家族にだけキレるのは、病気のせい…?
大人で「家族にだけキレる」のは病気によるものかどうか、お医者さんに聞いてみました。
うつ病や双極性障害が疑われるケースもあるので、症状に心当たりがないかチェックしましょう。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
大人で「家族にだけキレる」のは病気なの?
「家族にだけキレる」からといって、一概に病気が原因とは言えません。
何でも話せる家族に甘えているだけのことも多いです。
もともとの性格や一時的な疲れ、体の痛みなどが影響している可能性もあります。
「家族にだけキレる」場合によくあるケース
- 口うるさい親と同居している
- 家事・育児の負担を一人で抱えている
- 自分の時間が作れていない
- 仕事でストレスを抱えている(家で発散している)
心の病気が疑われるケース
- 家族は協力的なのに、異常な怒りを覚える
- 抑えられない怒りが湧き上がる(怒りがコントロールできない)
- 子ども・赤ちゃんに対しても怒りを覚える
- 自分自身を責めることが多い
上記に該当する場合は、「うつ病」「双極性障害」「PMS・PMDD」などの病気により、家族にキレてしまっている可能性も考えられます。
病気① うつ病
うつ病は気分障害の一つです。
気分の落ち込み・やる気が出ないという精神症状や、食欲不振・不眠などの身体症状があらわれます。
気分が落ち込んでいると、些細なストレスでキレてしまったり、家にいる時間が長くなって家族との衝突が増えたりします。
うつ病の症状
- 表情が少ない
- 自分を責めている
- 物事を全て悪く捉える
- 涙もろい
- 反応が遅い
- 食欲・性欲がなくなる
- だるい・疲れている状態がずっと続く
発症の原因
うつ病は、「脳機能の低下」「脳の働きに不調がある」「強いストレスがある」などがきっかけで、発症すると考えられています。
ただし、はっきりとした原因はわかっていません。
うつ病になりやすい人の特徴
- 出産後・妊娠中の女性
- 何事も真面目に取り組む
- ストレス耐性が少ない
- 自分のことを後回しにして仕事や家事に取り組む
症状に心当たりがあるときは…
うつ病が疑われる場合は、まず休息をとりましょう。
休んでも疲れが取れない場合は、必ず「精神科」または「心療内科」を受診してください。
病院では、薬物療法や精神療法などの治療が受けられます。
精神科を探す
心療内科を探す
合わせて読みたい
2022-12-16
うつ病とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
うつ病の主な症状も紹介するので、「うつ病かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしましょう。
うつ病って、どんな病気?
うつ病とは、心身のストレスによって、脳がうまく働かなくなっている状態です。
「一日中気分が落ち込む」「何をしても楽しめない」といった精神症状とともに、不眠・動悸・倦怠感などの体の不調があらわれます。
うつ病の「身体面の症状」と「心の症状」
身体面にあらわれる症状
食欲が低下する(または急に食欲が増える)
食べ物を美味しいと感じない
体重が減る(または増える)
寝付きが悪い
眠りが浅い・夜中に目が覚めてしまう
眠り過ぎてしまう
体がだるい・疲れがとれない
頭が重い感じがする
疲れやすい
首・肩・腰が凝りやすい
動悸がする
胃やお腹に不快感がある
めまいがする
口が渇く感じがある
便秘が続く
下痢が続く
月経不順がある
性欲がなくなる
勃起しにくくなる
精神面にあらわれる症状
気分が落ち込む日が続く
何に対しても悲観的である
何に対しても興味を持てない
喜ぶ・楽しむことができなくなる
今まで楽しいと思っていたことが、楽しめなくなる
やる気が出ない
口数が減る
見た目や服装などを気にしなくなる
集中できなくなる・ミスが増える
落ち着きがなくなる
イライラしやすい
不安感がある
涙もろくなる
自分を責めてしまう
お酒を飲む量が増える
うつ病の原因
うつ病が発症する原因ははっきりと分かっていません。
近年の研究では、過度のストレスで脳の一部の「神経細胞」の形状が変化し、その結果、考え方や感情に歪みが生じるのではないかと指摘されています。
発症しやすいのはどんな人?
