色んなことを気にしすぎてしまう…。
これって何かの病気?
気にしすぎ・考えすぎの人に疑われる病気について、お医者さんに聞いてみました。
強迫性障害などの病気が隠れている可能性もあるので、心当たりのある症状がないかチェックしましょう。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
気にしすぎ・考えすぎるのは病気?
「気にしすぎる」「考えすぎる」からといって、一概に病気だとは言えません。
下記に該当する場合は、病気の可能性は低いと考えられます。
- 不安や恐怖を感じる原因が明らか
- 原因が解決すると気持ちが落ち着く
- 生まれつき心配性な性格
- 症状が1ヶ月以上続かない
- 生活に支障が出ていない
- 自分で考えて不安や恐怖をコントロールできる
ただし、こんな人は病気の可能性も
- 毎日心配・不安・緊張を感じている
- 人と話す・人前に出る等の場面で過剰に緊張する
- 施錠を何度も確認したり、施錠後も不安で家に戻って再確認したりする
- 外出が困難になる
- 恐怖や不安を感じるような状況や場所を避けようとする
- 仕事や学校等の日常生活に支障が出ている
- 集中力が低下して、通常ならミスしない場面で失敗しやすい
- 眠れない
- 何度も手を洗う
- 誰かに悪いことをしたのではないかと不安になる
- 重い病気にかかっているのではないかと不安に思う
上記に心当たりがある人は、何らかの病気が隠れている可能性があります。
考えられる3つの病気
気にしすぎたり、考えすぎたりする場合に疑われる病気として、上記の3つが挙げられます。
病気① 不安神経症
不安神経症とは、不安を過剰に感じることで日常生活に支障をきたす状態です。
抑うつ状態などの精神症状や、倦怠感・不眠・動悸などの身体症状があらわれます。
原因ははっきりと解明されていませんが、過度なストレスや疲労がたまることで発症することがあります。
また、不安神経症は男性よりも女性に多いとされています。
不安神経症の症状
▼精神面の症状
- 神経が敏感になる
- 漠然とした不安に襲われる
- 常に緊張状態
- ソワソワする
- イライラしやすい
- 何度も同じ行動を繰り返す
▼身体面の症状
- 筋肉の凝り
- 動悸・息切れ
- 胸の痛み
- 頭痛
- 腹部の違和感
- 吐き気
- 突然の発汗
- 体の震え・しびれ
- 不眠
など
不安神経症かも…対処法は?
不安神経症が疑われる場合、一人で抱え込まずに病院で相談してください。
「精神科」または「心療内科」で相談するとよいでしょう。
不安神経症は、時間の経過とともに自然治癒するケースは少ないと考えられています。
そのため、病院で治療を受けることをおすすめします。
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病気➁ 強迫性障害
強迫性障害とは、払いのけられない思考やイメージ(強迫観念)が何度も浮かび、同じ行動を繰り返すなどして、日常生活に支障をきたす病気です。
原因ははっきりと判明していませんが、脳の神経伝達物質が関係していると考えられています。
過度なストレスや生活環境の変化(転職・引っ越し・出産など)がきっかけで発症することも多いです。
また、男性は10歳以前に発症するケースが多く、女性は26~35歳で発症するケースが多いという特徴があります。
強迫性障害の症状
- 病気になることを恐れて何度も手洗いをする(洗浄・不潔恐怖)
- 施錠したか心配になり何度も確認する(確認強迫)
- 車の運転中に人をひいてしまったのではと不安になり、現場に戻る(加害恐怖)
- 計算が正しいか気になり何度も確認する(不完全恐怖)
- 悪いことが起こるかもしれないと感じ、縁起がよいとされることを繰り返し行う(縁起強迫)
など
強迫性障害かも…対処法は?
