3日以上も続いている、つらい下痢を早く治したい!
少しでも早く、下痢の症状を楽にする方法をお医者さんに教えていただきました。
やってはいけない対処法、病院に相談が必要なケースなども解説しているので参考にしてください。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
下痢が長引いている…早く治すには?
下痢の症状を早く抑えたいときは、次の対処法を試してください。
- 水分補給を十分に行う
- 消化のよい食べ物を食べる
(例)おかゆ、煮込んだうどん、みそ汁、野菜スープ、りんごのすりおろし等
- 傷ついた粘膜を改善するためタンパク質を含む食品を摂る
(例)豆腐、卵、鶏ささみ
- 乳酸菌を摂る
(例)ヨーグルト、納豆等
- 安静にする
- 体が冷えないように温める
下痢のときに「やってはいけない対処」
次のことを下痢の状態で行うと、症状を悪化させる可能性があります。
- 消化吸収がよくない食品を食べる(腸に負担がかかる)
(例)脂肪分を多く含む肉類、魚類、ラーメン、貝類等
- 刺激が強い食品を食べる(腸の運動が過剰になる)
(例)アルコール類、炭酸飲料、コーヒー、香辛料等
- 暴飲暴食
暴飲暴食は、腸に過度の刺激を与えるため下痢が起きやすくなる
- 自律神経のバランスを崩す生活
過度のストレス、睡眠不足等は自律神経のバランスを崩して、腸に負荷をかける場合がある
市販薬は使ってもいい?
症状が軽い場合は、市販の下痢止めや整腸剤を使い、下痢による脱水や体力の消耗を食い止めてもいいでしょう。
ただし、下痢を起こす原因によっては、市販薬の服用により症状の改善が期待できない場合があるため、できるだけ医療機関を受診し、症状や原因に合った薬の処方や治療を受けることをおすすめします。
なぜ?3日以上も続く下痢の原因(腹痛ナシの場合)
下痢が長引いていて、腹痛をともなわない場合は、次の原因が考えられます。
それぞれに対応する対処法を行ってください。
原因① 消化機能の低下
暴飲暴食により、消化しきれず残った食べ物等が腸に刺激を与えると下痢を起こす場合があります。
また、胃腸が冷えると、胃腸の血行不良が起こり、消化機能が低下して下痢を起こす場合があります。
下痢の特徴:水っぽい便
下痢以外の症状:腹部不快感、ゲップ等
対処方法:暴飲暴食しない、冷えないようにする
原因② ストレス
過度のストレスや過労等により自律神経が緊張状態になり、腸が過剰反応する(腸が痙攣する)と下痢を起こす場合があります。
下痢の特徴:水っぽい便
下痢以外の症状:便秘
対処方法:ストレスを溜め込まない、ゆっくり休む、十分な睡眠時間を確保する
原因③ 刺激物の摂取過剰
アルコールや香辛料等の刺激が強いものを過剰摂取すると、胃酸が必要以上に分泌されて、胃壁粘膜を傷付けたり、蠕動運動を活性化したりして下痢を起こす場合があります。
下痢の特徴:水っぽい便
下痢以外の症状:便秘
対処方法:胃を休める、水分をしっかり摂る、安静にする
3日以上も続く下痢の原因(腹痛アリの場合)
長引く下痢の中でも、腹痛がある場合は、次の原因が考えられます。
原因① 過敏性腸症候群(IBS)
ストレスや緊張等が原因で、消化管の運動異常、知覚過敏が起こり下痢を起こすと考えられています。
下痢の特徴:
- 月に3日間以上腹痛を伴う下痢や便秘が起こる
- 排便すると症状が緩和するケースが多い
- 下痢と便秘を交互に繰り返すケースが多い
下痢以外の症状:腹痛、腹部不快感、腹部膨満感(ガスの過剰生産)、便秘
対処方法:
多くの場合、整腸剤等を用いた薬物療法、ストレスの除去、生活習慣の見直し・改善、十分な睡眠時間を確保する等を行う
原因② 食中毒(感染性腸炎)
サルモネラ菌、ノロウイルス、ロタウイルス、カンピロバクター、O-157等のウイルスや細菌が体内に侵入することで下痢が起こります。
下痢の特徴:激しい下痢
下痢以外の症状:腹痛、発熱、嘔吐、血便等
対処方法:
- 水分をしっかり摂り安静にする
- ウイルス性の場合には抗生物質は無効、細菌性の場合は有効
(腹痛が強い、血便がある場合は、細菌性の下痢のケースが多い)
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2023-01-30
過敏性腸症候群とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
過敏性腸症候群の主な症状も紹介するので、当てはまるものがないかチェックしましょう。
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群とは、腹痛・腹部の不快感・便秘・下痢などを何度も繰り返してしまう病気です。
特にストレスを感じたときに発症しやすい傾向があります。
以前はなかった病気で、近年では若い人を中心に発症を増やしています。
検査で異常が見つからない点も特徴です。
過敏性腸症候群の症状チェック
お腹の痛み
お腹の不快感
下痢
便秘
吐き気・嘔吐
過敏性腸症候群の原因
根本的な原因は未だ不明ですが、発症にストレスが関わっていると言われています。
どの年代でも発症しますが、20〜30代の若い世代を中心に患者さんが増えています。
特に、ストレスに敏感な人、仕事が忙しい人に発症しやすい傾向があります。
過敏性腸症候群になりやすい人
不規則な生活を送っている
疲労・ストレスがたまっている
睡眠時間が短い
不規則な生活や疲労・ストレスは自律神経を乱しやすいため、過敏性腸症候群を引き起こしやすくなります。
過敏性腸症候群は自分で治せる?病院行くべき?
