「温度差で咳や鼻水がでる…これって花粉症?風邪?」
その症状、もしかしたら寒暖差アレルギーかも!
寒暖差アレルギーのセルフチェックリストから、原因と改善方法、花粉症や風邪との見分け方まで、医師が詳しく解説します。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
寒暖差アレルギーのセルフチェックリスト
寒暖差でこんな症状は出ませんか?
-
- 蕁麻疹(肌の湿疹・かゆみ)が出る
- 鼻水・鼻づまり・頭痛・くしゃみ・咳の症状はあるが、熱がない
- 鼻水は透明の水のようである
- 食欲低下・胃腸が弱っていると感じる
- ストレスを感じてイライラすることが多い
- 目のかゆみや充血はない
1つ以上当てはまる人は、「寒暖差アレルギー」を発症している可能性が高いです。
※なお、寒暖差アレルギーは「アレルギー」という名称が付いていますが、正式にはアレルギーではありません。「血管運動性鼻炎」という病名が正式名称です。
原因は…「自律神経の乱れ」!
寒暖差アレルギーは、寒さや熱さを繰り返し感じることで起きる「自律神経の乱れ」が影響しています。
寒暖差アレルギーを「発症しやすい人」
- 30~40代女性
- 日頃からストレスを感じている人
- 昼夜逆転の生活を送っている人
- 運動不足の人
- 脂っこいものをよく食べる人
- 偏食の人
など
花粉症や風邪とは何が違う?「見分け方」は?
寒暖差アレルギーは花粉症・風邪と違い、「目のかゆみや充血はない」「熱が出ない・粘り気のある鼻水が出ない」点が特徴です。
花粉症や風邪の症状と似ていますが、アレルゲンやウイルス・細菌感染は発症に関係ないのです。
医療機関では、寒暖差アレルギーそのものについて調べる検査は行われません。
そのため、ウイルスや細菌に感染がなく、アレルギー検査をしても異常が出ないのであれば寒暖差アレルギーが疑われます。
◆花粉症
花粉が体に入ることで起きるアレルギー反応
◆風邪
ウイルスや細菌が体内に入って起きる感染症
「アレルギー症状が出ないように」する対処法
- 「温度差7度以上」に注意する
- ツボ押しで体を温める
- 自律神経を整える
の3つの予防法を実践しましょう。
対処法① 「温度差7度以上」に注意する
温度差が7度以上になると発症しやすいと言われています。
寒い日は、特に首回り・手首・足首を暖かくして出かけましょう。
寒暖差を避け、自律神経のバランスを整えればよくなっていく場合もあります。
不規則な生活を改善し、毎日の食生活や睡眠時間を整えて、バランスのよい生活を送りましょう。
対処法② ツボ押しで体を温める
外関(がいかん)と呼ばれるツボを押すと体が温まります。
手首上側(手の甲側)のツボで、少しひじ寄りの場所にあります。
③自律神経を整える
早寝早起き、栄養バランスの見直しを心がけ、自律神経の乱れを防ぎましょう。
自律神経を整えるには、ビタミンB1やビタミンC・カルシウム・ タンパク質を摂ると良いと言われています。
こんな食品がおすすめ!
◆ビタミンB1
肉類・うなぎ・鰹節・ごま・落花生など
◆ビタミンC
いちご・レモン・ピーマン・ブロッコリーなど
◆カルシウム
牛乳・ヨーグルト・小魚など
◆タンパク質
肉類・きなこ・油揚げ・納豆・卵・いわし・チーズなど
「アレルギー症状が出た後」の対処法
寒暖差アレルギーの症状が出たときは、症状に合わせて次の対処法を行ってください。
かゆみ
かかないようにして、かゆみのある部分を冷やしてください。
1日ほど行っても治らない場合は皮膚科・アレルギー科を受診しましょう。
鼻水・鼻づまり
マスクや鼻水をかむ、体を温めるなどしてください。
1日ほど行っても治らない場合はアレルギー科を受診しましょう。
頭痛
鎮痛剤を使う、安静にするなどしてください。
1日ほど行っても治らない場合は脳神経外科、脳神経内科を受診しましょう。
くしゃみ・咳
マスクをして体を温めてください。
1日ほど行っても治らない場合はアレルギー科、内科を受診しましょう。
食欲の低下
ゆっくり休んで無理しないようにしましょう。
食べられそうなものがあれば、食べてください。
2~3日ほど行っても治らない場合はアレルギー科、内科を受診しましょう。
胃腸の機能低下
腹部を温める、食べられそうなものを食べる、消化の良いものを食べるやなどのセルフケアを行ってください。
2、3日ほど行っても治らない場合は内科、消化器内科を受診しましょう。
イライラする
休息を取る、睡眠をたっぷりとるなどのセルフケアを行ってください。
3、4日ほど行っても治らない場合はアレルギー科、内科を受診しましょう。
市販薬は何を使えばいい?
