1歳の子どものインフルエンザの予防接種のスケジュール(時期や間隔)や費用などを紹介します。
そもそも1歳児に予防接種は必要なのか、発熱や卵アレルギーの場合はどうすべきなのかも解説するので参考にしてくださいね。
監修者
経歴
公益社団法人 日本小児科学会 小児科専門医
2002年 慶應義塾大学医学部を卒業
2002年 慶應義塾大学病院 にて小児科研修
2004年 立川共済病院勤務
2005年 平塚共済病院小児科医長として勤務
2010年 北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室勤務
2012年 横浜市内のクリニックの副院長として勤務
2017年 「なごみクリニック」の院長として勤務
2020年 「高座渋谷つばさクリニック」院長就任
1歳児に予防接種は必要?
1歳になったら、インフルエンザの予防接種を受けた方がいいのでしょうか?
乳幼児は、病気に対する免疫が未熟なため、インフルエンザ等の病気に感染すると、重症化(インフルエンザ脳症や肺炎など)したり、命の危機に晒されたりする恐れがあります。
そのため、病気を予防し、子どもの健康を守るという観点から、予防接種を受けることが推奨されています。
予防接種を受けるか受けないかは、それぞれの家庭により考えが異なるため一概には言えませんが、重症化のリスクも下げられる等を考慮したうえで決めるケースが多いです。
予防接種のスケジュール(時期・回数・間隔)
予防接種の時期や回数、2回目を受けるまでの間隔など解説します。
予防接種をうける時期
10月以降~12月前半までに2回の接種を終わらせておくのが望ましいです。
インフルエンザの流行期は、12月~4月頃で、ピークが1月~3月頃です。
予防接種の回数
生後6か月以上3歳未満の場合は、2回接種が推奨されています。
予防接種の間隔
接種の間隔は、2~4週間が目安ですが、免疫力を考慮すると4週間後が望ましいと考えられています。
2回目のタイミングを逃した場合
2回目接種のタイミングで子どもが発熱してしまい、予防接種に行けませんでした。もういちど最初から受けなおすべきですか?
接種間隔が4週間以上あいてしまっても、ワクチンの効力はあります。
1回目から受けなおす必要はないと考えられています。子どもの体調がよいときに予防接種を受けてください。
予防接種の料金
費用目安は、1回あたり3000円以上~4000円未満です。
※各医療機関により異なります。
※インフルエンザ予防接種は、健康保険適用外です。
予防接種の副反応
予防接種後は、どんな副反応がありますか。
インフルエンザ予防接種の副反応は、一般的に軽いと考えられています。
子どもも大人も、副反応に大差はありません。
<代表的な副反応の症状>
- ワクチン接種部分の腫れ、発赤、痛み
- 発熱
- 頭痛
- 倦怠感
- 悪寒
- アレルギー反応(湿疹、蕁麻疹、かゆみ)
ごく稀に、予防接種後30分以内に、アナフィラキシーショック(発疹、発赤、蕁麻疹、かゆみ、呼吸困難等)が起こるケースがあります。予防接種後30分は、急な副反応が生じる可能性があるので、医療機関やその付近で待機して、子どもの様子を観察しましょう。
発熱・風邪気味の場合は?
子どもが体調不良の場合、予防接種はどう判断したらいいのか解説します。
発熱中は受けられる?
予防接種時の注意事項には、37.5度以上の発熱時には受けられないと記されています。
しかしご自身での判断が困難な場合は、小児科等での相談をおすすめします。
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風邪ひき中は受けられる?
体温が37.4度以下で元気がある場合、多少の鼻水・せきが出ていても接種するケースが多いようです。
しかし、前日に38度以上の発熱があった場合や、かぜをひきやすい体質等、心配な場合は、医師に相談してから決めてください。
下痢中は受けられる?
子どもが下痢をしています。予防接種を受けても大丈夫でしょうか…?
少しの下痢程度であれば、予防接種を受けるケースが多いようです。
しかし、37.5度以上の発熱を伴う場合や、その他の症状も見られる場合には、医師にその旨を説明し、状態を確認してもらいましょう。
卵アレルギーの場合は?
子どもが卵アレルギーです。予防接種を受けられますか?
卵アレルギーの程度によりますが、ほぼ問題なく接種できることが多いです。
近年ワクチンの精製が高度になり、卵の卵白の残存成分がほとんどないためと考えられています。
ただし、重篤な卵アレルギーの場合は、稀にアレルギー反応が生じるケースがあるため、予防接種を受ける医療機関で相談してください。
他の予防接種も受ける場合
おたふく風邪やMRワクチン、水痘ワクチンなど、他のワクチンと同時に接種することはできますか?
