なぜ?人の話を聞いているときに、つい違うことを考えてしまう…。
考えられる原因をお医者さんに聞いてみました。
発達障害の可能性や病院に相談する目安についても解説します。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
なぜ?「人の話を聞けない」「違うことを考えてしまう」
人の話をしっかりと聞けず、会話中に違うことを考えてしまいます…。どんな原因が考えられるでしょうか。

人の話を聞けず、違うことを考えてしまうという状態は、「体調不良」や「疲れ」により、一時的に集中力が低下していることが原因と考えられます。
体調を崩していたり、疲労やストレスが溜まっていたりすると、集中力が下がります。
すると「人の話の内容が頭に入ってこない」という状態になることがあります。
心当たりはありませんか?
- 最近、体の不調が続いている
- 疲れがたまっている
- 睡眠不足
- 仕事などで気を使うことが多く、ストレスがたまっている
上記に心当たりがある人は、休息が必要な状態です。
無理をし過ぎず、適度に休憩して体をいたわってあげましょう。
発達障害の可能性はある?
人の話を聞けない場合、発達障害の可能性もあると聞きました。これって本当なのでしょうか…?

ADHD(注意欠如・多動性障害)という発達障害は、集中力が続きにくい特性があるため、人の話をじっと聞くのが苦手な場合があります。
ただし、「人の話を聞けず、違うことを考えてしまう」というだけで、ADHDであると一概には言えません。
ADHDの人の場合、会話に集中できないこと以外にも、日常生活で何らかの困難を抱えていることが多いです。
以下のチェックリストで、当てはまるものがないか確認してみましょう。
ADHD症状チェックリスト

- 簡単なミスを繰り返す
- 集中力が続かない
- 指示を忘れる
- 落ち着きがない
- 早とちりが多い
- 忘れ物が多い
- 今現在やっていたことを忘れる
- じっとしていられない
- 人との会話が苦手(特に集団での会話)
- 話がまとまらない
- 順番待ちができない
- 状況に関係なく体が動いてしまう
- 意図せず人の邪魔をしてしまう
上記のうち5個以上当てはまる人は、ADHDが疑われます。
※あくまでも目安です。
発達障害は脳機能の障害なので、子どものころから上記のような行動が見られます。
「ADHDかも」と思ったら…
先に紹介したチェックリストはあくまでも目安です。
本当にADHDなのかどうか正しく診断してもらうためにも、まずは医療機関で相談しましょう。
ADHDは病気ではなく脳の障害であり、特性です。
医療機関で専門家のトレーニングを受けることで、日々の生活で感じる負担の軽減が期待できます。
日常生活で困ることが多いと感じているなら、精神的負荷がさらに強くなる前に一度相談してください。
大人の発達障害は、「精神科」で相談できます。
精神科を探す
こんな病気が隠れていることも
人の話を聞けず、いつも違うことを考えてしまう場合、下記の病気が隠れている可能性も考えられます。
それぞれ特徴的な症状を紹介するので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
病気① うつ病
うつ病は気分障害の一つです。
「常に落ち込んでしまう」などの症状が出現するため、人の話を聞けない状態に陥ります。
主にストレスや環境的要因により発症します。まじめで責任感が強い人は、特に発症しやすいと考えられています。
こんな症状がでていませんか?
- 何をしても楽しめない
- 悪い方へ考えが向きやすい
- 反応が遅くなる
- 疲れやすい
- 頭痛
- 食欲低下
- 便秘・下痢
- 睡眠障害
上記のような症状が見られる場合は、うつ病が疑われます。
病院に行く前にできるセルフケアは?
休息を取り、心と体を休ませましょう。
自分で対処できないときは、できるだけ早く医療機関で受診してください。
うつ病は、「精神科」で相談できます。
頭痛や下痢など、身体的な症状を伴う場合は「心療内科」で受診してもよいでしょう。
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病気② 統合失調症
統合失調症は、気持ちや考えがまとまらなくなる病気です。
妄想や幻聴などの症状が出現し、行動や人間関係に影響します。
はっきりとした原因は判明していませんが、ストレスや対人関係の悩みなどが影響していると考えられています。
こんな症状がでていませんか?
- 幻聴
- 幻覚
- 妄想が強くなる
- 意欲低下
- 感情が少なくなる
- 記憶力低下
- 仕事などの手順がわからなくなる
- 異常な大声を出すなどの興奮
- 考えがまとまらない
上記のような症状が見られる場合は、統合失調症が疑われます。
病院に行く前にできるセルフケアは?
