うつ病でイライラして攻撃的に…。
うつ病の人がイライラして攻撃的になってしまう理由を、お医者さんに聞いてみました。
早めの受診が必要なケースもあるので、要注意の症状をチェックしましょう。
周囲にうつ病の人がいる場合の接し方や、サポートした経験がある人の体験談も紹介します。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
「うつ病の人がイライラして攻撃的になる」のはなぜ?
うつ病を発症すると、刺激を受けやすい状態になります。
そのため、周囲の人の些細な言葉や態度に不快感を覚えて、怒りをぶつけたり、不機嫌な態度をとってしまったりすることがあります。
また、うつ病は心も体も不安定な状態のため、自分に余裕がなくなり、イライラや焦燥感を周囲の人にぶつけてしまうともいわれています。
元々温厚な性格だった人でも、うつ病が原因で攻撃的な性格に変わる場合があります。
うつ病ってどんな病気?
うつ病とは、心身のストレスによって、脳がうまく働かなくなっている状態です。
「一日中気分が落ち込む」「何をしても楽しめない」といった精神症状とともに、不眠・動悸・倦怠感などの体の不調があらわれます。
原因は解明されていませんが、脳の神経伝達物質が乱れていることが関係していると考えられています。
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2022-12-16
うつ病とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
うつ病の主な症状も紹介するので、「うつ病かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしましょう。
うつ病って、どんな病気?
うつ病とは、心身のストレスによって、脳がうまく働かなくなっている状態です。
「一日中気分が落ち込む」「何をしても楽しめない」といった精神症状とともに、不眠・動悸・倦怠感などの体の不調があらわれます。
うつ病の「身体面の症状」と「心の症状」
身体面にあらわれる症状
食欲が低下する(または急に食欲が増える)
食べ物を美味しいと感じない
体重が減る(または増える)
寝付きが悪い
眠りが浅い・夜中に目が覚めてしまう
眠り過ぎてしまう
体がだるい・疲れがとれない
頭が重い感じがする
疲れやすい
首・肩・腰が凝りやすい
動悸がする
胃やお腹に不快感がある
めまいがする
口が渇く感じがある
便秘が続く
下痢が続く
月経不順がある
性欲がなくなる
勃起しにくくなる
精神面にあらわれる症状
気分が落ち込む日が続く
何に対しても悲観的である
何に対しても興味を持てない
喜ぶ・楽しむことができなくなる
今まで楽しいと思っていたことが、楽しめなくなる
やる気が出ない
口数が減る
見た目や服装などを気にしなくなる
集中できなくなる・ミスが増える
落ち着きがなくなる
イライラしやすい
不安感がある
涙もろくなる
自分を責めてしまう
お酒を飲む量が増える
うつ病の原因
うつ病が発症する原因ははっきりと分かっていません。
近年の研究では、過度のストレスで脳の一部の「神経細胞」の形状が変化し、その結果、考え方や感情に歪みが生じるのではないかと指摘されています。
発症しやすいのはどんな人?
うつ病は女性に多く見られます。これは妊娠、出産、更年期といったライフステージで、多くのストレスを抱えやすいからだと考えられています。
また、親族の中にうつ病を発症した人がいると、発症リスクが上昇する傾向があります。
その他、
真面目な人
几帳面な人
努力家で目標が高い人
何事も全力投球で手を抜かない人
自責の念が強い完璧主義な人
気遣いができる人
は発症リスクが高い傾向があります。
うつ病のキッカケとなる出来事
精神的・身体的ストレス
悲しい出来事、つらい体験
人生の転機(引っ越し、就職、進学、結婚等)
病気の治療薬の副作用 など
うつ病かも…と思ったら
症状に心当たりがあるときは、一度病院で相談するようにしましょう。
うつ病を放置すると、自分を責める気持ちが強くなり、自殺願望を抱いてしまうケースもあります
病院は何科?
