療機関での検査・治療が必要です。
悪化すると視力低下や失明の恐れがあるため、放置せず早めに受診しましょう。
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早めの受診がオススメ!病気が悪化すると…

早めに受診して適切な治療を受けることで、症状の悪化防止につながります。
特にぶどう膜炎の場合、悪化すると合併症を引き起こし、重度の視力障害を招くリスクがあります。
「視界が白くぼやける」という症状がなかなか改善しない場合は、すみやかに眼科を受診しましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2020-12-04
どうして、白いもやもやが見えるのだろう?
原因がよくわからない症状は不安なものです。
何が原因なのか、放っておけば自然と治るのか、それともちゃんと治療が必要なのか。
そんな不安な目の症状を、お医者さんが解説します。
病院に行くべきかどうか、迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
白いもやもやの3つの原因
原因① 生理的飛蚊症
症状の特徴
白いもやもやしたものが見える
白い糸のようなものや黒いものが浮いているように見える
まばたきをしても消えない
症状が進行すると…
網膜剥離、眼底出血を起こすことがあります。
なってしまう原因
生まれつき
生まれた後も、目の硝子体(ゲル状の水分で構成されている)を通っている血管の一部が濁りとして残ることがあります。その場合、濁りが目の前に白いものとして見えることがあります。
加齢
年齢を重ねることで、目の硝子体が減少する、硝子体の構造が変化する、網膜の一部が剥がれるなどが起こり、白っぽいもやもやしたものや糸くずのようなものが目の前に見えるようになります。
対処法
眼科の検査で、生理的飛蚊症と診断された場合は、特に治療は必要ありません。
しかし、目が見えにくいと感じる場合等には再度眼科で診察を受けてくださいね。
原因② 病的飛蚊症
病的飛蚊症の原因には、網膜裂孔・網膜剥離のケースと眼底出血のケースがあります。
網膜裂孔・網膜剥離:網膜内に硝子体の水分が入りこみ、硝子体の中に網膜が浮き出ています。
眼底出血:眼底出血(網膜での出血)が起こり、出血した血液が硝子体に侵入しています。
症状の特徴
網膜裂孔・網膜剥離の場合は…
白いもやもやするものが浮いているように見える(生理的飛蚊症よりも多い)
目が見えにくくなる(視力低下)
視野が欠けているように見える(影が視界の大部分を覆っている)
眼底出血の場合は…
白いもやもやするものが浮いているように見える
目が見えにくくなる(視力低下)
症状が進行すると…
急激な視力低下や失明を起こす恐れがあります。
なってしまう原因
網膜裂孔・網膜剥離の場合は…
網膜に穴が開いて、その部分から網膜が剥がれていきます。
年齢を重ねて網膜がピーンと張ったことで穴が開き、網膜剥離になるケースが多いです。
若くても強度の近視だと、網膜剥離が起こることがあります。
眼の打撲(ボールがぶつかる等)でも、急速に眼球が変形して発症することがあります。
眼底出血の場合は…
糖尿病や高血圧によって血管が詰まり、網膜に異常が生じることが主な原因と考えられています。
対処法
眼科に行って精密検査を受けてください。
原因③ ぶどう膜炎
症状の特徴
視力の低下
目のかすみ
目の痛み
目の前にもやもやするものが見える
症状が進行すると…
症状が進行すると、視力の低下が起こります。
なってしまう原因
ストレス過多、疲労過多、免疫異常等によって起こる場合があります。
その他のぶどう膜炎の原因
白内障等の手術
目の外傷(目に異物が刺さる等)
眼内炎(目の中の感染症)
体の中に隠れていた真菌が眼球に侵入して炎症を起こした
遺伝的要因
アトピー性皮膚炎で目の周りに炎症が起きた
ぶどう膜のひとつである脈絡膜で炎症が生じると、炎症によって発生した濁りが硝子体に侵入し、本来目の前に存在しないものが見えるようになります。
ぶどう膜…目の虹彩、毛様体、脈絡膜の総称。
対処法
眼科に行って検査を受けてください。
症状によっては、炎症を抑制する点眼薬や内服薬を処方される場合があります。
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白いもやもやが見えるとき「やってはいけないこと」
白いもやもやが見えているときは、次のことをやらないように気をつけてください。
スマートフォンなどで目を酷使する
目をこする・刺激する
自己判断で市販の目薬を使う
こんな目の症状は眼科へ!
次の症状が出ているときは、病院を受診してください。
目の前に見える白いものの数が増えている
目が見えにくくなってきた(視力低下)
目に痛みがある
見える部分が欠けているように感じる
目の動きに合わせて白いもやもやするものが動かない
白いもやもやが濃く見えるようになった
眼科を探す
放置すると…
治療を受けずに放置すると、次のようなリスクがあります。
手術療法が必要になる(硝子体手術、強膜内陥術)
視覚障害等の後遺症が残る
失明する
▼参考
公益社団法人 日本眼科医会 飛蚊症と網膜剥離 なぜ?どうするの