季節の変わり目、特に秋は風邪を引きやすいと感じる人が多いようです。
「季節の変わり目は必ず風邪を引いてしまう…」という人もいるほど。これはなぜなのでしょう?
原因と予防法を知って、長引く風邪に悩まされないようにしっかり対策しましょう。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
季節の変わり目に風邪を引く理由
秋や春に必ず風邪を引いてしまうのはなぜ?
- 気温差
季節の変わり目は、朝、日中、夜の気温差が大きくなりますよね。
寒暖差が大きくなると、体温調節がむずかしくなり、体調を崩す要因になる場合があります。
- 自律神経のバランスが乱れる
自律神経とは、体のいろんな調節をしている神経で、交感神経と副交感神経があります。
寒い季節が近づくと、交感神経が優位になり、血圧を上昇させ、体温を上げて寒さに対応しようとします。一方、温かい季節が近づくと、副交感神経が優位になり、血圧を下降させ、体温を下げて暑さに対応しようとします。
季節の変わり目の時期は、この調節が行われる切り替えのタイミングのため、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
そうすると、気温の変化等に身体がうまく対応できず、体調を崩し、風邪をひいてしまうのです。
くしゃみ、鼻水が出ていても風邪じゃないケースも!
- 寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)
気温差(寒暖差)により、鼻水やくしゃみが止まらなくなる状態です。
気温差以外にも、自律神経の乱れ、寝不足、ストレス等が原因で起こると考えられています。
- 副鼻腔炎、気管支喘息など
季節の変わり目に風邪症状(せき、くしゃみ等)が長引く場合は、ただの風邪ではなく、副鼻腔炎や気管支喘息、花粉等のアレルギー疾患等の可能性があります。
症状が1週間以上続く場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
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副鼻腔炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
副鼻腔炎の主な症状も紹介するので、「副鼻腔炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしましょう。
副鼻腔炎とは
副鼻腔炎とは、副鼻腔(鼻の奥にある空洞)や鼻の粘膜に、細菌やウイルスが侵入し、炎症が起こる病気です。
副鼻腔に膿が溜まったり、腫瘍が発生したりすることで、目の下の骨に痛みが生じることがあります。
副鼻腔炎の症状
鼻がつまる
黄色や緑色の鼻水(膿性鼻水)が出る
発熱する
痰がからむ咳が出る
ほほ、おでこに痛みが出る
頭が痛い
目が痛い
歯が痛い
副鼻腔炎の原因
副鼻腔炎にかかる原因としては、下記が挙げられます。
風邪
ハウスダスト
花粉
カビ
風邪以外の原因に関しては、それらが鼻から入って副鼻腔にまで侵入し、炎症を起こして鼻水が臭うこともあります。
副鼻腔炎になりやすい人
副鼻腔炎は、誰にでも発症する可能性のある病気ですが、次のような人は特に注意が必要です。
75歳以上の高齢者
糖尿病、慢性肺疾患、慢性腎疾患などにかかっている方
ウイルスや細菌感染による鼻症状を繰り返している方
過去一ヵ月に抗菌薬を使用した方
肥満傾向の方
喫煙習慣のある方
ぜんそくや気管支炎のある方
副鼻腔炎に使える市販薬は?
市販の鼻炎薬を使用することで、回復することもあります。
市販薬の例
アレルギー性副鼻炎の場合…
ナシビンメディ:佐藤製薬
アルガード鼻炎クールスプレーa:ロート製薬
風邪による副鼻炎の場合…
パブロン鼻炎アタックJL:大正製薬
アレルギーによる場合には、副鼻腔炎だけでなく鼻閉(鼻づまり)も併発している可能性があるため、点鼻薬がおすすめです。
また、最近では漢方薬による副鼻腔炎の治療薬も出始めています。
蓄膿症の漢方薬としても用いられている辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)がおすすめです。
こんな症状は早く病院へ
副鼻腔炎が悪化している場合、自然に治りにくいです。症状が2週間以上続いているときは、早めに受診しましょう。
副鼻腔炎が悪化すると、症状の慢性化や中耳炎を発症するリスクがあります。
中耳炎は聴力に悪影響を及ぼす恐れがあるため、注意したいものです。
さらに、重症化して髄膜炎(※)を引き起こすケースも稀にあります。放置しないようにしましょう。
※「髄膜炎」…頭蓋骨と脳の間にある「髄膜」という膜に、細菌・ウイルスなどが感染し、炎症を起こす病気。頭痛や嘔吐、錯乱などの症状が現われ、最悪の場合命に関わることもある。
病院は何科?
