「子どもの頃から太ってるけど、痩せられるの?」
「子どもの頃から太っている人」のダイエット方法を、栄養士さんに聞きました。
おすすめの食事方法・運動方法に加え、なかなか痩せられない理由も詳しく解説します。
監修者
経歴
株式会社Luce代表/健康検定協会理事長、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、日本臨床栄養協会評議員、ダイエット指導士、ヨガ講師、サプリメント・ビタミンアドバイザーなど栄養・美容学の分野で活動をおこなっている。
「子どもの頃から太っている」人の共通点
- 甘いもの・炭水化物・脂っこい食事ばかり食べる
- 運動習慣がなく、あまり体を動かさない
肥満には遺伝的要因もありますが、体重増加を招くのは「乱れた食生活」と「運動不足」です。
また、子どもの頃からの肥満には「脂肪細胞」の数が関わっているケースも多いです。
特に、胎児のとき(※)・生後1~2歳・思春期(8~18歳)の間に太ってしまうと、「脂肪細胞」の数が増えるために痩せにくくなります。
※胎児のときの肥満は、母体が太ってしまうことで起こります。
「太っていた人ほど痩せやすい」って本当?
太っている人は、もともとの摂取カロリーが極端に多い傾向があります。
標準的な食生活に変えるだけでも体重が落ちる可能性があるため、「最初のうちは痩せやすい」といえます。
ただし、脂肪細胞が増えてしまっている人は、一般的な人よりも痩せにくい傾向はあります。
いずれの場合も食生活と運動習慣の見直しで痩せられるので、体質に関わらず継続してダイエットに取り組むことが大切です。
子どもの頃から太っている人が痩せるには?
- 必要以上にカロリーを摂取しない
- 「深夜」「眠る前」に食事しない
- 1日20〜30分程度、有酸素運動を行う
- 睡眠時間を6〜8時間ほど確保する
上記の点を実践すると、体重の減量効果が期待できます。
方法① 必要以上にカロリーを摂取しない
まずは「1日に必要なカロリー」を知り、それ以上のカロリー摂取しないようにしましょう。
必要以上にカロリーを摂ると、使われなかった分が体に脂肪として蓄積され、肥満の原因となります。
\一日の必要カロリー量の目安/
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男性
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女性
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運動量が少ない
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2300kcal
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1700~1750kcal
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運動量が標準
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2650~2700kcal
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2000~2050kcal
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運動量が多い
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3050kcal
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2300~2350kcal
|
※18~49歳の場合
▼運動量が「少ない」
1日の歩行時間が25分程度。座り仕事が多い人。
▼運動量が「標準的」
座り仕事が多いが、職場内での移動がある。または適度に運動をしている
1日の歩行時間が50分程度。
▼運動量が「多い」
立ち仕事をする人、もしくは積極的に運動する人。
1日の歩行時間が60分程度。
食べたものは記録しよう!
