肩こりは病気の前兆…?
肩こりに隠れている病気を、お医者さんに聞きました。
胸の痛みや咳をともなう場合は、重い病気の可能性もあります。
急な肩こりが気になる方は、受診の目安をチェックしましょう
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
肩こりは病気の前兆?
長時間のデスクワークなど、原因が明らかな肩こりは心配しなくて大丈夫です。
ただし、肩こりだけでなく、
などの症状を伴う場合、なんらかの病気の可能性も考えられます。
早急に病院に行くべき症状
肩こりが、隠れた病気のサインになっているケースもあります。
病気は早期治療が大切です。肩こりだからと油断せず、お近くのクリニックに相談しましょう。
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こんな病気のサインかも
肩こりが病気の前兆となる場合、
- うつ病
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 心臓の病気
- 肺がん
が考えられます。
それぞれ詳しく解説していきますので、思い当たる症状がある方は早めの受診をおすすめします。
病気① うつ病
うつ病の症状の一つに、肩こりがあります。
ストレスを感じると、体は緊張した状態になります。
緊張によって血管が縮むと筋肉が硬くなり、肩こりを発症します。
うつ病の「症状」
- 気分が落ち込む
- 常に倦怠感がある、
- うまく寝付けない
- 食欲の低下
- 吐き気
- 月経異常
うつ病の「原因」
過度のストレスが原因と考えられています。
家族や親しい人との離別、人間関係でのトラブルが、うつ病を引き起こしやすいといわれています。
どんな人が発症しやすい?
- 女性
- 20~30代の人
- 家族や親しい人との離別を経験した人
- 人間関係にトラブルを抱えている人
- 無理して働いてしまう人
放置したらどうなる?
体を動かすのが億劫になり、仕事に行けなくなる人もいます。
うつ病は、気の持ちようで治る病気ではありません。心当たりのある方は、早めに受診しましょう。
病院は何科?
心療内科、精神科を受診しましょう。
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2020-06-11
この症状は、心療内科に行くべき…?
お医者さんに心療内科に行ったほうがいい目安を聞きました。
初診で話す内容や、料金についても解説しますので、ぜひ最後まで読んでください。
心療内科を受診すべき症状目安
「これくらいで受診してもいいの?」と思ったら、その時点で受診をすることをおすすめします。
受診すべきかどうかは、「日常生活に支障をきたしている可能性があるか」を判断のポイントにしましょう。
例えば、「憂鬱で誰にも会いたくない気分で、学校や仕事に行けなくなった…」という場合は受診をしたほうがよいでしょう。
そのまま病院に行かずに病状が進むと、身体も心も動けなくなる状態になることもあり、病院への受診も考えられなくなることもあります。
受診すべき症状例
眠れない日が続いている
寝ても疲れがとれず、倦怠感がある
悩み事のせいで食欲がない、食べても美味しいと感じない
ストレスがきっかけで、2週間以上落ち込んでいる
頭にモヤがかかったように集中力が低下している
心療内科は、ストレスが原因で身体にも症状が出ている状態を治療するところです。
内科を受診しても原因が分からず症状が続いているという場合も、一度心療内科を受診してみるとよいでしょう。
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「私は行ったほうがいい?」症状チェック
最近2週間で、以下の症状があるかどうかをチェックしてみましょう。
1日中、憂鬱な気分が続いている
何をしても楽しく感じない
疲れやすい、やる気が出ない
集中力や注意力が低下している
自分の価値が分からない
周りに迷惑をかけている、と感じる
将来に希望が持てない
自分の体を傷つけたり、自殺を考えたことがある
夜寝付けない、寝ても途中で起きる、寝すぎてしまう
食欲がない、または過食状態である
これらの症状が1~2個以上当てはまる場合、受診をおすすめします。
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心療内科を受診するメリット
心療内科を受診すると、体や心の不調を早く楽にすることが期待できます。
早期受診することで、学校や会社を休まず、生活をしながら治療ができます。
ネットの「心療内科に行ってはいけない」という声
ネット上で、「心療内科に行ってはダメ!行ったら最後だ!」という言葉を見つけて心配です…。
ネットでは、心療内科や精神科を受診することへのネガティブなイメージも多く見受けられるため、心配になる方も多いでしょう。
しかし、症状を放置すると、さらに悪化して、日常生活も送れなくなる可能性があります。
また、薬を服用すると自己判断で薬をやめることができないため、そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。(薬の服用を治療途中でやめてはいけないのは、他の病気でも同じです。)
心療内科の医師は、心と体の専門家です。
病院で話したことが、あなたの許可なく外に漏れることもありません。
まずは、自分がどのような状態であるのかを理解するために、受診してみましょう。
知っておきたい!初診の流れ
初めての心療内科で緊張します…。
心療内科も内科も、受診までの流れは同じです。まずは、電話やネットで初診の予約をしましょう。
予約の時点で、大まかな症状を聞かることもあります。いつ頃から、どのような症状があるのかを伝えましょう。
初診時は、以下のようなことを問診票に記入します。
いつ頃から、どんな時に症状が起こるか
今までにその症状に対して、治療を受けたことがあるか
現在、飲んでいる薬があるか
今まで大きな病気にかかったことがあるか
問診票の問いに対して、書きたくないことは無理に書く必要はありません。
医師とのコミュニケーションを通して、伝えたいことがあれば伝えるのが良いでしょう。
初診ではどんなことを話す?