同時接種の組み合わせや本数に制限はありません。
予防接種の同時接種の安全性は高いと考えられているため、デメリットは特にありません。
注意点としては、予防接種を受ける間隔を把握しておきましょう。
原則として、生ワクチン接種後は4週間(中27日)以上、不活化ワクチン接種後は1週間(中6日)以上間隔をあける必要があります。
予防接種後の生活で気をつけること
お風呂や保育園への登園など、日常生活で気をつけるポイントを解説します。
お風呂の入浴はOK?
予防接種の後、お風呂に入っても大丈夫でしょうか?
予防接種後の入浴は問題ありません。接種後2時間程度あけるようにしてください。
また、接種部位をこすり洗いしないでください。
保育園の登園はOK?
予防接種の後、保育園に登園させても大丈夫でしょうか?
体調や機嫌がよければ、保育園に登園させても大丈夫です。
ただし、予防接種後(接種後30分間は様子を観察する必要がある)保育園に登園する場合は、接種した医療機関の医師から注意事項を確認したうえで保育園にその旨を伝えてください。
※保育園によっては、予防接種後の登園は認めないところもあるため、事前に確認してください。
その他の注意点
<予防接種後に日常生活で気をつけること>
- 予防接種当日は激しい運動はしない。
- 接種後、1週間は副反応に注意して様子を観察する。
- 接種した部分に何らかの異常が見られる場合は、早急に医療機関を受診する。
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「もしかしてインフルエンザ?」
「風邪かな、インフルエンザかな?」
インフルエンザの初期症状の特徴と、インフルエンザにかかったらとるべき対処法をお医者さんが解説します。
子どものインフルエンザの初期症状
インフルエンザにかかった場合、以下のような初期症状が出ることがあります。
<よくある初期症状>
発熱
頭痛
関節痛
倦怠感
咳・くしゃみ
鼻水
吐き気・嘔吐
下痢
インフルエンザと風邪の違い
「インフルエンザ」と「よくある風邪」の症状の違いは、いったいどういったことがあるのでしょうか?
インフルエンザ
風邪
症状
発熱、頭痛、咳、喉の痛み、鼻水、関節痛、倦怠感等
発熱、喉の痛み、鼻水、くしゃみ等
進行の早さ
急激に進行する
(A型は特に)
緩やかに進行するケースが多い
発熱
38度以上の高熱
微熱
または37度台の発熱
症状がでる体の部位
全身に症状が現れる
主に上気道炎症状喉(喉、鼻)
「インフルエンザ」と判断するポイント
38度以上の高熱が出る
激しい悪寒
強い倦怠感・疲労感
頭痛
関節痛
地域の学校、幼稚園、保育園、会社等でインフルエンザが流行しているかどうか
上記は目安なので、気になる症状がみられる場合は医療機関を受診してください。
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インフルエンザ初期の対処法
インフルエンザにかかったら、どう対処すればいいのか。インフルエンザ感染初期の過ごし方と自宅ケアの方法を解説します。
早く治すための過ごし方
安静にする。
睡眠を十分とる。
水分補給をこまめに行う。
高熱が出ている場合はお風呂に入らない。
食欲がある場合は、免疫力を高めるため食事を摂る。
部屋が乾燥しないように注意する。
家族にうつさない方法
家庭内パンデミックを防ぐために、以下のことを気をつけましょう。
手洗い、うがいをこまめに行う。
マスクを付ける。
手指をアルコールで消毒する。
感染者とは違う部屋で寝るようにする。
免疫力を高めるために、十分な栄養と睡眠をとる。
部屋の中は適度な湿度を保つようにする。
インフルエンザは自然治癒する?
インフルエンザを発症しても、症状が軽い場合は自然治癒するケースがあります。
検査のタイミング
(症状や病状にもよりますが)発熱などの症状が出てから12時間以上~48時間以内の受診が適しているといわれています。
インフルエンザが疑われる場合、迅速判定キット等を用いることで診断できます。
近年、迅速判定キットの性能が向上したため、以前より正確に診断できるようになったようですが、基本的には、インフルエンザの症状が現れてから12時間ほど経過していないと正確な診断ができない場合があります。
すぐに病院を受診した方がいい場合
以下のような症状がある場合は、すぐに時間外でも病院を受診してください。
息苦しそうにしている
水分を摂れない
呼びかけても反応が薄い
顔色が悪い
嘔吐や下痢が治まらない
排尿量が少ない
けいれん
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子どものインフルエンザのスケジュールを考えているママ・パパは要チェック!