「ストレスを軽減させる」「環境を変える」などの対処で、自然に症状が改善するケースもあります。
ただし、放置していると悪化することもあるので、気になる症状がある場合は病院で相談してください。
強迫性障害が疑われる場合は、「精神科」や「心療内科」で受診することをおすすめします。
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2021-11-08
強迫性障害がつらい…。
「治療費はいくらかかる?保険適用?」
詳しい治療方法や、克服するためにできることをお医者さんに聞きました。
考え方次第で、早く治せるかもしれません。
「家族にできること」を本人が家族に強要して病状が悪化することもあるので、家族など周りの人も一緒に理解を深めましょう。
強迫性障害の治療方法
強迫性障害の治療は主に
投薬治療
認知行動療法
の二軸で行われます。
どちらか単独での治療よりも、2つを組み合わせた方がより効果が高まります。
一般的に「投薬治療」で不安感などの症状を落ち着かせてから、「認知行動療法」を併用することが多いです。
その① 投薬治療
強迫性障害の原因の1つと言われるセロトニン(※)の異常を調整する「抗うつ薬」を使用します。必要に応じて、不安をやわらげる「抗不安薬」を併用することがあります。
具体的な抗うつ薬の種類はデプロメール・ルボックス・パキシルなどです。
効果が出るまでに2週間から1ヶ月程度かかるため、自己判断で中断せずに医師の指示に従って服用してください。
※セロトニンとは
脳内で働く脳内神経物質の一種です。心の安定に関わっている物質なので、セロトニンが不足すると不安感や緊張感が強くなると考えられています。
「投薬治療」にかかる費用は?
多くの場合、保険が適用されます。
2週間、抗うつ薬が処方されたとして、初診代と薬代で3,000円前後、再診で2,000円円前後かかるとお考えください。(3割負担の場合)
その② 認知行動療法
ストレスや苦手なものに対して、うまく対応する方法を学ぶ治療法です。精神科医や臨床心理士などが患者さんの考え方のクセ・受け取り方を理解し、良い方向へ修正します。
強迫性障害は、薬による治療も行われることが多いですが、認知行動療法を組み合わせると、症状がさらに良くなるといわれています。
つらい症状をやわらげるだけでなく、再発の防止にもなります。
「認知行動療法」治療にかかる費用は?
医師が「治療が必要だ」と判断した場合、基本的に保険適用です。
保険診療の場合、3割負担では初診の診察代は2,000~3,000円前後で、再診は1,000~2,000円前後です。一般的には5~20回ほど、2~6ヶ月の期間で行うことが多いです。
認知行動療法に関しては、保険適用外であることも多く、1回3000~5000円前後で、30分~1時間ほどかかります。
※医療機関によって費用が異なるため、あらかじめ医療機関に問い合わせて確認しておくことをおすすめします。
「薬なし」で治すのは難しい?
お薬を使用せずに治すのは難しいです。
強迫性障害の患者さんは、うつ病を併っていることも多く、早く症状を安定させるためには、薬の使用をおすすめします。
ご自身が現在、どのような治療を受ける必要がある状態なのかを、専門医と相談してみると良いでしょう。
強迫性障害を治すコツはあるの?
治療から逃げ出さずに、気長に着実に取り組むことも大事です。
薬は症状が良くなるまでに時間がかかるものもあります。
大切なのは、自己中断せずに医師から処方された通りに薬を飲むことです。
日常生活で気をつけることは?
