小学生~中学生の男の子に多い「オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)」。
「放置しても大丈夫?」という疑問ついて、お医者さんに聞きました。
ストレッチや湿布の使い方など、ケア方法についても解説します。
監修者
フェリシティークリニック名古屋
医学博士
河合 隆志先生
経歴
’97慶應義塾大学理工学部卒業
’99同大学院修士課程修了
’06東京医科大学医学部卒業
’06三楽病院臨床研修医
’08三楽病院整形外科他勤務
’12東京医科歯科大学大学院博士課程修了
’13愛知医科大学学際的痛みセンター勤務
’15米国ペインマネジメント&アンチエイジングセンター他研修
’16フェリシティークリニック名古屋 開設
オスグッド病とは
オスグッド病は、膝の下(膝下の少し盛り上がった骨の部分)が炎症を起こしてしまう病気です。
こんな子どもがなりやすい
- スポーツに取り組んでいる子ども
- ジャンプ、ボールを蹴るような動作が多いスポーツをしている
膝に負担がかかりやすい、サッカー、バレーボール、バスケットボール、陸上競技などでよく発症します。
特に、小学生高学年〜中学生ごろの男子に多く発症します。(女子も発症します。)
【これは成長痛?オスグッド病?】
オスグッド病は、常時ズキズキとした痛みがあります。
一方、成長痛は、夕方~夜にかけて痛みが強く出ます。保護者の方が、さすったりすると楽になります。
成長痛は、主に心因性の痛みとされ、まだうまく会話ができない子どもによく見られます。特に環境の変化やストレスがあるときに痛みが強くなるようです。
オスグッド病の初期症状
といった症状があらわれます。
痛みがひどくなると、「痛みで歩けない」「スポーツができない」状態となることもあります。
子どもが大丈夫って言っているから「放置してもOK」ではない!
子どもに任せて放置はよくありません。
子どもに任せてしまうと、無理してスポーツを続けたり、体を動かしてしまうことが多いためです。
オスグッド病は、まず安静が必要です。
部活やスポーツは、一旦お休みをさせましょう。通常、炎症があるときに無理に動かさなければ、自然治癒していきます。
悪化すると…どうなる?
オスグッド病は、悪化すると炎症が周りの組織に広がります。最悪、手術が必要になる場合もあります。
周辺組織にまで炎症が広がり、長期間痛みが続くようになります。また、痛みの度合いも強くなってきます。
歩行困難になったり、膝を動かしていなくても痛みを感じるようになります。組織の損傷が強い場合は、手術が必要になることもあり、通常より治療に長期かかります。
早く治すためには…?
まずは安静にしてください。
スポーツはお休みをとりましょう。無理すれば、結果、治療が長引きます。痛みや腫れが落ち着くまでは、なるべく負荷をかけないようにしましょう。
病院の受診目安
- 痛みを訴えている
- 歩き方がおかしい
- 膝の下が膨らんでいる、腫れている
- スポーツに取り組んでいて、早く痛みを取りたい
などのケースは、病院を受診しましょう。
特に、スポーツに本格的に取り組んでいる子どもこそ、早期受診をして医師の診察・治療・指導を受けるようにしましょう。
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ケア方法は?湿布・ストレッチなど
オスグッド病の基本的なケア方法を紹介します。NG例もあるので注意してください。
※こちらは一般的なケア方法です。担当した医師の指示に従いましょう。
湿布の使い方
急性期(腫れや痛みが強い時期)には冷湿布を用いて炎症を抑え、慢性期になったら温湿布を用いて、血流を良くします。
切り替え時期は、医師の指示に従いましょう。
ストレッチのしかた
- 両足を伸ばして座る
- 片方のヒザをゆっくり曲げる
- 腕を背中の方について支えながら、少しずつ体を後ろに倒す
- 足を変えて反対も行う
オスグッド病の再発予防には、太もものほぐしが必要です。
スポーツを始める前も、太ももを十分にほぐしてから始めましょう。
【これはNG!】
痛みや腫れが強いときに、温めるのは避けてください。その時期は、入浴はシャワーで済ませましょう。
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2022-01-12
小学生~中学生の男の子に多い「オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)」。
病院に行く目安と、治療方法について聞きました。
「どれくらいで治るの?」
「運動は休まなきゃダメ?」
といったよくある質問にも答えます。
オスグッド病の症状
膝下にズキズキとした痛みが生じます。
膝下の少し盛り上がった骨の部分が炎症を起こしてしまう病気です。
目視できる場合は、膝下あたりが腫れてきます。
こんな子どもが発症しやすい!
ジャンプする、ボールを蹴るというような動作が多い子どもに発症します。
小学生後半〜中学生ごろの成長期にかかる頃の男子に多いです。
知っておこう!「オスグッド病」と「成長痛」の違い
成長痛
オスグッド病
痛み方
ズキズキ、じんじん
ズキズキ
痛むタイミング
夕方~夜が痛むことが多い
発症すると常に痛む
動かすと痛む
痛い場所
脚の一部
※その時によって痛い場所が変わることもある
膝のお皿の下の骨の部分(膝の下)
発症しやすい子
環境変化があるとき
幼稚園児など
成長期の子ども
特にスポーツをしている子どもや活発な子ども(特に男子)
オスグッド病は、レントゲン所見も含め骨の炎症痛(腱付着部炎)と診断されます。小学生〜中学生くらいまでの男子に多いのも特徴です。
一方、成長痛は検査をしても悪い部分が見つかりません。
不安感や疲れなども入り混じって発症するとされています。そのため、小さな子ども(特に上手に言葉で伝えられない幼稚園児)に多いとされています。男女ともに発症します。
こんな症状は病院へ!
