なぜ?GLP-1ダイエットで痩せない!
効果はいつから出てくる?
「GLP-1ダイエットで効果が出ない」場合に考えられる理由を、お医者さんに聞きました。
よくある失敗例や効果が出てくる目安の期間、効果を高める方法についても解説します。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
GLP-1ダイエットで痩せない!
GLP-1ダイエットで痩せない場合は、食事量が減っていない可能性があります。
GLP-1は、あくまでも「食欲を抑える目的」で使用されます。
GLP-1の摂取だけでは体重を減らせないため、食事量が変わっていなければ痩せることはありません。
「GLP-1」って何?
GLP-1は、体内にあるホルモンの一種です。
血糖値をコントロールしたり、食欲を抑えたりする働きがあるため、減量に役立ちます。
ダイエットで使用されるGLP-1には、飲み薬・注射薬などのタイプがあります。
陥りがちな「失敗パターン」
GLP-1ダイエットが上手くいかない場合、
- 食生活が糖質に偏っている
- 運動不足
が原因で失敗しているパターンが多いです。
失敗例① 食生活が糖質に偏っている
こんな食生活はNG!
- ご飯・麺・パン類だけで、食事を済ませる
- 糖質の多いものを2重に食べる(ラーメン+チャーハンなど)
GLP-1でいくら食欲を落としても、糖質の多いものを過剰に食べていたら、消費されない分が脂肪に変わってしまいます。
糖質を過剰摂取すると、血糖値が上がりやすくなり、それを下げるためにインスリンが多く分泌されます。
すると、「糖質が脂肪に変わる働き」が強く出てしまうため、脂肪がつきやすくなります。
また、バランスの悪い食生活が習慣になっていると、代謝が上手く行われず、脂肪が溜め込まれやすくなります。
失敗例② 運動不足
運動する習慣がない方は、体の筋肉量が少ないことが多いです。
筋肉が少ないと、代謝が落ちてしまい痩せにくくなります。
GLP-1を使って食事量を減らすだけでは、体重は減少しづらいです。
栄養をバランス良く摂取した上で、運動を習慣づけることにより、代謝が促されて体重減少につながります。
GLP-1ダイエット効果を感じるのはいつから?
GLP-1ダイエットは、2週間程度で徐々に効果が現れます。
食欲を抑制された状態に体が適応し、少ない食事量に慣れる期間の目安が、およそ2週間となります。
2週間経たずにGLP-1ダイエットをやめてしまうと、少ない食事量に慣れないため、食欲や食事量が戻ってリバウンドしやすくなります。
GLP-1ダイエットで結果を出す3つのルール
- たくさん噛んでゆっくり食べる
- 主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
- 有酸素運動を習慣づける
GLP-1ダイエットの効果を高めるために、上記の点を意識して生活しましょう。
これらを実践することで、食事を減らしたり、脂肪の代謝を促したりする効果が期待できます。
詳しく解説していきますので、痩せたい方は要チェックです。
ルール① たくさん噛んでゆっくり食べよう
食事の際は、1口20〜30回は噛むようにしましょう。
30〜40秒程度かけてよく噛んでください。
たくさん噛んでゆっくり食べると、満腹中枢が刺激され、食べる量をより抑えることができます。
ルール② 主食・主菜・副菜の揃った「バランス良い食事」を心がけよう
主食
|
ご飯/麺/パン など
|
主菜
|
お肉/魚 など
|
副菜
|
野菜/きのこ/海藻 など
|
毎回の食事に、主食・主菜・副菜を揃えると、栄養バランスが整います。
「和定食」をイメージした食事がよいでしょう。
タンパク質・ビタミン・ミネラルなどの必要な栄養素を補うことで、体の代謝が促され、痩せやすくなります 。
「糖質中心の食事」や「過度の飲酒」は、太る原因となるため避けましょう。
ルール③ 有酸素運動を習慣づけよう
1日20〜30分程度の「有酸素運動」を行いましょう。
息が切れるほどの激しい運動ではなく、軽く汗ばむ・軽く話しながらできる程度の強度を目安にしてください。
食欲を抑えつつ運動をすることで、カロリー消費や代謝が良くなるため、体重が減少しやすくなります。
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2022-02-17