子どもの予防接種の受け方や必要性、費用・副反応、予防接種後に気をつけることをお医者さんが解説します。
子どものインフルエンザ予防接種
インフルエンザが流行る前に、余裕を持って子どもに予防接種を受けさせましょう。
インフルエンザのワクチンは、生後6ヶ月以上の赤ちゃんが受けられます。
10月ごろから、子どものインフルエンザの予防接種が続々と始まります。スケジュールをたてるためにも、しっかり準備しましょう。
時期はいつ?
何月ごろに受けるのが適切ですか?
遅くても11月下旬〜12月上旬には予防接種を終わらせてください。
日本では季節性インフルエンザが流行るのは12月下旬〜3月ごろです。個人差はありますが、インフルエンザワクチンは、接種後に抗体ができるまでの期間は、通常約2週間程度あります。その後、抗体ができれば、3〜5カ月間ほど働きが持続します。
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回数は何回?
1回だけでも効果はありますか?
子どもは、1回では抗体がつかない場合が多いので12歳以下では2回の接種を行いましょう。
間隔はどれくらいあける?
2回目をうけるとき、どれくらいの間隔をおけばいいのでしょうか?
インフルエンザワクチンは、1回目の後、2〜4週間あけて2回目の予防接種を受けましょう。
※インフルエンザには、種類がありワクチンにはA型インフルエンザ、B型インフルエンザのワクチンが配合されています。インフルエンザC型というものもありますが、症状のとても軽いウイルスなのでワクチン投与は必要ないとされ含まれていません。
予防接種の費用
1回の予防接種における費用の目安を教えてください。
平均では、3,000円〜5,000円程度です。
インフルエンザの予防接種は、任意の予防接種です。そのため、各病院でそれぞれに値段を設定しています。事前に料金は教えてもらえます。2回接種を受ける場合は、割引の設定をしている場合もあります。
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予防接種を受けることができない場合
体調によっては、予防接種を控えたほうがよい場合、受けられない場合があります。
風邪気味のとき
予防接種をうけても、抗体がつかない可能性があります。
インフルエンザワクチンに限らず、ワクチンを接種する場合は、体調が万全の時が望ましいです。体調が悪い時や弱っている時にワクチンを接種しても抗体がつかない場合があります。
発熱しているとき
予防接種は、37.5度以上の発熱が認められる場合は接種できません。
37.5度以上の熱がある場合は、元気があっても何らかの病気の前触れの可能性があるからです。
また、そのほかの疾患にかかっている人、以前インフルエンザ予防接種を投与した際にアナフィラキシーショックを起こした人は予防接種を受けられません。また、医師が診察の上、不適当と判断した場合も含まれます。
予防接種の副反応
予防接種の副反応を教えてください。
副反応には、赤みや腫れ、疼痛(痛み)、発熱、頭痛、倦怠感などがあります。
他にもじんましんやかゆみの症状が現れる場合もあります。じんましんは、通常数時間でおさまり、他の症状も2〜3日でほぼなくなります。
予防接種後の注意点
予防接種後の日常生活で気をつけることを解説します。
お風呂
予防接種後も入浴は可能ですが、接種した箇所をゴシゴシこすらないようにしてください。
運動
予防接種後は、激しい運動は避けましょう。
初めてインフルエンザの予防接種を受けた後は、副反応に備えて、30分は病院のそばで待機しましょう。体調に変化があった場合は、医師に伝えてください。
子どものインフルエンザ予防接種は必要?
インフルエンザは、まだ免疫力の低い子どもが感染すると重症化する場合があります。
通常健康な大人であれば1週間程度でよくなりますが、子どもが重症化すると快方に向かうのに1~2週間かかる場合もあり、入院して経過を観察する必要がある場合もあります。
症状が重くなると肺炎の発症やインフルエンザ脳症を発症する場合もあります。インフルエンザ脳症は、急激に悪化して死亡する場合もあります。
予防接種を受ければ、インフルエンザに感染しても比較的軽症で済みます。
去年受けたけど今年も必要?
インフルエンザは、毎年形を変えて感染のリスクがあります。
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▼参照
厚生労働省 新型インフルエンザ予防接種後の症状について
東京都総合組合保健施設復興協会 インフルエンザ予防接種ガイドライン等検討委員会:厚生労働省:啓発資料抜粋