「貧血がつらい…」
「病院は何科に行けばいいの?」
貧血を相談できる診療科を、お医者さんに聞いてみました。
貧血には、胃ガン・大腸ガンといった命に関わる病気が隠れているケースもあります。
心当たりのある症状がないか、チェックしてみましょう。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
貧血は何科で受診すればいい?
症状
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おすすめの診療科
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貧血以外に症状がない
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内科
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月経不順を伴う
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婦人科
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血便を伴う
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消化器内科
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血尿を伴う
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泌尿器科
|
貧血は、伴う症状によって適切な診療科が異なります。
上記の表を参考にして、ご自身に合った診療科を選びましょう。
貧血が進行すると日常生活に支障をきたすケースも多いため、症状が軽いうちに受診することをおすすめします。
貧血は、病院でなんて言うのが正解?
診察の際は、まず「貧血で困っている」という旨を伝えましょう。
また、下記の5ポイントを併せて伝えると、貧血の原因特定に役立ちます。
医師に伝える5ポイント
- 症状が始まった時期
- 貧血以外に困っている症状
- 患ったことのある病気
- 服薬状況
- 服用しているサプリメント
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【貧血チェック】こんな症状は病院で相談を
貧血で起こりやすい症状
- 動悸・息切れがする
- めまい
- だるさ・倦怠感
- 微熱が出る
- 爪や瞼の裏が白くなる
- 季節を問わず氷が食べたくなる
上記の症状には貧血が疑われます。
心当たりがある方は、受診を検討しましょう。
貧血は、「食生活の偏り」や「激しい運動」など身近な原因でも起こります。
栄養不足による貧血であれば、食生活の見直しで快方に向かうことも多いです。
しかし、隠れた病気が原因で貧血を生じているケースもあります。
貧血の症状があるときは、医師の診察を受けて原因を特定することが大切です。
こんな症状が出たら、早急に病院へ!
貧血に伴う「危険な症状」
- 爪の中央がへこむ(スプーンネイル)
- 便に血が混ざっている
- 尿に血が混ざっている
- 夜用のナプキンをすぐ取り換える必要があるほど、経血量が多い
- 階段などで息切れがひどい
貧血に上記の症状がある方は、早急に病院で受診しましょう。
この場合、命に関わる状態も疑われます。
重度の貧血には、胃潰瘍・胃ガン・大腸ガンといった重い病気による出血も考えられます。
また、貧血は低酸素状態が続いている状態なので、重度になると心臓にも負担がかかり、心不全に至る恐れもあります。
自力で動けない方は、救急車を要請してください。
救急車を呼ぶのに躊躇する方は「#7119」に電話をして指示を仰ぎましょう。
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2021-03-05
「めまいでくらくらする…」
「少し運動するだけで息切れしてしまう…」
これらの症状は、重度の貧血のせいかもしれません。
重症の目安となる検査の数値や、 原因となる“隠れた病気”を解説します。
重度の鉄欠乏性貧血はどんな症状?
重度の貧血になると、
頭痛
めまい
動悸、息切れ
体がだるく、疲れが取れない
などの症状が現れます。
検査ではどのくらいの数値?
ヘモグロビン濃度の値が
男性の場合:5~7g/dl以下
女性の場合:4~6g/dl以下
だと、重度の貧血と診断されます。
<貧血の検査方法>
血液を採取し、赤血球の数やヘモグロビン、ヘマトクリットの状態を調べます。
赤血球:酸素を運ぶ役割を持つ、血液細胞の一つ。
ヘモグロビン:赤血球の中にあるタンパク質。
ヘマトクリット:赤血球の体積の割合を示す値。
入院が必要なケースもあるの?
すぐに輸血しないと命に関わる場合
重い原因疾患が発見された場合
は、入院が必要になります。
意識が朦朧としているときは、すぐに輸血が必要なケースが多いです。
また、重い病気の例としては、腎臓病、肝臓病、感染症、膠原病、慢性関節リウマチなどがあります。
重度の貧血の原因は?