うつ病は女性に多く見られます。これは妊娠、出産、更年期といったライフステージで、多くのストレスを抱えやすいからだと考えられています。
また、親族の中にうつ病を発症した人がいると、発症リスクが上昇する傾向があります。
その他、
真面目な人
几帳面な人
努力家で目標が高い人
何事も全力投球で手を抜かない人
自責の念が強い完璧主義な人
気遣いができる人
は発症リスクが高い傾向があります。
うつ病のキッカケとなる出来事
精神的・身体的ストレス
悲しい出来事、つらい体験
人生の転機(引っ越し、就職、進学、結婚等)
病気の治療薬の副作用 など
うつ病かも…と思ったら
症状に心当たりがあるときは、一度病院で相談するようにしましょう。
うつ病を放置すると、自分を責める気持ちが強くなり、自殺願望を抱いてしまうケースもあります
病院は何科?
精神的な症状が強い → 精神科
体の不調を伴う → 心療内科
※両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
精神科・心療内科は、患者さんが気持ちを楽に保てるようにサポートしてくれる診療科です。
心身の不調に詳しい医師・スタッフが対応してくれるので、リラックスして受診してください。
精神科・心療内科の受診に気が進まない方は、まずは「内科」を受診して体に不調がないかを確認してもらうのもよいでしょう。
精神科を探す
心療内科を探す
内科を探す
病院で「うつ病」と診断される基準は?
病院で「うつ病」の診断を行う際は、以下の基準を用いることが多いです。
▼以下の症状のうち、少なくとも1つある。
抑うつ気分
興味または喜びの喪失
▼以下の症状をあわせて、合計で5つ以上該当する。
食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加
不眠あるいは睡眠過多
精神運動性の焦燥または制止(じっとしていられない・話し方や動作が遅い等)
疲労感または気力の減退
無価値感または過剰な罪責感(自分は価値のない人間だと感じる・自分の言動に対して過度に罪悪感を覚える等)
思考力や集中力の減退または決断困難
死についての反芻思考・自殺念慮・自殺企図
上記の症状がほとんど1日中、ほぼ毎日ある状態が2週間以上続いていて、他の病気や薬物、アルコールなどの影響では説明できない場合に、「うつ病」と診断されます。
うつ病の治療法
医療機関では、
薬物療法
カウンセリング
認知行動療法※
生活指導
などによって、症状の改善を図ります。
薬物療法では、気分の落ち込みをよくする薬や、睡眠薬などを使用します。
※認知行動療法…医師やカウンセラーと面談する中で、自分の考え方や物事の捉え方の癖に気付き、修正していく治療法。
うつ病が治るまでの期間は?
症状が治まるまでの治療期間は、「発症から受診までの期間と同じくらい」と考えられています。
精神科を探す
心療内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
合わせて読みたい
2022-12-27
「うつ病がなかなか治らない…」
「このまま一生治らなかったらどうしよう…」
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病や適応障害の症状が長引く理由を解説します。
うつ病や適応障害が治らず焦りを感じている方は必見です。
※動画による解説は記事末尾から
うつ病・適応障害が治りにくい4つの原因
うつ病・適応障害がなかなか治らない場合
生活習慣の乱れ
環境がよくない
考え方のクセ
躁うつ病(双極性障害)を発症している
などの原因が考えられます。
原因① 生活習慣の乱れ
昼夜逆転した生活
過度な飲酒
ほとんど家から出ない
上記に当てはまる場合は、うつ病が治りにくくなる可能性があります。
「不規則な生活リズム」「お酒の飲みすぎ」「外出せずほとんど体を動かさない」などの習慣が続くと、心身の調子が悪くなり、うつ病・適応障害の改善の遅れを招きます。
【対処法】一定の生活リズムを習慣化しよう
うつ病や適応障害を改善するためには、「どういう行動習慣を積み重ねていくか」ということが重要です。
睡眠や食事の時間を一定にする
お酒を控える
日中は外出して体を動かす
上記を習慣化して、治療にとってプラスになる行動を積み重ねていきましょう。
生活習慣を整えることで、心身の調子が整いやすくなります。