痛くて歩けない
膝下に腫れがある
スポーツに支障がある痛みがある
スポーツに取り組んでいて、早く治したい
という場合は、整形外科を受診してください。
特に、スポーツに取り組んでいる子どもは、早期受診してお医者さんの治療と指導を受けることをおすすめします。
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オスグッド病の治療方法
痛みや炎症が引くまで安静にする「保存療法」がとられます。
痛みが強い時期は、安静にするのが大切です。
オスグッド病は炎症のため、冷やしたり、患部を休めたりする必要があります。腫れが引くまでは部活やスポーツをお休みします。
ストレッチの方法
炎症・痛みが落ち着いてきたら、ストレッチを始めてください。
※痛みが強いうちは安静に。ストレッチは控えましょう。
前太もものストレッチ
両足を伸ばして座る
片方のヒザをゆっくり曲げる
腕を背中の方について支えながら、少しずつ体を後ろに倒す
足を変えて反対も行う
オスグッド病の再発予防のためにも、ストレッチを続けましょう。
オスグッド病の治療期間
オスグッド病は、痛みが取れるまで数週間〜1ヶ月程度安静が必要です。
その期間に無理をすれば症状が長引きます。症状の度合いによっても治療期間には差があります。
無理を続けると、「手術」が必要なケースも
痛みがあるときに安静にしないで、無理やり膝を使っていると、骨や周辺組織にダメージが及び、手術が必要になってしまう場合もあります。
よくある質問「放置しても大丈夫?
オスグッド病は、成長期が終わったら自然に治ると聞きましたが…放っておいても大丈夫でしょうか?
炎症があるときに無理に動かしたり、スポーツをさせたりしなければ、通常は自然に良くなっていきます。
ただし、子どもに任せてそのまま放置するのはやめましょう。
子どもに任せて放置すると、痛いままスポーツを続けることがよくあります。早く治したい場合や、子どもだけでは安静にするのが難しい場合は、整形外科を受診してください。
よくある質問「運動は休むべき?いつ復帰できる?」
運動が大好きで、できることなら休ませたくないのが本音です…。
痛み、炎症がある時は無理をさせないでください。
無理がたたって、万が一手術が必要となれば、さらに長い期間スポーツができなくなってしまいます。
数日から、1週間程度はまず様子を見ながら、休ませましょう。症状がなくなっても、また、激しく動かすと痛むこともあります。その場合はストレッチをしてから始める、アイシングを適切に行う、補助バンドを膝につけるなどを取り入れましょう。
症状の度合いも含め、医師とよく相談しながら進めると良いでしょう。
▼参考
公益社団法人日本整形外科学会 オスグッド病
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2022-01-12
一般的に、小中学生の男の子に多いと言われている「オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)」。
「女の子でも発症するの?」という疑問に、お医者さんが答えます。
女の子でもオスグッド病になるの?
オスグッド病は男の子に多いと聞きましたが…女の子でも発症することがあるのでしょうか?
オスグッド病は、男子に多い病気ですが、女子にも発症します。
ジャンプが多い競技やボールを蹴るような競技をしている子どもや、活発な子どもに多く発症します。しかし、スポーツをしていない子どもにも発症することもあり、一括りにはできません。
オスグッド病になりやすいスポーツ
ジャンプしたり、ボールを蹴るという動作が多いと発症しやすいといわれています。
バスケットボール
バレー
テニス
サッカー
陸上競技
など
オスグッド病の症状の特徴
炎症を発症してしまうと、何もしていなくても常に痛いです。ズキズキとした痛みです。
動かすと痛みが増すので、痛みが強いと歩くのもつらくなります。
痛む場所は膝下(膝下の少し盛り上がった骨の部分)です。
膝下の骨の部分が炎症を起こしているので、目視できるほど腫れがある場合は、膝の少し下のあたりがぽっこり膨らみます。
これは…「オスグッド病?成長痛?」
成長痛の痛みは、検査をしても悪い部分が見つかりません。気持ちや不安感、疲れなども入り混じって発症するとされています。発症は、小さな子どもや上手に話せない幼稚園児くらいの子どもに多いとされています。
また、成長痛は、夕方や夜に痛みが強くなる子どもが多いです。一日の疲れや、不安が現れるとされています。保護者の方が、痛がる部分をさすったり、撫でたりすると楽になります。一方、放置しておくと痛みが強くなる子どももいます。
一方、オスグッド病は、レントゲン検査ですぐにわかります。骨の炎症痛(腱付着部炎)と診断されます。
早く復帰したい!治すには?
まずは安静にしましょう。
痛みが強い時期に無理に動かすと負荷がかかり、治るまで時間がかかってしまいます。
オスグッド病になっても一定期間安静にしておけば、痛みや炎症は治まります。
ただし、治療期間は女の子の方が比較的長くかかることがあります。状態によっては、数週間〜1ヶ月程度の安静が必要です。しっかり炎症が治まってから、スポーツを再開しましょう。
こんなときは、病院で治療しよう!
歩くと痛い
スポーツに支障が出ている
痛みに加えて、膝下部分の盛り上がりがある
痛みがひいてスポーツを始めても、激しく動かすと痛みが戻ってきます。この状態は、平均3ヶ月〜6ヶ月程度は続くことがあります。
その際は急に運動を行わずに、ストレッチ、補助ベルトの装着などしてください。医師の指示に沿って、運動を始めるようにしましょう。
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▼ 参考
公益社団法人日本整形外科学会 オスグッド病