寒暖差アレルギーの症状は、市販薬で対処することができます。
ただし、根本的な治療方法ではなく対症療法なので、薬剤師と現在の症状を相談して決めましょう。
抗アレルギー薬
「アレグラ」「アレジオン」など一般的な抗アレルギー薬を使うことで、寒暖差アレルギーの症状が緩和されることがあります。
アレルギー反応に関与する体内物質「ヒスタミン」の働きを抑えることで、寒暖差アレルギーに効くとされています。
鼻炎薬
鼻炎薬は、抗アレルギー薬の成分が入ったものを選びましょう。
寒暖差アレルギー自体には効きませんが、鼻水などの対処療法として使えます。
漢方薬
小青竜湯(しょうせいりゅうとう) という漢方薬が鼻づまりや鼻水をよくすることがあります。
冷えた体を温めながら水分代謝を促し、鼻水やくしゃみなどを抑えるとされています。
症状がひどい場合は病院へ
病院では、病院でも根本的な治療方法ではなく対症療法が行われます。
抗アレルギー薬や点鼻薬など使用されることがあります。
病院は何科?
まずは耳鼻いんこう科を受診しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
合わせて読みたい
2020-03-10
「水っぽい鼻水が出るのはなぜ…?」
「鼻水が垂れてきて困る!」
「今すぐ止める方法を教えて!」
この記事では、なぜ鼻水が水っぽくなるのか、考えられる原因を医師に伺いました。
また、水っぽい鼻水が止まらない場合の対処法や、病院へ行くべき症状についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
水っぽい鼻水の2つの原因
水っぽい鼻水が出る主な原因として
風邪のひきはじめ
アレルギー
が考えられます。
① 風邪のひきはじめ
風邪の初期段階は、ウイルスや細菌等の侵入を阻止しようとして水っぽい鼻水が出るケースが多いです。
また風邪の初期では、ウイルスや細菌が増殖しきっていないため、鼻水が透明でサラサラしているとも考えられています
鼻水は日を追うごとに粘性がある黄色や緑色に変化していきます。
水っぽい鼻水に伴い次の症状がある場合は、風邪の初期段階である可能性が高いと考えられます。
喉の痛み
咳や痰が出る
発熱
筋肉痛(関節痛)
頭痛
倦怠感 等
② アレルギー性鼻炎(花粉症・寒暖差アレルギーなど)
アレルギー性鼻炎の場合、くしゃみを伴うサラサラの水っぽい鼻水が出るケースが多いです。
アレルギーの場合、鼻水・鼻づまりが一週間以上続いたり、連続してくしゃみが出るという特徴もあります。
鼻水に加えて、
鼻づまり
目のかゆみ
充血 等
といった症状がある場合は、アレルギー性鼻炎が疑われます。
アレルギー性鼻炎の場合、アレルゲンを排除するために鼻水が出ています。そのため、アレルギーの原因が排除されない限り、水っぽい鼻水が出続ける場合が多いです。
アレルギーの原因としては、花粉、ほこり・ダニの死骸(ハウスダスト)、動物(ペット)等が挙げられます。
寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)のケースも
寒いときに、
水っぽい鼻水や咳が出る
鼻が詰まる
ムズムズする
くしゃみ
イライラする
食欲不振
なんとなく調子が悪い 等
といった症状があるときは、寒暖差アレルギーの可能性があります。
7度以上の気温差(寒暖差)が生じると血管収縮が寒さ暑さの状況に対応しきれなくなり、自立神経が誤作動することで、体調不良が起こると考えられています。
鼻がつまったときの対処法
水っぽい鼻水が止まらないときは、鼻を優しくかみましょう。
鼻をすすらないように、片側ずつ小刻みにゆっくり鼻をかむようにすましょう。
また、次のような方法でも鼻水が止まりやすくなります。
深呼吸する
息を吐ききって息を止めて鼻をつまむ
②の状態のまま、頭をゆっくり上下に動かす(2秒を目安に行う)
息が苦しくなってきたところで手を放して呼吸する
鼻水をすするのはNG!