夜の睡眠時間を最低でも7時間は確保し、規則正しい生活を意識してください。
生活リズムが崩れると悪化しやすくなります。
可能な範囲で、仕事や学校と関わりを持ちましょう。
病気と向き合うことは大切ですが、病気しか向き合うことがないと、症状の悪化に繋がりかねません。
治療は「自分のペース」が大事です
早く治そうと焦ってしまうと、ストレスなどが増えて逆効果です。
強迫性障害は、症状が良くなったり、悪化したりを繰り返し、長期にわたって向き合わなければならないケースが多いのでご自身のペースで治療していきましょう。
ご自身にあった治療を受ければ、症状は良くなる可能性が高くなるということを、忘れないでください。
家族や周囲の人が意識すべきポイント
強迫性障害は家族も巻き込まれやすい病気ですが、患者さんに合わせすぎると共倒れしてしまいます。患者さんの主治医や臨床心理士に相談しながら進めていきましょう。
例えば、患者さんが家族に対して繰り返し同じ確認をするときには、確認行動は1回だけにする、などルールを決めて対応しましょう。
患者さん自身も、つらく、苦しんでいることを理解し、病気のことを責めないように心がけることが大切です。
患者さんとの接し方
患者さんの話を最後まで聞く
巻き込まれすぎない
言い合いをしない
感謝の言葉を口にする
褒める
焦らせない
否定しない
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省:強迫性障害
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター:認知行動療法とは
公益社団法人日本精神神経学会:松永寿人先生に「強迫性障害」を訊く
MSDマニュアル家庭版:強迫症(OCD)
一般社団法人日本うつ病センター(JDC):強迫性障害のくすり
病気③ 社会不安障害(SAD)
社会不安障害(SAD)とは、過度な緊張を感じることで「震えて発言できない」「会話ができない」など、日常生活に支障が出ている状態です。
原因は明確には分かっていませんが、不安や恐怖を抑制する脳内の神経伝達物質のバランスが乱れ、神経が過敏になることが影響していると考えられています。
思春期に発症することが多く、心配性・完璧主義・責任感が強い・真面目な性格の人に発症しやすいです。
社会不安障害(SAD)の症状
- 人と接する際や人前に出る際に過剰に緊張する
- 他者からの視線を過剰に気にする
- 視線を集めると緊張で発汗したり赤面したりする
- 人との食事が苦手
- 他者の前で文字を書く際に手が震えてしまう
- 他者がいるトイレに入れない
社会不安障害かも…対処法は?
社会不安障害が悪化すると、「うつ病」や「パニック障害」などを引き起こす恐れがあるため、一度病院で相談することをおすすめします。
社会不安障害が疑われる場合は、「精神科」や「心療内科」で受診してください。
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2022-10-28
最近、人と会うと緊張して話せない…。
もしかして、社会不安障害?病院に行くべき?
「社会不安障害」が疑われる人は、早めに病院を受診して医師に相談することをおすすめします。
代表的な症状を紹介するので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
社会不安障害かも…病院に行くべき?
「社会不安障害かもしれない」と自覚していて、
人前で極端に緊張してしまう
人とスムーズに会話ができない
家にこもりがちになる
など、日常生活に支障をきたす状態の人は、一度病院で相談してみましょう。
社会不安障害とは、「人前で話すこと」「人から注目されること」に強い不安を感じ、次第に人との会話や、人が多く集まる場所を避けるようになる病気です。
症状が進行すると、仕事や学校に行けなくなることもあります。
心当たりは?社会不安障害の「よくある症状」
人前に出ると、顔が赤くなる・顔が青くなる・口が渇く
大量に汗をかく
脈が速くなる
手や足が震える
吐き気がする
お腹が痛くなる
めまい
パニック発作を起こす
頭の中が真っ白になる
上記に2~3つほど当てはまる場合は、社会不安障害が疑われます。
何科へ行けばいいの?
精神的な症状が強い → 「精神科」
体の不調を伴う(腹痛・めまいなど) → 「心療内科」
というように、出ている症状にあわせて診療科を選ぶようにしましょう。
※両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
どちらの診療科でも、社会不安障害に対する薬物療法や精神療法の治療が受けられます。
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こんな症状は要注意!重症度チェックリスト
働くことができなくなった
買い物にも行けなくなった
人前で食事できない
電話に出ることができない
憂鬱な気分が続くなど、「うつ病」の症状が現れ始めた
自殺を考えるようになった
人前で字を書くのが苦痛になった
人前や人が集まる場所・状況を避けるようになった
上記の症状が出ている場合、社会不安障害の重症化が疑われます。
躊躇せず、早急に「精神科」「心療内科」を受診しましょう。
放置していると、家から一歩も外に出られなくなったり、「うつ病」や「パニック障害」を発症したりする恐れがあります。
また、社会不安障害は、早期に治療を開始できれば症状が改善しやすいですが、重症化すると慢性化しやすいと言われています。
早めに病院を受診しましょう。
病院では、心身の症状をもとに医学的に診てもらえるため、セルフチェックよりも確実性が高い診断が受けられます。
医師に症状を伝えるポイント
特に悩んでいる症状
症状が出始めた時期
家族関係や仕事で悩んでいること
今までにかかったことがある病気
生活リズムについて(睡眠・食事・運動習慣の有無など)
現在、飲んでいる薬
飲酒・喫煙の習慣について
受診の際は上記の点を医師に伝えると、診察がスムーズに進むと考えられます。
病院では、どんな治療をするの?
