「他に不調はないのに、熱だけ出る…」
大人の“熱だけが続く原因”について、お医者さんに聞きました。
病院に行く目安や、何科で受診すべきかも解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
他に症状はないのに熱だけ出ている…どう対処すればいい?
咳や鼻水はないのに、熱だけが出ています…。
どうすれば?
37度程度の微熱であれば、安静にして一旦様子を見てみましょう。
女性の場合は、生理前の高温期で熱が出るケースもあります。
市販薬は使ってもいい?
市販の解熱剤を使用してもいいでしょうか?
自己判断だけでの市販薬の使用は、おすすめできません。
熱が出ている原因によっては、市販の解熱剤が効かないこともあります。
市販薬を使用するのであれば、事前に医師や薬剤師に相談すると良いでしょう。
こんな症状は病院へ!
- 38度以上の発熱がある
- 熱が3~4日下がらない、もしくは繰り返す
といった場合は、なんらかの病気の可能性が考えられます。
早めに医療機関で相談し、悪化させないようにしましょう。
病院は何科?
熱だけ出ている場合、まずは内科を受診してください。
医療機関を受診すると、熱が出ている原因を調べてもらえます。
原因に合わせた治療を受けることで、よりスムーズな改善が期待できるでしょう。
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考えられる2つの原因
他に症状はないのに熱だけ出ているのは、
といった原因が考えられます。
原因① ストレス
過度のストレスによって交感神経が優位になると、熱が出ることがあります。
ストレスによる発熱は、「急性型心因性発熱」と「慢性型心因性発熱」の2種類があります。
「急性型心因性発熱」の場合、ストレスを感じる状況になると一時的に高熱が出ますが、24時間以内に下がります。
「慢性型心因性発熱」の場合、慢性的なストレスにより数か月間も微熱が続きます。
慢性化してしまうと、原因となるストレスがなくなった後もなかなか平熱に戻りません。
こんな人は要注意!
- 不安を感じやすい人
- ストレスを溜め込みやすい人
- 几帳面な人
に発症しやすいといえます。
なお、ストレスによる発熱は性別や年齢を問わず、子どもから高齢者まで誰にでも起こる可能性があります。
自分でできる対処法は?
熱が出ると体力を奪われるため、しっかりと水分補給をして、睡眠時間を確保しましょう。
なお、ストレスによる発熱には風邪薬・解熱剤が効かないため、市販薬の服用は避けてください。
「なかなか熱が下がらないから」と服用し続けると、かえって体に悪影響を与えてしまう恐れがあります。
病院に行く目安
- 発熱が3~4日続いている
- 38度以上の高熱が出ている
- 倦怠感など、ほかの体の不調が出てきた
といった場合には、早めに医療機関へ行きましょう。カウンセリングや精神安定剤などの治療が必要です。
病院は何科?
ストレスによる発熱を疑う場合には、心療内科を受診しましょう。
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原因② 薬の副作用
薬に対するアレルギー反応によって、熱が出ることがあります。
薬を使用して、3~14日後に熱が出ます。
微熱からはじまり、少しずつ体温が上がっていきます。
薬の影響で体温調節機能が変化し、熱が続くケースもあります。
また、発熱している割には元気がある点も特徴です。
原因となっている薬の使用をやめると、熱が下がります。
こんな人に起こりやすい
何かしらの薬を服用している方に起こります。
薬に対するアレルギーのため、全ての薬で発熱するリスクがあります。
なかでも細菌感染症の治療に使う抗菌薬やがん治療につかう抗がん剤などは、発熱が起こりやすい傾向にあります。
自分でできる対処法は?
市販薬によるものであれば、薬の使用を止めてください。
処方薬が原因であれば、使用を中断する前に主治医と相談してください。
自己判断で薬の服用を止めると、治療中の病気を悪化させる恐れがあります。
ご自身の症状を主治医に伝え、他の治療方法を検討してもらいましょう。
病院に行く目安
薬を服用して3~14日後に発熱した場合は、医療機関を受診しましょう。
薬の副作用による発熱を放置すると、発疹や肝障害・腎障害を起こすケースもあります。
病院は何科?