精神的な症状が強い → 精神科
体の不調を伴う → 心療内科
※両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
精神科・心療内科は、患者さんが気持ちを楽に保てるようにサポートしてくれる診療科です。
心身の不調に詳しい医師・スタッフが対応してくれるので、リラックスして受診してください。
精神科・心療内科の受診に気が進まない方は、まずは「内科」を受診して体に不調がないかを確認してもらうのもよいでしょう。
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内科を探す
病院で「うつ病」と診断される基準は?
病院で「うつ病」の診断を行う際は、以下の基準を用いることが多いです。
▼以下の症状のうち、少なくとも1つある。
抑うつ気分
興味または喜びの喪失
▼以下の症状をあわせて、合計で5つ以上該当する。
食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加
不眠あるいは睡眠過多
精神運動性の焦燥または制止(じっとしていられない・話し方や動作が遅い等)
疲労感または気力の減退
無価値感または過剰な罪責感(自分は価値のない人間だと感じる・自分の言動に対して過度に罪悪感を覚える等)
思考力や集中力の減退または決断困難
死についての反芻思考・自殺念慮・自殺企図
上記の症状がほとんど1日中、ほぼ毎日ある状態が2週間以上続いていて、他の病気や薬物、アルコールなどの影響では説明できない場合に、「うつ病」と診断されます。
うつ病の治療法
医療機関では、
薬物療法
カウンセリング
認知行動療法※
生活指導
などによって、症状の改善を図ります。
薬物療法では、気分の落ち込みをよくする薬や、睡眠薬などを使用します。
※認知行動療法…医師やカウンセラーと面談する中で、自分の考え方や物事の捉え方の癖に気付き、修正していく治療法。
うつ病が治るまでの期間は?
症状が治まるまでの治療期間は、「発症から受診までの期間と同じくらい」と考えられています。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
発症しやすいのはどんな人?
うつ病は、真面目・完璧主義・気を遣いやすいといった性格の人に多い病気です。
このような人が、「強いストレスを感じるでき事」や「環境の変化」に直面することで、発症しやすくなると考えられています。
うつ病のキッカケとなる出来事
- 進学
- 就職
- 引っ越し
- いじめ
- 受験や仕事における失敗
- 失恋
- 結婚
- 離婚
- 妊娠・出産
- 家族や親しい人の死
ただし、これといったストレスやつらい出来事がない場合でも発症することはあります。
こんな症状は、早めの受診をおすすめします
- 自分には何も価値がないと思ってしまう
- 死んでしまいたいと思うことが増えた
- 仕事や学校に行くことができない
- 夜眠れない
- お酒を飲む量が増えた
上記に該当する人は、早めに医療機関で相談してください。
うつ病患者の約半数は自殺を考えるとされており、放置するのは危険です。
躊躇せず、一度医師に相談してください。
精神的な症状が強く出ている場合は「精神科」、倦怠感や動悸などの体の不調を伴う場合は「心療内科」で受診するとよいでしょう。
※両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
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【サポートする側の悩み】イライラをぶつけられるのがツライ…
うつ病を患っている人が身近にいます。サポートしてあげたい気持ちはあるのですが、イライラをぶつけられるのがつらいです。
「もう限界かも…」と思うこともあるのですが、どうしたらよいでしょうか。
一人でつらい気持ちを抱え込まないでください。
