「腕のしびれで病院に行く場合、何科に行けばいいの?」
“しびれの原因“をお医者さんが解説します。
突然のしびれは、脳梗塞の可能性もあるので要注意です。
監修者
経歴
平成14年福井医科大学(現福井大学医学部)卒業
岐阜大学高齢科神経内科入局後松波総合病院にて内科研修、
岐阜大学高次救命救急センター出向。
美濃市立美濃病院内科。
東京さくら病院及び同認知症疾患センター勤務の後
令和元年7月かつしかキュアクリニック開業。
腕のしびれは何科を受診すればいい?
腕のしびれでお困りの場合は、まず整形外科を受診しましょう。
ただし、「体の片側のしびれが強い」という場合は、救急車を呼んでください。脳梗塞の可能性が高いです。
整形外科を探す
考えられる2つの病気
「腕がしびれる」よくある原因として、
- 胸郭出口症候群
- 頚椎椎間板ヘルニア
などが考えられます。
以下の項目で、それぞれ詳しく解説していきます。
原因① 胸郭出口症候群
腕や手につながる神経や、鎖骨の下のある動脈が圧迫されている状態です。
神経障害や血流障害によって、腕にしびれや痛みが起こります。
女性に多くみられます。35~55歳で発症するケースが多いです。
<しびれ方の特徴>
- 腕を上げるときに、しびれが起こりやすい
- ビリビリとした感覚
肩や肩甲骨部分、肘から手の小指側に症状が出る場合もあります。
負担のかかっている片腕に起こりやすいのですが、両腕に起こることもあります。
こんな症状がでていたら要注意!
- うずくような痛み
- 刺すような痛み
- 握力の低下
- 細かい動作がしにくい
- 手の甲の骨の間がへこむ
- 手のひらの小指側のもりあがり(小指球筋)が痩せる
- 腕の皮膚の色が白っぽくなる
- 手や腕が青紫色になる
病院は何科?
胸郭出口症候群は、整形外科で相談しましょう。
病院に行かずに放置した場合、悪化し、症状が重くなり、治癒に時間がかかります。
整形外科を探す
原因② 頚椎椎間板ヘルニア
椎間板の一部が飛び出して神経に当たるため、しびれが起きます。
30~50歳代に多く、スポーツや仕事などで無理な姿勢を常にしていることで、負担がかかり起こりやすくなります。
また、喫煙・加齢も要因の一つです。
最近はスマートフォンやパソコンの使用なども引き金になっていると考えられています。
<しびれ方の特徴>
- 動かしにくい
- 力がはいりにくい
- 頚椎を刺激した格好(腰をそる・ひねる)のときに、痛みが強くなる
痛みの強さは軽いものから、強いものまであります。
片腕におこるケースも、両腕におこるケースも両方とも可能性はあります。
こんな症状がでていたら要注意!
病院は何科?
整形外科を受診しましょう。
数日から数週間の経過で急速に症状が進行しやすいものもあり、日常生活に支障をきたし、治療に時間がかかることがあります。
整形外科を探す
こんなしびれは要注意!「脳梗塞」かも
脳梗塞による腕がしびれには、どんな特徴があるのでしょうか…?
脳梗塞の場合、片腕だけに突然しびれが起きます。
こんな症状がでていたら要注意!
- 手足の力が抜ける
- 片方の足のしびれ
- 体の片側がうまく動かない
- ふらふらして、まっすぐ歩けない
- めまい、吐き気
- 片方の眼が見えづらい
- ものが二重に見える
- 言葉が出てこない、言葉を理解できない
- ろれつが回らない
- 意識の低下
※症状は突然現れるケースが多いです。
上記の一つだけが現れる場合や、同時にいくつかの症状が組み合わさることもあります。
脳梗塞かも…どうすればいい?
脳梗塞を疑う場合は、早めに脳神経内科、脳神経外科を受診しましょう。
早期に治療を開始することが大切なので、軽症だとしてもすぐに受診してください。
また、体の片側のしびれが強い場合は、早急に脳神経内科、脳神経外科を受診しましょう。
脳神経外科を探す
合わせて読みたい
2021-02-17
「片方の腕がしびれる…これって大丈夫?」
しびれの原因をお医者さんが解説します。
脳梗塞の可能性がある“要注意な症状”も確認しましょう。
片方の腕がしびれる…これ大丈夫?
