「異常な空腹感がある…」
「これって何が原因なの?」
異常な空腹感の原因は「低血糖」かもしれません。
低血糖になりやすい行動や、改善方法についてお医者さんが解説します。
病院で治療したほうがよい目安もチェックしましょう。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
異常な空腹感の原因は「低血糖」かも!
異常な空腹感を感じるのは、血糖値が異常に低下した「低血糖」になっていると考えられます。
インスリンというホルモンの効きが良すぎると、血糖値が急激に下がり、低血糖となります。
低血糖の症状が食後に起こる場合、「血糖値スパイク」という血糖値の急激な上昇と下降が起こっている可能性が高いです。
また、糖尿病の初期症状で、インスリンの分泌が遅れることで低血糖が起こるケースもあります。
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2022-01-14
「倦怠感と空腹感がある…」
「健康な人でも、低血糖になるの?」
「低血糖になりやすい人」の特徴をお医者さんに聞いてみました。
疑われる病気、予防のための対処法なども詳しく解説します。
「健康なのに…なぜ?」低血糖になりやすい人の特徴
糖質を過剰に摂取している
ビタミン・ミネラルの摂取量が不足している
日常的にお酒を飲んでいる
といった人は、特に疾患がなくても低血糖を引き起こすことがあります。
その① 糖質を過剰に摂取している
糖質(特に精製糖)を過剰に摂取する生活を続けていると、膵臓に多大な負担が掛かって、低血糖になる場合があります。
その② ビタミン・ミネラルの摂取量が不足している
ビタミン・ミネラルが不足すると、体の代謝が悪くなって低血糖を起こしやすくなると考えられています。
その③ 日常的にお酒を飲んでいる
アルコールで肝機能が悪くなると、肝臓から「ブドウ糖の放出」が行われなくなって、低血糖を引き起こすこともあります。
低血糖になりやすいタイミング
通常よりも運動量が多い
空腹状態で激しい運動をする
風邪等の体調不良で食事が摂れない
入浴後
等が挙げられます。
低血糖の症状セルフチェック
異常な空腹感
倦怠感
動悸、脈が速くなる
熱感
手指のふるえ
冷や汗、顔面蒼白
吐き気
不安感
上記は血糖値60mg/dL以下になると現れる症状です。
当てはまる人は低血糖の状態が疑われます。
要注意!「重度の低血糖」が疑われる症状
重度の低血糖になると、脳に悪影響を及ぼすようになります。
次の症状に当てはまる人は、早急な受診が必要です。
▼中枢神経症状(血糖値45mg/dL以下)
眠気、生あくび
頭痛、めまい
脱力感
集中力低下
物が見えにくい
▼大脳の機能低下による症状(血糖値30mg/dL以下)
意識が朦朧とする
異常行動
痙攣
昏睡状態
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低血糖を「予防」するには?
低血糖の予防には、
バランスの良い食事を摂る
毎日継続して運動する
といった方法が効果的だと考えられます。
その① バランスの良い食事を摂る
欠食せずいつも同じ時間に食事を摂るようにしましょう。
炭水化物を摂取する前に、食物繊維を豊富に含む食品や低GI食品を摂るとよいでしょう。
血糖値の急激な上昇を抑える「食物繊維」や、消化に時間を要する「タンパク質」を摂取すると、低血糖の予防に有効と考えられています。
食物繊維を豊富に含む食品
キノコ類、野菜類、海藻類 等
低GI食品
玄米、魚介類、肉類、海藻類、キノコ類、野菜類、大豆 等
その② 毎日継続して運動する
ウォーキングや腹筋等の運動を毎日継続して行いましょう。
