この腰の痛みは、腎臓の不調が原因?
「腎臓病からくる腰痛の見分け方」を、お医者さんが解説します。
熱や吐き気がある場合は、要注意です。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
腰痛と腎臓の関係
病気で腎臓が膨張すると、腰や背中に痛みを感じることがあります。
これは腎臓病がある程度進行している状態なので、早急の受診が必要です。
腎臓病による腰痛の見分け方
腎臓病を発症していると、腰痛に以下の症状を伴います。
<腎臓病の症状>
- 背中や横隔膜の痛み
- 発熱
- 倦怠感
- 吐き気
- 排尿痛
- 尿量の減少、もしくは増量
- 血尿
- 白く濁った尿が出る
- むくみ
- 血圧の上昇
以上のような症状がある場合は、早急に受診してください。
こんなときは早急に病院へ
- 耐えられない激痛
- 痛みを何度も繰り返す
- 吐き気
- 高熱
といった症状がある場合は、早急な受診が必要です。
病院は何科?
腎臓内科、もしくは内科を受診しましょう。
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腰痛を起こす腎臓病の例
腰痛の症状が出る腎臓の病気には、
- 尿路結石
- 急性腎盂炎
があります。
それぞれ詳しく解説します。
その① 尿路結石
尿が出る通路に結石ができる病気です。
結石が尿路を塞ぐことによって、腰痛が起こります。
尿路結石を発症しやすい人
- 男性
- 肉や魚介類、卵や乳製品をよく食べる人
- 脂っこい食事が好きな人
- 内分泌腺の病気を患っている人
主な症状
夜間や早朝に痛みやすいのが特徴です。
痛みは数時間続くことが多いです。
その② 急性腎盂炎
尿道から細菌が侵入し、腎臓に炎症が起こる病気です。
発症すると、腰に痛みを感じます。
急性腎盂炎を発症しやすい人
- 女性
- 体が冷えやすい人
- 疲労やストレスが溜まっている人
- 風邪を引いている人
免疫力が低下していると発症リスクが高まります。
主な症状
放置はNG!治療を受けずにいると…
腎臓病が腎不全に進行すると、命に関わります。
「腰痛の原因は腎臓かも…」と思う場合は、必ず病院で相談しましょう。
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2019-12-27
ストレスが原因で背中痛が生じるケースがあります。
ときには「息苦しい」「胃が痛い」といった症状がでることも…。
対処法を、お医者さんに聞きました!
「背中が痛い!」原因はストレスのケースも
自律神経の影響で、ストレスが原因で背中痛が出る人もいます。
ストレスは、体のあらゆる器官の働きを調節している「自律神経」の働きにも影響を及ぼします。
痛みに加え「息苦しい」ことも
ストレスが多くなり、うまく自律神経の調節ができなくなると、
体や手足が冷たくなり血流が悪化する
動悸・息が苦しくなる
という症状が現れる人もいます。
痛みに加え「胃痛」がある場合は…
「胃痛」や「胃酸の上昇」などを伴って背中の痛みがある場合、逆流性食道炎等の可能性もあります。
逆流性食道炎は、胃液が何度も食道側に逆流して食道に炎症をきたす病気です。背中痛を同時に訴える患者さんも多くいます。
ストレスによる背中の痛みにはマッサージも
背中のマッサージは、体全体の血流を良くしてくれます。
体の血流が良くなるとストレスや痛みの緩和にも有効です。
市販薬は「使ってもいいが…長期はNG」
市販の鎮痛剤で一時的に背中の痛みがおさまる場合もあります。
ただし、長期的な使用は控えましょう。
1週間ほど痛みが続く場合は、痛みの原因を確認する必要があるので病院を受診しましょう。
原因不明のまま、痛み止めだけで対処していると、何か大きな病気を見過ごしてしまう可能性もあります。
また、痛み止めを連用していると、胃潰瘍や腎障害、肝障害などの副作用を引き起こすケースもあります。
「病気」の可能性も
「背中を使う運動をしたりしたわけではないのに背中が痛い、違和感がある」場合や、「安静にしているのに痛みがある」という場合は、何か病気が隠れているかもしれません。