精神科・心療内科では、社会不安障害の治療として、
薬物療法
カウンセリング
認知行動療法
対人関係療法
社会不安障害アサーショントレーニング
などが行われます。
治療法① 薬物療法
薬を使用することにより、不安や緊張を軽くする治療です。
不安を軽くして緊張をほぐしてくれる「抗不安薬」、交感神経のたかぶりを抑えてくれる「βブロッカー」、不安や恐怖を和らげる「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」などが用いられます。
保険が適用されるかどうかは、使用する薬によって変わってきます。
▼保険が適用される薬の例
レクサプロ(SSRI)
デプロメール(SSRI)
ルボックス(SSRI)
▼保険が適用されない薬の例
βブロッカー
リボトリール(抗不安薬の一種)
治療法➁ カウンセリング
カウンセラーとコミュニケーションをとりながら、自分の考え方や行動を振り返り、「なぜ社会不安障害を発症したのか」という問題を探ります。
社会不安障害では、自分に自信が持てない人が多いですが、カウンセラーと話し合う中で、自己評価を再び高めていきます。
治療の一環として医師が行うカウンセリングは、保険が適用されます。
ただし、公認心理士などの医師以外の専門家が行うカウンセリングの場合、一般的に保険は適用されません。
治療法③ 認知行動療法
認知行動療法とは、医師やカウンセラーと面談する中で、自分の考え方や物事の捉え方の癖に気付き、修正していく治療法です。
不安や緊張などのストレスを、うまく自分で対処できるようになるため、病気の改善に役立ちます。
認知行動療法には、保険が適用されます。
治療法④ 対人関係療法
対人関係療法とは、対人関係を築く練習をすることで、自分をコントロールする方法を身につけ、不安の解消を目指す治療です。
何度か面接を行い、対人関係が社会不安障害の症状にどのような影響を及ぼしているか理解していきます。
その上で、ロールプレイによって解決策を探り、対人関係の問題を改善していきます。
対人関係療法には、保険が適用されません。
治療法⑤ 社会不安障害アサーショントレーニング
社会不安障害アサーショントレーニングとは、相手も自分も大切にした上で、自分の気持ち・考えを相手に伝えるスキルを身につける、心理療法の一種です。
治療では、ロールプレイで実際に人と関わって、伝えたいことを話す練習をします。
自己表現ができるようになることで、人間関係におけるストレスが減り、自分に自信が持てるようになるため、社会不安障害の改善に役立ちます。
病院にもよりますが、診療の一環として、医師の診察と併せてトレーニングを受ける場合、保険が適用されます。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省:不安障害
公益社団法人日本精神神経学会:永田利彦先生に「社交不安障害/社交不安症」を訊く
地域精神保健福祉機構:認知療法・認知行動療法(医師)
厚生労働省 こころの耳:Q5:カウンセリング効果の実際は?
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)の可能性も
HSPとは、病気ではなく、「生まれつき感受性が強くて繊細」という特性を持つ人のことです。
このような特性を持つ人は、自己嫌悪を感じる機会が多かったり、周囲に合わせようと無理をしたりして、生きにくいと感じることがあります。
HSPの特徴
- 物事を必要以上に考えてしまう
- 過度に刺激を受けて疲労を感じやすい
- 他人に共感しやすい
- 普通は気付かないような少しの刺激に気付く
- やるべきことがたくさんあると混乱状態になりやすい
- 大きい音・強い光・強い香りが苦手
- 痛みに敏感
- 思慮深い
- 急な変化に対応するのが苦手
- 人とのコミュニケーションで疲れを感じやすい
- 自己否定感が強い
- 芸術作品に心を動かされる
HSPかも…対処法は?