また、その行動の積み重ねが脳への刺激になり、うつ病や適応障害の改善につながると考えられます。
原因② 環境がよくない
職場に相性のよくない上司がいる
家に居場所がない
子育て・介護などでストレスを感じている
上記のように、職場や家庭の環境がよくない人は、うつ病や適応障害が治りにくくなることがあります。
うつ病・適応障害の症状は、日々の行動だけでなく、環境からも大きな影響を受けます。ストレスの多い環境で過ごす時間が積み重なると、症状の改善が遅れる原因となります。
【対処法】「転職・異動」「支援サービスの利用」を検討しよう
環境がよくないと感じる場合、
転職・異動の相談をする
家族と話し合いをする
自治体のサポート窓口を利用する
といった方法で、環境を変えることが選択肢の一つとなります。
環境の変化には良い面も悪い面もあるため、一概に「環境を変えるべき」というわけではありません。
ただし、「どうしても今の環境と相性が悪い」と感じる場合は、選択肢の一つとして考えてみるといいでしょう。
職場の環境が合わないと感じる場合は、「転職を検討する」「上司や人事部に異動の相談をする」などの方法もあります。
家庭内でストレスを感じている場合は、まずは家族と話し合うことが必要なケースもあります。
子育てや介護などでお悩みの場合は、自治体のサポート窓口を活用してみるのもいいでしょう。
子育てや介護に関するお悩みは、お住まいの自治体の子育て支援センターや、地域包括支援センター※などの機関で相談可能です。
※地域包括支援センターとは
主に自治体が設置する高齢者の健康や生活をサポートする施設。
▼参考
地域包括ケアシステム(厚生労働省)
原因③ 考え方や性格のクセ(完璧主義・人と比べる)
自分を責めてしまう
完璧主義
他人と自分を比べる
上記のような考え方・性格のクセがある人は、うつ病や適応障害の治療が遅れる可能性があります。
「考える」ということも一種の行動です。自責や他人との比較など、自分にダメージを与える思考を繰り返すことも、病気の改善を妨げる行動を積み重ねる行動になります。
【対処法】「前向きになれる考え方」を練習しよう
自分にダメージを与える考え方のクセがある人は、「自分も他人も責めない」「前向きになれることを考える」といったことを意識するといいでしょう。
ただし、考え方が根強いクセになっている場合、すぐには変えにくいこともありますよね。
その場合は、
出てきた考えを真に受けすぎず、なるべく受け流す
否定のクセを薄めて、成功体験を徐々に積み重ねる
この2つを心がけてみてください。これらの思考を積み重ねていくことが、結果として、否定的な考えが出てくる頻度を減らすことに繋がります。
原因④ 躁うつ病(双極性障害)を発症している
抗うつ薬などによる治療を続けていて、生活習慣・環境・考え方などの見直しを行っているにもかかわらず、症状の改善が見られない場合は、躁うつ病(双極性障害)を発症している可能性があります。
躁うつ病ってどんな状態?
躁うつ病とは、気分が高揚して活動的になる「躁状態」と、気分が沈んで意欲がなくなる「うつ状態」を交互に繰り返す状態です。
人によっては、躁状態の症状が軽くて期間が短く、うつ状態が長く続く「双極性障害Ⅱ型」のケースもあり、この場合は一般的なうつ病との区別がつきにくいです。
うつ病と躁うつ病は使う薬が違うので、この見極めができていないと、病気が長引く恐れがあります。
躁うつ病かを判断する4つのヒント
過去を振り返って、躁気味な時期があった
家族に躁うつ病の人がいる
周期的にうつ病を繰り返している
抗うつ薬を使うと躁状態になる傾向がある
躁うつ病かどうかを判断するヒントとして、上記の4つが挙げられます。
「ある時期だけ妙に活動的だった」「ある時期だけ妙にお金を使っていた」など、過去に躁気味な期間があった場合は、躁うつ病である可能性が出てきます。
自分ではわからなくても、『ちょっといつもと違う』『いつもより妙に元気だね』などと、周りの人から言われる時期があったかどうか、ということも参考になります。
また、家族に躁うつ病の人がいると、発症の可能性が少し高くなると言われています。
その他、周期的にうつ病の症状を繰り返す場合や、抗うつ薬を使ったときに躁状態になる傾向がある場合も、躁うつ病を発症している恐れがあると考えられます。
躁うつ病を疑う場合は主治医に相談を
躁うつ病の発症を疑う場合は、早めに主治医に相談しましょう。