過敏性腸症候群の場合、腸自体に問題はないため、すぐに治療が必要なわけではありません。
ただし、長期間症状が続くと、それ自体がストレスとなって自律神経がさらに乱れる原因となります。過敏性腸症候群を疑う症状が続く場合は、病院で相談しましょう。
過敏性腸症候群の治し方
一日三回バランスの良い食事を摂りましょう
十分な睡眠をとりましょう
ストレスは溜めずに発散しましょう
定期的に運動をしましょう
市販薬を使ってもいい?
過敏性腸症候群に対する市販薬もあるため、症状が軽い場合は使用してもよいと考えられます。
ただし、市販薬を使用できるのは、医師による診断を以前に受けたことがある人に限ります。
また、市販薬を使用する場合は、自己流の治療で症状を悪化させる可能性もあると念頭に置いておきましょう。市販薬で症状が良くならない場合は、必ず病院を受診してください。
こんな症状は早く病院へ
排便のリズムが定まらない
ストレスを感じると便意を催す
急に便意を催すことが頻繁にある
腹痛を伴う下痢、便秘を数日間で何度も発症している
上記に該当する人は、医療機関の受診をおすすめします。
病院は何科?
過敏性腸症候群が疑われる場合は、消化器内科を受診しましょう。
まずは、他の消化器疾患がないかを確認することが大切です。過敏性腸症候群が疑われる場合、一度は胃腸内科、消化器疾患を受診することが望ましいでしょう。
消化器内科を探す
胃腸内科を探す
病院での治療法は?
生活習慣を見直しても症状が良くならない場合、薬を使用して治療します。
過敏性腸症候群では、一般的には消化管の機能を調節する薬や、プロバイオティクス(※)などが処方されます。
ガス型の症状に対しては、ガスを吸着する薬としてガスコンという薬が使われます。その他、漢方薬の処方で症状が良くなる人もいます。
また、ストレスが原因の場合や、うつ症状がある場合には抗不安薬や抗うつ薬を使います。
プロバイオティクスと抗不安薬を組み合わせた治療をすることもあります。
(※)プロバイオティクス…人間や動物の体に対して、良い働きをする生きた微生物のこと
原因③ 乳糖不耐症、アレルギー性胃腸炎
牛乳等の乳製品に含まれている乳糖を分解する酵素が少ないことで下痢が起こります。
アレルギー性胃腸炎は、アレルギーを引き起こす原因物質を摂ることで下痢が起こります。
下痢の特徴:水っぽい下痢
下痢以外の症状:腹痛、嘔吐等
対処方法:水分をしっかり摂り安静にする
病院に行くべきケース
次の症状が出ているときは、病院を受診してください。
- 経験したことがないほど症状の重い下痢
- 排便しても腹痛が続く
- 下痢や腹痛等の症状がどんどん悪化していく
- 下痢が続いて脱水症状が起こっている(尿量低下、口がひどく渇く等)
- 下痢症状に加えて、発熱、悪心、嘔吐等の症状があう
- 血便
- 下痢が1週間以上続く
上記の症状が出ているときは、内科、胃腸内科、消化器内科の受診をおすすめします。
内科を探す
「深刻な病気」が隠れているケースも
なかには、ただの下痢では済まされない、深刻の病気の可能性があります。下痢が長く続くときは、病院を受診するようにしましょう。
潰瘍性大腸炎・クローン病
慢性的に消化管(腸)の炎症が続く状態です。
腸に炎症が生じると、腸粘膜から細胞内の液体や血液成分が滲出し、便の水分量が増加して下痢状態になります。
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2023-01-30
潰瘍性大腸炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
潰瘍性大腸炎の主な症状やなりやすい人、原因なども紹介するので、心当たりがないかチェックしてみましょう。
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎とは、大腸に炎症ができ、表面が赤く腫れたり、潰瘍ができたりする疾患です。
初期段階は、下痢と便秘を繰り返すことが多いのですが、症状が悪化すると血便や下血が現れる場合もあります。
どんな痛み?潰瘍性大腸炎の症状
下痢
血便(赤黒い色の血便、粘血便)
激しい腹痛
下腹部の違和感
発熱
倦怠感
貧血
脱水
食欲低下
体重減少
下痢と血便を主症状として、激しい腹痛を伴うケースが多いです。
ゼリー状の粘液のような血便が出る場合もあります。
悪化すると、1日10回以上血便が出るようになります。
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の発症原因は未だ明確になっておらず、国の指定難病に定められています。
考えられる原因としては、免疫異常・遺伝的要因・環境要因が挙げられます。
潰瘍性大腸炎になりやすい人・性格は?