食べたものを書き出す、もしくは写真を撮ってすぐに見られるようにしてください。
「簡単に食事を記録できるアプリ」を利用するのも良いでしょう。
カロリー摂取を抑えるには、意識して食事量を調節する必要があります。
自分が続けやすいもので構いませんので、食事の内容を記録していきましょう。
「食べたい気持ち」が強くなったときは…
- 気晴らしに散歩する
- 憧れている人の映像などをみる
- 入浴する
- 歯磨きする
などの方法で、食欲を紛らわせましょう。
今までに食べていた量から一気に減ってしまう場合は、ストレスが溜まることも多いです。
自分なりのリラックス方法を考えておき、ストレスをこまめに発散させましょう。
方法② 「深夜」「眠る前」に食事しない
食事は就寝の3時間前までに済ませてください。
寝る前に何か食べたくなったら、水を飲んだり歯磨きしたりして、食欲をごまかしましょう。
夜間は「脂肪を溜め込むタンパク質」の分泌が多くなるため、寝る前の食事は太る原因になります。
遅くとも20時前に夕食を済ませるのが良いでしょう。
方法③ 1日20〜30分程度、有酸素運動を行う
などの有酸素運動を習慣づけ、体脂肪を燃焼させましょう。
有酸素運動は20分〜30分ほど続けていくと体が温まり、軽い汗が出てくる時に脂肪が燃焼され始めます。
また、「家の階段の上り下り」や「拭き掃除」などでも続けてやれば運動になります。
仕事をしている人は「休み時間や行き帰りに少しウォーキングをしてみる」など、ご自身に合った方法で体を動かしましょう。
「筋トレ」をプラスする効果大
有酸素運動にプラスして、腹筋・スクワットなどを日中の隙間時間に取り入れていきましょう。
筋トレを行うと基礎代謝量のアップにつながり、痩せやすい体づくりができます。
方法④ 睡眠時間を7〜8時間ほど確保する
睡眠時間を7〜8時間ほど確保して、睡眠不足を防ぎましょう。
眠りやすいように、眠る前の食べ過ぎ・アルコールの摂り過ぎは控えてください。
睡眠不足になると、「食欲を抑える働きのあるホルモン」が分泌されにくくなり、「食欲が出るホルモン」が分泌されるため、食べ過ぎにつながります。
また、睡眠不足で血流が低下すると、代謝が下がって痩せにくくなります。
夜は早めにしっかり寝て、朝早く起きるという朝型生活にすることでも痩せやすい体になります。
痩せにくい体質でも、地道な努力で痩せることは可能!
「食べる量」に対して「動く量」が超えている状態であれば、痩せにくい体質の人でも体重が落ちていきます。
長い努力が必要なのは確かですが、痩せないということはありません。
ますは、生活面での「食事の見直し」と「運動習慣」を身につけていきましょう。
挫折せず継続してために…
ダイエットを継続していくためには、楽しく、無理のない方法で行うことが大切です。
- 食べ過ぎてしまったときは、その分動いて消費する
- 運動できなかったら、次の日の運動量を増やす
など、ご自身に合わせて調節するのも良いでしょう。
また、ダイエットを始めたら一生好きなものを食べられないわけではありません。
「1週間頑張ったらご褒美で好きなものを食べる」など、楽しみも作ってくださいね。
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2021-09-17
「食べていないのに、痩せないのはなぜ?」
「40代を超えてから、痩せにくくなった気がする…」
停滞期や代謝低下が関係している可能性があります。
痩せにくくなった原因や対処法を管理栄養士が解説します。
食べないのに痩せない…!これは一体なぜ?
食べないのに痩せない場合、
停滞期に入っている
代謝が悪くなっている(40代以上)
などの可能性が高いです。
理由① 「停滞期」に入っている
体重が減少しないよう、勝手に体が調整している状態です。
そのため、食べていないのに体重が減らない状態が続きます。
食べていない状態を続くと、体は「今後、食事をとることができずに飢えてしまうかも…」と判断します。
すると、これ以上体重を減らさないように体が状態を調整(体温・血糖・免疫調整など)し、食べていないのに体重が減らない状態が続きます。
どう対処すればいい?
3食しっかりと食事を食べて、運動しましょう。
「食べない」のではなく、ヘルシーな料理を食べるのもおすすめです。
米を玄米や雑穀を選ぶなど、カロリーが低いものに変更しましょう。
「蒸す」など油を控えた調理方法に変えて、摂取カロリーを落とすことを心掛けてください。
摂取カロリーを減らすと消費カロリーが上回るため、痩せることができます。
おすすめの運動方法
ウォーキングを毎日20〜30分行いましょう。
理由② 代謝が悪くなっている(40代以上)
代謝が落ちると、昔より食事の量を減らしても痩せなくなることがあります。
基礎代謝は20歳をピークに低下し、40歳を過ぎると急激に低下するので、中高年の方に多い原因です。
どう対処すればいい?
