しゃっくりが止まらない…!
病気の前兆って本当なの?
しゃっくりと病気の関係を、お医者さんに詳しく聞きました。しゃっくりの「正しい止め方」も解説します。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
しゃっくりは病気の前兆?
短時間(数分間)で止まるしゃっくりは病気が原因ではないケースが多いです。
また、アルコールの過剰摂取、暴飲暴食、一気飲み、炭酸飲料の摂取、喫煙等により急激に胃が拡張した場合に起こるしゃっくりも、病的原因ではないケースが多いです。しかし…
2日以上の長期間しゃっくりが続く場合は、難治性しゃっくりの可能性があるため要注意です。
またしゃっくりとともに、頭痛・痺れ・平衡感覚消失・筋力の低下などの神経症状がある場合も注意が必要です。
しゃっくりの「正しい止め方」
- 息を止めて血液中の二酸化酸素濃度を上昇させる (30秒~1分間ほど息を止める)
- 冷たい水、空気を素早く飲む
- 冷たい水で、顔・まぶた・外耳を冷やす
- 眼球を優しく押す(圧をかける)
- 舌をそっと引っ張る(0秒~1分程度)
- 両手の人差し指を少し強めに両方の耳に入れて、栓をするようにして1分程度待つ
止まらないのは“病気のサイン“かも
しゃっくりが数日続く場合、
・消化器の病気
・脳の病気
・呼吸器の病気
などの可能性があります。
それぞれの症状を紹介します。
原因① 消化器の病気
逆流性食道炎・消化性潰瘍等の場合、胃酸によって舌咽神経が刺激を受けることでしゃっくりが出るケースがあります。
また、胃ガン・食道ガン・消化管炎症・腸閉塞・胃腸炎などの消化管が拡張したり、消化管運動が亢進したりする疾患により、横隔膜に刺激が与えられてしゃっくりが出るケースもあると考えられています。
合わせて読みたい
2023-01-30
逆流性食道炎とはどのような病気なのか、分かりやすくまとめました。
逆流性食道炎の主な症状や原因、なりやすい人の特徴も紹介するので、心当たりがないかチェックしましょう。
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは、胃酸や胃の中の食べ物が食道に逆流することで食道で炎症が起こり、胸やけなどの症状があらわれる病気です。
逆流性食道炎の症状チェック
胸焼け(空腹時や夜間に多い)
胃もたれ
げっぷ
呑酸(※1)
喉の違和感
咳
声のかすれ
睡眠障害
(※1)胃酸により、口の中や喉が酸っぱく感じること
症状が長く続いている場合、睡眠障害を起こし、日常生活に支障をきたすことがあります。
症状が一つでもある場合は、早めに受診して、検査をおこなうことが大切です。
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎はストレスや肥満、更年期が原因となっているケースが多いです。
原因① ストレス
胃と自律神経系は深い関わりがあり、ストレスを受けるとその刺激が自律神経系に伝わります。自律神経系の働きによって胃酸の分泌が過剰になり、食道に逆流しやすくなります。
胃の粘膜には胃酸から粘膜を守る仕組みがありますが、食道にはその仕組みがありません。
さらに、ストレスによって胃や食道の運動機能が落ちているため、胃酸にさらされる時間が長くなり、炎症が起こりやすいと考えられています。
原因② 肥満
お腹が圧迫されると、胃の中の圧も高くなるため、胃酸が食道に逆流しやすくなります。
肥満の人は、脂肪でお腹が圧迫されやすいため、逆流性食道炎の原因となる可能性があります。
また、肥満の人は食道裂孔ヘルニアになりやすく、食道裂孔ヘルニアになると胃に圧がかかりやすい状態であるため、逆流性食道炎を発症しやすいといわれています。
原因③ 更年期
更年期になると胃酸や胃の内容物の逆流を防ぐ下部食道括約筋が衰え、逆流性食道炎を発症しやすくなります。
さらに、食道の働きの衰え・唾液の量の減少も加わり、逆流した胃酸を胃へ戻しにくくなるため、逆流性食道炎を起こしやすくなっています。
逆流性食道炎になりやすい人は?
過食
早食い
肥満
脂肪を多く含む食品をとり過ぎている
お酒をよく飲む
炭酸飲料をよく飲む
タバコを吸う
逆流性食道炎は自力で治せる?