ストレス過多・ストレスを感じやすい
腸内細菌のバランスが崩れている
生活習慣が乱れている
家族が潰瘍性大腸炎やクローン病を発症している
発症に男女差はなく、男性の発症ピークは20~24歳、女性の発症ピークは25~29歳にみられます。
ストレスが潰瘍性大腸炎の直接的な原因となるわけではありません。
ただし、過剰なストレスは腸内環境の悪化や免疫力の低下につながるため、潰瘍性大腸炎の発症に影響するという意見もあります。
「ストレスが溜まっている」「ストレスを感じやすい性格」などの自覚があり、潰瘍性大腸炎の症状が見られる場合は、注意が必要です。
家庭内で発症するケースもあり、遺伝的因子も関与すると考えられています。
そのため、家族に同様の病気の人がいると、発病のリスクが高くなる可能性があります。
▼参考
潰瘍性大腸炎(指定難病97)
潰瘍性大腸炎とは?症状と予防のために気をつけたい注意点を解説
潰瘍性大腸炎について- どのような病気か分かりやすく解説! -
潰瘍戦大腸炎を疑う場合は病院へ
潰瘍性大腸炎は再発しやすく、重症化して手術が必要になる場合もあるため、早めに病院を受診してください。
潰瘍戦大腸炎を疑う場合は、内科・消化器内科・胃腸内科の受診をおすすめします。
内科を探す
潰瘍性大腸炎の治療法
潰瘍性大腸炎の治療では、「薬物治療」や「手術」が行われます。
薬物治療は、大腸の炎症を抑える薬、免疫機能を調整する薬などを使用します。
薬が効かない、症状が重いなど、薬物治療で対処できない場合に、大腸を全摘出する手術が行われることがあります。
慢性膵炎
膵臓に炎症が生じて膵液の分泌が減少すると、脂肪分の消化吸収が滞り、下痢が起こります。
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膵炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
膵炎の主な症状も紹介するので、「膵炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしてみてください。
膵炎とは
膵炎とは、膵臓の消化液が漏れて、臓器を傷つけてしまう病気です。
この膵炎は「急性膵炎」と「慢性膵炎」に分かれます。
「急性膵炎」とは、消化酵素によって膵臓自体がダメージを受けて、炎症が起こっている状態です。
「慢性膵炎」とは、食べ物を消化するための膵液が、長期間に渡って膵臓自身を溶かしてしまう病気です。
「急性膵炎」と「慢性膵炎」それぞれの症状
急性膵炎
▼軽度~中等度の症状
みぞおち周辺から左上腹部の痛み
背中の痛み
吐き気、おう吐(吐いても症状が改善しない)
発熱(37度~38度程度が多い)
食欲不振
腹部膨満感
▼重度の症状
血圧低下
皮膚が黄色っぽくなる
呼吸困難
精神が錯乱してしまうほどの激しい痛み
失神
慢性膵炎
腹痛を5〜10年ほど繰り返す
急にお腹や背中が痛くなることがある
下痢や便秘の症状がある
みぞおちを押すと痛い
だるい
食欲不振
吐き気、嘔吐
お腹の張り(膨満感)
体重減少(※)
※人によって異なりますが、6か月で5%以上を病的な体重減少とすることが多いです。
膵炎の原因
膵炎の原因には、「お酒の飲み過ぎ」「胆石が胆管で詰まる」などが挙げられます。
ただし、はっきりと原因が分からないケースもあります。
膵炎になりやすい人
お酒をよく飲む
タバコを吸う
暴飲暴食している
脂肪分を多く含む食品のとり過ぎ
就寝直前に食事をとることが多い
刺激が強い飲食物を好む
急性膵炎を疑う場合はすぐ病院へ
膵炎が疑われる場合は、「内科」で受診することをおすすめします。
急性膵炎を発症すると、命に関わるケースもあります。
特に毎日飲酒している方は、腰・背中あたり痛みを感じたら早めに受診しましょう。
内科を探す
慢性膵炎も放置はNG
慢性膵炎は症状が進行すると、インスリンの分泌量が低下し、糖尿病を発症する恐れがあります。
また、症状が悪化すると、膵臓ガンを発症する恐れもあるため、早めに受診してください。
膵炎の検査・治療法
医療機関では、必要に応じて血液検査、内視鏡、エコーなどを行います。
そこまで痛い検査はありません。
膵炎の治療は、
鎮痛剤の投与
輸血
絶食
などをおこなって症状の改善を図ります。
安定するまで集中治療の管理が行われるため、入院が必要になるケースが多いです。
虚血性腸炎
腸に血液を送る血管の血流が滞り、腸の機能が低下する状態です。
大腸がん
大腸がんが進行して、大腸の内部が狭くなると、下痢と便秘を繰り返す症状があらわれることが多いです。