筋肉量を増加させると、代謝機能が向上します。
筋肉のもととなるたんぱく質(肉・魚・大豆製品・卵)を3食で食べてください。
食事を食べないと、筋肉に使われるはずのたんぱく質が、体を動かすエネルギーに使われてしまいます。
すると、どんどん筋肉が痩せて、代謝が上手にできなくなります。
また、ウォーキングなどの運動も行って効率よく筋肉をつけましょう。
気にしすぎもNG。ストレスもダイエットの敵です
ストレスが溜まると、ホルモンバランスや自律神経が乱れる原因になります。
これにより、消化吸収能力の低下やドカ食いなどを引き起こし、ダイエットに悪影響を及ぼす場合があります。
ストレスを溜めないために、
食べないダイエットは控える
「○○だけダイエット」など制限するダイエットは控える
我慢やストレスばかりのダイエットはせず、ご褒美を設ける
適度に運動する
趣味の時間を設ける
などを意識して、上手にリフレッシュしましょう。
注意!痩せないのは「病気サイン」のケースも
食べていないのに痩せない場合、
甲状腺機能低下症
クッシング症候群
といった病気の可能性もあります。
病気① 甲状腺機能低下症
体の新陳代謝を促す「甲状腺ホルモン」の分泌量が減ってしまう病気です。
代謝が低下して痩せにくくなったり、体重が増加したりします。
30〜40歳代の女性に発症しやすい傾向があります。
<主な症状>
疲労感
むくみ
寒気
便秘
無気力
月経異常
脱毛
皮膚の乾燥
病気② クッシング症候群
副腎から出ている副腎皮質ホルモンの「コルチゾール」というホルモンが多く出てしまう病気です。
「コルチゾール」は体の代謝に関係しているホルモンです。
食欲コントロールに関わっているため、食べていないのにやせなくなります。
クッシング症候群は、女性に発症しやすいと言われています。
高血圧・骨粗鬆症・糖尿病・脂質異常症・骨粗鬆症など生活習慣に関わる病気を合併しやすくなるため、気をつけたい病気です。
<主な症状>
満月のような顔になる
手足は痩せて、体幹が太る(中心性肥満)
皮膚が薄くなる
月経異常が起こる
うつ傾向になる
「私、病気かも…」何科の病院に行くべき?
内科または内分泌内科を受診しましょう。
病気が原因の場合、放置すると高血圧、糖尿病、骨粗鬆症などの悪化、免疫力低下などを引き起こします。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
甲状腺機能低下症 一般社団法人 日本内分泌学会
クッシング症候群 一般社団法人 日本内分泌学会
難病情報センター
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2022-05-31
コレステロールが高い人には、どんな傾向がある?
コレステロール値を低く抑えるにはどうすればいい?
LDL(悪玉)コレステロールが高い人の特徴を、お医者さんに聞きました。
LDLコレステロールを下げるおすすめの運動や日常生活での注意点を解説します。
コレステロール値が気になる方は必読です。
コレステロールが高い人の特徴
LDLコレステロールが高いとよくないと聞き、心配です…。LDLコレステロールが高い人には、どういった傾向があるのでしょうか。
LDL(悪玉)コレステロールが高い人には、
肥満傾向
運動不足
ストレスが多い生活を送っている
喫煙習慣がある
閉経を迎えている
といった特徴があります。
上記に当てはまる人は、余分なLDL(悪玉)コレステロールが増えていく傾向があります。
特に「内臓脂肪型肥満」の人は要注意です。
また、閉経後の女性の場合、女性ホルモンの一つである「エストロゲン」が減少することにより、血液中のLDLコレステロールが増加しやすくなります。
コレステロールはバランスが大切!