一般的に、医師からは次のような質問を受けることが多いでしょう。
どんな症状が、いつから出ているのか
家族のこと
仕事のこと
生活のこと
食事をとれているか
睡眠をとれているか
希望する治療法
希望しない治療法
こちらも問診票と同様、答えたくないことは無理に答えなくても大丈夫です。
初診料はどれくらい?
保険診療の初診料は3割負担の患者の場合は約2000~4000円です。
検査の内容などで、費用は変わる場合があります。
時間はどのくらいかかるの?
初診にかかる時間は、30分から1時間程度です。
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治療方法は?
心療内科での治療は、薬物療法や、精神療法を行うことが多いです。
<薬物療法>
抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの心のお薬と、お通じや腹痛などの症状に対する身体のお薬や身体全体を調整してくれる漢方薬などを使用します。
<精神療法>
精神療法では、認知行動療法を行います。認知療法とは、患者さんの物事の考え方や受け取り方に働きかけて行動をコントロールすることで、気持ちを楽にする治療方法です。
また最近では、上記の治療法以外にも、脳に対するTMS治療(経頭蓋磁気刺激法)※も、薬で効果がない人や薬の副作用が強い人に注目されています。
※外部からの磁気刺激で脳を局所的に活性化させることで、脳の血流を増加させ、低下した機能を改善する治療法
「薬がやめられなくなったら…」と不安な方に
「薬漬けになりたくない」という思いから、心療内科での治療を不安に思う人もいると思います。
薬を使って治療したとしても、症状が良くなれば、徐々に薬の量を減らすこともできます。医師の指導に従って薬の量を減らしていけば、副作用も大きくありません。
また、先述したように、治療法は薬物療法だけではありません。精神療法やTMS治療など様々な治療法がありますので、医師とよく相談して、不安のない治療法を選択するようにしましょう。
参考
厚生労働省 こころの耳:1 うつ病とは
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad001/
MSDマニュアル家庭版:精神障害の治療
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/10-心の健康問題/米国における精神医療の概要/精神障害の治療
沖縄県医師会:心療内科精神科の薬(2012年12月24日掲載)
http://www.okinawa.med.or.jp/old201402/healthtalk/gusui/2012/data/20121224n.html
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター:認知行動療法とは
https://www.ncnp.go.jp/cbt/guidance/about
BESLI CLINIC:問題解決療法・認知行動療法
病気② 頚椎椎間板ヘルニア
頚椎椎間板ヘルニアの症状の一つに、肩こりがあります。
この病気は、首の骨にある「椎間板」が飛び出してしまう状態を言います。
飛び出した椎間板が神経を圧迫したときに、肩周辺の痛みを生じます。
頚椎椎間板ヘルニアの「症状」
- 背中の痛み
- 手足のしびれ、痛み
- 頭痛
- 吐き気
- 脚のつっぱり
頚椎椎間板ヘルニアの「原因」
首に過度の負担がかかると発症します。
怪我や激しい運動、猫背などが原因に挙げられます。
どんな人が発症しやすい?
- 30~50代の人
- 首を前に出した姿勢で長時間の作業をする人
- 格闘技・ラグビーなどの激しい運動をする人
- 加齢によって、首の骨が劣化している人
放置したらどうなる?
この病気が進行すると
- 首・肩・背中
- 腕・手
- 頭部
- 下半身
の順に不調が表れていきます。
最終的には、歩行障害や尿コントロール障害を発症します。
放っておくと手術での回復が困難になるため、早めに受診しましょう。
病院は何科?
整形外科の受診をおすすめします。
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病気③ 心臓の病気
心筋梗塞や狭心症の症状に、肩こりがあります。
心臓の自立神経と首から肩の知覚神経は、同じ経路を通っています。
そのため、心臓の不調によって肩の痛みを生じる場合があります。
心臓の病気の「症状」
- 背中の痛み
- 締め付けられるような胸の痛み
- 動悸、息切れ
心臓の病気の「原因」
糖尿病や高血圧といった生活習慣病が主な原因です。
不健康な食生活や喫煙、ストレスなどが発症のリスクを高めます。
どんな人が発症しやすい?
- 50歳以上の人
- 血糖値や血圧値が高い人
- 太っている人
放置したらどうなる?
心臓発作が起こるなど、治療が間に合わなければ死に至ります。
病院は何科?
内科、循環器内科の受診をおすすめします。
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病気④ 肺がん
肺がんの症状として、肩こりを生じる場合もあります。
がん細胞が肺から首の付け根に向かって成長している場合、肩の痛みが起こります。
肺がんの「症状」
- よく咳が出る
- 呼吸時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と鳴る
- 少しの動いただけで息切れする
- 声が枯れる
- 血の混じった痰が出る
※ただし、初期の肺がんには、ほとんど症状がありません。
肺の病気の「原因」
主な原因は喫煙、または受動喫煙です。
本人が喫煙しなくとも、家庭や仕事場などでタバコの煙にさらされていると肺がんリスクが上がります。
どんな人が発症しやすい?
放置したらどうなる?
がんが進行して全身に広がると、命に関わります。
病院は何科?
内科、呼吸器内科の受診をおすすめします。
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