副鼻腔炎の症状は、耳鼻いんこう科で相談しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
副鼻腔炎の治療法
薬の処方、点鼻噴霧ステロイド、鼻洗浄を行います。
処方するお薬には、鼻の中の環境を整える「抗菌薬」、痰を出しやすくする「去痰薬」などがあります。
症状によっても異なりますが、2〜3ヶ月程度で治るケースが多いです。
なお、薬物療法で改善が見られない場合には、内視鏡での手術も検討されます。
季節の変わり目の風邪は長引く?原因は?
気圧変動による自律神経の乱れ
先ほど、自律神経のバランスが乱れると体調を崩してしまう場合があると説明しました。
気圧変動も自律神経に影響を及ぼします。
気圧の変動が大きいと、内耳が敏感にその状況を察知します。
内耳が察知した気圧変動の情報は、脳へと伝達されます。
その結果、自律神経はストレス反応を起こし、バランスを欠いて、体調不良を引き起こし、風邪が長引いてしまう原因となります。
季節の変わり目の風邪予防
下記の対策を実践してみましょう。
- 朝起きたら、カーテンを開けて日の光を浴び、換気を行い、自律神経を整える。
- 外出時は、着脱可能なカーディガン等を持っていき、気温差に対応できるようにする。
- 寝るときの湿度は、50~60%を維持する。
- 朝夕の気温差に対応できるようにする。
- 喉を保湿するためにマスクを使用する。
- 適度な運動を行い、筋肉をつけて熱量をあげる。
- 睡眠時間をしっかり確保する。
- 規則正しい生活を心掛ける。(決まった時間に寝て、起きる等)
- 栄養素バランスがよい食事を摂る。(特に朝食を摂ることが大切)
- 手洗い、うがいの徹底。(歯磨きも重要)
風邪を引いてしまったら…早く治すには?
風邪を長引かせないためにできること
- 良質な睡眠
風邪を早く治すためには、睡眠が重要です。
いつもより長く睡眠時間を確保しましょう。
- 消化のよい食事を摂る
風邪をひいている時に食欲が低下する場合があります。
かといって、まったく食事をとらないと体力低下をきたすおそれがあります。このため風邪をひいているときは、おかゆやスープなど、体に優しく消化の良いものを、無理のない範囲で摂るようにしてください。
- 体を温める
風邪の初期段階で体を温めると、免疫力が向上し、ウイルスに負けない状態を作ることができます。
特に、三首といわれる、首、手首、足首を温めると効率的に体温が上がります。
ストールやネックウォーマー、レッグウォーマーを活用したり、洋服でハイネックのものや手首(長袖)、足首(ハイソック)まであるものを着るとよいでしょう。
ただし、高熱の際は避けたほうが良いでしょう。寒気がする場合は、あたためてください。
- しっかり水分を補給する
特に熱があるときは、脱水を予防するために水分補給は必須です。
脱水状態を回避することで、熱が下がりやすくなるケースもあります。
熱が高くない場合でも、体内の細胞は水分を欲しているので、こまめに水分を摂るようにしてください。
- 体調が回復してきたら必要な栄養素を摂る
食事が摂れるようになったら、免疫力や抵抗力をアップさせる栄養素を摂りましょう。
タンパク質、ビタミンA、C、E、ミネラル成分を摂り、免疫力を高めましょう。
味噌汁、野菜を柔らかく煮込んだ煮物、うどん、ミネストローネ等がおすすめです。
市販の風邪薬を選ぶコツ
風邪で市販薬を使用する際の注意点は、症状に合う薬を選ぶことです。
熱、咳、喉痛、鼻水、といった風邪の諸症状が多くあらわれている場合は、総合風邪薬を選ぶのもよいでしょう。
全ての症状がでていないのであれば、症状に特化したものの方が、その症状の改善が早い場合があります。
また、副作用にも注意が必要なので、市販薬を選ぶ際は、薬局に常駐している薬剤師さんに相談するのがおすすめです。
風邪薬は、飲めば風邪が治るわけではなく、症状を緩和させるために飲むものです。
できるだけ医療機関を受診して、症状に合った薬を処方してもらいましょう。
内科を探す
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2020-12-02
体の節々が痛いし、微熱もある…。
風邪?もしかして他の病気?
お医者さんに、痛みと微熱の原因を聞きました。
病院に行くべきかどうかも解説します。
節々の痛みと微熱は風邪の前兆?
風邪をひくと、熱が上がる際に関節痛があらわれることがあります。
「風邪かな?」と思ったら、まずは安静にして様子を見ましょう。
ただし、慢性的な微熱と関節痛がある場合は、別の病気が隠れている可能性があります。
“風邪”以外で考えられる3つの病気
節々の痛みと微熱の症状がある場合、
慢性疲労症候群
関節リウマチ
全身性エリテマトーデス
などの可能性があります。
病気① 慢性疲労症候群
慢性疲労症候群とは、重度の疲労感が長期的に続く状態を指します。
身体診察や詳しい検査を行なっても、異常が認められないのが特徴です。
原因が精神的なものなのか、身体的なものなのか、未だ解明されていません。
発症しやすい人
慢性疲労症候群になりやすいのは、受け身な人だと言われています。
たとえば…
あらゆる物事や考えに従順
協調性が高い
周りをよく気にする
といった性格の方は発症しやすいと言えます。
主な症状
だるさ、倦怠感
微熱
関節痛
頭痛 など
自分でできる対処法は?