しびれの他に、特に気になる症状がない場合は、一旦様子を見ても大丈夫でしょう。
しびれが一時的な症状であれば、過剰に心配する必要はありません。
ただし、
しびれを何度も繰り返している
しびれ以外に、体の不調がある
といった場合は、病気の可能性があるので要注意です。
注意!片側のしびれは「脳梗塞」かも
体の片側のしびれ、麻痺
体の片側に力が入らない
言葉が出てこない、ろれつが回らない
体がふらふらする
めまい、吐き気
物が二重に見える
上記症状を伴う場合、脳梗塞の可能性が高いので要注意です。
脳梗塞を疑うときは、早急に脳神経内科、脳神経外科を受診しましょう。
脳神経外科を探す
よくある2つの病気
片方の腕がしびれる場合
胸郭(きょうかく)出口症候群
頚椎(けいつい)症性神経根症
がよくある原因として考えられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
原因① 胸郭(きょうかく)出口症候群
胸郭出口症候群とは、腕の神経や血流が圧迫されること起こる不調のことです。
片腕のしびれも、諸症状の一つとして挙げられます。
重い荷物を持つ動作や野球、テニスなどが発症のきっかけとなる場合があります。
また、先天的な要因によって発症する方もいます。
こんな症状、でていませんか?
手の甲の骨の間がへこむ
手のひらの小指側が痩せる
手や腕が白っぽくなる
手や腕が青紫色になる
握力の低下
細かい動作がしづらい
自分でできる対処法
重いものを持たないようにしましょう。
腕を上げたままで行う作業も避けてください。
しびれなどの感覚障害や、運動機能に障害がでているときは、一度受診をしましょう。
症状の改善が見られない場合には、整形外科の受診をおすすめします。
病院に行かずに放置すると、頭痛・立ちくらみ・不眠・胃腸障害・全身倦怠感などの不定愁訴などの自律神経症状を伴います。
整形外科を探す
原因② 頚椎(けいつい)症性神経根症
脊髄から腕へ伸びている“神経根”が圧迫・刺激されると、片腕にしびれを感じます。
加齢により椎間板が盛り上がったり、骨のとげができたりすることで、神経根が圧迫されます。
また、首を後ろに反らせる動作も、発症リスクを上げる原因となります。
こんな症状、でていませんか?
肩のしびれ
手指のしびれ
腕の筋力の低下
腕の感覚障害
自分でできる対処法
なるべく首を後ろに反らせないようにしてください。
特にスマホやタブレットの画面を見る際は注意しましょう。
また、寝るときには低めの枕の使用をおすすめします。
基本的に自然治癒しますが、しびれをかばって、他の箇所に負担がかかり、痛みが広がることがあります。症状がつらい場合には整形外科を受診しましょう。
整形外科を探す
病院に行く目安
症状が1週間以上続いている
しびれのせいで仕事がしづらい
といった場合は、病院を受診してください。
受診するのは何科?
片方の腕のしびれがある場合は、まず整形外科を受診しましょう。
片腕のしびれの原因には重い病気(脳梗塞や心筋梗塞など)も考えられます。
悪化を防ぐためには、早期に病院で検査を受け、しびれの原因を突き止めることが大切です。
整形外科を探す
▼参考
公益社団法人 日本整形外科学会 胸郭出口症候群
公益社団法人 日本整形外科学会 頚肋
公益社団法人 日本整形外科学会 頚椎症性神経根症
MSDマニュアル家庭版 胸郭出口症候群
国立循環器研究センター 循環器病情報センター [103] 脳梗塞が起こったら
腕のしびれは早期受診をおすすめします
腕のしびれは、脳や神経に関係する重い病気のサインとなっているケースもあります。
腕のしびれに気づいた場合は、早めに病院へ行くことをおすすめします。
放置すると、腕のしびれだけでなく、歩行困難になるなど日常生活に支障をきすケースもあります。
また、治療にも時間がかかってしまうため、早期治療を行いましょう。
病院で検査を受け、原因に合わせた治療をしていきましょう。
整形外科を探す
合わせて読みたい
2021-07-13
「腕が痛くて、だるい…」
頚肩腕症候群、胸郭出口症候群など考えられる原因を解説します。
病院に行く目安も確認し、悪化させないようにしましょう。
腕が痛くてだるい…この症状大丈夫?
こんなときは一旦様子を見てみましょう。
スポーツで腕を過剰に動かした
重い荷物を運んだ
日常的に姿勢が悪い
パソコンやスマホを長時間使用した
といった原因に心当たりがある場合は、一旦様子を見てみましょう。
腕の筋肉疲労による一時的な症状であれば、心配しなくて大丈夫です。
様子をみる場合には、ストレッチや伸びをして筋肉をほぐしましょう。
また、悪い姿勢にも気をつけてください。
パソコンやスマホを使用する際は、腕の筋肉を使いすぎないよう、1時間ごとに休憩を挟むことをおすすめします。
病院を受診すべきケース
腕の痛み、だるさを繰り返す
症状がどんどん悪化する
しびれを伴う痛みがある
といった場合には、医療機関を受診してください。
関節や神経の病気を発症している可能性があり、悪化すると改善に時間がかかるケースもあります。
病院は何科?