など、ストレスをためないように過ごすことが大切です。
ただし、興奮・妄想・幻聴などで生活に支障が出ている場合は、早めに「精神科」で受診してください。
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病気③ 自律神経失調症
自律神経失調症は、全身の器官をコントロールする自律神経が乱れて、様々な不調を起こす病気です。
不安や緊張が続くなどの症状が出現し、人の話が聞けなくなっている可能性があります。
自律神経失調症の原因には、ストレスや疲労、生活リズムの乱れ、更年期、出産などが考えられます。
こんな症状がでていませんか?
- 倦怠感
- 睡眠障害
- 立ちくらみ・めまい
- のぼせ
- 息切れ・動悸
- 体の冷え・便秘
- イライラ感
- 不安感・緊張感が続く
上記のような症状が見られる場合は、自律神経失調症が疑われます。
病院に行く前に自分でできる対処法は?
生活リズムを整えて、適度に休息をとりましょう。
ただし、精神症状などの異変を感じたら、早めに医療機関で受診してください。
精神的な症状が強くでている場合は「精神科」、身体的な症状を伴う場合は「心療内科」で相談するとよいでしょう。
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違和感が2週間以上続く場合は病院へ

「人の話が聞けない」症状に伴い、体調不良や違和感がある場合は要注意です。
2週間以上経っても改善されないときは、精神的な病気かもしれないので病院で相談しましょう。
病院は何科に行けばいい?
- 精神的な症状が強く出ている → 「精神科」
- 頭痛・倦怠感など身体的な症状を伴う → 「心療内科」
というように受診するとよいでしょう。
受診する際は、
をまとめておきましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
合わせて読みたい
2022-10-31
最近、考えがまとまらないし、忘れやすい…。
もしかして、心の病気?
考えられる原因をお医者さんに聞きました。
休息しても改善しない場合は、「うつ病」「統合失調症」などが疑われます。
それぞれの代表的な症状を紹介するので、心当たりがないかチェックしましょう。
なぜ?考えがまとまらないし、忘れやすくなった…
最近考えが上手くまとまりません…。
以前よりも忘れっぽい気もします。これはなぜでしょうか…?
疲れが溜まっていて、一時的に思考がぼんやりしている可能性が考えられます。 この場合は、十分な睡眠をとり、体と心を休ませることが大切です。
1日ゆっくり休んで睡眠をとれば、回復することが多いです。ただし、疲れが溜まっている場合は、数日かかることもあります。
「心の病気」が原因のケースも
心が病気になり、不安定になると、「物事を覚えておく機能」や「考える機能」が低下して、うまく働かなくなってしまうことがあります。
心の病気は、強いストレスや疲労の蓄積などにより、発症するケースが多いです。
考えられる3つの病気
「考えがまとまらない」「忘れやすくなる」等を引き起こす心の病気には、
うつ病
統合失調症
双極性障害
などがあります。
心の病気① うつ病
うつ病は、気分が落ち込んでしまい、なかなか元の状態に戻らなくなってしまう病気です。
発症すると、考えが前に進まなくなったり、新しいことが覚えられなくなったりすることがあります。
また、うつ病には、「様々なことに無関心になる」という症状があるため、仕事やスケジュール管理ができなくなる人も多いです。
こんな症状は「うつ病」かも
集中できない・ぼんやりしてしまう
なんども同じミスをする
気分が落ち込む・不安感がある
イライラする
眠れない
身なりを気にしなくなる
話すことが少なくなる
頭痛・めまい・耳鳴り
腰痛・肩こり
食欲不振
下痢・便秘
性欲減退
生理不順
上記の症状に当てはまる場合は、「うつ病」が疑われます。
発症しやすい人は?
常に真面目に考えて頑張り過ぎてしまう人は、身体的・精神的な負担が大きくなりやすく、うつ病を発症しやすくなると考えられます。
また、何事も丁寧にしっかりやろうとする人や、完璧主義な人にもよくみられます。
「うつ病かも」と思うときは…
休息をしっかり取っても本調子に戻らないときは、一度病院に相談しましょう。
放置していると、うつ病が進行するリスクがあります。
自分で気がつかないこともあるので、家族や周りの人に「以前の自分と変わったところがないか」尋ねてみてもよいでしょう。
病院は「精神科」または「心療内科」に相談してください。
病院では、薬物療法・精神療法・環境の見直しなどにより、症状の改善を目指します。
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心療内科を探す
心の病気② 統合失調症
統合失調症は、「自分の気持ち」や「考え」がまとまりにくくなる病気です。
ストレスや疲労、緊張などが要因として考えられています。
脳の機能低下を招き、「考えがまとまらない」「忘れやすい」などの症状が強くなると考えられています。
また、周囲とうまくコミュニケーションが取れなくなり、孤立してしまう人もいます。
妄想や幻覚症状を伴うこともあり、社会生活に影響を及ぼします。
こんな症状は「統合失調症」かも
記憶力・理解力の低下
話がまとまらない
仕事や作業にミスが多い
不安感・緊張
悪口を言われていると感じる(実際には言われていない)
命令が聞こえてくる(実際には言われていない)
監視されていると感じる(実際にはされていない)
独り言が増える
ニヤニヤ笑う
身なりを気にしなくなる
入浴をしなくなる
趣味がなくなる
他者の気持ちを理解できなくなる
上記の症状に心当たりがある人は、「統合失調症」が疑われます。
ただし、自分では症状に気がつかないことも多いです。
発症しやすい人は?