慢性疲労症候群かもしれないです。どうすれば…?
まずは一度病院を受診し、詳しい検査を受けましょう。
ほかの病気の可能性も考えられるため、ご自身で慢性疲労症候群と判断するのは危険です。
もし慢性疲労症候群と診断された場合には、ストレスを避けた生活が大切です。
バランス良い食事と適度な運動を意識し、生活にリズムをつけましょう。
受診するのは何科?
内科を受診しましょう。
内科を探す
病気② 関節リウマチ
関節リウマチは、全身の関節に複数の炎症が見られる病気です。
免疫機能の異常が原因と考えられています。
発症しやすい人
30歳〜50歳の女性に発症しやすいと言われています。
主な症状
だるさ、倦怠感
微熱
頭痛
関節の腫れ
関節痛
起床時に関節がこわばる
息切れや咳 など
自分でできる対処法は?
関節リウマチかも…まずは何をしたら良いでしょうか?
症状に心当たりのある場合は、病院に相談しましょう。
関節リウマチは薬物治療や手術、リハビリテーションが必要な病気です。
受診するのは何科?
整形外科、リウマチ科を受診しましょう。
リウマチ科を探す
病気③ 全身性エリテマトーデス
免疫機能の異常により、全身(関節や皮膚、内臓など)に炎症が起こる病気です。
一人ひとりの症状に差があり、軽症だと病気の診断に結びつきづらい場合もあります。
発症しやすい人
20〜40代の女性が比較的発症しやすいと言われています。
発症の男女比は1:9となっており、女性に多い病気です。
主な症状
だるさ、倦怠感
頭痛
微熱
食欲不振
関節の腫れ
皮膚の発疹
口内炎
脱毛など
自分でできる対処法は?
この病気の場合、まずは何をしたら良いでしょうか?
他の病気も考えられるため、一度病院で検査を受けましょう。
なお、全身性エリテマトーデスの場合、症状を和らげるには病院での治療が必要になります。
受診するのは何科?
内科を受診しましょう。
内科を探す
病院に行く目安
節々の痛みや微熱が7日以上続いている
倦怠感やむくみが引く気配がない
上記の場合は、慢性疲労症候群や免疫疾患が関係している可能性もあります。病院で一度検査をしましょう。
早期受診のメリット
重い病気が原因であった場合、早期受診すると悪化防ぎやすくなります。
初期段階であれば、入院や手術をせずに治療できる可能性が高まります。
症状にお困りの方は、放置せずに病院を受診しましょう。
▼参考
難病情報センター 全身性エリテマトーデス
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2020-05-01
「咳・喉の症状がひどいときは何科を受診すればいいの?」
「鼻水がつらい場合は内科?それとも耳鼻科?」
基本的には内科でも耳鼻科でもどちらを受診してもよいとされています。
内科と耳鼻科喉どちらを受診するべきなのか、ケース別に医師が詳しく解説します。
風邪のときは内科?耳鼻科?
喉を境にして、「症状が出ている部位が上なのか下なのか」を判断目安にするとよいでしょう。
例えば
喉よりも上部に症状が出ている→耳鼻いんこう科を受診する。
喉よりも下部に症状が出ている→内科を受診する
というふうに考えてみてください。
内科をおすすめするケース
熱がある
体がだるい
症状が咳だけ
鼻症状よりも咳の方がつらい
というときは内科を受診しましょう。
内科を探す
耳鼻いんこう科をおすすめするケース
鼻症状(くしゃみ・鼻水・鼻づまり)がつらい
喉・耳・頬・眉間の痛みなどが強い
というときは耳鼻いんこう科を受診するとよいです。
耳鼻いんこう科では、喉・鼻・耳の専門的な治療が受けられるのが最大のメリットだと言えるでしょう。
耳鼻いんこう科を探す
インフルエンザのときは?
インフルエンザの疑いがある場合、内科でも耳鼻いんこう科でも構いません。
どちらでもインフルエンザの検査や治療を受けることができます。
それでも迷ったらどっち?
どちらを受診するべきか迷った場合は、まずは内科を受診しましょう。
また、次のような全身症状がでている場合も、一度内科を受診するのがおすすめです。
倦怠感
疲労感
悪寒
食欲不振
関節痛、筋肉痛 等
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▼参考
社団法人 日本産科婦人科学会 妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対しての 新型インフルエンザ(H1N1) 感染に対する対応Q&A (一般の方対象)