うつ病と躁うつ病では、治療に使う薬が違います。そのため、うつ病か躁うつ病かを的確に判断することは、症状を早く改善するために、非常に重要であると考えられています。
▼動画による解説はこちら
※本記事は、チャンネル運営者の許可を得て作成しています。
≪チャンネル紹介≫
こころ診療所チャンネル【精神科医が心療内科・精神科を解説】
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病・適応障害・パニック障害など、こころの不調やその対策について、わかりやすく解説。
こころの不調を抱える方が、少しでも症状を改善するヒントとなるような情報の提供を目指しています。
病気② 双極性障害
双極性障害は、気分が落ち込むうつ状態と、気分が高まる躁(そう)状態を繰り返す病気です。
「家族に対しストレスがある」「家族と分かり合えない」といった原因で、キレてしまうことがあります。
双極性障害の症状
▼落ち込んでいる時(うつ状態)
- 憂鬱な気分
- 楽しいと感じることがない
- 倦怠感が取れない
- 表情が少ない
- 物事を全て悪く捉える
- 涙もろい
- 反応が遅い
- 食欲や性欲がなくなる
▼気分が上がっている時(躁状態)
- 自分を万能だと感じる
- アイデアや考えが溢れてきて止まらない
- おしゃべりが止まらない
- 買い物をしすぎたり、ギャンブルにはまったりする
発症の原因
ノルアドレナリンやセロトニンなどの、興奮や幸福を感じる脳の物質が機能していないことが原因と考えられています。
また、肥満傾向やストレス過多、妊娠・出産などにより、双極性障害を発症するリスクが高まるとされています。
ただし、詳しい原因は判明していません。
症状に心当たりがあるときは…
双極性障害が疑われるときは、「精神科」または「心療内科」を受診しましょう。
双極性障害になると、ギャンブルや買い物で借金をしたり、他者を傷つけたりして、社会生活に支障が出る恐れがあります。
病院では、薬物療法や心理療法などを用いて治療します。
精神科を探す
心療内科を探す
病気③ PMS・PMDD
PMSは、月経前3~10日の間に起きる心身の不調です。
「ひどく気分が落ち込む」「分別がつかなくなる」「些細なことで大騒ぎする」など、特に精神的な症状が強く出ている場合は、PMDDが疑われます。
家事や子育ての多くを担っていて、家族と一緒にいる時間が長い場合、不満がたまってキレてしまう可能性があります。
PMS・PMDDの症状
- 生理前になると性格が変わったようにイライラする
- 怒りで人を傷つけてしまう
発症の原因
PMS・PMDDは、ホルモンバランスの変化が影響していると言われています。
ただし、まだ分かっていないことも多いです。
「生活リズムが乱れている」「睡眠不足」「ストレスが多い」人は、ホルモンバランスが乱れやすいと考えられます。
PMS・PMDDになりやすい人の特徴
- 生理前の女性
- 生理痛が重い
- 生活が乱れている
- 睡眠不足
- ストレスが多い
- 短気な性格
症状に心当たりがあるときは…
PMSが疑われる場合は「婦人科」に相談しましょう。
精神的な症状が強く出ていて、PMDDが疑われる場合は「精神科」を受診してください。
どちらの場合も、放置することで症状が悪化して生活に支障が出る恐れがあります。早めに医師に相談してください。
婦人科を探す
精神科を探す
合わせて読みたい
2022-12-23
PMSってどんな症状が出るの?
つらいときはどうすればいい?
PMSの主な症状やセルフケア方法など、分かりやすく解説します。
病院へ行く目安も紹介するので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
PMSとは
PMS(Premenstrual Syndrome:月経前症候群)とは、月経の3~10日前から始まり、月経が始まると解消する心や体の不調のことです。
PMSが生じる原因は明らかにされていませんが、排卵後に起きる女性ホルモンの分泌量の変化や、ストレスなどが影響しているといわれています。
PMSは誰でもなるの?
日本では、月経のある女性のうち約7~8割が月経前に何らかの症状を抱えています。
また、100人中5人程度の人が「生活に支障が生じるほどつらいPMS」であるといわれています。
思春期の女性でPMSを示す割合が多い、という報告もあります。
PMSになりやすい人は?
