気にしすぎ・考えすぎるのは病気?不安神経症/強迫性障害/HSPの可能性も。

更新日:2023-03-06 | 公開日:2023-02-28
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気にしすぎ・考えすぎるのは病気?不安神経症/強迫性障害/HSPの可能性も。

色んなことを気にしすぎてしまう…。
これって何かの病気?

気にしすぎ・考えすぎの人に疑われる病気について、お医者さんに聞いてみました。

強迫性障害などの病気が隠れている可能性もあるので、心当たりのある症状がないかチェックしましょう。

監修者
経歴

佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。

美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。

精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。

気にしすぎ・考えすぎるのは病気?

医師男性

「気にしすぎる」「考えすぎる」からといって、一概に病気だとは言えません。
下記に該当する場合は、病気の可能性は低いと考えられます。

  • 不安や恐怖を感じる原因が明らか
  • 原因が解決すると気持ちが落ち着く
  • 生まれつき心配性な性格
  • 症状が1ヶ月以上続かない
  • 生活に支障が出ていない
  • 自分で考えて不安や恐怖をコントロールできる

ただし、こんな人は病気の可能性も

  • 毎日心配・不安・緊張を感じている
  • 人と話す・人前に出る等の場面で過剰に緊張する
  • 施錠を何度も確認したり、施錠後も不安で家に戻って再確認したりする
  • 外出が困難になる
  • 恐怖や不安を感じるような状況や場所を避けようとする
  • 仕事や学校等の日常生活に支障が出ている
  • 集中力が低下して、通常ならミスしない場面で失敗しやすい
  • 眠れない
  • 何度も手を洗う
  • 誰かに悪いことをしたのではないかと不安になる
  • 重い病気にかかっているのではないかと不安に思う

上記に心当たりがある人は、何らかの病気が隠れている可能性があります。

考えられる3つの病気

  1. 不安神経症
  2. 強迫性障害
  3. 社会不安障害(SAD)

気にしすぎたり、考えすぎたりする場合に疑われる病気として、上記の3つが挙げられます。

病気① 不安神経症

パニック

医師男性

不安神経症とは、不安を過剰に感じることで日常生活に支障をきたす状態です。
抑うつ状態などの精神症状や、倦怠感・不眠・動悸などの身体症状があらわれます。

原因ははっきりと解明されていませんが、過度なストレスや疲労がたまることで発症することがあります。
また、不安神経症は男性よりも女性に多いとされています。

不安神経症の症状

 

▼精神面の症状

  • 神経が敏感になる
  • 漠然とした不安に襲われる
  • 常に緊張状態
  • ソワソワする
  • イライラしやすい
  • 何度も同じ行動を繰り返す

▼身体面の症状

  • 筋肉の凝り
  • 動悸・息切れ
  • 胸の痛み
  • 頭痛
  • 腹部の違和感
  • 吐き気
  • 突然の発汗
  • 体の震え・しびれ
  • 不眠

など

不安神経症かも…対処法は?

医師男性
不安神経症が疑われる場合、一人で抱え込まずに病院で相談してください。
精神科」または「心療内科」で相談するとよいでしょう。

不安神経症は、時間の経過とともに自然治癒するケースは少ないと考えられています。

そのため、病院で治療を受けることをおすすめします。

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病気➁ 強迫性障害

強迫性障害

医師男性
強迫性障害とは、払いのけられない思考やイメージ(強迫観念)が何度も浮かび、同じ行動を繰り返すなどして、日常生活に支障をきたす病気です。

原因ははっきりと判明していませんが、脳の神経伝達物質が関係していると考えられています。

過度なストレスや生活環境の変化(転職・引っ越し・出産など)がきっかけで発症することも多いです。

また、男性は10歳以前に発症するケースが多く、女性は26~35歳で発症するケースが多いという特徴があります。

強迫性障害の症状

  • 病気になることを恐れて何度も手洗いをする(洗浄・不潔恐怖)
  • 施錠したか心配になり何度も確認する(確認強迫)
  • 車の運転中に人をひいてしまったのではと不安になり、現場に戻る(加害恐怖)
  • 計算が正しいか気になり何度も確認する(不完全恐怖)
  • 悪いことが起こるかもしれないと感じ、縁起がよいとされることを繰り返し行う(縁起強迫)

など

強迫性障害かも…対処法は?