「ストレスが多い」「常に緊張している」など、精神的な負担が多いことで、脳の機能障害を招いてしまうと考えられます。
ただし、統合失調症の原因は、まだはっきりわかっていないことも多いです。
「統合失調症かも」と思うときは…
できるだけ早く医療機関へ相談しましょう。
放置していると、幻覚や妄想といった症状が悪化してしまうリスクが高いです。
「精神科」または「心療内科」に相談しましょう。
病院では薬物療法や心理社会療法(※)などが行われます。
※患者本人が自分の病気への理解を深め、コントロールできるように援助する治療。
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心の病気③ 双極性障害
双極性障害とは、極端に行動的で活発な時(そう状態)と気分が落ち込む時(うつ状態)の両方を繰り返す病気です。
気分が上下し、別の人になってしまったかと思うほど落差が激しいので、「時期によって考え方が違う」といったことが起こります。
また、そう状態のときは、様々なアイデアが次から次へと浮かんでくるものの、連続性がなく、「話がまとまらない」ということもあります。
こんな症状は「双極性障害」かも
▼そう状態
考えがコロコロ変わる
人の話を聞かない
睡眠不足が続いているが、生活はできる
お金使いが荒くなる
性的に開放的になる
話が止まらなくなる
▼うつ状態
集中できない・ぼんやりしてしまう
なんども同じミスをする
不安感がある
イライラする
気分が落ち込む
身なりを気にしなくなる
話すことが少なくなる
頭痛・めまい・耳鳴り
腰痛・肩こり
食欲不振
下痢・便秘
性欲減退
生理不順
上記の症状に当てはまる場合、「双極性障害」が疑われます。
ただし、「そう状態」のときには、本人に自覚がないケースがほとんどです。
発症しやすい人は?
活発
善良
社会的
ユーモアがある
穏やか
肥満
元々は明るい性格でも、熱しやすく気分に浮き沈みがあるタイプの人は、双極性障害を発症するリスクがあります。
「双極性障害かも」と思うときは…
「そう状態」と「うつ状態」のときの違いが大きく、「人が変わってしまうようになっている」と周囲から指摘された場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
放置していると、症状が進行して治療に時間がかかるようになります。
病院は「精神科」または「心療内科」に相談しましょう。
病院では、薬物治療を中心としつつ、心理社会的治療を並行して行うことが多いです。
精神科を探す
心療内科を探す
休んでも良くならないときは、病院で相談を
考えがまとまらず、忘れやすくなったと感じる場合は、まず体と心の休息をとりましょう。
休んでいるのに症状がよくならない
改善が見られない
休みを取ることもできない
うまく眠れない
などがある人は、早めに医療機関を受診してください。
病気によって症状が現れている場合、放置していると、症状が増えたり、悪化したりするリスクがあります。
また、病気が進行してしまうと、治療に時間がかかってしまうこともあります。
病院に行くまでは、どう過ごしたらいい?
負担になることはできるだけ避けて、無理せず、のんびり過ごすようにしてください。
「どうしても忙しくしてしまう」「“ゆっくり過ごす”という考えに切り替えられない」場合は、できるだけ早く受診できるように、スケジュールを調整しましょう。
病院は何科?
精神面の症状が強く出ている場合 →「精神科」
体の不調を伴う場合 →「心療内科」
で受診するとよいでしょう。
※両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
受診時に医師に伝えること
体に出ている症状(頭痛・めまい・下痢など)
精神的な症状(すぐに悪い方に考えてしまう・人が悪口を言っているように聞こえるなど)
いつ頃から症状が気になるようになったか
毎日の睡眠時間
何か飲んでいる薬やサプリメントはあるか
ストレスになっている事柄
受診の際は上記の点を医師に伝えると、診察がスムーズに進むと考えられます。
精神科を探す
心療内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス 統合失調症