薬の副作用による発熱がある場合は、かかりつけの医師か内科を受診しましょう。
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原因不明の発熱は、病院で相談を
原因不明の発熱には、なんらかの病気の可能性も考えられます。
稀に悪性腫瘍が隠れているケースもあり、放置すると命に関わることもあります。
症状が4日以上続く場合は、医療機関で相談し、原因を調べてもらいましょう。
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2020-01-30
「熱が出た!」と思ったら「朝にはすっかり下がっていた…」。
このような経験をお持ちの方も多いと思います。
一晩で下がる発熱の原因を、医師が詳しく解説します。
大人なのに…「熱が一晩で下がった?」
一晩で熱が下がった場合、心因性発熱(ストレス)または風邪のケースが主に考えられます。
それぞれのケースについて、次の項目で詳しく解説します。
原因① 心因性発熱(ストレス)
心因性発熱とは、主にストレスによって起こる発熱を指します。
過度のストレスで交感神経が活発になると、「熱を発生させる細胞」に刺激が加わり、一時的に発熱する場合があります。
◆心因性発熱の症状
心因性発熱の場合、一晩で熱が下がったり、高熱を繰り返したりします。
熱の程度には個人差があり、37度の微熱の人もいれば、38度以上の高熱になる人もいます。
また、
頭痛
腹痛
躁鬱などの気分障害
パニック障害などの不安障害
を伴うこともあります。
ストレスで発熱しやすい人の特徴
日常生活でストレスを感じやすい人
几帳面な人
頑張りすぎる人
神経質な人
心配性な人
心因性発熱の対処法
まずはゆっくり体を休めることが必要です。
落ち着いた環境(アロマ、音楽、間接照明など)を作り、眠れるようであれば、目を閉じて休みましょう。
なお、心因性発熱の場合、解熱鎮痛剤は効果を発揮しません。
原因② 風邪のケース
風邪のウイルスがそこまで強くなければ、自分の免疫が勝って一晩で熱が下がることもあります。
風邪をひくと、侵入したウイルスの繁殖を抑えたり、体の免疫機能を高めたりするために体温が上がります。
通常は、おおよそ3日くらいで下がることが多いです。
◆風邪の症状
くしゃみ
鼻づまり
喉の痛み
咳
など
風邪をひきやすい人の特徴
忙しくてなかなか休めない人
ストレスや疲労を溜めがちな人
睡眠不足の人
栄養バランスが偏っている人
上記の人は免疫力の低下によって、風邪を引きやすくなります。
風邪の対処法
そのまま眠れるようであれば、おでこや首などにタオルにくるんだ保冷剤を当てたり、冷やすシートを貼って休みましょう。
また、熱が高かったり、長時間も高熱が続く場合は、解熱剤を服用しましょう。
「夜に発熱を繰り返す」のは、疲れ・感染症が原因かも
夜に発熱を繰り返す場合、
尿路感染症
疲労・ストレス
関節リウマチ
がん
などの原因が考えられます。
① 尿路感染症
尿路感染症は、膀胱などに細菌感染を起こして発症する病気です。
症状が進むと、疲れのたまる夜間に発熱することがあります。
尿路感染症の症状
排尿痛
下腹部痛
頻尿
発熱
尿路感染症の対処法
軽い症状の場合、こまめに水分を補給していれば、細菌が尿で排出されて数日で快方に向かいます。ただし、重いものであると抗菌剤の投与が必要となるため、泌尿器科で治療を受けましょう。
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② 疲労・ストレス
疲労やストレスがたまると、1日の疲れが出て夜間に発熱をするケースがあります。
また、免疫機能が低下するため、風邪も引きやすくなります。
疲労・ストレスによる症状
倦怠感
疲労感
食欲不振
めまい
頭痛
冷え
集中力低下
疲労・ストレスの対処法
ゆっくり休息を取る必要があります。仕事が休めないときでもこまめに休憩を入れましょう。
毎日の睡眠、食事が大事です。しっかり睡眠をとり、バランスの良い食事をとりましょう。
③ 関節リウマチ
免疫機能の異常によって、関節の痛み、関節の変形、発熱、倦怠感などを起こす病気です。
倦怠感も強く出るので、夜間に日中の疲れが出て発熱することもあります。
関節リウマチの症状
関節痛
倦怠感
微熱
関節の腫れ
関節の変形
関節リウマチの対処法
専門機関での治療が必要です。