種類
役割
LDL(悪玉)
肝臓で作られたコレステロールを、血管を通して体の隅々まで届ける。
HDL(善玉)
体の中の余分なコレステロールを回収する。
血管に溜まったコレステロールを肝臓に戻す。
LDL(悪玉)・HDL(善玉)のどちらのコレステロールも、体にとって必要不可欠です。
ただし、
LDL(悪玉)が高い
HDL(善玉)が低い
といった状態は「動脈硬化」のリスクがあり、健康に悪影響を及ぼします。
コレステロールには、「ホルモンを生成する材料となる」「消化や吸収を補助する」「細胞膜(細胞の表面にある膜)を構成する成分になる」など、重要な役割があります。
しかし、コレステロールのバランスが悪くなると、血管の通り道が狭くなって、動脈硬化を引き起こしてしまいます。
「LDLコレステロール」が高いままだと、どうなる?
LDLコレステロールの増加によって「動脈硬化」になると、心筋梗塞・脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こすことがあります。
動脈硬化とは、血管の柔軟性が失われて硬くなっている状態です。
症状が進行すると、「血栓が発生する」「血管が破裂する」などの状態に陥り、危険な病気を発症してしまいます。
コレステロールを下げる「おすすめの運動法」
おすすめの有酸素運動
ジョギング
ウォーキング
サイクリング
ヨガ
水泳
※精神的負担にならず、「少ししんどいけれど無理なく継続できる」と思える運動がおすすめです(心拍数110~120/分程度が目安)。
コレステロール値の改善には、有酸素運動が効果的です。
週に3〜7日・1日15~60分を目安に、体を動かしましょう。
運動をして血流が改善されると、体の中の中性脂肪の減少につながり、HDLコレステロール値の上昇(HDLコレステロールが血中に増える)が期待できます。
「ながら運動」もおすすめ
おすすめの「ながら運動」
歯磨きをしながら「つま先立ち」する
テレビを見ながら「スクワット」する
電車移動の際は、目的地の一駅手前から歩く
駅ではエレベーターやエスカレーターを使用しない
なかなか運動する時間が確保できない方には、スキマ時間や移動中にできる「ながら運動」もおすすめです。
まずは手軽な運動から始めて、少しずつ体を慣らしていくとよいでしょう。
コレステロール上昇を防ぐ「生活のポイント」
コレステロールのバランスを整えるには、日々の生活習慣も大切です。
こまめにストレスを発散する
毎日6〜7時間の睡眠時間を確保する
禁煙する
お酒を飲みすぎない
といったことを意識しましょう。
ポイント① こまめにストレスを発散しよう
日中に太陽の光を浴びる
就寝前にストレッチする
熱中できる趣味の時間を作る
など、こまめにストレスを発散するように心がけましょう。
慢性的にストレスを感じていると、血液中にLDLコレステロールが増え過ぎてしまう恐れがあります。
ポイント② 毎日6〜7時間の睡眠時間を確保しよう
毎日6~7時間の睡眠時間を確保して、睡眠不足にならないようにしましょう。
睡眠不足は脂質の代謝に影響を与えます。また、十分な睡眠がとれていないと、「体の組織の修復がスムーズに行われない」、「ストレスが溜まりやすくなる」、「血圧上昇」などにつながる恐れがあります。
ポイント③ 禁煙しよう
タバコは「LDLコレステロール値」を上昇させ、「HDLコレステロール値」を低下させる作用があると考えられています。
喫煙している人は、禁煙を目指しましょう。
ポイント④ お酒を飲みすぎに気をつけよう
お酒の種類
1日あたりの目安量
ビール
中瓶1本(500ml)
日本酒
1合(180ml)
チューハイ(7%)
350ml
ウイスキー
ダブルで1杯(60ml)
お酒を飲みすぎないよう、あらかじめ摂取量を決めておくようにしましょう(1日25g以下が目安)。
アルコールを飲みすぎると、LDLコレステロールが高くなることがあります。
また、アルコールは、それ自体が高カロリーであることに加えて、おつまみ等と一緒に摂るケースが多いため過食につながる場合があります。
▼参考
日本医師会 知って得する病気の知識
一般社団法人 福山市医師会 脂質の検査
全国健康保険協会 【脂質異常症】 コレステロールと中性脂肪がたまると
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 脂質異常症を改善するための運動