真面目
几帳面
我慢しがち
上記に当てはまる人は、PMSになりやすいといわれています。
PMSの主な症状
頭痛
腹痛(下腹部痛)
腰痛
めまい・のぼせ
吐き気
乳房の張り感、痛み
食欲低下
倦怠感
イライラする
など
生理が始まると、「症状が軽くなる」「無くなる」という特徴があります
「PMS」と「PMDD」の違いは?
生理周期に伴う心と体の不調をまとめて、PMS(月経前症候群)と呼びます。
その中でも心の不調が強く出る場合は、PMDD(月経前不快気分障害)と診断されます。
PMSの対処法
1日3食、栄養バランスのとれた食事をとる
1日6~8時間程度の質のよい睡眠をとる
お腹を温める
ストレッチや軽い運動をする
PMSの症状には、上記の方法で対処するとよいでしょう。
対処法① 1日3食、栄養バランスのとれた食事をとる
PMSの症状は、ホルモンバランスの乱れにより悪化しやすくなります。
主食・主菜・副菜の揃った食事をとることで、栄養をバランスよく摂取でき、ホルモンバランスが整いやすくなります。
和定食のイメージで食事をとると、栄養バランスが整いやすいです。
食事を抜くと、体のリズムが乱れやすくなり、エネルギー不足になる可能性があるので、きちんと3食とるようにしましょう。
対処法② 1日6~8時間程度の質のよい睡眠をとる
ホルモンバランスを整えるためには、十分な睡眠時間を確保する必要があります。
毎日6~8時間程度、質のよい睡眠をとることを心がけましょう。
ただし、理想の睡眠時間には個人差があります。朝目覚めたときに疲れがとれていて、日中に眠気を感じない状態になるように心がけましょう。
「深い眠り」を得るためのポイント
朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる
昼寝は15時までに30分以内にする
夜は11時(遅くとも12時)には寝る
夕方以降は「カフェインを含む食品」を控える
夕食は就寝の2~3時間前までに済ませる
飲酒は、就寝の3~4時間前までにする
就寝の2~3時間前に入浴する
就寝前はできるだけパソコン・スマホを触らない
対処法③ お腹を温める
お腹を温めると腹痛の緩和につながります。お腹にカイロをあてて患部を温めるとよいでしょう。
温かい飲み物を飲んで、体の中から温めることもおすすめです。
対処法④ ストレッチや軽い運動をする
PMSによる頭痛には、肩や首回りの筋肉をほぐし、血流をよくすることがおすすめです。
ストレッチや軽い運動で、体をほぐしましょう。
ただし、体を動かしていて、ズキンズキンと血流に合わせて頭痛が起きたら、体を動かすのをやめて楽な姿勢で休みましょう。
病院に行く目安
体や精神面の不調によって「つらい」と感じているときは、医療機関の受診をおすすめします。
特に、
PMSのつらい症状が毎月起こる
日常生活や対人関係に支障が出ている
痛みや倦怠感が重く、仕事や学校を休むことがある
といった場合は、早めの受診をおすすめします。
PMSが悪化すると、脳機能のバランスを崩し、うつ病を発症するケースもあります。
心当たりのある方は、放置しないようにしましょう。
PMSの治療法
PMSで受診した場合、病院では飲み薬・低用量ピル・漢方薬などを用いて治療をします。
低用量ピルを使うと、生理前と後のホルモンの量の差を軽減できるため、PMSの症状がかなり楽になります。
ただし、妊娠を望んでいる場合には、低用量ピルが使用できないため、生活指導を中心とした治療になります。
婦人科を探す
顔を合わせると怒ってしまう…どうすればいい?
- 一人の時間を作る
- 休憩をとる
- 怒る前に10秒数える
どうしても怒りを抑えられないときは、上記の対処法を試してみましょう。
対処法① 一人の時間を作る
- 一人でいられる部屋・空間を用意する
- 外に出て一人になる時間を作る
上記の方法で、人に気を使わなくてよい時間を作りましょう。
怒りをぶつけてしまう家族と距離を取ることにより、イライラの緩和が期待できます。
対処法② 休憩をとる
無理をせず、体と心を休める時間が大切です。
体力が回復すると、怒りがおさまる場合があります。
対処法③ 怒る前に10秒数える
怒りを感じたら10秒数えるか、深呼吸をして落ち着きましょう。
短時間でも我慢すると、怒りが抑制されることがあります。
怒りをすぐに出さずにコントロールして、家族との関係性の悪化を防ぎましょう。
怒りが収まらないときは、一度病院で相談してみよう
- 自分では抑えられない行動が続く
- イライラが収まらない
- 家族に心配されている
上記のような場合は、一度医療機関で相談しましょう。
病院では、カウンセリング・心理療法・内服治療などを受けられます。
人に話すと気持ちの整理ができたり、なぜ怒りを抱いているのか分かったりします。
病院は何科?
