左上腹部が痛むのは、なぜ?
お酒をよく飲む方や太っている方は、急性膵炎のリスクがあります。
「何科を受診すべきか」も併せて、お医者さんが解説します。
急性膵炎は治療が必要な病気です。心当たりがないかチェックしましょう。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
左上腹部が痛い…これって大丈夫?
一旦様子を見ても良いケース
痛みに“心当たりがある”、例えば
- 暴飲暴食
- ストレスや疲労の蓄積
- 刺激が強いものの過剰摂取
- 便秘
による痛みの場合は、一旦様子を見ても良いでしょう。
これらが原因の場合は、生活習慣を見直したり、しっかりと休むことで症状が改善する場合があります。
特に、食べ過ぎやお酒の飲みすぎには注意しましょう。
便秘でお困りの方は、食物繊維の多い食材を食べるようにしてください。
病気の可能性があるケース
ただし、
- 突然激しい痛みに襲われた
- 吐き気、嘔吐がある
- 発熱がある
- 皮膚が黄色っぽくなる
- 左側の背中、肩、腕(手)にも痛みがある
- 仰向けの状態で寝ると痛みがひどくなる
といった場合には、“なんらかの病気”を疑う必要があります。
その痛みは「急性膵炎」が原因かも
左上腹部の痛みは、「急性膵炎」の可能性も考えられます。
「急性膵炎」とは、消化酵素によって膵臓自体がダメージを受けて、炎症が起こっている状態です。
急性膵炎を発症する「きっかけ」
急性膵炎を発症するきっかけには、
- お酒の飲みすぎ
- 栄養不足
- 胆石症
- 遺伝的要因(体質)
- 薬剤の服用の影響
などが挙げられます。
過度の飲酒による膵炎は、アルコールによって膵液が過剰に分泌されたり、膵管が狭くなったりするためと考えられています。
また、胆石症による膵炎は、小さい胆石が膵液を排出する部分を塞いでしまうことが原因と言われています。
他にも、抗てんかん薬、免疫抑制薬などの薬の服用が原因になることもあります。
急性膵炎はどんな人に多い?
- 40歳~60歳代の男性
- お酒をたくさん飲む人
- 脂肪分を多く含む食品の摂取量が多い人
- 太っている人
- 血中の中性脂肪が多い人(高脂血症)
急性膵炎の痛み方
痛みの感じ方には個人差がありますが、激痛が長時間続くケースが多いです。
急性膵炎の痛みは、
- 焼けるような痛み
- 刺し込むような痛み
- 転げまわるような痛み
などと表現されています。
痛みが生じやすい場所は、みぞおち周辺から左上腹部(肋骨下側)です。
痛みが背中まで拡がることも多いです。患部やその周辺を押すと、痛みが強くなる場合もあります。
<痛みが出るタイミング>
脂っこいものを食べたり、お酒を飲んだりした数時間後に痛みが出やすいです。
ただし、前触れなく突然痛みが生じる、数日間かけて少しずつ出現するといった場合もあります。
急性膵炎の主な症状
▼軽度~中等度の症状
- みぞおち周辺から左上腹部の痛み
- 背中の痛み
- 吐き気、おう吐(吐いても症状が改善しない)
- 発熱(37度~38度程度が多い)
- 食欲不振
- 腹部膨満感
▼重度の症状
- 血圧低下
- 皮膚が黄色っぽくなる
- 呼吸困難
- 精神が錯乱してしまうほどの激しい痛み
- 失神
急性膵炎は“命にかかわる”ケースも
「急性膵炎」の恐いところは、発症すると膵臓だけでなく、他の臓器にまで炎症を起こすケースが多いことです。
そのため、多臓器不全を起こして命に関わるような状態に陥るケース(重症急性膵炎)もあります。
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膵炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
膵炎の主な症状も紹介するので、「膵炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしてみてください。
膵炎とは