精神保健福祉センター・かかりつけ医・家族会などに相談しましょう。
また、趣味の時間を確保するなど、自分をいたわることも大切です。
次の項目では、
- 「家族」にうつ病の人がいる場合
- 「職場」にうつ病の人がいる場合
の2つのシチュエーションで、それぞれに対応例を解説します。
サポートの仕方に悩んでいる方は、参考にしてみてください。
対応例①「家族」にうつ病の人がいる場合
励ましの言葉をかけるなど特別なことはしなくていいので、安心して過ごせる環境を作りましょう。
うつ病の人が無理をしないように、そっと見守る姿勢が大切です。
イライラをぶつけられたときは…
言い返したり、感情的になったりせず、受け流しましょう。
うつ病の人の言動に振り回されてしまうと、支える人たちも疲れてしまいます。
「病気が原因でイライラしている」と理解することが大切です。
心が疲れてしまったら…
心が疲れてしまったときは、家族だけで問題を抱え込まず、家族会(患者会)などに参加して、同じ悩みを持つ人と交流してみましょう。
つらい思いを共有できるだけでなく、何かよい解決策を見つけられる可能性もあります。
「もう限界かも」と思ったら、精神科の医師や精神保健福祉士センターなど、専門家がいる機関に相談してください。
精神保健福祉センターでは、家族会の入会方法などの情報も提示してもらえます。
対応例②「職場」にうつ病の人がいる場合
励ましの言葉をかけると余計にストレスがかかるため、普段通り接することが大切です。
仕事で時間がかかっても急かさずに、ゆっくり待ちましょう。
イライラをぶつけられたときは…
こちらも感情的にならず、しばらく時間をおいてください。
「うつ病が原因でイライラしている」と理解して、相手が落ち着いてから関わるとよいでしょう。
心が疲れてしまったら…
一人で抱え込まずに、上司や会社の産業医に相談してください。
業務内容を変更するなど、会社全体でうつ病の人が働きやすい環境に整えることが必要です。
【体験談】サポートに疲れたときは、こうやって乗り越えました
妹がうつ病患者です。
私なりの対策は、自分自身が心も体も健康でいるということです。運動や食事、体重の管理に始まり、メイクの研究やアンチエイジングなど、スマホやPCで色々調べている時間で自分自身のモチベーションが上がり、すると自分に自信と余裕ができます。
そうしていると、妹が負の感情になった時に、自分自身も巻き込まれなくなるので、落ち着いて妹の話や行動を受け入れるようになれます。
もちろん毎回上手くいかない時もあるので、その時は自分の大好きな映画をみたり、母親に話を聞いてもらったり、あとは色んな人と会話します。当人以外の人と他愛のない会話をするのは、特に大事だと思っています。(40代女性)
プロの方に相談しました。
幸い、自分が働いている会社に電話でのカウンセリングサービスがあり、話をじっくりと聞いてもらえるので、よく愚痴を聞いてもらいました。(40代女性)
別居中の母がうつ病です。母からストレスをぶつけられてしんどい時や、話をしても埒があかないときは、自分にも疲れが溜まって余裕がない時だと思っています。
一定期間相談に乗るのをやめて距離を置き、好きなことをしてリフレッシュするといいですよ。(20代女性)
「話し相手がいない」と自暴自棄になってしまいます。
何とか同じ悩みを共有する人を見つけ出したほうがいいです。
それにより、少しずつイライラが解消されるようになりました。あとは、冷静になることも大切です。(30代男性)
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2020-11-19
「すぐにカッとなってコントロールできない…」
「怒りを抑えられないおかげで、周囲の人にも迷惑をかけてしまう…」
そんな悩みを、お医者さんに聞いてみました。
怒りを抑える方法や病気と障害の可能性についても紹介します。
怒りがコントロールできないのは病気?