- 刺激が少ない環境で過ごす
- 負担と感じる人と距離を置く
- HSPについての理解を深め、考え方を変える
- 自然体で過ごせる「信頼できる人」に話を聞いてもらう
HSPが疑われる人は、上記の行動を心がけましょう。
環境や行動を変えることで、日常生活を送りやすくなる可能性があります。
しかし、「日常生活に支障が出ている」「つらく感じている」場合には、一度病院で相談してみることをおすすめします。
HSPで病院に行く際は、「精神科」や「心療内科」を受診するとよいでしょう。
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2022-11-24
HSPかもしれないけど、病院に行くべき?
何科で相談できる?
HSPが疑われる人は病院に行くべきか、お医者さんに聞きました。
受診の目安となる症状や、おすすめの診療科も紹介します。
HSPかもしれない…病院に行くべき?
HSPは、その人が生まれ持った気質であり、治療する対象ではありません。
そのため、自分が「HSPかもしれない」というだけで、病院を受診する必要はないでしょう。
HSP(Highly Sensitive Person)とは、「非常に敏感な人」を意味しており、生まれ持った「気質」を表す心理学の言葉です。
病気や障害を表す医学的な診断名ではありません。
最近では、書籍やネット上のチェックリストによって、自分を「HSP」だと自己診断されている方も多いですが、それらには明確な根拠がないケースもあります。
一方で、自分がHSPであると認識して安心感を得たり、同じように悩む人の存在を励みにできたりするという価値もあると考えられます。
「HSP」には、どんな特徴があるの?
HSPの人は、脳の扁桃体(恐怖・不安などの感情に関わる部位)が過剰に働くことで、恐怖や不安を感じやすいと考えられています。
そのため、大きな音や光が苦手であったり、他人の気持ちに振り回されて人間関係に疲れやすかったりすると言われています。
ただし、こんな症状が出たら病院へ
夜、眠れない状態が2週間以上続いている
職場や学校に通えなくなった
1日中、気分が憂うつ
他人の言動に左右されやすく、極度に対人関係に疲れを感じている
家以外の場所では、常に緊張状態である
刺激から逃げたくなり、引きこもりたくなることがある
上記の症状に心当たりがある場合は、病院で相談してみましょう。
HSPの繊細な特性が原因で、疲れやストレスが蓄積することで、これらの症状が現れている可能性があります。
この状態を放置していると、本来持っている能力を仕事や日常生活で発揮できなくなり、「うつ病」「適応障害」「不安障害」などの病気につながる可能性があります。
また、ストレスが蓄積した状態が慢性化するため、体の不調が続く恐れもあります。
精神科と心療内科、行くならどっち?
精神的な症状が強い 場合は「精神科」、体の不調を伴う(頭痛・腹痛など) 場合は「心療内科」で受診するとよいでしょう。
※両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
精神科は、心の病気そのものを治療する診療科です。
一方、心療内科は、さまざまなストレスに対して現れる体の症状に対して治療を行います。
症状がなくても、HSPの相談はできる?
先に挙げた症状がない場合でも、HSPの相談ができる病院はあります。
最近では、HSPに特化した外来診療や、臨床心理士・公認心理士によるカウンセリングを行っている病院も増えています。
ただし、これらの対応はどこの病院でも受けられるわけではないので、事前に病院に問い合わせておくといいでしょう。
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病院ではどんな治療をするの?
病院では、まず「うつ病」や「不安障害」などの病的な要因がないかを見極めます。
その上で、症状に応じて、
カウンセリング
薬を使った治療
TMS治療(磁気刺激治療)
といった治療を行うことがあります。
治療法① カウンセリング
うつ病や不安障害などの病的な要因がない場合は、カウンセリングを通して、自身の繊細な特性を知ったり、自分の強みを見つけたりしていきます。
特に、自己肯定感が低下しているために、生きづらさを感じている人を対象に行われることが多いです。
自分自身のことを見つめ直し、繊細な特性を受け入れることで、生活が送りやすくなるため、症状の緩和につながります。
保険は適用される?