膵炎とは、膵臓の消化液が漏れて、臓器を傷つけてしまう病気です。
この膵炎は「急性膵炎」と「慢性膵炎」に分かれます。
「急性膵炎」とは、消化酵素によって膵臓自体がダメージを受けて、炎症が起こっている状態です。
「慢性膵炎」とは、食べ物を消化するための膵液が、長期間に渡って膵臓自身を溶かしてしまう病気です。
「急性膵炎」と「慢性膵炎」それぞれの症状
急性膵炎
▼軽度~中等度の症状
みぞおち周辺から左上腹部の痛み
背中の痛み
吐き気、おう吐(吐いても症状が改善しない)
発熱(37度~38度程度が多い)
食欲不振
腹部膨満感
▼重度の症状
血圧低下
皮膚が黄色っぽくなる
呼吸困難
精神が錯乱してしまうほどの激しい痛み
失神
慢性膵炎
腹痛を5〜10年ほど繰り返す
急にお腹や背中が痛くなることがある
下痢や便秘の症状がある
みぞおちを押すと痛い
だるい
食欲不振
吐き気、嘔吐
お腹の張り(膨満感)
体重減少(※)
※人によって異なりますが、6か月で5%以上を病的な体重減少とすることが多いです。
膵炎の原因
膵炎の原因には、「お酒の飲み過ぎ」「胆石が胆管で詰まる」などが挙げられます。
ただし、はっきりと原因が分からないケースもあります。
膵炎になりやすい人
お酒をよく飲む
タバコを吸う
暴飲暴食している
脂肪分を多く含む食品のとり過ぎ
就寝直前に食事をとることが多い
刺激が強い飲食物を好む
急性膵炎を疑う場合はすぐ病院へ
膵炎が疑われる場合は、「内科」で受診することをおすすめします。
急性膵炎を発症すると、命に関わるケースもあります。
特に毎日飲酒している方は、腰・背中あたり痛みを感じたら早めに受診しましょう。
内科を探す
慢性膵炎も放置はNG
慢性膵炎は症状が進行すると、インスリンの分泌量が低下し、糖尿病を発症する恐れがあります。
また、症状が悪化すると、膵臓ガンを発症する恐れもあるため、早めに受診してください。
膵炎の検査・治療法
医療機関では、必要に応じて血液検査、内視鏡、エコーなどを行います。
そこまで痛い検査はありません。
膵炎の治療は、
鎮痛剤の投与
輸血
絶食
などをおこなって症状の改善を図ります。
安定するまで集中治療の管理が行われるため、入院が必要になるケースが多いです。
病院は何科?
左上腹部が痛むときは、まずは内科、消化器内科を受診してください。
たとえ痛みが消えたとしても、念のため検査を受けることをおすすめします。
急性膵炎は、知らず知らずのうちに徐々に重症化していくというケースもあります。
また、
が起きた場合には、早急に受診してください。
急性膵炎の場合、重症化すると命に関わるケースもあります。
重症化を防ぐためには、医療機関で痛みの原因を特定することが重要です。
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病院で受ける治療
医療機関では、必要に応じて血液検査、内視鏡、エコーなどを行います。
そこまで痛い検査はありません。
入院して絶飲食、また輸液を点滴します。痛みには鎮痛剤を投与します。
お医者さんになんて伝えたらいい?
医師には
- いつから痛いか
- どんな痛みか
- 痛みがどれくらい続いているか
を説明しましょう。
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「左わき腹が痛い…」
「背中まで痛みが広がっている…」
その症状は「腎臓の病気」かもしれません。
考えられる病気と対処法を医師に聞きました。
「放置するとどうなってしまうか」についても解説します。
左わき腹の痛みは腎臓病のサイン?
たしかに、腎臓病などによって、左わき腹が痛む場合もあります。
腎臓は左右にひとつずつあります。
左側の腎臓や尿路に結石などができると、左わき腹に痛みを感じることがあります。
腎臓病の痛みは、どう見分ける?
わき腹の痛みが背中側まで広がる
いつまでも鈍く痛む
突然、激痛や筋肉痛のような痛みが起こる
こんな“腎臓の異常サイン”が出たら、早く病院へ!