出てきた鼻水はすすって体内に戻すことなく、できるだけ体外へ排泄するようにしてください。
水っぽい鼻水が出てくるとついすすってしまいがちですが、鼻水にはウイルスや細菌の残骸やそれらと闘った白血球の残骸等が含まれています。
「それでも鼻水が止まらない」ときの6つの対処
それでも鼻水が止まらない時は、次の6つの対処法があります。
蒸しタオルを鼻に当てる
漢方薬を使用する
マスクを使用して、鼻の乾燥や異物の侵入を防ぐ
部屋を加湿して乾燥を防ぐ
お風呂に入ったり、シャワーを浴びたりする
市販の鼻水吸引機を使用して吸い取る
お風呂の湯気の加湿効果によって、鼻水、鼻づまりが解消する場合があります。
鼻水の吸引だけでも耳鼻科の受診は可能です。
漢方薬
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)等
アレルギー性鼻炎の対処法
アレルギー性鼻炎の場合は、
お薬を使用する
部屋の掃除を行う
という対処ができます。
部屋の掃除を行うことで、日常的にアレルゲンを除去することも大切です。
「点鼻薬」は、抗アレルギー成分、抗ヒスタミン成分、血管収縮成分、ステロイド成分等を配合するものを選びましょう。
「鼻炎薬」は、抗アレルギー成分、抗ヒスタミン成分等を配合する内服薬を選びましょう。
\花粉症の方へ/
市販の抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を花粉が飛散するピークの2週間前から服用しておくと、症状が軽く済む場合があります。
寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)の場合は…
寒暖差アレルギーの場合は、
体温調節をしっかり行い、気温差が生じないようにする
日々の体調管理を徹底する
適度な運動を行い、体力をつける
体を冷やさない
といった対処をとるとよいでしょう。
こんな症状は病院へ!
水っぽい鼻水が止めどなく出てきてしまう
水っぽい鼻水が長期間続く(1週間ほど)
水っぽい鼻水から強い粘性や緑黄色のある鼻水に変化した
風邪でもないのに慢性的に鼻水や鼻づまりが続く
といった症状がある場合は、病院を受診しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
合わせて読みたい
2022-10-31
お風呂上がりに、いつも鼻水やくしゃみが出る…。
これって寒暖差アレルギー?
お風呂上がりに寒暖差アレルギーが出やすい理由について、お医者さんに聞きました。
花粉症・風邪との見分け方や、アレルギー症状の予防法も紹介します。
お風呂上がりの「鼻水・くしゃみ」は寒暖差アレルギーかも
寒暖差アレルギーとは、急激な温度の変化が刺激となって起こる症状で、医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ばれます。
浴室と脱衣場は温度差が大きいため、お風呂上がりは鼻水・くしゃみなどのアレルギー症状が出やすいです。
急激に温度が変化することで血管の収縮に対応できず、鼻の粘膜が腫れることにより、鼻水・くしゃみなどの症状が出ます。
脱衣所を温かくするなど、寒暖差が出ないようにすることが予防になります。
また、自律神経の乱れも影響しているので、普段からストレスを溜めないことも大切です。
寒暖差アレルギーが出やすいタイミング
お風呂上がり
冬の寒い日に外に出る時
夏場にクーラーが効いた屋内に入る時
カレーやラーメンなどの熱くて刺激の強い物を食べる時
上記のタイミングは、急激に温度が変化するため、寒暖差アレルギーが起こりやすいです。
寒暖差アレルギーのチェックリスト
一時的にくしゃみが続く
鼻がムズムズする
水っぽくてサラサラした鼻水が出る
鼻づまり
倦怠感
イライラする
寝つきが悪くなる
食欲不振
花粉症や風邪との見分け方は?
寒暖差アレルギーの場合、花粉症に多い「目のかゆみ・充血」、風邪を引いたときにあらわれる「発熱」などの症状がでない場合が多いです。
花粉が多い季節に、「目や肌のかゆみ」を伴う場合は、寒暖差アレルギーではなく花粉症を発症している可能性があります。
また、微熱があったり、黄色くて粘り気のある鼻水が出たりする場合は、鼻風邪が疑われます。
寒暖差アレルギーの「鼻水の特徴」
★寒暖差アレルギー
水っぽくてサラサラしている
アレルギー性鼻炎
(花粉症など)
無色透明なことが多い
(悪化すると黄色い鼻水がでることもある)
鼻風邪
黄色くて粘り気のある鼻水が出ることが多い
寒暖差アレルギーの「くしゃみの特徴」
★寒暖差アレルギー
お風呂上がりなど、特定のタイミングで続けて何度も出る
アレルギー性鼻炎
(花粉症など)
続けて何度も出る
鼻風邪
数回続けて出る場合がある
発症の原因は?