「毎日10キロ歩いても痩せられない…」
「これってなぜ…?」
どんなにたくさん歩いても痩せられない理由について、栄養士さんに聞いてみました。
ウォーキングで結果を出すための方法や、痩せ始める時期についても解説していきます。
「毎日10キロ歩いても痩せない」人がはまる落とし穴
どんなにたくさん歩いても、消費エネルギー量(kcal)よりも、摂取エネルギー量(kcal)が上回っていれば、痩せるのは難しいです。
毎日10キロも歩いても痩せない理由として、
スポーツドリンクやジュースの飲みすぎ
運動後に高エネルギー食品をとっている
食事量が多い
といったことが考えられます。
落とし穴① スポーツドリンクやジュースの飲みすぎ
ウォーキング中の水分補給として、スポーツドリンクやジュースを飲んでいる場合、消費エネルギー量(kcal)よりも、摂取エネルギー量(kcal)が上回ってしまう可能性が高いです。
▼摂取カロリーの例
スポーツドリンク(500ml):105kcal
オレンジジュース(濃縮還元)(500ml):230kcal
落とし穴② 運動後に高エネルギー食品をとっている
長時間のウォーキング後、お腹が空いたからと高エネルギー食品をとっていると、消費エネルギー量(kcal)よりも、摂取エネルギー量(kcal)が上回ってしまう可能性が高いです。
▼摂取カロリーの例
板チョコ一枚(60g):331kcal
落とし穴③ 食事量が多い
長時間のウォーキング後、お腹が空いたからと食事量が多くなってしまうと、消費エネルギー量(kcal)よりも、摂取エネルギー量(kcal)が上回ってしまう可能性が高いです。
たくさん歩いても「カロリー消費が少ない」ことも!
10キロも歩いても、歩くスピードがゆっくりであれば、消費エネルギーが少なくなります。
また、体重が軽い人・体脂肪が多い人も、消費エネルギーが少なくなります。
「痩せ始める時期」までには時間がかかる
1kg減量するためには7,200kcalの消費が必要です。
アメリカスポーツ医学協会が提示する式を用いて計算すると、体重60kgの人が、時速4km(分速70m)、歩幅70cmで10分歩いた(700m、1000歩)場合、消費エネルギーは30kcalとなります。
同じペースで歩いた場合、単純計算で10kmを歩く消費エネルギーは428.6kcalです。
1日に240kcal分のエネルギー消費を増やす、もしくは控えることができれば、約30日間で変化を実感できるでしょう。
ウォーキングで「結果を出す」ためのアドバイス
ウォーキングで結果を出すための方法を紹介します。
歩くときのフォームや歩くスピードを変えるだけでも効果が大きく変わるので、ぜひチェックしてください。
コツ1. 正しいフォームで歩く
歩くフォームの6ポイント
肩甲骨を寄せて、背筋を伸ばす
肩の力を抜く
20m先を見る
腕ふりは“肘を後ろに引く”
踏み出す方の膝は伸ばす
踵から着地する
お腹や太ももの筋肉をしっかり使うことができると、消費エネルギー量のアップにつながります。
コツ2. 早歩きでウォーキングする
フォームが意識できたら、次は早歩きしましょう。
歩くスピードは速い方が、消費エネルギー量が多くなります。
コツ3. 食事前に行う
食事をとる前に運動しましょう。
食事をとる前であれば、ウォーキング時のエネルギー源は体脂肪がメインとなります。
体脂肪を燃焼してエネルギーとして使うことで、減量へ繋がります。
ただし、糖質が全くない状態では、脂質をうまく消費できません。
もし空腹を感じているのであれば、バナナなど手軽に補給できるものから糖分を補給してから行うとよいです。
※基本的に、ウォーキング直前に食事は摂らないようにしましょう。
食後30分〜60分は、胃の中で食べたものを消化しています。消化不良を起こす可能性があります。
食後のウォーキングであれば、食後30分〜60分以降にしましょう。
ウォーキング後に「やっておくとよいこと」
効率よくダイエットをするために、ウォーキング後にはストレッチを行うとよいでしょう。
可動範囲を広げるために、上記の図のようなストレッチを行うと良いです。
▼参考
厚生労働省 身体活動・運動
タカハラ整形外科クリニック vol.43歩き方指導 ~個々にあった方法で~
青木病院 転倒予防~歩き方編~
厚生労働省 成人を対象にした運動プログラム
神戸徳洲会病院 ウォーキングは食前か食後か?