朝起きた時の関節の腫れ、関節の動かしにくさなどが現れてきたら、早めにリウマチ科を受診しましょう。
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④ がん
がんを発症していると、体に疲れが溜まりやすくなります。
そのため、1日の疲れが出る夜間に発熱するケースもあります。
がんの症状
倦怠感
食欲不振
気分が悪くなる
体に痛みが走る
不正出血(女性器のがん)
がんの対処法
専門機関での治療が必要です。早急に内科を受診しましょう。
早めに取り除かなければ、身体中にがんが広がって死に至る恐れがあります。
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熱が下がった後の過ごし方
熱が下がって体が楽になっても、すぐに油断せず、熱以外の症状も治まるまでは、下記の点に気を付けてください。
安静にして体力を温存する。
消化の良い物を食べ、弱った消化器官の負担を軽くする。
辛味が強く刺激的な物や、油分の多い物を控え、消化器管の負担を軽くする。
ビタミン、ミネラルが豊富な物を食べ、免疫力を高めて感染などの再発を防ぐ。
アルコールを控え、肝臓を休ませる。
喫煙を控え、気道への刺激を軽減する。
高熱による発汗で失った分、水分と塩分を多めに摂り、脱水を防ぐ。
良質なたんぱく質を摂り、消耗した体力を補う。
熱が下がったら出社してもいい?
風邪の場合、熱が下がり、気分も良く、動くのに支障がないようでしたら、出社しても大丈夫でしょう。
ただし、だるさや、倦怠感がある場合は、まだ体力が戻っていないので無理しないようにしてください。
無理をすると、発熱を繰り返すことがあります。
出勤する場合は、マスクをしましょう。
咳やくしゃみが出ても、他の人に移さないように対策をして出勤しましょう。
こんな症状は病院へ
水分・食事がとれない
胸が痛くなるほどの酷い咳が出る
口の中の痛みが増し、喉の奥に腫れや水疱がでる
といった症状が出た場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
「水分・食事を受け付けない」場合は、脱水や体力消耗の危険があるため、点滴などの治療が必要です。
「胸が痛くなるほどの酷い咳が出る」場合は、結核・喘息・肺炎・急性気管支炎・胸膜炎などの恐れがあります。
「口の中の痛みが増し、喉の奥に腫れや水疱が生じる」ときは、ヘルパンギーナのなどの可能性があります。
患者の多くが小児ですが、大人が感染すると、脳炎、髄膜炎、心筋炎などを誘発する恐れがあります。
病院は何科へ行けばいい?
受診すべき診療科は、出ている症状によって異なります。
以下の表を参考にしてみましょう。
受診すべき診療科
症状
内科
心理的な原因の発熱・吐き気・食欲不振
呼吸器内科
耳鼻いんこう科
喉の痛みや咳が続いている
「心理的な原因の発熱」も、まずは内科を受診して検査を受けることをおすすめします。
体に異常がないと判断された後は、心療内科を紹介してもらうことも可能です。
あまりにも高い熱が翌朝には平熱に下がっていたりすると不思議に思いますよね。
その場合は、他に目立った症状が現れなかったとしても、隠れた病気の前兆かもしれません。
少しでも気になるようなことがある時は、早めに医療機関を受診し、医師の診察を受けることをおすすめします。
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▼参考
テルモ株式会社→テルモ体温研究所 体温から健康に:体温と生活リズム
ストレスと高体温 心因性発熱かもしれないと思ったら
テルモ株式会社→テルモ体温研究所 体温から健康に:体温と生活リズム
ストレスと高体温 心因性発熱と診察されたら
沖縄県医師会→広報関係 ドクターのゆんたくひんたく:2018年掲載分 原因探り、根本解決を
株式会社メディプラス研究所→オフラボ:「熱が下がらない」風邪薬が効かない長引く熱、ストレスが原因かもしれません【ストレス性発熱の処方箋①】
一般社団法人小金井市医師会→お知らせ:風邪について
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2019-12-13
風邪を引いたときに悩むのがお風呂です。
「入った方が良いの?入らない方が良いの?」
結局のところ、風邪を早く治すにはどうするのがベストなのでしょうか…?