急激な温度変化(7度以上)により、「鼻の粘膜の自律神経が乱れる」ことで、寒暖差アレルギーを発症します。
また、寒暖差以外にも、「タバコ・排気ガス」などの化学物質や、「精神的ストレス」などで発症する場合があります。
寒暖差アレルギーを発症しやすい人の特徴
ストレスが多い
不規則な生活リズムを送っている
暴飲暴食、もしくは欠食している
上記のような生活習慣の人は、自律神経が乱れやすいため、寒暖差アレルギーを発症することが多いです。
アレルギー症状が出た後の対処法
アレルギー症状が出たら、
体を温める
リラックスする
ことを心がけましょう。
自律神経が整うため、アレルギー症状の緩和が期待できます。
① 体を温める
シャワーだけでなく湯船につかる
温かい飲み物を飲む
上着を羽織る
などをして、体を温めましょう。
体を温めると自律神経が整うため、アレルギー症状の緩和につながります。
➁ リラックスする
好きな音楽を流す
アロマを焚く
などにより、気持ちを落ち着かせましょう。
リラックス状態になると副交感神経が働き、アレルギー症状が緩和されます。
気が向いたタイミングで行うようにしましょう。
市販薬は何を使えばいい?
市販薬を使用する場合は、「抗アレルギー剤」や「鼻炎の薬」を選びましょう。
ただし、市販薬は寒暖差アレルギー専門の薬ではありません。
きちんと症状を抑えるには、医療機関で受診し、専門の治療薬を処方してもらう必要があります。
アレルギー症状を緩和・予防するための「5つの習慣」
寒暖差アレルギーの症状を緩和・予防するためには、自律神経を整えることが大切です。
普段から、以下の5つを意識しながら生活しましょう。
主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
毎日6〜8時間程度の睡眠をとる
毎日30分程度の運動をする
ストレスをこまめに発散する
早寝早起きをする
おすすめ習慣① 主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
1日3食、主食・主菜・副菜が揃った食事をとりましょう。
和定食のような食事が理想です。
体に必要な栄養をバランスよくとることで、血行の改善や自律神経を整えることにつながります。
おすすめ習慣➁ 毎日6〜8時間程度の睡眠をとる
毎日6〜8時間程度の睡眠時間を確保しましょう。
きちんと睡眠をとることで、「規則正しい生活」「ストレスの軽減」につながります。
テレビ・スマホ・パソコンは、就寝の2時間前までに閉じるようにしてください。
おすすめ習慣③ 毎日30分程度の運動をする
ウォーキングなどの適度な運動を、生活の中にとり入れましょう。
最低でも1日30分程度は、体を動かす時間を作ってください。
運動には、
免疫力を高める
ストレス解消
血行の改善
といった効果が期待できます。
おすすめ習慣④ ストレスをこまめに発散する
ストレスは自律神経を乱しやすく、寒暖差アレルギーの原因となります。
こまめに息抜きすることが大切です。
「ストレス解消法」の例
趣味に没頭する時間を作る
誰かに話を聞いてもらう
湯船に浸かってリラックスする
外で日光浴をする
好きな物を食べる(過食はしない)
旅行に行って、気持ちをリフレッシュさせる
ウォーキング・ストレッチなどの軽い運動を習慣にする
おすすめ習慣⑤ 早寝早起きをする
早寝早起きを心がけ、太陽の光を浴び、生活リズムを整えましょう。
規則的な生活を送ると、自律神経が整い、寒暖差アレルギーの予防につながります。
朝決まった時間に起きると、朝食をとる習慣も作りやすいでしょう。
症状がひどい場合は病院へ
アレルギー症状が5日ほど続く
寒暖差アレルギーによって生活に支障が出る
といった場合は、医療機関で受診してください。
症状が悪化すると、睡眠障害につながり、そこから精神的な病気に進行するおそれもあります。
また、寒暖差アレルギー以外の病気が隠れている可能性もあるので、病院で検査を受けましょう。
病院は何科に行けばいい?
寒暖差アレルギーが疑われる場合は、「耳鼻いんこう科」を受診しましょう。
耳鼻いんこう科では、アレルギーの詳しい検査や治療が可能です。
耳鼻いんこう科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
・サワイ健康増進課