「怒りをコントロールできない」というのは、誰にでも起こりうることなので、必ずしも病気というわけではありません。
人間関係の悩み・長時間労働・育児・介護・睡眠不足など、心身ともに疲労やストレスが溜まっているときは、イライラや怒りも強くなりやすいです。
ただし
躁状態(気分が高ぶる)とうつ状態(気分が落ち込む)が交互に起こる
生理前など女性ホルモンの波に合わせて怒りがコントロールできなくなる
などの場合は病気や障害の可能性があります。
我慢できない怒りを抑える方法
瞬間的な怒りを落ち着かせるために、6秒かけて深呼吸しましょう。
衝動的な怒りを抑えられる可能性があります。
鼻から吸って、口からゆっくり吐くという深呼吸を行った後、あなたの「怒りの理由」を冷静に分析してみましょう。
怒りが抑えられなくなる病気と障害の例
怒りが我慢できない際によくみられる病気や障害として
双極性障害
ADHD(注意欠如・多動症)
PMDD(月経前不快気分障害)
などがあります。
※ただし、上記3つのほかにも、転換性障害・解離性障害や境界性パーソナリティ障害など、他の病気や障害が原因となる場合もあります。
① 双極性障害
感情をつかさどる扁桃体の機能が異常を起こすため、怒りをコントロールするのが難しくなります。
なりやすい人
はっきりとした原因はわかっていませんが、遺伝が関係していると考えられています。
10代後半から30代前半など比較的若い人が発症しやすいです。
主な症状
躁状態
うつ状態
が交互または同時に起こります
躁状態
気分が良すぎる・ハイになる・興奮する・怒りっぽくなるという症状に、下の中から4つ以上(「怒りっぽい」のみの場合は5項目以上)の症状が加わり、1週間以上続きます
睡眠時間が少なくても平気である。
自分が偉くなり、なんでもできるように感じる。
普段よりしゃべる。
次々にアイディアが浮かぶ
注意がそれやすい。
活動的になり、じっとしていられない。
浪費・投資・性的無分別など、後に困ってしまう楽しいことに熱中する。
うつ状態
気分が落ち込む・今まで興味があったことが急に楽しくないという症状に、下の中から3つ以上の症状が加わり、2週間以上続きます。
食欲や体重が減った、もしくは増えた。(増減の目安は、1ヵ月のうちに体重の5% 以上)
眠れなかったり、眠りすぎたりする。
行動が遅くなったり、焦りを感じたりする。
疲れやすい。
自分を責めたり、価値がない人間だと思ったりする。
集中力が下がった。
自分の体を傷つけたり、死にたいと思ったりする。
自分でできる対処法としては…
ストレスがきっかけとなり、うつ状態や躁状態に陥る場合があります。
睡眠をしっかりとり、規則正しい生活を心がけましょう。
ストレスを上手に発散するなどの工夫をしましょう。
② ADHD(注意欠如・多動症)
前頭葉の機能が低下し、ADHDの二次障害として怒りっぽくなると考えられています。
なりやすい人
はっきりとした原因はわかっていませんが、脳機能不全が関係していると考えられています。
遺伝・胎児期の環境(妊婦のお酒やたばこ)・幼児期の環境化学物質・栄養状態・社会的ストレスが関係しているという一説もあります。
主な症状
集中力が低下する。
課題をやり遂げられないなど、遂行能力が低い。
忍耐力がない。
関係を維持できない。
落ち着きがない。
気分の変動がある。
自分でできる対処法としては…
苦手な場面を認識し、あらかじめ対処法を考えおきましょう。
物事がスムーズに進むよう事前準備しておくことをおすすめします。
③ PMDD(月経前不快気分障害)
エストロゲン(女性ホルモン)が低下すると、精神の安定や睡眠に関与する脳内の神経伝達物質のセロトニンが一時的に減少し、怒りっぽくなると考えられています。
なりやすい人
生理前だけではなく、普段からストレスが溜まっているとPMDDになりやすいです。
また、セロトニンの変化に影響を受けやすいことから、冬にかけて調子が悪くなる冬季うつとの併存が多いことがわかっています。
雨や曇りなど天気が悪い日に体調を崩しやすい人も注意が必要です。
主な症状
感情が不安定である。
激しくいらだち、怒りっぽい。
激しく気分が落ち込む。絶望感がある。自己批判的思考になる。
激しい不安や緊張がある。
仕事・学校・趣味など外部への興味が減る。
集中力が低下する。
倦怠感がある。疲れやすい。気力がない。
食欲が変化する。過食になったり、特定の食物に対して渇望したりする。
眠れなかったり、眠りすぎたりする。
圧倒される、制御不能という感じがする。
乳房の圧痛や腫れ、関節痛や筋肉痛、体重増加などの身体症状がある。
生理が始まる約1週前に5つ以上の症状が現れます。
生理初日から数日以内に良くなり始め、生理が終わる週には症状が最小限になるか、なくなります。
自分でできる対処法としては…
自分の病状を把握するために、日記をつけましょう。
リラックスする時間を作り、心地良いと感じるセルフケアを行ってください。
病院に行くべき?