運動により「インスリン受容体数」と「インスリン感受性」の改善が期待できるため、低血糖の予防に有効と考えられています。
低血糖になってしまったときの「応急対処」
低血糖になってしまったときは、ブドウ糖を10g、もしくは砂糖を20g(ブドウ糖の倍)摂取することで、症状を緩和することができます。
ブドウ糖がすぐに用意できない場合は、砂糖を含んでいる清涼飲料水を150~200ml程度摂取してください。
※人工甘味料では血糖値を上げられないため注意してください。
「よく低血糖を引き起こす」のに放置すると…
低血糖を治療や対処などを行わずに放置すると、低血糖が頻繁に起こるようになります。
低血糖が頻繁に起こると、日常生活に支障が出たり、低血糖の陰に隠れている疾患を見逃してしまいます。
低血糖に“病気”が隠れていることも…
アレルギー性疾患
貧血
甲状腺機能障害
などが原因で、低血糖の状態の陥るケースもあります。
病気① アレルギー性疾患
喘息
アトピー性皮膚炎
慢性関節リウマチ
アレルギー性鼻炎
などを患っていると、低血糖の状態を招きやすいです。
アレルギー症状があると、体は副腎からコルチゾール(※)を分泌して、炎症を抑えようとします。
これにより体内のコルチゾールが不足すると、血糖をコントロールできず低血糖になるケースもあります。
(※)コルチゾール…抗炎症作用のあるホルモン。体内の血糖値を上げる役割も担っている。
こんな症状は「アレルギー」かも
咳が出る
皮膚のかゆみ、発疹
関節の腫れ、痛み
鼻水、鼻づまり
症状を和らげる「対処法」
十分な睡眠時間を確保する
バランスの良い食事を摂る
アルコールを控える
喫煙者は禁煙する
タンパク質を補給する(ホルモン産生のもとになる)
病気② 貧血
貧血とは、血液中の「ヘモグロビン」が不足して、全身に酸素が届きにくくなる状態です。
酸素不足によって腸粘膜の再生が遅れ、食べ物の消化・吸収が悪くなると、低血糖を起こす場合があります。
こんな症状は「貧血」かも
疲れやすい
めまい
立ちくらみ
息切れ
集中力低下
呼吸が不安定になる
頭痛
胸痛
症状を和らげる「対処法」
鉄分を豊富に含む食品を積極的に摂取する(レバー、豚肉、小松菜、ひじき等)
野菜(ビタミン、ミネラル)、肉類(タンパク質)をバランス良く摂取する
過度の食事制限をしない
病気③ 甲状腺機能障害
甲状腺機能亢進症や、甲状腺機能低下症といった甲状腺機能障害によって、低血糖の症状があらわれることがあります。
▼甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで発症します。
代表的な疾患はバセドウ病です。
消化管の蠕動運動が亢進され、腸からの糖の吸収が促進されると、食後の過血糖が起こり、その反動で低血糖状態になると考えられています。
▼甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が不足することで発症します。
橋本病が原因になるケースが多いです。
糖の吸収障害が起こると、低血糖になるケースがあります。
症状の特徴
▼甲状腺機能亢進症の症状
全身倦怠感
体重減少
多汗
動悸、不整脈
口の渇き
甲状腺腫脹
集中力低下
頭痛
蕁麻疹
▼甲状腺機能低下症の症状
むくみ
めまい
息切れ
徐脈
関節痛
便秘
甲状腺腫脹
気分の落ち込み
眠気
頭痛
症状を和らげる「対処法」
1日3回食事を摂る
バランスのよい食事を摂る
アルコール、清涼飲料水の摂取を控える
など
体調不良が続いている方は、一度受診を!
慢性的に体調不良が続いている
毎食後に倦怠感が生じる
動悸・頻脈・低血糖が繰り返し起こる
等の症状が出現している場合は、早めに病院を受診してください。
病院は何科に行けばいい?