医師男性

「ストレスを軽減させる」「環境を変える」などの対処で、自然に症状が改善するケースもあります。

ただし、放置していると悪化することもあるので、気になる症状がある場合は病院で相談してください。

強迫性障害が疑われる場合は、「精神科」や「心療内科」で受診することをおすすめします。

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病気③ 社会不安障害(SAD)

緊張

医師男性
社会不安障害(SAD)とは、過度な緊張を感じることで「震えて発言できない」「会話ができない」など、日常生活に支障が出ている状態です。

原因は明確には分かっていませんが、不安や恐怖を抑制する脳内の神経伝達物質のバランスが乱れ、神経が過敏になることが影響していると考えられています。

思春期に発症することが多く、心配性・完璧主義・責任感が強い・真面目な性格の人に発症しやすいです。

社会不安障害(SAD)の症状

  • 人と接する際や人前に出る際に過剰に緊張する
  • 他者からの視線を過剰に気にする
  • 視線を集めると緊張で発汗したり赤面したりする
  • 人との食事が苦手
  • 他者の前で文字を書く際に手が震えてしまう
  • 他者がいるトイレに入れない

社会不安障害かも…対処法は?

医師男性
社会不安障害が悪化すると、「うつ病」や「パニック障害」などを引き起こす恐れがあるため、一度病院で相談することをおすすめします。

社会不安障害が疑われる場合は、「精神科」や「心療内科」で受診してください。

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HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)の可能性も

医師男性
HSPとは、病気ではなく、「生まれつき感受性が強くて繊細」という特性を持つ人のことです。

このような特性を持つ人は、自己嫌悪を感じる機会が多かったり、周囲に合わせようと無理をしたりして、生きにくいと感じることがあります。

HSPの特徴

  • 物事を必要以上に考えてしまう
  • 過度に刺激を受けて疲労を感じやすい
  • 他人に共感しやすい
  • 普通は気付かないような少しの刺激に気付く
  • やるべきことがたくさんあると混乱状態になりやすい
  • 大きい音・強い光・強い香りが苦手
  • 痛みに敏感
  • 思慮深い
  • 急な変化に対応するのが苦手
  • 人とのコミュニケーションで疲れを感じやすい
  • 自己否定感が強い
  • 芸術作品に心を動かされる

HSPかも…対処法は?

  • 刺激が少ない環境で過ごす
  • 負担と感じる人と距離を置く
  • HSPについての理解を深め、考え方を変える
  • 自然体で過ごせる「信頼できる人」に話を聞いてもらう
医師男性

HSPが疑われる人は、上記の行動を心がけましょう。
環境や行動を変えることで、日常生活を送りやすくなる可能性があります。

しかし、「日常生活に支障が出ている」「つらく感じている」場合には、一度病院で相談してみることをおすすめします。

HSPで病院に行く際は、「精神科」や「心療内科」を受診するとよいでしょう。

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気にしすぎ・考えすぎで困っている場合は、一度病院へ

医師やカウンセラーのイメージ

医師男性

気にしすぎ・考えすぎることで、

  • 日常生活に支障が出ている
  • 生きにくさを感じている

という人は、躊躇せず一度病院で相談してみましょう。

何らかの病気が原因だった場合、放置していると「うつ病」や「パニック障害」などの二次障害を招き、さらにつらい症状に悩まされる可能性があります。

初めて精神科や心療内科を受診する際は不安になるかもしれませんが、風邪で内科を受診することと大きな違いはありません。
あまり気負わず受診してみてください。

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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。

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