自分だけでは怒りを抑えることができないという場合は、病院に行きましょう。
感情面の起伏が激しくなってしまい、仕事や生活、人間関係に影響が出てしまうというケースは、一度病院に相談してみましょう。
受診するのは何科?
精神科や心療内科を受診しましょう。
PMDDが疑われる場合は、婦人科か産婦人科に相談しましょう。
心療内科を探す
婦人科を探す
▼参考
厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス 双極性障害(躁うつ病)
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_bipolar.html
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 双極性障害(躁うつ病)とうつ病の前頭葉体積の違いが明らかにーMRIにより診断の判別が可能となることに期待ー
https://www.amed.go.jp/news/release_20171130-01.html
日本うつ病学会 双極性障害委員会 双極性障害(躁うつ病)とつきあうために
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/gakkai/shiryo/data/bd_kaisetsu_ver9-20180730.pdf
うつ病症状の捉え方 日本医学会
http://jams.med.or.jp/symposium/full/129045.pdf
厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス総合サイト こころの健康や病気、支援やサービスに関するウェブサイト
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_depressive.html
MSDマニュアル家庭版 双極性障害
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/10-心の健康問題/気分障害/双極性障害
https://www.ncnp.go.jp/nimh/pdf/H29_dd_3.pdf
MSDマニュアル家庭版 注意欠如-多動症-adhd
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/23-小児の健康上の問題/学習障害と発達障害/注意欠如-多動症-adhd
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2022-12-27
「うつ病がなかなか治らない…」
「このまま一生治らなかったらどうしよう…」
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病や適応障害の症状が長引く理由を解説します。
うつ病や適応障害が治らず焦りを感じている方は必見です。
※動画による解説は記事末尾から
うつ病・適応障害が治りにくい4つの原因
うつ病・適応障害がなかなか治らない場合
生活習慣の乱れ
環境がよくない
考え方のクセ
躁うつ病(双極性障害)を発症している
などの原因が考えられます。
原因① 生活習慣の乱れ
昼夜逆転した生活
過度な飲酒
ほとんど家から出ない
上記に当てはまる場合は、うつ病が治りにくくなる可能性があります。
「不規則な生活リズム」「お酒の飲みすぎ」「外出せずほとんど体を動かさない」などの習慣が続くと、心身の調子が悪くなり、うつ病・適応障害の改善の遅れを招きます。
【対処法】一定の生活リズムを習慣化しよう
うつ病や適応障害を改善するためには、「どういう行動習慣を積み重ねていくか」ということが重要です。
睡眠や食事の時間を一定にする
お酒を控える
日中は外出して体を動かす
上記を習慣化して、治療にとってプラスになる行動を積み重ねていきましょう。
生活習慣を整えることで、心身の調子が整いやすくなります。
また、その行動の積み重ねが脳への刺激になり、うつ病や適応障害の改善につながると考えられます。
原因② 環境がよくない
職場に相性のよくない上司がいる
家に居場所がない
子育て・介護などでストレスを感じている
上記のように、職場や家庭の環境がよくない人は、うつ病や適応障害が治りにくくなることがあります。
うつ病・適応障害の症状は、日々の行動だけでなく、環境からも大きな影響を受けます。ストレスの多い環境で過ごす時間が積み重なると、症状の改善が遅れる原因となります。