「精神科」または「心療内科」で相談しましょう。
※両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
受診する際は、「家にいるときに怒りを感じる」「家族や特定の人にキレてしまう」旨を伝えましょう。
「どのように怒りがこみ上げてくるか」についても覚えておいて、医師に伝えるようにしてください。
精神科を探す
心療内科を探す
自分以外の「家族」にキレる人がいる場合は?
理不尽なことで怒っている場合は、話を聞いているだけでもつらいものです。
そんなときは無理をせず、相槌とアイコンタクトだけ入れて、怒りは受け流してください。
話の内容にもよりますが、自分に余裕があるときは、何に怒っているのか聞いて、いったん肯定してあげるとよいでしょう。
周囲の人も気分転換が大切
怒りを直接ぶつけられる人だけでなく、怒っている姿を目の当たりにしている家族も体を壊してしまう恐れがあります。
気分転換やリフレッシュを忘れないようにしてください。
「キレてしまう人」が通院している場合は、かかりつけ医に相談して、入院措置をとってもらうことも検討しましょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
合わせて読みたい
2020-11-19
「すぐにカッとなってコントロールできない…」
「怒りを抑えられないおかげで、周囲の人にも迷惑をかけてしまう…」
そんな悩みを、お医者さんに聞いてみました。
怒りを抑える方法や病気と障害の可能性についても紹介します。
怒りがコントロールできないのは病気?
「怒りをコントロールできない」というのは、誰にでも起こりうることなので、必ずしも病気というわけではありません。
人間関係の悩み・長時間労働・育児・介護・睡眠不足など、心身ともに疲労やストレスが溜まっているときは、イライラや怒りも強くなりやすいです。
ただし
躁状態(気分が高ぶる)とうつ状態(気分が落ち込む)が交互に起こる
生理前など女性ホルモンの波に合わせて怒りがコントロールできなくなる
などの場合は病気や障害の可能性があります。
我慢できない怒りを抑える方法
瞬間的な怒りを落ち着かせるために、6秒かけて深呼吸しましょう。
衝動的な怒りを抑えられる可能性があります。
鼻から吸って、口からゆっくり吐くという深呼吸を行った後、あなたの「怒りの理由」を冷静に分析してみましょう。
怒りが抑えられなくなる病気と障害の例
怒りが我慢できない際によくみられる病気や障害として
双極性障害
ADHD(注意欠如・多動症)
PMDD(月経前不快気分障害)
などがあります。
※ただし、上記3つのほかにも、転換性障害・解離性障害や境界性パーソナリティ障害など、他の病気や障害が原因となる場合もあります。
① 双極性障害
感情をつかさどる扁桃体の機能が異常を起こすため、怒りをコントロールするのが難しくなります。
なりやすい人
はっきりとした原因はわかっていませんが、遺伝が関係していると考えられています。
10代後半から30代前半など比較的若い人が発症しやすいです。
主な症状
躁状態
うつ状態
が交互または同時に起こります
躁状態
気分が良すぎる・ハイになる・興奮する・怒りっぽくなるという症状に、下の中から4つ以上(「怒りっぽい」のみの場合は5項目以上)の症状が加わり、1週間以上続きます
睡眠時間が少なくても平気である。
自分が偉くなり、なんでもできるように感じる。
普段よりしゃべる。
次々にアイディアが浮かぶ
注意がそれやすい。
活動的になり、じっとしていられない。
浪費・投資・性的無分別など、後に困ってしまう楽しいことに熱中する。
うつ状態
気分が落ち込む・今まで興味があったことが急に楽しくないという症状に、下の中から3つ以上の症状が加わり、2週間以上続きます。
食欲や体重が減った、もしくは増えた。(増減の目安は、1ヵ月のうちに体重の5% 以上)
眠れなかったり、眠りすぎたりする。
行動が遅くなったり、焦りを感じたりする。
疲れやすい。
自分を責めたり、価値がない人間だと思ったりする。
集中力が下がった。
自分の体を傷つけたり、死にたいと思ったりする。
自分でできる対処法としては…
ストレスがきっかけとなり、うつ状態や躁状態に陥る場合があります。
睡眠をしっかりとり、規則正しい生活を心がけましょう。
ストレスを上手に発散するなどの工夫をしましょう。
② ADHD(注意欠如・多動症)
前頭葉の機能が低下し、ADHDの二次障害として怒りっぽくなると考えられています。
なりやすい人