腎臓に異常がおきると、むくんだり、頻尿になったり、だるくなったりと、様々な症状がでてきます。
左わき腹の痛みに加えて、以下のような症状がみられる場合は、泌尿器科・腎臓内科・内科を受診しましょう。
背中の痛みが2日以上変化なく続く
わき腹の痛みが2日以上、変化なく続く
顔や手足がむくむ
倦怠感がある
血圧が高い
血尿が出る
眠れない日が続く
頭が痛い
尿の量が減少する
トイレが近くなる
吐き気がある
嘔吐する
下痢が出る
食欲がなくなる
イライラする
あざができる
全身にかゆみが出る
貧血を起こす
めまいがする
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よくある2つの腎臓の病気
左わき腹が痛くなる腎臓の病気として
尿路結石
腎盂腎炎
が挙げられます。
それぞれ詳しく解説していきますので、思い当たる方は医療機関で治療を受けるようにしましょう。
病気① 尿路結石
尿路にできた結石がつまる病気です。腎臓内に結石があるときは無症状ですが、結石が尿路に落ちてきたりすると痛みを伴います。結石は再発しやすい病気です。
一般的に猛烈な痛みを感じて、救急で受診される人が多いですが、人によっては鈍痛や違和感程度で受診されることもあります。
発症リスクが高いのはこんな人
欧米化した食事や動物性たんぱく質の摂取量が多い人は、発症しやすいと言われています。
中高年の男性に多い病気です。しかし、最近は食事の欧米化に伴い、女性も増えてきています。
尿路結石の「主な症状」
わき腹痛の激痛
下腹部痛
腰部の痛み
血尿
頻尿 など
尿路結石は、腎臓から尿路に落ち込んだ結石が原因です。結石は尿に含まれるシュウ酸とカルシウムが一緒になり結晶化したものです。
結石の影響で尿路が詰まったり、傷ついたりすると、腎機能低下し、炎症を起こすこともあります。
病気② 腎盂腎炎
「腎盂腎炎」は、細菌感染により腎臓に炎症が起こる病気です。
病気後の免疫力の低下・ストレス・疲労などが原因と言われています。
通常は問題ない細菌(大腸菌など)が体内に侵入しやすくなり、尿路で細菌感染を起こします。症状が進行して腎臓にまで及ぶと、「腎盂腎炎」を発症します。
発症リスクが高いのはこんな人
疲れやストレスをためやすい人
水分の摂取量が少ない人
排尿を我慢するクセがある人
男性よりも女性に多く、妊娠や出産に伴い発症することが多いです。
風邪や病気などが良くなったばかりで体力が戻っていない人、排尿を我慢する人も発症しやすいです。
腎盂腎炎の「主な症状」
悪寒
発熱
背中の痛み
吐き気
嘔吐
放置はNG!腎臓の状態が悪化すると…
腎臓の痛みを放置すると症状が悪化していきます。
慢性化して「慢性腎盂腎炎」を発症すると、反対の腎臓にも感染が広がるリスクがあります。
さらに悪化すると尿路閉塞や腎結石を作る原因にもなるので、症状に気が付いたら早期治療を受けましょう。
病院は何科?
左わき腹の痛みで腎臓病を疑う場合は、泌尿器科・腎臓内科・内科を受診しましょう。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
MSDマニュアル 腎臓の感染症
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「左肋骨下に鈍痛がある…これは何?」
この症状の原因には、消化器の病気も考えられます。
吐き気など「病院に行くべき症状」を確認しましょう。
様子を見るときの対処法も併せて解説します。
左肋骨下の鈍痛の正体は…?
左肋骨下が「一時的に痛い」場合は、
打撲
ストレス
神経痛
による痛みが考えられます。痛みが続かないようであれば、過度な心配はいらないでしょう。
ただし、左肋骨下に「鈍痛が続く」場合は、
胃の粘膜の炎症
膵臓の炎症
のいずれが起こっている可能性があります。
痛みが強くない場合には、セルフケアで快方に向かう場合があります。
左肋骨下の鈍痛には、胃の不調が疑われますので、
安静に過ごす
消化の良いものを食べる
市販の胃薬を飲む
といった対処で様子を見てみましょう。
胃薬には、胃酸の分泌を抑える薬、胃の粘膜を守る薬など、さまざまな種類があります。
市販薬を使用する際には、事前に薬剤師に相談しましょう。
痛みが強い場合は、セルフケアせずに早急に医療機関を受診してください。
この鈍痛は…大丈夫?病院行くべき?