【対処法】「転職・異動」「支援サービスの利用」を検討しよう
環境がよくないと感じる場合、
転職・異動の相談をする
家族と話し合いをする
自治体のサポート窓口を利用する
といった方法で、環境を変えることが選択肢の一つとなります。
環境の変化には良い面も悪い面もあるため、一概に「環境を変えるべき」というわけではありません。
ただし、「どうしても今の環境と相性が悪い」と感じる場合は、選択肢の一つとして考えてみるといいでしょう。
職場の環境が合わないと感じる場合は、「転職を検討する」「上司や人事部に異動の相談をする」などの方法もあります。
家庭内でストレスを感じている場合は、まずは家族と話し合うことが必要なケースもあります。
子育てや介護などでお悩みの場合は、自治体のサポート窓口を活用してみるのもいいでしょう。
子育てや介護に関するお悩みは、お住まいの自治体の子育て支援センターや、地域包括支援センター※などの機関で相談可能です。
※地域包括支援センターとは
主に自治体が設置する高齢者の健康や生活をサポートする施設。
▼参考
地域包括ケアシステム(厚生労働省)
原因③ 考え方や性格のクセ(完璧主義・人と比べる)
自分を責めてしまう
完璧主義
他人と自分を比べる
上記のような考え方・性格のクセがある人は、うつ病や適応障害の治療が遅れる可能性があります。
「考える」ということも一種の行動です。自責や他人との比較など、自分にダメージを与える思考を繰り返すことも、病気の改善を妨げる行動を積み重ねる行動になります。
【対処法】「前向きになれる考え方」を練習しよう
自分にダメージを与える考え方のクセがある人は、「自分も他人も責めない」「前向きになれることを考える」といったことを意識するといいでしょう。
ただし、考え方が根強いクセになっている場合、すぐには変えにくいこともありますよね。
その場合は、
出てきた考えを真に受けすぎず、なるべく受け流す
否定のクセを薄めて、成功体験を徐々に積み重ねる
この2つを心がけてみてください。これらの思考を積み重ねていくことが、結果として、否定的な考えが出てくる頻度を減らすことに繋がります。
原因④ 躁うつ病(双極性障害)を発症している
抗うつ薬などによる治療を続けていて、生活習慣・環境・考え方などの見直しを行っているにもかかわらず、症状の改善が見られない場合は、躁うつ病(双極性障害)を発症している可能性があります。
躁うつ病ってどんな状態?
躁うつ病とは、気分が高揚して活動的になる「躁状態」と、気分が沈んで意欲がなくなる「うつ状態」を交互に繰り返す状態です。
人によっては、躁状態の症状が軽くて期間が短く、うつ状態が長く続く「双極性障害Ⅱ型」のケースもあり、この場合は一般的なうつ病との区別がつきにくいです。
うつ病と躁うつ病は使う薬が違うので、この見極めができていないと、病気が長引く恐れがあります。
躁うつ病かを判断する4つのヒント
過去を振り返って、躁気味な時期があった
家族に躁うつ病の人がいる
周期的にうつ病を繰り返している
抗うつ薬を使うと躁状態になる傾向がある
躁うつ病かどうかを判断するヒントとして、上記の4つが挙げられます。
「ある時期だけ妙に活動的だった」「ある時期だけ妙にお金を使っていた」など、過去に躁気味な期間があった場合は、躁うつ病である可能性が出てきます。
自分ではわからなくても、『ちょっといつもと違う』『いつもより妙に元気だね』などと、周りの人から言われる時期があったかどうか、ということも参考になります。
また、家族に躁うつ病の人がいると、発症の可能性が少し高くなると言われています。
その他、周期的にうつ病の症状を繰り返す場合や、抗うつ薬を使ったときに躁状態になる傾向がある場合も、躁うつ病を発症している恐れがあると考えられます。
躁うつ病を疑う場合は主治医に相談を
躁うつ病の発症を疑う場合は、早めに主治医に相談しましょう。
うつ病と躁うつ病では、治療に使う薬が違います。そのため、うつ病か躁うつ病かを的確に判断することは、症状を早く改善するために、非常に重要であると考えられています。
▼動画による解説はこちら
※本記事は、チャンネル運営者の許可を得て作成しています。
≪チャンネル紹介≫
こころ診療所チャンネル【精神科医が心療内科・精神科を解説】
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病・適応障害・パニック障害など、こころの不調やその対策について、わかりやすく解説。
こころの不調を抱える方が、少しでも症状を改善するヒントとなるような情報の提供を目指しています。