脂肪分を控える
酸味の強いものも控える
満腹まで食べない
重いものを持たない(腹圧が強くかかるため)
ベルトを締めすぎない
といったセルフケアで、改善が期待できます。
ただし、上記のケアで改善が見られない、不調が悪化している、といった人は医療機関で相談してください。
逆流性食道炎の治し方|食事・市販薬など
しばらくの間は、油っこくない、さっぱりとした食事を心がけましょう。
また、早食いや食べ過ぎ、食後すぐに横になる行為は控えてください。
調理方法は「蒸す」「茹でる」を中心にすると、油の摂取量を減らすことができます。
食事の際は、一口ずつよく噛んで、ゆっくりと時間をかけて食べてください。
また、就寝の3時間前に食事を済ませるようにしましょう。
食後2~3時間は体を起こしておくと、発症予防になります。
市販薬で治るの?
逆流性食道炎(胸やけ)に向けた市販薬は、医療薬から転用されたスイッチOTC薬※「H2ブロッカー」です。
ただし、H2ブロッカーは完全に胃酸の分泌を抑える処方薬ではないので、あくまで症状を徐々に和らげるものと考えてください。
※処方薬だった成分が、処方箋がなくても一般薬として薬局・薬店で購入できるようになった薬
商品名は各メーカーにより異なりますが、パッケージや添付文書に「H2ブロッカー胃腸薬」「H2受容体拮抗剤」と表記されています。
こんな症状は早く病院へ
胸焼け
酸っぱい液体が上がってくる、ゲップが出る
せき
のどの不快感
上記のような症状が見られる場合は、病院を受診しましょう。
病院は何科?
胃腸内科や消化器内科を受診しましょう。
症状に関しての相談は内科でも行う場合がありますが、検査は胃腸専門の病院が良いでしょう。
消化器内科を探す
病院での治療法は?
病院では、薬物療法や外科的治療を行います。
薬物療法では、胃酸の分泌を抑制する薬、胃や食道の運動を高める薬、粘膜を保護する薬を使用する場合が多いです。
薬物療法で改善が見られない場合、手術により逆流を防止する治療を行うケースもあります。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
消化器の病気の「症状の特徴」
- 喉が苦い感覚
- 胸やけ
- 胸痛
- 喘息咳
- 喉が詰まる感じ
- 嚥下痛
- 嚥下困難
- 喉がイガイガする
消化器の病気の疑いがある場合は、胃腸内科・消化器内科を受診しましょう。
消化器内科を探す
原因② 脳の病気
脳梗塞・脳出血・脳腫瘍・脳動脈瘤・てんかん等の「脳の病気」により、しゃっくりが起こる場合があります。
脳の病気が原因で起こるしゃっくりは、2日間以上しゃっくりが続く「難治性しゃっくり」に分類されます。脳と脊髄を繋いでいる中枢神経が刺激を受けることで、しゃっくりが起こると考えられています。
脳の病気の「症状の特徴」
- 吐き気
- 嘔吐
- 頭痛
- めまい
- 息苦しい
- しびれ
- 不眠
- 視覚障害
- 歩行困難
脳の病気の疑いがある場合、脳神経外科・脳神経内科を受診しましょう。
脳神経外科を探す
原因③ 呼吸器の病気
肺炎・胸膜炎・肺がん・気管支喘息などの呼吸器の病気により、迷走神経や横隔神経に直接刺激を与えることでしゃっくりが出るケースがあると考えられています。
呼吸器の病気があるときの「症状の特徴」
- 胸痛
- 咳
- 息切れ
- 痰
- 血痰
- 発熱
- 声がかすれる
- 肩こり、肩の痛み
呼吸器の病気の症状がある場合、呼吸器内科・呼吸器外科を受診しましょう。
呼吸器内科を探す
そのほかに考えられる原因
上記に加えて、
- 精神的ストレス
- 多発性硬化症
- 糖尿病
- 尿毒症
- アルコール依存症
- 便秘
などが原因でしゃっくりが起こる場合もあると考えられています。
病院に行く目安
・しゃっくりを繰り返す
・2~3日間経過後もしゃっくりが続く
・呼吸や睡眠が妨げられる
・寝ている間もしゃっくりが起こる
・しゃっくりが続き、倦怠感や食欲不振の症状がある
という場合は、病院に行きましょう。
受診するのは何科?
まずは内科の受診をおすすめします。
内科を探す