腕の痛み・だるさは、整形外科で相談してください。
初期のうちに治療することで、より早い改善が期待できます。
症状が続く場合は放置せず、医療機関で原因を調べましょう。
整形外科を探す
考えられる2つの病気
腕が痛くてだるいのは、
頚肩腕症候群
胸郭出口症候群
といった病気が考えられます。
病気① 頚肩腕症候群
腕の痛み・だるさは、腕の使いすぎによる頚肩腕症候群の可能性があります。
頚肩腕症候群の症状の特徴
腕の痛み、だるさ、しびれ
首の痛み、だるさ、しびれ
肩の痛み、だるさ、しびれ
手指の冷え、しびれ
背中や腰の痛み、コリ
下肢のだるさ
頭重感
頚肩腕症候群の原因
無理な姿勢での作業
長時間の同じ姿勢
手指の筋肉を酷使するような細かい作業
重い物を運ぶ作業
などが挙げられます。
仕事による疲労過多が原因として多く、首・肩・腕に多大な負荷をかけることが発症を招きます。
また、パソコン・スマホをよく使用する人も要注意です。
長時間同じ姿勢でいると、筋肉の血流量が減少して疲労物質が溜まりやすくなるため、発症リスクが上昇します。
自分でできる対処法は?
十分な睡眠時間を確保し、ゆっくりと体を休めてください。
散歩やストレッチなど、軽い運動で体を動かすことも重要です。
規則正しい生活を送ると、症状が改善しやすくなります。
ただし、痛みやだるさ等の症状が強く出ている場合には、医療機関を受診してください。
病院は何科?
頚肩腕症候群は、整形外科で治療を受けられます。
頚肩腕症候群の治療法
<薬を使った治療>
痛みが強い場合に、鎮痛剤などの処方を行います。
<理学療法、物理療法>
痛みが生じている部分にホットパックを行い、温めて血行を促すことで、筋肉のコリを改善させます。
また、マッサージで筋肉の緊張をほぐし、血行改善を促す治療法もあります。
整形外科を探す
病気② 胸郭出口症候群
血管や神経の束が通っている“胸郭出口”が刺激を受けると、腕に痛み・だるさが生じることがあります。
胸郭出口症候群の症状の特徴
腕の痛み、だるさ、しびれ
首の痛み、だるさ、しびれ
肩の痛み、だるさ、しびれ
握力の低下
手が蒼白する
手を挙げた姿勢の後、手に冷えやしびれが生じる
胸郭出口症候群の原因
手を挙げる機会が多いスポーツ(野球など)
手を挙げる体勢で行う作業
腕や肩の過剰な筋肉トレーニング
重い荷物を担ぐ仕事
なで肩
などが原因として考えられます。
胸郭出口症候群は、鎖骨周辺が狭まって発症するケースと、生まれつきの骨格によって発症するケースがあります。
胸郭出口は首から肩にあり、この部分のスペースが狭い人は発症リスクが上昇します。
特に“なで肩”による発症は女性に多く、腕を通過する血管や神経が下方に引っ張られることで、腕の痛み・だるさが起こります。
自分でできる対処法は?
重い物を持たないようにする
腕を挙げた体勢での仕事を控える
パソコンやスマホを長時間使用しない
といった対処法があります。
ただし、痛みが強い場合には、我慢せずに医療機関を受診してください。
病院は何科?
胸郭出口症候群を疑うときは、整形外科を受診してください。
胸郭出口症候群の治療法
<装具を用いた治療>
姿勢を正すため、肩甲骨を持ち上げる装具を使用します。
<薬を使った治療>
炎症や痛みを鎮める薬、血行を促す薬、ビタミン剤などを処方します。
<ストレッチ>
悪い姿勢(猫背など)が原因で筋肉がコリ固まっている場合は、筋肉をほぐしたり伸ばしたりできるよう、ストレッチ指導を行います。
<手術>
血管や神経への圧迫が強い場合に検討されます。
手術には、筋肉の腱を切除する方法、肋骨の一部分を切除する方法などがあります。
整形外科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
公益社団法人 日本整形外科学会「胸郭出口症候群」