重度の貧血症状がある場合
鉄分不足
消化器の病気
女性の病気
などの原因が考えられます。
原因① 鉄分不足
鉄分は血を造る上で必要な栄養素です。
鉄分が不足すると貧血を引き起こします。
食の欧米化や朝食欠食、偏食といった食生活の変化に伴い、現代人は鉄分の摂取量が不足している傾向があります。
特に女性は生理によって血液を失ってしまうため、鉄分をしっかりと補いたいものです。
<鉄分不足の症状>
疲れやすい
息切れがする
めまいや立ちくらみが頻繁にある
氷を食べたくなる
爪が弱くなり、割れやすくなる
爪の先が反り返る
鉄分不足になりやすい人
ダイエットをしている人
食生活が乱れている人
は、鉄分不足になりやすいです。
原因② 消化器の病気
胃潰瘍
十二指腸潰瘍
胃がん
食道がん
大腸がん
といった消化器の病気による貧血も考えられます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、胃酸や消化酵素によって、胃や十二指腸の粘膜が深く傷ついてしまう病気です。
粘膜の傷が出血を起こすことで、貧血の引き金となります。
また、がんによる貧血も同様に、腫瘍の部分からの出血によって、貧血が引き起こされます。
<消化器の病気の症状>
吐血
血の混じった便
黒っぽい便
吐き気
倦怠感
食欲の低下
体重減少
消化器の病気になりやすい人
よくお酒を飲む人
タバコを吸う人
ストレスを溜めがちな人
は消化器の病気になりやすいです。
いずれも消化器に悪影響を与える要因になるため、心当たりがある方は注意しましょう。
また、胃潰瘍や十二指腸の原因には、ピロリ菌の感染も挙げられます。
がんの場合は、年齢とともに発症リスクが高くなるため、特に中高年の方には定期的な健康診断をおすすめします。
原因③ 女性の病気
「子宮筋腫」「子宮内膜症」といった女性の病気によって経血量が増え、重度の貧血を起こす場合もあります。
「子宮筋腫」とは、子宮内で過度に増殖した筋肉の“こぶ”です。その筋腫が大きくなることで経血量が増加します。
「子宮内膜症」になると、生理がくるごとに痛みが増していくのが特徴です。子宮の内側を覆う“子宮内膜”に似た組織が、過度に増殖する病気です。子宮の内側が分厚くなることで、経血量が増えます。
<女性の病気の症状>
月経周期以外の出血(不正出血)
経血量の増加
便秘
頻尿
腰痛
女性の病気になりやすい人
子宮筋腫や子宮内膜症は、30歳以上の女性の20〜30%に見られます。
はっきりとした原因はわかっていないため、あらゆる女性が注意すべき病気といえます。
重い貧血は何科を受診すればいい?
女性は、まず婦人科を受診しましょう。
男性は、内科か消化器内科を受診してください。
どんな治療を受けるの?
まず、問診や採血等で貧血状況を確認し、原因を調べていきます。
その後、症状に合わせて薬を処方したり、原因となる病気の治療を行います。
なお、症状が重く血液が足りていない場合は、輸血を行うこともあります。
鉄不足の貧血の場合は、鉄分が配合された薬やビタミン剤を処方して、症状の改善を図ります。
病気による出血の場合は、入院や手術が必要になるケースもあります。
婦人科を探す
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放置はNG!早めに病院へ
重度の貧血症状には、重い病気が隠れている疑いがあります。
また、貧血による低酸素状態が続くと心臓に負担がかかるため、心不全を引き起こすリスクが高くなります。
病気の悪化を防ぐためには、早めに受診して検査・治療を受けることが重要です。
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▼参考
公益財団法人日本産婦人科学会
国立がん研究センター
タケダ健康サイト
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2021-03-05
「貧血が続くとどうなるの?」
貧血が悪化するとどんなリスクが生じるのか、お医者さんに聞きました。
つらい貧血症状を改善する方法や、隠れた病気の可能性も解説します。
貧血が続くとどうなる?
鉄欠乏性貧血が続くと心臓や脳に負担がかかります。
そのまま症状が続くと、心筋梗塞や記憶力の低下などを引き起こす恐れがあります。
貧血とは、血液中のヘモグロビンの濃度が低くなった状態を言います。
ヘモグロビンには全身に酸素を運ぶ役割があり、貧血が続くと体内が酸素不足になります。
体が低酸素状態になると、心臓が一生懸命に全身に血液を送ろうとしてオーバーワークになり、心臓や脳の不調が引き起こされるのです。
貧血による「酸素不足」のサイン
立ちくらみ
息切れ
めまい
これらの症状は、全身の隅々まで酸素が行き届かないことが原因で起こります。
私の貧血は大丈夫?病院に行くべき?
鉄欠乏性貧血の症状が軽い(生活に支障がないくらいの貧血。運動したときにだけ起こる・時々おこる等)のであれば、生活習慣の見直しによって改善できるケースもあります。
この場合は、生活習慣・食生活の改善(※後述)から始めるのもよいでしょう。
セルフケアによって様子を見る場合は、念のため定期的に健康診断を受け、貧血の状態を確認してください。
ただし、こんな貧血症状は病院へ!