保険は適用されません。
病院にもよりますが、カウンセリングの費用は1万円~1万5千円前後であることが多いです。
治療法➁ 薬を使った治療
HSPによって、
過度な緊張・不安・不眠を生じている
「うつ病」などの病気を合併している
場合には、それらの症状を和らげる薬を使って治療します。
薬はあくまで補助的に使い、心理療法も併せて行われることが多いです。
なお、薬を飲むことに不安を感じて、さらに不安感やうつ症状が現れる人もいます。
また、薬の副作用を感じることもあります。
保険は適用される?
保険は適用されません。
自由診療の場合、薬を使う治療の費用は5千円~6千円前後であることが多いです。
※「うつ病」の治療として薬を使用する場合には、保険が適用されることもあります。
治療法③ TMS治療(磁気刺激治療)
脳に、磁気による刺激を与える治療法です。
病院にもよりますが、1回5~20分程度、週に2~5日継続して行います。
TMS治療は、副作用がほとんどないため、薬の副作用を受けやすい人に特に向いています。
磁気の刺激により脳の血流を増やすことで、脳の機能を活性化させ、うつ症状やHSPの特性による諸症状を和らげます。
保険は適用される?
保険は適用されません。
自由診療の場合、病院にもよりますが、20~30回の治療で、10万円~60万円程度の費用がかかります。
※「うつ病」の治療として磁気刺激治療が行われる場合は、保険が適用されることもあります。
診察時の症状の伝え方
自分をHSPだと思うようになったキッカケ
どのような方法で、自分はHSPだと判断したのか
特に、どのような症状に悩んでいるか
症状が出始めた時期
どんな時に、症状が強くなるのか
食事や睡眠の状況について
これまでにかかったことがある病気の有無
喫煙・飲酒の状況について
受診の際は上記の点を医師に伝えると、診察がスムーズに進むと考えられます。
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心療内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
社会福祉法人恩賜財団済生会:音や光がすごく気になる…過敏なあなたは「HSP」かも
沢井製薬株式会社:心が疲れやすくて生きづらい…それは「HSP」かもしれません
気にしすぎ・考えすぎで困っている場合は、一度病院へ
気にしすぎ・考えすぎることで、
という人は、躊躇せず一度病院で相談してみましょう。
何らかの病気が原因だった場合、放置していると「うつ病」や「パニック障害」などの二次障害を招き、さらにつらい症状に悩まされる可能性があります。
初めて精神科や心療内科を受診する際は不安になるかもしれませんが、風邪で内科を受診することと大きな違いはありません。
あまり気負わず受診してみてください。
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2023-01-30
ついつい物事を深く考えすぎてしまう…。
もしかして病気が原因?
「物事を深く考えすぎる」場合に疑われる病気を、お医者さんに聞いてみました。
不安神経症などの病気が潜んでいる恐れもあるので、症状に心当たりがないかチェックしましょう。
深く考えすぎてしまう…まさか病気?
いつも、物事を深く考えすぎてしまいます…。これって病気なのでしょうか?
必ずしも病気とは限りません。日常生活に支障が出ないのであれば、病気の可能性は低いでしょう。
ただし、「物事を深く考えすぎる」ことに加えて、次の症状に心当たりがある場合は、何らかの「心の病気」が疑われます。
仕事や学校に行けない
外出できない
電車に乗れない
家事が手につかない
不安な気持ちが一日中続く
眠れない日が続く
落ち着きがなくなる
人前に出ると極度の緊張や不安を感じる
考えられる2つの病気
不安神経症
適応障害
「物事を深く考えすぎてしまう」場合に疑われる病気として、上記の2つが挙げられます。
それぞれの主な症状を紹介するので、当てはまるものがないかチェックしてみてください。
病気① 不安神経症
不安神経症とは、過度な不安や心配を抱くことで、日常生活に支障をきたす病気です。
特定の場所や状況(人前に出るときなど)で、症状が出やすいという特徴があります。
自律神経が乱れることで、頭痛・めまい・動悸といった症状が出現する場合もあります。
不安神経症の主な症状
落ち着きがない
イライラしやすい
不眠
頭痛
めまい
動悸
など
どんな人がなりやすい?