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2021-09-17
「LDLコレステロールだけ高い…」
「すぐに病院へ行くべき?」
20代女性のLDLコレステロールだけ高い原因をお医者さんに伺いました。
動脈硬化が進行する恐れもあるため、毎回指摘されている方は要注意です。
20代女性の「LDLコレステロールだけ高い」3つの原因
20代の女性で「LDLコレステロールの数値だけが高い」場合、
食生活の乱れ
運動不足
ストレス過多
といったことが原因となっているケースが多いです。
その① 食生活の乱れ
揚げ物・脂身の多い肉類・インスタント食品・スイーツ・加工食品などをよく食べると、LDLコレステロールが高くなる場合があります。
揚げ物やインスタント食品などを多く食べると、肝臓でのコレステロール合成が促進されます。
その結果、余分なコレステロールが血中で溢れるため、血中のLDLコレステロール値が上昇すると考えられています。
こんな人は要注意!
1日3食規則正しく食事を摂らない人
毎日外食やコンビニ弁当を食べている人
野菜の摂取量が少ない人
アルコールをたくさん飲む人
その② 運動不足
運動不足で体の消費エネルギー量が減少し、脂質の代謝が悪化すると、血中のLDLコレステロール値が上昇する場合があります。
こんな人は要注意!
運動習慣がない人
エレベーターやエスカレーターを頻繁に利用する人
その③ ストレス過多
過度のストレスを抱えると、ストレスに負けないよう体の中で戦闘準備が始まります。
すると、血液中に糖分・脂肪分・カルシウム等のミネラル成分が分泌されて、LDLコレステロールや血糖値が上昇する場合があります。
こんな人は要注意!
ストレスを感じやすい人
疲労がたまっている人
睡眠不足の人
遺伝による「家族性高コレステロール血症」のケースも
家族性高コレステロール血症とは、生まれたときから血中のLDLコレステロール値が異常に上昇する病気です。
日本では軽症から重症まで含めると25万人ほどと推定されています。
この病気は、肝臓細胞の表面にある「LDL受容体(蛋白)の遺伝子」などに異常が生じている状態です。
LDLコレステロールが細胞に取り込まれ、破壊(代謝)されず血中に溜まるため、動脈硬化を起こす可能性もあります。
どんな人に多い病気?
男性では55歳以下、女性では65歳以下に多くみられます。
ご両親のどちらも、または一方が高コレステロール血症を患っている人に多くみられると考えられています。
こんな症状を伴うことも
10歳頃までに膝・肘・手首・手の甲・アキレス腱等に、黄色のいぼ状のもの(黄色腫)が発生するケースがあります。
家族性高コレステロール血症を放置して、幼少期の段階で動脈硬化が進行すると、胸の痛みが出たり、心筋梗塞等の重篤な病気を発症したりする恐れがあります。放置すると、20代でも心筋梗塞を発症するケースもあります。
LDLコレステロールだけ高かったら、病院行くべき?
食事内容に問題があったなど、理由が明確な場合は、一旦様子をみてもいいでしょう。
こんな原因に心当たりはありませんか?