はっきりとした原因はわかっていませんが、脳機能不全が関係していると考えられています。
遺伝・胎児期の環境(妊婦のお酒やたばこ)・幼児期の環境化学物質・栄養状態・社会的ストレスが関係しているという一説もあります。
主な症状
集中力が低下する。
課題をやり遂げられないなど、遂行能力が低い。
忍耐力がない。
関係を維持できない。
落ち着きがない。
気分の変動がある。
自分でできる対処法としては…
苦手な場面を認識し、あらかじめ対処法を考えおきましょう。
物事がスムーズに進むよう事前準備しておくことをおすすめします。
③ PMDD(月経前不快気分障害)
エストロゲン(女性ホルモン)が低下すると、精神の安定や睡眠に関与する脳内の神経伝達物質のセロトニンが一時的に減少し、怒りっぽくなると考えられています。
なりやすい人
生理前だけではなく、普段からストレスが溜まっているとPMDDになりやすいです。
また、セロトニンの変化に影響を受けやすいことから、冬にかけて調子が悪くなる冬季うつとの併存が多いことがわかっています。
雨や曇りなど天気が悪い日に体調を崩しやすい人も注意が必要です。
主な症状
感情が不安定である。
激しくいらだち、怒りっぽい。
激しく気分が落ち込む。絶望感がある。自己批判的思考になる。
激しい不安や緊張がある。
仕事・学校・趣味など外部への興味が減る。
集中力が低下する。
倦怠感がある。疲れやすい。気力がない。
食欲が変化する。過食になったり、特定の食物に対して渇望したりする。
眠れなかったり、眠りすぎたりする。
圧倒される、制御不能という感じがする。
乳房の圧痛や腫れ、関節痛や筋肉痛、体重増加などの身体症状がある。
生理が始まる約1週前に5つ以上の症状が現れます。
生理初日から数日以内に良くなり始め、生理が終わる週には症状が最小限になるか、なくなります。
自分でできる対処法としては…
自分の病状を把握するために、日記をつけましょう。
リラックスする時間を作り、心地良いと感じるセルフケアを行ってください。
病院に行くべき?
自分だけでは怒りを抑えることができないという場合は、病院に行きましょう。
感情面の起伏が激しくなってしまい、仕事や生活、人間関係に影響が出てしまうというケースは、一度病院に相談してみましょう。
受診するのは何科?
精神科や心療内科を受診しましょう。
PMDDが疑われる場合は、婦人科か産婦人科に相談しましょう。
心療内科を探す
婦人科を探す
▼参考
厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス 双極性障害(躁うつ病)
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_bipolar.html
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 双極性障害(躁うつ病)とうつ病の前頭葉体積の違いが明らかにーMRIにより診断の判別が可能となることに期待ー
https://www.amed.go.jp/news/release_20171130-01.html
日本うつ病学会 双極性障害委員会 双極性障害(躁うつ病)とつきあうために
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/gakkai/shiryo/data/bd_kaisetsu_ver9-20180730.pdf
うつ病症状の捉え方 日本医学会
http://jams.med.or.jp/symposium/full/129045.pdf
厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス総合サイト こころの健康や病気、支援やサービスに関するウェブサイト
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_depressive.html
MSDマニュアル家庭版 双極性障害
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/10-心の健康問題/気分障害/双極性障害
https://www.ncnp.go.jp/nimh/pdf/H29_dd_3.pdf
MSDマニュアル家庭版 注意欠如-多動症-adhd
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/23-小児の健康上の問題/学習障害と発達障害/注意欠如-多動症-adhd