低血糖で医療機関を受診する場合、内科の受診をおすすめします。
診察の際には、
いつから症状が出ているか
出現している症状
症状が出現するタイミング
既往歴
などを伝えると、診察がスムーズに進みます。
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低血糖の治療法
薬物療法(点滴、注射、点鼻薬、服用薬等)
生活指導(食生活の改善等)
等の治療が行われるケースが多いです。
低血糖を引き起こしている疾患がある場合は、その疾患に対する治療が行われるケースもあります。
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▼参考
国立研究開発法人国立がん研究センター 貧血
日本糖尿病協会 低血糖チェックシート
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター 低血糖
カンロ株式会社 低血糖は怖い? 改めてわかる糖の重要性とは
厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 低血糖
【セルフチェック】低血糖の症状リスト
次の症状が1つでも頻繁に起こる場合は、低血糖になっている疑いがあります。
はやめに医療機関を受診しましょう。
- 異常な空腹感がある
- 動悸がする
- 手指が震える
- めまいがする
- 集中力が低下する
- 脱力感や倦怠感が起きる
- 疲れやすくなる
- 眠くなる
- 意識が低下する
- 冷や汗が出る
低血糖はこんな人にも起こりやすい
- 糖尿病の治療薬を使っている人
- 膵臓の腫瘍(インスリノーマ)ができている人
要注意!「低血糖になりやすい」2つの行動
- 炭水化物の多い食事を摂る
- ストレスを溜めこんでいる・睡眠不足
といった行動は、低血糖を引き起こして異常な空腹を感じさせるきっかけになります。
その① 炭水化物の多い食事を摂る
糖質を過剰摂取すると、血糖値が急激に上がります。
その反動で膵臓から大量のインスリンが分泌されることで、血糖値が急激に下がってしまいます。
特に空腹時に摂取すると、より血糖値スパイクを起こしやすくなってしまいます。
その② ストレスを溜めこんでいる・睡眠不足
ストレスや睡眠不足は「血糖値を上昇させるホルモン」の分泌を促すため、血糖値スパイクの原因となります。
異常な空腹感「どう対処すればいい?」
低血糖で異常な空腹を感じたときは、安静にして過ごしましょう。
血糖値スパイクであれば、食後数時間たつと正常な値に戻り、症状が落ち着いてきます。
低血糖を「改善するためにできること」
低血糖による異常な空腹を防ぐため、
- バランスの良い食事を摂る
- 食べる順番を工夫する
- 1日3食を心がける
といった行動を心がけるとよいでしょう。
その① バランスの良い食事を摂る
主食、主菜、副菜の揃ったバランスの良い食事を摂るようにしましょう。
食事の栄養バランスが整うことで、糖質の過剰摂取の抑制となります。
また、糖の吸収をゆるやかにする水溶性食物繊維や、低GI食品を意識して摂ることで、血糖値の急上昇を抑えられ、その結果低血糖も予防できます。
水溶性食物繊維が豊富な海藻を、食事の最初にとりましょう。
バランスが偏ると、主食の割合が大きくなり、糖質の過剰摂取に繋がります。
炭水化物は、玄米や雑穀米、ブランパンなどの低GI食品を選ぶようにしてください。
その② 食べる順番を工夫する
副菜→主菜→主食の順で、よく噛んでゆっくり食べましょう。
食べる順番を工夫することで、血糖値が急上昇しにくくなります。
最初に海藻類を食べると、海藻に含まれる水溶性食物繊維が糖質の吸収をゆるやかにしてくれます。
また、適度な満腹感をえられ、主食の量を無理なくボリュームダウンでき、糖質の過剰摂取を抑えることができます。
その③ 1日3食を心がける
欠食をして次の食事までの時間が大きく空くと、空腹での食事となり、血糖値が急激に上昇しやすくなります。
食事は毎日同じ時間に1日3食摂るようにしましょう。
「病院で治療したほうがよい」目安
こんな症状は要注意!
- 疲れやすい
- 喉が渇き、水分をよく飲む
- 頻尿
- 食べているのに体重が減る
- 傷が治りにくい
- 目がかすむ
- 男性の場合、性機能の異常(ED)
異常な空腹感に上記の症状を伴う場合、糖尿病が疑われるため病院の受診をおすすめします。
糖尿病の合併症には、神経障害・網膜症・腎障害などがあります。
悪化すると失明や、動脈硬化による心臓病や脳卒中のリスクも高くなるため、早めの治療が大切です
病院は何科?
低血糖で医療機関を受診する場合、内科を受診しましょう。
受診の際には
- いつから症状が始まったのか
- どのような症状があらわれるのか
- 毎日の食べ物の摂取量
- ストレスの有無
- 睡眠の状況
- 体調の変化
などを整理して伝えると、診察がスムーズに進みます。
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低血糖は治るの?どんな治療をするの?
食事の取り方による血糖値スパイクであれば、医師の指導により改善する可能性があります。
この場合は、血糖値をコントロールするための食事指導や、毎日の適度な運動により血糖値を正常に保つことを図ります。
また、糖尿病を発症している人には、薬の処方やインスリンを補う注射で治療をします。
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2022-11-29
空腹で頭痛がするのはなぜ?
