歯磨きをするとしみる…知覚過敏かも。治し方は？歯医者さんは行くべき？

「歯磨きすると歯がしみる…なぜ？」

歯磨きすると歯がしみるのは、「知覚過敏」の可能性があります。
知覚過敏になってしまう原因や対処法を、歯医者さんに聞いてみました。

“歯にしみないように”歯磨きをするコツや、歯科での治療法についても解説します。
知覚過敏は、早い段階から治療すれば悪化せずに良くなることがあります。まずは歯科を受診してみましょう。

監修者

歯科医

菊地 由利佳先生

経歴

歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。

歯磨きすると「歯がしみる」…なぜ？

歯磨きすると歯がしみるのは、「知覚過敏」の可能性があります。

歯磨きの刺激で“しみる”などの感覚があるときは、何らかの原因で、歯の内側にある象牙質と呼ばれる組織がむき出しの状態になっている可能性があります。
象牙質の中には、“冷たい”などの刺激を歯の神経に伝える管があり、この管に刺激が伝わり、しみる、痛いなどの症状が現れることを知覚過敏といいます。

どうして知覚過敏になっちゃうの？

知覚過敏になってしまう代表的な原因として

1. 歯磨きが強すぎる
2. 炭酸飲料・柑橘類の摂り過ぎ
3. 歯磨きが不十分（歯周病）
4. 加齢

などが考えられます。

それぞれ詳しく解説していきます。

① 　歯磨きが強すぎる

歯を強い力で磨くと、エナメル質が削れて象牙質が露出され、歯への刺激が神経に伝わりやすくなるため刺激に敏感になります。

歯磨きの力が強いと歯茎も傷つけ、擦過傷（さっかしょう）という状態になったり、歯茎が退縮し歯が長く見えるようになります。

② 　炭酸飲料・柑橘類の摂り過ぎ

エナメル質は、pHが5.5前後で溶け始めるといわれています。
酸っぱいものや炭酸飲料はpH値が低いため、エナメル質を溶かす要因となります。

また、炭酸飲料や清涼飲料水は砂糖が多く使われているため、虫歯が見つかる場合もあります。

間食をダラダラと食べないようにし、食後は必ず歯磨きをしてください。

③ 　歯磨きが不十分

歯磨きが不十分だと、歯のエナメル質を溶かす歯垢（プラーク）がたまります。
また、酸で象牙細管が開きやすくなることで、敏感に刺激を感じるようになります。

さらに、歯周病になると歯茎が下がることが多く、歯の根が露出して象牙質も露出しやすくなるため、知覚過敏を発症しやすくなります。
歯茎が赤くなったり、腫れたり、出血や口臭などの症状があらわれることもあります。

④ 　加齢

加齢によって、歯肉は下がっていくため、歯の根が露出して象牙質も露出しやすくなるため、刺激を感じやすくなります。

歯の根の部分はエナメル質がなく、プラークがたまると虫歯になりやすくなります。これを「根面う蝕」といいます。

一度下がった歯茎をもとに戻すことは難しいため、早い段階から治療することが大切です。
ブラッシング指導や、再生治療などの方法があります。

私はどのレベル？知覚過敏の重症度チェック

初期の知覚過敏

初期であれば、自然に症状がなくなるケースがあります。
知覚過敏専用の歯磨き粉を使うだけで良くなることが多いです。

中等度の知覚過敏

専用の歯磨き粉を使っても良くならず、痛みなどの症状が続くケースは中等度といえます。

重度の知覚過敏

痛みなどの症状のせいで、日常生活に支障をきたす場合は、重度といえます。

初期であれば自分で対処が可能ですが、中等度以上は歯科を受診して適した治療を受けてください。

“歯にしみないように”歯磨きをするコツ

知覚過敏の専用の歯ブラシを使用し、鉛筆を持つように握ってください。
歯に直角にヘッドを当てて、力を過度に入れないように磨くとよいでしょう。

歯磨きが不十分で歯垢がたまると、酸を出してさらに症状が悪化するため、毎日の丁寧な歯磨きが勧められます。

知覚過敏を進行させないために自分でできる対処法

知覚過敏の症状を進行させないためには、

• 知覚過敏専用の歯磨き粉を使う
• キシリトールガムを噛む
• 歯を食いしばらないようにする

といった対処を行うとよいでしょう。

対処法①　知覚過敏専用の歯磨き剤を使う

硝酸カリウムが配合された歯磨き粉を使って、歯磨きをしてください。

カリウムイオンが、露出した象牙質を保護して、刺激が象牙細管に伝わらなくなるため、症状がやわらぎます。

対処法②　キシリトールガムを噛む

キシリトール配合のガムを5分ほど噛んで、唾液を染み込ませるとよいでしょう。

唾液には、カルシウムなど歯を丈夫にするミネラルが含まれているため、唾液を意識して出してミネラルを補い、歯を丈夫にして症状をやわらげます。

対処法③　歯を食いしばらないようにする

歯を食いしばっていることがあれば、歯と歯を離すように意識してください。

歯ぎしりや食いしばりは、エナメル質が削れてしまい、知覚過敏の原因となるため、意識して歯を離すことで症状の進行を抑えることができます。

これ以上つらくなる前に…早めに受診することが大事！

痛みが持続したり、痛みが激しくなったりする前には、歯科を受診してください。

この状態は、歯の神経が炎症を起こしている可能性があり、治療せずに放置すると、最悪の場合神経を取り除かなければならないことがあります。

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歯医者さんで受けられる治療例

知覚過敏の症状別に歯科で受けられる治療法を、解説していきます。

「初期の知覚過敏」の治療

初期の知覚過敏には、丁寧な歯ブラシの仕方や、専用の歯磨き粉ついての指導が行われます。

この治療にかかる期間

初期では、1～2週間で良くなることが多いです。

この治療にかかる費用

保険適用で、一般的に2,000～3,000円前後の費用がかかります。

「中等度の知覚過敏」の治療

レジンを歯に詰めて刺激が伝わらないようにしたり、歯の表面に薬をコーティングする治療を行います。

この治療にかかる期間

3～4回の通院が必要なことがあるため、1～2ヶ月程度の期間がかかります。
また、コーティングは剥がれていくため、定期的に受診する必要があります。

この治療にかかる費用

保険適用で、レジンを詰めるのは歯1本あたり1,000円前後、コーティング塗布は1,000～3,000円前後の費用がかかります。

「重度の知覚過敏」の治療

レーザーを当てて、歯への刺激を伝わりにくくする治療を行います。
それでも良くならない場合には、神経を抜くこともあります。

この治療にかかる期間

レーザー治療は、数日後から症状が軽くなるといわれています。
神経を抜く場合、1ヶ月ほどで症状が良くなります。

この治療にかかる費用

レーザー治療は3,000円前後、神経を抜くのは、最も大きい歯で3,000～4,000円ほどかかります。

レーザー治療は自費治療です。
レーザーを当てているときに違和感がある場合があるため、合わない場合には他の治療法が勧められます。

歯の神経を抜く場合は、保険適用となります。