特に、痛みが強くなったり、他の頭痛、腹痛、胸痛などの症状が併せてあるようなら、早めに病院を受診してください。
背中の「右側が痛い」病気
「背中の右上方が痛い」場合は、肺炎、胸膜炎、肺結核、気胸など肺の病気、「背中の右下部が痛い」は、膵炎、肝炎、十二指腸潰瘍、腎盂炎、腎結石などの可能性があります。
痛みの特徴の違い
肝炎:体全体の倦怠感と背中の痛み
十二指腸潰瘍:差し込んでくるような痛み
腎臓に異常がある:発熱と背中痛
背中の「左側が痛い」病気
「背中の左上方が痛い」場合は、狭心症や心筋梗塞、解離性大動脈瘤といった心臓に関わる病気、「背中の左下方が痛い」場合は、膵炎、膵臓がんなどの可能性があります。
痛みの特徴の違い
狭心症:押さえつけられるような圧迫感
解離性動脈瘤:体が引き裂かれるような強い痛み
膵臓の異常:少しの痛みから徐々に痛みが増し、今まで感じたことのないような激痛に変化する
何科を受診すればいい?
体を動かすときに痛みがある場合や体をひねると痛みがある場合等は、筋肉や骨などに異常がある場合が多いです。
整形外科を受診して血流の状態や筋肉の張りやコリを診察してもらいましょう。
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※その他は内科や循環器科、呼吸器科などに相談してみてください。
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2021-03-30
「右腰後ろの痛みの相談は、整形外科?内科?」
内臓からくる腰痛の見分け方を、お医者さんに聞きました。
痛みの原因別に“何科で受診すべきか”も解説します。
「右腰後ろの痛み」は何科で受診?
症状が
「右腰後ろの痛みのみ」
「足のしびれを伴う」
という方は、まずは整形外科を受診してください。
腰の痛みの原因として多いのは、筋肉の疲労や炎症です。
他に気になる症状がない場合は「整形外科」で相談し、原因を調べてもらいましょう。
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他の不調もある場合は「内臓の病気」
内臓に不調によって、“右腰後ろに痛み”が出る場合もあります。
内臓からくる腰痛の場合、
倦怠感
発熱
むくみ
といった症状を伴いやすいです。
上記の症状がある場合は、腎臓や肝臓などの異常も考えられます。
内臓が原因かも…何科で相談すればいい?
内臓による腰の痛みを疑う場合は、まず内科を受診しましょう。
また、生理の不調を伴う場合は、婦人科での相談をおすすめします。
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どこが悪いと右腰後ろが痛くなる?
右腰後ろの痛みは
腎臓の病気
肝臓の病気
女性の病気
が原因の可能性があります。
原因① 腎臓の病気→泌尿器科へ
腎臓が腫れていると、右腰後ろに痛みが起こる場合があります。
腎臓は、脇腹と背骨の中間あたりに位置しています。
代表的な病気として、尿路結石、腎盂腎炎、腎梗塞、腎臓がんなどがあります。
腎臓の病気の場合、鋭い痛みを感じやすいです。
また、尿路結石は夕方から早朝に痛むケースが多いです。
腎臓病になりやすい人の特徴
食生活が偏っている
太っている
喫煙している
といった人は、腎臓病を発症しやすい傾向があります。
食生活の偏りには、動物性たんぱく質・ビタミンCの摂りすぎや、水分・カルシウムの摂取不足などが挙げられます。
肥満や喫煙は、腎臓がんの発症リスクを高めると言われています。
また、女性は尿路から感染する「腎盂腎炎」に気をつけましょう。
女性は男性よりも尿道が短いため、細菌に感染しやすい傾向があります。
こんな症状がある人は要注意!
背中や脇腹、腹部の痛み
吐き気、嘔吐
発汗
寒気、発熱
震え
排尿痛
尿のにごり、悪臭
尿量の減少
頻尿、残尿感
血尿
顔や手足のむくみ
腹部の腫れやしこり
食欲不振
便秘
倦怠感
「腎臓の病気」を放置するとどうなる?
