埋没親知らず「抜歯しなくてもいいことがある」って本当？

「埋没親知らず（埋伏智歯）ってどんな状態？」
「抜歯しなくてもいいケースがあるって本当？」

埋没親知らずについて、歯医者さんに聞いてみました。
治療を後回しにして放置した際に生じるリスクや、病院での治療法、費用・期間の目安も紹介します。

抜歯後の痛みはどれくらいなのかといったことや、治療後のケア方法も詳しく解説していきます。

監修者

歯科医

菊地 由利佳先生

経歴

歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。

埋没親知らずは「抜歯しなくてもいい」ケースも

埋没親知らずでも「抜歯しなくてもいい」ことがあるって本当ですか？

はい。他の健康な歯に悪影響を与えることがなく、静かに歯茎の中に埋まっている場合は、無理に抜歯する必要はないと考えられます。

目安として

• 健康な他の歯を圧迫していない
• 痛み・腫れ・違和感がない

といった場合は様子を見てもよいでしょう。

「抜歯すべきかどうか」は歯医者さんに相談を！

自覚症状がなくても、親知らずが埋まっているせいで、隣の歯の周囲の歯茎の溝が深くなっていたり、虫歯になるリスクが高くなっていたりする場合もあります。

また、「完全埋没智歯」の場合、親知らずの存在に気づかない場合や、存在には気づいても痛みなどの症状が出現しない場合が多いです。

歯科医師が診察をしないと判断出来ない場合もあるので、「抜歯すべきかどうか」についてお悩みの場合は、お近くの歯科医院で相談してください。

”とりあえず後回し”にしないほうがよい理由

親知らずに発生した虫歯の治療は困難なケースが多いです。

さらに、親知らずとその隣にある歯との間に発生した虫歯は見えにくいため、初期段階での発見が難しく、痛みなどの症状がでてから気づいたり、歯科医院でレントゲン撮影をして気づくケースが多いです。

▼親知らずタイプごとの放置リスク

「親知らずの抜歯が怖い…」と不安という方へ

埋没親知らずの抜歯においては、様々な対策を行い、痛みを軽減させます。

抜歯時の痛みの対処法としては、

• 抜歯処置前から痛み止めを服用する
• 麻酔の痛みを軽減させるために表面麻酔を行う
• 抜歯の途中で痛みが生じないように、局所麻酔を行う
• 麻酔薬の温度を体温程度に温めて、注入時の痛み・不快感を軽減させる

等が挙げられます。

また、外科手術による抜歯の場合、処置後の炎症を抑えるため、切開や骨削除を最小限にします。

「埋没親知らずの抜歯」はどんなことをする？

埋伏親知らずの抜歯は、歯茎の切開が必要な口腔外科的手術を行うケースが多いです。

一般的には局所麻酔のみで行われます。
親知らずの侵襲の程度によっては全身麻酔下で行われる場合もあります。

手術の流れ

1. 麻酔（局所麻酔）
2. 歯茎の切開
3. 歯の分割
4. 抜歯
5. 洗浄
6. 止血・縫合

手術にかかる時間は、親知らずの状態によって治療に要する時間は異なりますが、目安としては、30～60分程度必要になるケースが多いです。

手術後は、鎮痛薬・抗生物質等の薬が処方されます。

また、手術後は合計2回程度の追加受診が必要です。（親知らず抜歯後の翌日に消毒するための受診・抜糸のために受診など）

※あくまで一例です。親知らずの状態などによって異なる場合があります。

費用の目安

保険が適用されるケースが多いです。
費用は、4,000～6,000円程度必要になります。

抜歯後の痛みはどのくらい続く？

抜歯後の麻酔が切れ痛みだすのはいつ頃からなのでしょうか？

麻酔は1～2時間後に切れるケースが多いです。

抜歯後の痛みの感じ方には個人差があります。
通常、鎮痛剤の使用によって痛みが緩和されるケースが多いと考えられます。

抜歯後の痛みは2～4日間程度続くケースが多いですが、7日以上続く場合もあります。

親知らず抜歯後の穴は、一般的に1ヶ月程度で塞がるケースが多いです。
抜歯後に発熱・顔の腫れがみられることはあります。