息切れ・動悸が頻繁に起こる
めまいや立ちくらみがひどい
便に血液が混じる
など症状がある方は、早めに病院を受診しましょう。
重度の貧血や、他の病気(腎臓病やがんなど)が原因のこともあります。
病院は何科に行けばいい?
女性の方は、まず婦人科を受診しましょう。
男性の方は、まず内科・消化器内科を受診しましょう。
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鉄欠乏性貧血を改善するための3つのこと
鉄分・タンパク質を多く摂る
食後の緑茶やコーヒーを控える
規則正しい生活を送りましょう
この3つを意識しましょう。
その① 鉄分・タンパク質を多く摂る
血液の素となる鉄分とタンパク質を、食事で積極的に取り入れましょう。
また、同時にビタミンCを摂取すると、鉄分の吸収率が高まります。
栄養素
おすすめ食材
鉄分
レバー、ほうれん草、ひじき
タンパク質
肉類、魚介類、卵、大豆製品
ビタミンC
パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ
血液を造るには、鉄分の多い食品を摂ることが大切です。
ただし、食事で摂取できる鉄の量は多くないので、貧血が重い場合は病院で“鉄剤”を処方してもらいましょう。
その② 食後の緑茶やコーヒーを控える
緑茶やコーヒーにはタンニンという成分が含まれており、鉄分の吸収を阻害してしまいます。
せっかく鉄分の多い食事をとっていても、吸収を阻害してしまっては意味がありません。
「食後に一息…」と飲みたくなるところですが、食後すぐの緑茶・コーヒーは控えましょう。
その③ 規則正しい生活をおくる
規則正しい生活は体全体の健康状態を整え、貧血の改善を促します。
1日3食しっかり食べて、適度な運動、十分な睡眠を心がけてください。
運動には内臓機能を回復させて鉄分の吸収を高め、赤血球の生産を活発にする作用があります。
適度な運動としておすすめなのが、1日30分のウォーキングです。
疲れすぎない程度を目安に、毎日体を動かすようにしましょう。
また、質のよい睡眠をとることで、元気な血液を作ることにつながります。
注意!貧血の裏に「深刻な病気」が潜んでいることも
重い貧血症状に、病気が隠れているケースがあります。
胃がん、子宮がん、白血病など命に関わる病気の可能性も考えられます。
<こんな症状がある場合は要注意!>
体のむくみ
吐き気、おう吐
食欲不振
手足の痺れ、感覚の麻痺
便に血液が混じっている
吐血
月経でない時期に出血がある
月経の出血量が多い
上記の症状に心当たりがある場合は、早めに病院で検査を受けてください。
月経の不調を伴う方は婦人科、それ以外の方は消化器内科を受診しましょう。
重い貧血を引き起こす病気の例
▼消化器の病気
胃潰瘍
十二指腸潰瘍
慢性腎不全
大腸がん
食道がん
胃がん
▼女性の病気
過多月経
子宮内膜症
子宮筋腫
子宮体がん
▼血液の病気
白血病
病院ではどんな治療を受けるの?
基本は血液検査を行い、ヘモグロビン濃度やヘマトクリット値などを確認します。
一般的な「鉄欠乏貧血」であれば、鉄剤の投薬を行います。
※「悪性貧血」であればビタミンB12や葉酸の投薬、難病でもある「再生不良性貧血」は免疫抑制療法、骨髄移植、蛋白同化ステロイド療法などを行います。
お医者さんにどう伝えたらいい?
貧血で受診するときは
「どのような行動のとき」
「どのような症状が起こるか」
「いつから症状がでているのか」
を伝えましょう。
▼女性は、婦人科へ
婦人科を探す
▼男性は内科・消化器内科へ
内科を探す
▼参考
国立がん研究センター
病院ではどんな治療をするの?
初診の場合、
という流れで診療が進むケースが多いです。
問診・触診・採血では、貧血度合いや種類を診断します。
「鉄欠乏性貧血」であれば鉄剤の服用が中心ですが、隠れた病気がある場合はその治療も行われます。
貧血と診断される基準
血中ヘモグロビン量が、
- 成人男性:13g/dl未満
- 成人女性および6-14歳:12g/dl未満
- 妊婦および6歳未満:11g/dl未満
の場合は貧血と診断されます。
治療にかかる期間・費用の目安
貧血の症状自体は、薬を服用すれば1~2か月で改善する例が多いです。
「鉄欠乏性貧血」の治療であれば、初診料+診察料+検査料+薬代で合計3,000~5,000円程が費用目安です。
なお、貧血症状の予防のために、薬の服用を3〜5か月は継続したほうがよい場合もあります。
保険適用される?
基本的には保険適用での治療となります。
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