食生活が急に変わった
体重が大きく増えた
上記の原因に心当たりがある場合、一時的に数値が高くなることがあります。
ただし、こんなときは病院へ!
健康診断で「LDLコレステロール値が高い」と毎回指摘されている場合は、早めに医療機関を受診してください。
心筋梗塞・脳卒中など、重い病気を発症する恐れがあります。
高LDLコレステロール血症は自覚症状が出現しない場合が多く、放置して状態が悪化するケースもよくあるため、注意が必要です。
知らず知らずのうちに「動脈硬化」に…
体内のコレステロールを運ぶ役割を担っている「LDLコレステロール」が血中に溜まり過ぎると、血管内へと侵入します。
その結果、血管に小さいコブ状のものが発生して、「動脈硬化」を発症します。
血管の詰まりが発生しやすい状態なので、循環器疾患の発症リスクが上昇します。
基準値をどのくらい超えると危険なの?
140mg/dL以上は危険な状態になっていると考えられます。
20代女性のLDLコレステロールの基準値は60~119mg/dLです。
病院は何科?
LDLコレステロール値が高い場合は、内科や循環器内科を受診しましょう。
内科を探す
LDLコレステロールを下げる対策は?
LDLコレステロールを下げるためには、
飽和脂肪酸の摂取を控える
食物繊維を多く摂取する
多価不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)を摂取する
など、食事内容の見直し・改善が重要になります。
対策① 飽和脂肪酸の摂取を控える
飽和脂肪酸を多く含む食品の摂取を控えてください。
食事内容の見直し・改善を行い、意識的に飽和脂肪酸を多く含む食品の摂取を控えるとLDLコレステロール値の低下が期待できます。
脂肪酸の一つである飽和脂肪酸を多く含んでいる食品を摂取すると、肝臓でのコレステロールの合成が促されLDLコレステロール値が上昇します。
<NG>飽和脂肪酸を多く含む食品
ラード・牛脂・バター・マーガリン
鶏皮
魚卵・鶏卵
ベーコン
ココナッツオイル・パーム油
フライ製品
洋菓子
対策② 食物繊維を多く摂取する
食物繊維を多く含む食品を1日25g以上食べましょう。
食物繊維は、コレステロールの吸収を抑制する働きをもっています。
食物繊維を多く含む食品
キノコ類(しいたけ・しめじ・えのきなど)
果物(バナナ・干し柿・りんごなど)
野菜(かぼちゃ・ごぼう・とうもろこし・切り干し大根・ブロッコリー・モロヘイヤなど)
海藻類(ひじき・わかめなど)
イモ類(さつまいも・こんにゃくなど)
大豆類(大豆・おから・納豆など)
雑穀米
玄米
対策③ 多価不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)を摂取する
多価不飽和脂肪酸を多く含む食品を食べましょう。
多価不飽和脂肪酸の中でも、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)という成分にはLDLコレステロールを減少させる効果があります。
その他に、中性脂肪を減少させたり、血液をサラサラにしたりします。
多価不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)を多く含む食品
青魚(サンマ・サバ・イワシなど)
マグロ(トロ)
鮭
多価不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)の目安量
成人男性(18-49歳)2.0g
成人男性(50-74歳)2.2g
成人女性(18-49歳)1.6g
成人女性(50-74歳)1.9g
きちんと対策を!そのまま悪化すると…
LDLコレステロール値が高い状態がずっと続くと、血管が硬くなって動脈硬化を発症します。
血管にダメージが加わっていくため、脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる病気を発症するリスクも高まります。
コレステロール値を指摘されたときは、普段の食生活を見直すようにしましょう。
また、健康診断で毎回指摘されている場合には、医療機関で適切な治療を受けることをおすすめします。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人 日本内分泌学会 家族性高コレステロール血症
公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)(指定難病79)
一般社団法人 日本肥満症予防協会 7. 肥満と脂質異常症