真面目
責任感が強い
心配性
完璧主義
負けず嫌い
上記に当てはまる人は、不安神経症になりやすいと考えられています。
また、若い女性に多くみられるという特徴もあります。
不安神経症かも、と思ったら
不安神経症が疑われる場合は、「精神科」または「心療内科」で相談しましょう。
適した治療を行うことで、症状を早く和らげることができます。
放置すると、「うつ病」などの精神疾患を発症するリスクが高まります。
なお、不安神経症の人は、そうではない人に比べて、うつ病を発症する可能性が2倍程度高くなるといわれています。
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病気➁ 適応障害
適応障害とは、特定のストレスによって、心身に不調をきたす病気です。
個人差が大きいですが、「気分が落ち込む」「考えこみすぎて涙が出る」場合もあります。
適応障害は、環境を変えるなどしてストレスの原因から離れると、6ヶ月以内に症状がなくなるという特徴があります。
適応障害の主な症状
気分の落ち込み
不安感
感情の高ぶり
集中力の低下
めまい
動悸
不眠
など
どんな人がなりやすい?
真面目
責任感が強い
几帳面
完璧主義
心配性
他人からの評価が気になる
人に頼ることが苦手
適応障害かも、と思ったら
適応障害は自分で根本的に症状を軽くすることが難しいため、病院に行きましょう。
「精神科」または「心療内科」で相談してください。
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HSPの可能性も
病気を疑ってしまうほどに「物事を深く考えすぎる」場合、HSP(※)の特性を持っている可能性があります。
HSPは病気ではないですが、さまざまな刺激に反応しやすく、物事を深く考えてしまいがちです。
※HSP(Highly Sensitive Person)とは、生まれつき脳の扁桃体の働きが強く、脳内の神経が高ぶりやすい体質のことです。病名ではありません。
HSPの特徴
感受性が強い
緊張しやすい
音楽や美術に心を動かされやすい
幼少期に周囲から「繊細」「人見知り」だと言われていた
大きな音や明るい光が苦手
HSPかも、と思ったら
日常生活で生きづらさを感じる場合は、一度「精神科」または「心療内科」で相談してみてもよいでしょう。
HSP自体は病気ではありませんが、病院で診てもらった結果、「不安神経症」「適応障害」などの診断を受けるケースもあります。
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考え方を変えたい!軽く受け止める方法は?
物事を深く考えすぎないようにするには、
気分転換をして注意をそらす
毎日20~30分ほど運動する
考え事を紙に書き出す
といった対処法が効果的です。
対処法① 気分転換をして注意をそらす
考え込んでしまうときは、映画を観たり音楽を聴いたりして、注意をそらしましょう。
気分転換することで、物事を軽く受け止められるようになることがあります。
対処法② 毎日20~30分ほど運動する
ジョギング
ウォーキング
などの運動を、1日20~30分程度でいいので継続して行いましょう。
運動することによって心が安定し、気持ちが前向きになるため、考え事を軽く受け止めやすくなるでしょう。
対処法③ 考え事を紙に書き出す
深く考え込んでしまうことを、具体的にノートに書き出しましょう。
自分の思考や不安なことを客観視することにつながるため、落ち着いて不安に向き合うことができます。
考えすぎてつらいときは、病院で相談しよう
深く考え込んでしまうことでつらいと感じている場合は、病院で相談してみましょう。
「精神科」または「心療内科」で相談することをおすすめします。
物事を深く考えすぎることは、「慎重に行動できる」「人の気持ちを考えて行動できる」という側面もあるため、デメリットばかりではありません。
自分とうまく向き合うためにも、まずは病院で相談してみてください。
病院ではどんな治療が受けられる?
病院では一般的に、「カウンセリング」を受けられます。
病気の診断を受けた場合は、「薬物療法」が行われることが多いです。
カウンセリングは、医師や臨床心理士と話すことで、思考や行動を改善したり、新しい視点を得られたりする可能性があります。
薬物療法では、「抗うつ薬」などの薬を飲むことで症状の改善を図ります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
MSDマニュアル家庭版:不安症の概要
MSDマニュアル家庭版:適応障害
厚生労働省:若者のためのメンタルヘルスブック
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。