この記事では、風邪をひいた時のお風呂について解説します。
風邪をひいたときお風呂に入っても良い?
重篤な症状がなければOK
重篤な症状がなければ入浴はしていただいて構いません。
全身症状を考慮して、入浴できるか判断してください。
風邪をひいているときは、発熱・鼻水・喉の痛み・咳・悪寒などの症状が総合的に現れます。
まず、高い熱が出ているときは脱水している可能性があります。湯船に浸かっての入浴は、さらに脱水を進める可能性があります。
また高熱の場合、急なふらつきやめまいによって、卒倒してしまう場合もありますので、無理に入浴するのは避けましょう。
風邪のひきはじめの入浴で悪化を防ぐ
風邪っぽい時にお風呂で体を温め、冷えないうちにゆっくり就寝すれば、風邪が悪化するのを防げる可能性があります。
入浴しても熱は下がらない!
実は、入浴して汗をかいても熱を下げることはできません。
汗は体温調節の役割があるため、入浴して汗をかくことで一時的に下がる可能性はあります。
しかし、炎症によって発熱している最中は、ウイルスと戦っているための発熱ですから、外から何をしても下げられないのです。(解熱剤は別です。)
まだふらつきやめまい、食欲もない時期は、無理な入浴はせずに水分補給をしてゆっくり安静にしてください。
お風呂は微熱に下がってから
微熱に下がって、体調が良くなってきていれば、汗を流す程度であれば問題ないでしょう。
しかし、病気の時は、判断能力が下がっています。急な体調不良を起こす場合もありますので、長湯は避けましょう。
お風呂の加湿された環境は喉・鼻の症状に良い
咳は、浴室の加湿されている環境では楽になります。鼻水も、入浴で体が温まると出やすくなります。
高熱はなく、喉や鼻の症状がつらいときは、お風呂に入ることで緩和されることもありますので、試してみるのも良いでしょう。
シャワーだけの場合は「冷え」に注意
熱が上がりきって汗をかいた後は、さっとシャワーを浴びて汗を流しても構いません。
浴室を出た後はすぐに着替えをして髪の毛を乾かし、冷えないようにしてください。
朝風呂は?
朝風呂は、前日の夜まで高熱があって、次の日もなんとなくフラフラするようであれば、お風呂で倒れるリスクもあるので控えた方が安心です。
特にフラフラせず、不快感をさっぱりさせるほどの軽い入浴であれば問題ありません。
朝は、体温が低いので体調が良く感じる場合もありますが、夕方にかかって人間の体温は上がっていきます。
朝だけで判断せずに、夕方や夜、熱が上がらないかで入浴が可能かを判断しましょう。
赤ちゃんが風邪をひいたときの入浴
赤ちゃんはまだ体力がないので、風邪にプラスして入浴をすると一気に体力を消耗してしまう場合があります。
体調が元どおりになるまでは、入浴は避けて汗を拭いてあげましょう。
風邪はお風呂でうつる?
お風呂で風邪がうつる可能性は低い
風邪のウイルスは、高温多湿では生存できません。
そのため、入浴場所で風邪をもらってしまう可能性は低くなります。
ノロウイルスなどウイルス性胃腸炎は注意!
お腹の風邪と別名もある「ウイルス性胃腸炎の原因菌(ノロウイルスやロタウイルス)」は、お風呂場でも死滅しません。
保菌者と一緒の入浴やその後の入浴で感染する場合もあります。
ウイルス性胃腸炎を発症している場合は、入浴は避けましょう。
次に誰も入らないお湯(一番最後のお風呂)に浸かる、シャワー浴の場合なら大丈夫です。そのあとは、しっかり浴槽周辺、イス、洗面器などをしっかり掃除し、次の人が入るようにしましょう。
お風呂の適温
お風呂のお湯は、通常時でも高すぎれば心臓や肌に負担になります。
また、ぬるすぎれば体が冷えますので、40〜41度くらいのお湯に入りましょう。
まとめ
お風呂に入ることで、咳や鼻水の症状は、良くなる場合があります。熱が微熱程度で、だるさや気分の悪さがなければ入浴してみましょう。
血流も良くなるので、体も軽く感じます。ただし、長湯は、のぼせや疲れの原因に。出てからの冷えにも注意して入浴してくださいね。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。