糖分を取ると治る気がする…。
「空腹で頭痛がする」原因をお医者さんに聞きました。
頭痛がした際に、痛みを緩和する対処法や、予防方法についても紹介します。
なぜ?空腹で頭痛が生じる原因
空腹で生じる頭痛は、血糖値の低下が原因と言われています。
血糖値とは、血液の中のブドウ糖の濃度です。
血糖値が低くなると、脳がエネルギー補給を求めてアドレナリンなどのホルモンを分泌します。その過程で脳内の血管が拡張して頭痛が起きます。
血糖値が低下すると、頭痛だけでなく、めまいや吐き気、冷や汗などの症状があらわれるケースもあります。
さらに血糖値が低下すると、意識を失ってしまうこともるため、注意が必要です。
空腹による頭痛は糖分をとって抑えよう
空腹による頭痛をすぐに和らげるには、糖分を摂取して血糖値を上げるのが効果的です。
ブドウ糖や飴などを食べるようにしましょう。
空腹で頭痛が起きたときに「やってはいけないこと」
空腹時に、飲酒・運動・入浴といった行動は控えましょう。
低血糖を促進させ、頭痛を悪化させるおそれがあります。
低血糖を予防しよう!4つの習慣
空腹による頭痛予防のために、
規則正しい食生活を心がける
過度なダイエットを控える
硬度の高いミネラルウォーターを摂取する
お酒を飲むときは食事も一緒にとる
などを心がけるとよいでしょう。
① 規則正しい食生活を心がける
毎日、朝・昼・晩とある程度時間を決めて、規則正しく食べることで、血糖値を安定しやすくなります。その結果、頭痛の予防になります。
② 過度なダイエットを控える
ダイエットで過度な食事制限や激しい運動をしていると、低血糖状態になりやすいです。
極端に食べる量を減らすことは避けましょう。また、頭痛を感じたときは、無理せず休憩をとってください。
偏った食事は基礎代謝の低下にも繋がるので、主食・主菜・副菜のバランスがとれた食事をおすすめします。
また、ダイエット中は心身ともにストレスがたまりやすくなります。過剰にストレスがかかると、「緊張性頭痛」を引き起こす原因にもなります。
健康的に痩せるためにも、頭痛を感じたら少し休んだりするなどして、心身に負担がかかりすぎていないか定期的に見直しましょう。
③ 硬度の高いミネラルウォーターを摂取する
硬度の高いミネラルウォーターを、1日にコップ1~2杯程度、常温に近い温度で飲むようにしましょう。
硬水系のミネラルウォーターには、脳血管を安定させる「マグネシウム」を多く含むため、頭痛の緩和をサポートすると考えられています。
また、冷水は体の深部を冷やして血流を悪くする可能性があるので、頭痛の悪化に繋がります。そのため、常温で飲むことをおすすめします。
④ お酒を飲むときは食事も一緒にとる
空腹時にお酒を急に飲むと、血中アルコール濃度が急上昇して、頭痛を引き起こします。
食事をしながらお酒を飲む
お酒を飲む前にスープを飲む
などを心がけると、胃粘膜が保護されてアルコールの急速な吸収を防げるため、頭痛の発生を抑えられます。
また、自分にとって適量である飲酒量を把握するようにしましょう。
アルコールが適量であったかどうかの目安は、飲んだ翌朝に頭痛などがなく、体調が普段通り良好であることです。
病院で相談する目安
空腹時の頭痛を頻繁に繰り返す
めまいやしびれなどの症状がある
という場合には、脳神経内科で相談しましょう。
症状を放置していると、頭痛症状を悪化させる可能性もあります。
また、頭痛以外の症状が併発している場合、脳疾患が影響しているおそれもあります。
重い病気を見逃さないためにも、症状がひどい場合には、無理せずに医療機関で相談してください。
脳神経内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
1)Takeshima T, et al. Population-Based Door-to-Door Survey of Migraine in Japan: The Daisen Study. Headache. 2004;44:8-19
DOI https://headachejournal.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1526-4610.2004.04004.x
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