痛みが一時的で繰り返さない場合には、心配いらないケースが多いですが
痛みが3日以上改善しない
激しく痛む
吐き気や嘔吐を伴う
といった場合は、医療機関の受診をおすすめします。
上記症状には、消化器の病気の悪化が疑われます。
重症化すると命に関わる危険性があるため、放置は禁物です。
病院は何科?
左肋骨下の鈍痛があるときは、まず消化器内科を受診しましょう。
重症化のリスクを避けるためにも、早期受診を心がけましょう。
消化器内科を探す
考えられる「2つの病気」
左肋骨下に鈍痛があらわれる場合、
胃潰瘍
膵炎
といった病気が考えられます。
病気① 胃潰瘍
胃酸などでダメージを受け、胃の粘膜が深く傷ついている状態です。
左肋骨下の鈍痛は、胃の神経細胞が刺激されたときに起こります。
ストレスが溜まっている人や、暴飲暴食をする人に発症しやすい傾向があります。
胃潰瘍の症状
みぞおち辺りの痛み
背中の痛み
吐き気、嘔吐
胃もたれ、胸やけ
お腹が張ったような感覚
食欲低下
血便、黒っぽい便が出る
胃潰瘍の原因
ストレス(自律神経の乱れ)
ピロリ菌の感染
暴飲暴食や早食い
薬の副作用
刺激が強い食品(香辛料、辛いもの等)の過剰摂取
喫煙
アルコールやカフェインの過剰摂取
などが挙げられます。
薬の副作用の場合、解熱消炎鎮痛薬(痛み止め)や抗凝固薬の長期間使用が原因になります。
発症しやすい年代は、40~50歳代です。
女性の場合、更年期を迎えると発症リスクが上昇します。
胃潰瘍とストレスの関係性
胃潰瘍は、神経質な人やストレスを感じやすい人にも多く見られる病気です。
これは、ストレスによる自律神経の乱れで、粘膜を守る胃粘液が減少し、胃酸分泌が過剰になることが原因です。
どう対処すればいい?
まずは医療機関を受診しましょう。
胃潰瘍を放置して悪化すると、命に関わる恐れがあります。
特に吐血や血便、黒っぽい便の症状がある場合は、早急に受診してください。
病院は何科?
胃潰瘍を疑うときは、消化器内科を受診しましょう。
胃潰瘍の治療方法
飲み薬を使った治療が多く行われます。
お薬には、「胃の粘膜を増やす薬」や「胃酸の分泌を抑える薬」、「炎症を鎮める薬」などがあります。
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病気② 膵炎
膵臓に炎症を起こしていると、左肋骨下に鈍痛があらわれることがあります。
膵炎は、お酒をたくさん飲む人や、脂っこいものをよく食べる人に発症しやすい病気です。
膵炎は「食後」に症状が出やすい
膵炎の場合、脂っこいものを食べたり、お酒を飲んだりした数時間後に痛みが出る傾向があります。
食事をすると、膵臓で消化酵素が分泌されます。
膵炎の場合、自分で自分の膵臓組織を消化してしまうため、食後に痛みがでやすいです。
膵炎の症状
37度~38度程度の熱
食欲不振、体重の減少
吐き気、嘔吐
倦怠感
腹部膨満感
下痢
膵炎の原因
大量の飲酒
脂肪分の取り過ぎ
肥満
胆石症
遺伝
などが主な原因です。
特に大量の飲酒は、アルコールの刺激による「急性膵炎」を起こしやすいです。
「胆石症」は、胆のうや胆管に結石が発生する病気です。
この胆石が消化液の通り道を塞ぐと、滞留した消化液によって、膵臓に炎症が起こります。
どう対処すればいい?
治療が必要な病気ですので、医療機関を受診しましょう。
膵炎を放置すると、回復が遅れ、社会復帰が困難になることもあります。
さらに、免疫機能の低下や、さまざまな深刻な病気のリスクが高まります。
病院は何科?
膵炎を疑うときは、消化器内科を受診しましょう。
膵炎の治療方法
症状によっては、入院や手術が必要になることもあります。
特に急性膵炎は、膵臓を安静にするために、入院して絶飲食を行うケースが多いです。
絶飲食をする場合、点滴で栄養補給をします。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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