噛み合わせと肩こりの関係｜改善するには？治療法・トレーニング

噛み合わせが悪いと肩こりが発生する原因や仕組みについて、歯医者さんに聞いてみました。

肩こり以外にも噛み合わせが悪いと出る症状や、噛み合わせのズレを改善するためにできることも詳しく紹介していきます。

監修者

歯科医

菊地 由利佳先生

経歴

歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。

なぜ？「噛み合わせが悪いと肩こりが発生する」しくみ

歯並びが悪いと噛む力の調整が困難になり、顎の筋肉に必要以上の負荷が掛かります。
その結果、顎まわり・肩・首にかけての筋肉が過剰に緊張した状態になります。
筋肉が過剰に緊張した状態が続くと、血行障害が発生し肩こりや、頭痛等の症状が出現します。

また、左右の歯のバランスが崩れていると、どこか一点に大きな負荷が掛かり、咀嚼筋もバランスを崩します。

肩こりで悩んでいる場合、歯の噛み合わせにも違和感が生じているケースが多いです。

「噛み合わせ」をセルフチェックしてみよう

• 上の歯が下の歯を1/3以上覆っている
• 上下の前歯の中心線が一致していない
• 奥歯で噛んでいても前歯が空く
• 口を開ける際に顎が鳴る
• 舌や頬の内側を歯で噛みやすい

上記に当てはまる場合は、噛み合わせがずれている疑いがあるので歯科を受診するようにしましょう。

「噛み合わせが悪いとでる症状」チェック

• 首の慢性的な痛み
• 顎関節や顎周辺の痛み
• 肩甲骨の痛み
• 目の痛み
• 頭痛
• 吐き気
• 腰痛
• めまい
• 耳鳴り
• 開口障害
• 胃腸障害
• 嚥下障害
• 冷え性

噛み合わせが悪いときの「肩こりの特徴」チェック

• 肩を動かすと音が出る
• 慢性的な肩の痛み
• 肩が重い
• 肩が張る

噛み合わせのズレを改善するためにできること

噛み合わせを自分で改善するためには、

• 正しい姿勢を維持する
• 左右の歯でバランスよく物を噛む
• 舌のトレーニングをする

といった方法があります。
それそれ詳しく解説していきます。

対処法①　正しい姿勢を維持する

頬杖をつく、足を組む等の悪い姿勢が癖になっていると、顎に過剰な負荷が掛かり、顎の位置がズレたり、噛み合わせが悪くなったりしてしまいます。
そのため、頬杖をつかずにまっすぐ前を向いたり、足を組まずに両足を揃えて座る等の習慣を意識して行ってください。

正しい姿勢を維持すると、顎の負担が軽減したり、顎の位置のズレの解消を期待することができ、結果として噛み合わせのズレの改善にもつながります。

※この対処法は、顎の筋肉や顎の関節が原因で起こる噛み合わせのズレに有効です。

対処法②　左右の歯でバランスよく物を噛む

どちらか一方ではなく、左右の歯をバランス良く使って物を噛むようにすると、噛み合わせの高さ（前後左右）の位置のズレが解消されます。

※この対処法は、片方だけの筋肉の発達や歯の磨り減りによる噛み合わせ不良に有効です。

対処法③　舌のトレーニングをする

舌のトレーニングを行うと、舌が正しい位置に戻り、噛み合わせのズレの改善につながります。

舌のトレーニングのやり方

1. 上前歯2本の裏側の中心にある歯茎の膨らんでいる部分（スポット）に舌の先を当てた状態で、舌全体を持ち上げて口蓋に吸い付くように押し付ける動作をします。
2. 舌裏側の舌小帯が伸びている状態を5秒間キープします。
3. 5秒経過後、ポンと音が出るように舌を口蓋から離します。
4. ①～③を10回ほど繰り返し行います。

※この対処法は、前歯の前傾、前歯で物が噛めない等による噛み合わせのズレに有効です。

口のストレッチするのもおすすめ

舌の筋力アップストレッチ「あいうべ体操」

1. 口を大きく開き｢あ～｣と発声します
2. ｢い～｣と発声しながら口を横に開きます
3. ｢う～｣と発音しながら口を縦に開きます
4. ｢べ～｣と発音しながら口を大きく開けて舌を前に出します

顎のストレッチ「口を大きく開ける体操」

1. 鏡を見ながら口をゆっくり大きく開きます。
2. 上下の歯が当たらないようにして口を閉じます。
3. もう一度口を大きく開きます。
4. 10回程度繰り返し行います。
5. 最後に口を自然に閉じた状態で歯を噛み合わせます。

肩こりがひどいときは…歯医者さん受診も検討しよう

日常生活に支障が生じるほどの肩こりや、肩こりで精神的ストレスを抱えている場合は、我慢せず歯科を受診してください。

スムーズに治療が進められるように、受診時には「症状が出現した時期」、「症状の詳細」、「痛みの有無」、「歯の噛み合わせの治療経験の有無」、「持病の有無」等について説明するとよいでしょう。

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噛み合わせ治療でできること

歯医者では、噛み合わせの治療として以下のような方法が行われます。

スプリント療法（マウスピース）

マウスピースを歯に装着し、噛み合わせのズレや顎の位置を改善していく治療法です。
就寝中に使用するケースが多いです。

どのような人におすすめ？

• 眠りが浅い
• 歯ぎしりや食いしばりをする

といった人におすすめの治療法です。

治療にかかる費用

一般的な費用として、5,000円前後かかるケースが多いです。
この治療は、保険適用のケースが多いです。

リシェイピング（形態再付与）

歯の噛み合わせのバランスを理想的な状態に調整し、特定の歯だけに負荷が掛からないように改善していく治療法です。

専用機器を用いて咀嚼運動を記録した後、歯の模型を作成し、咀嚼を制限している歯の形を調整します。

また、治療を行ってもずっとその状態を維持できるとは限らなかったり、状態によっては治療ができない場合もあります。

どのような人におすすめ？

• 噛み合わせが悪い
• 歯の高さが合っていない
• 体が歪んでいる

といった人におすすめの治療法です。

治療にかかる費用

一般的な費用の目安としては、8万円程度かかるケースが多いです。
この治療は、保険適用外のケースが多いです。

歯列矯正（ワイヤー矯正）

歯表面にブラケットという装置を装着し、その部分にワイヤーを通して歯並びを改善していく治療法です。

ワイヤー矯正により、歯や顎骨を徐々に動かしながら噛み合わせと歯並びを改善します。

また、ワイヤー矯正は歯磨きがしにくいため、虫歯を発生するリスクが高まることもあります。

どのような人におすすめ？

• 上下の顎の歯並びが噛み合わない
• 歯が不揃い
• 骨格の歪みが少ない

といった人におすすめの治療法です。

治療にかかる費用

一般的な費用の目安としては、60万円以上かかるケースが多いです。

この治療は、保険適用外のケースが多いです。

しかし、生まれつきの先天性異常がある場合、顎の形・位置・大きさ等に著しい異常がある場合、前歯3歯（永久歯）以上の萌出不全による噛み合わせに異常がある場合は、保険適用になることもあります。

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