腎機能が低下し、腎不全・尿毒症など命の危険にさらされることになりますので、早めの受診が必要です。
泌尿器科を探す
原因② 肝臓の病気→消化器内科へ
肝臓病による右腰後ろの痛みの場合、肝硬変が考えられます。
肝臓病は症状が出にくいため、痛みが起きたときは重症化している恐れがあります。
肝硬変って何?
肝臓が小さく硬くなっている状態。
肝臓の機能が大きく低下しているため、他の臓器に悪影響を与えやすく、命に関わるケースもある。
肝臓病になりやすい人の特徴
たくさんお酒を飲む習慣がある
太っている
といった人は、肝臓病を発症しやすいです。
こんな症状がある人は要注意!
全身の倦怠感
食欲不振
むくみ
お腹の腫れ
意識障害
めまい
吐血
黄疸(皮膚や白眼が黄色くなること)
脂肪便
体のかゆみ
※肝臓は、「沈黙の臓器」と言われており、病気が進行するまで自覚症状はほとんどありません。
「肝臓の病気」を放置するとどうなる?
肝臓の機能が低下し、肝硬変、肝がんなどで命の危険にさらされることになりますので、早めの受診が必要です。
消化器内科を探す
原因③ 女性の病気→婦人科へ
子宮筋腫、子宮内膜症、月経前症候群(PMS)を発症すると、右腰後ろが痛む場合があります。
激しい痛み、ぎっくり腰のような痛みが特徴です。
腰痛が起こるメカニズム
<子宮筋腫>
子宮に発生する良性腫瘍です。
腫瘍によって直腸や骨盤の神経が圧迫されると、腰が痛くなることがあります。
<子宮内膜症>
子宮内膜の細胞が異常増殖する病気です。
子宮内膜が炎症を起こしたり、他の組織とくっついたりすることで腰の痛みが起こります。
<月経前症候群(PMS)>
月経に伴う心身の不調を指します。
この場合の腰痛は、子宮内膜の“プロスタグランジン”という物質が増え、子宮やその周りの血管収縮を促すためと考えられています。
女性の病気になりやすい人の特徴
初潮が早い
若い頃から生理痛が重い
妊娠や出産の経験がない
不規則な生活をしている
ストレスを溜め込んでいる
といった人が、女性の病気になりやすいです。
「子宮筋腫」は、30歳以上の女性がなりやすいです。
「子宮内膜症」は20代の女性に多くみられ、子宮内膜症を患ったご家族がいる方は、発症リスクが上昇する傾向があります。
こんな症状がある人は要注意!
生理の出血量が多い
レバーのような血のかたまりが出る
生理期間外の出血
腹痛、お腹の張り
下痢
性交時の不快感や痛み
尿が出にくい
頻尿
排便時の痛み
情緒不安定・イライラする
抑うつ・不安感
眠気・睡眠障害
のぼせ
食欲不振・過食
めまい、頭痛
倦怠感・疲労感
むくみ
吐き気、嘔吐
「女性の病気」を放置するとどうなる?
PMSがどんどんと重くなっていったり、不妊や卵巣がんの原因になることもありますので、早めの受診が必要です。
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内臓の病気を疑う場合は、早めに受診しよう
腰痛だけでなく、
顔や手足のむくみ
肌や白眼が黄色くなってきた
倦怠感、発熱
などの症状がある場合は、内臓の病気を疑う必要があります。
内臓の病気の中には、命に関わるものもあります。
すでに症状が進行している恐れもあるため、早めに医療機関で検査を受けましょう。
内臓の病気を疑う方は、まず内科を受診することをおすすめします。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
日本泌尿器科学会 腎臓のあたりが痛む
国立がん研究センター がん情報サービス 腎細胞がん
公益社団法人 日本産婦人科学会 産科・婦人科の病気
MSDマニュアル家庭版 肝硬変