足の裏にできる魚の目。
「歩くたびに痛い…」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
早く治すためにできる治療法について、お医者さんが解説します。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
魚の目は自然治癒する?
魚の目が治らないです…。
自然に治ることはないのでしょうか?
多くの場合、魚の目は自然治癒しないと考えられています。
魚の目は、角質の芯が皮膚内部の深い部分まで食い込み神経に触れることで痛みます。
そのため、その芯を除去しない限り痛みは軽減されません。
※魚の目の症状が軽い場合、保護パッド等を使用しながら日々の生活の中で圧迫や摩擦等の刺激を減らすことで自然治癒するケースもあります。
魚の目を放置すると…
そのまま放置すると、伸びた芯がどんどん皮膚内部に入り込んでいき、症状が悪化する可能性があります。
魚の目ができる際の角質層は、円錐状の芯のようになり皮膚の内側へと伸びていきます。痛みがないからといって軽症だと勘違いして、自分で削る等のセルフケアを行うと、逆に状態を悪化する恐れがあります。
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「朝起きると足の裏が痛い…!なぜ?」
「歩くのが大変だけど、大丈夫…?」
朝になると足の裏が痛む原因を、お医者さんに聞いてみました。
痛みを抑えるためにできることや、病院に行く目安なども解説します。
なぜ?朝起きると足の裏が痛い…
朝になるといつも足の裏が痛くて、歩くのが大変です…これは何なのでしょうか?
それは、「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」になっている疑いがあります。
足の裏の足底腱膜で炎症が起こり、土踏まず~かかとに痛みを感じるようになります。
足底腱膜炎とは
足の土踏まずを支える役割を担っている足底腱膜(かかとの骨から足指の付け根までをつなぐ扇状に広がっている膜)に、過剰な負荷がかかり炎症や傷が生じることで、ズキズキするような痛みが起こる状態のことをいいます。
「足底腱膜炎」の症状チェック
ビリッとした痛みを感じる
朝起きた際の最初の一歩目に強い痛みが生じる
長時間の歩行や立ち仕事の後の一歩目に痛みがある
歩いていると徐々に痛みが軽減する
重症化すると、立っているだけで痛くなったり、歩行困難になってしまうことがあります。
思い当たる?足底腱膜炎になってしまう原因
かかとの骨と足底腱膜の付着部分に過剰な負荷が掛かることで、足底腱膜炎を発症すると考えられています。
長時間の歩行
長時間の立ち仕事
マラソン等の運動
ジャンプやターン
などを繰り返し行い、かかとの骨や足底腱膜を酷使することで、目視できないほどの小さい傷が発生します。それによって徐々に炎症を起こすケースが多いです。
足底筋膜炎になりやすい人
足底筋膜炎は、主に40代~60代の中高年世代がなりやすいのですが、他にも
肥満
扁平足
足裏のアーチが高い
歩き方に問題がある(パタパタ歩く、地面をするように歩く等)
足指の動きが悪い
ふくらはぎの筋力が弱い
といった人もなりやすいです。
「痛みを抑える」ためにできること
足底腱膜炎の痛みに困っているときは、
痛む部分を冷やす
マッサージ
サポーターを使用する
といった方法を試してみましょう。
一時的ではありますが、痛みの緩和が期待できます。
その① 痛む部分を冷やす
タオル等で包んだ保冷剤を、痛みが生じている部分に軽く当てて冷やしてください。
患部を冷やすことで血流が抑制され、炎症による痛みが緩和します。
その② マッサージ
お風呂で足を温めた後、柔らかいタイプのテニスボール等を使用し、土踏まず部分に転がすようにマッサージしてください。
また足指を反らしながら、土踏まず周りを揉むようにマッサージする方法もあります。
マッサージにより足底腱膜や足の筋肉が硬い状態になることを予防し、柔軟性を保持すると、患部への負担が軽減され症状の改善につながると考えられています。
その③ サポーターを使用する
スポーツメーカー等で販売されている足底腱膜炎専用のサポーターを使用してください。
特殊なクッションにより、かかとをしっかり固定できるため、痛みの軽減につながる場合があります。
足底腱膜炎は「どうすれば治るの?」
靴を変える
靴に中敷きを入れる
ストレッチをする
といった方法を継続して行うと、足底腱膜炎の症状緩和が期待できます。
その① 靴を変える
足底にクッションが入っているタイプの靴がおすすめです。
足底腱膜に掛かる負担を軽減させることで、痛みの緩和が期待できます。
また、かかとがしっかり固定されていたり、サイズが合っていることを確認することも大事です。
その② 靴に中敷きを入れる
使用している靴の中に、土踏まず部分が盛り上がっている中敷き(アーチサポート)を入れます。
中敷きを入れることで、足底腱膜に掛かる負担の軽減につながると考えられます。
クッション性があり、厚手のタイプの中敷きがおすすめです。
その③ 足のストレッチをする
「足底腱膜ストレッチ」、「アキレス腱ストレッチ」を継続的に行うとよいでしょう。
ストレッチにより足底腱膜が伸びると、かかとの骨と足底腱膜の付着部分に掛かる負荷が軽減されるため痛みが緩和します。
テニスボールを足裏でころころ転がす、床に置いたタオルを足指でつかむ等、簡単なストレッチを行うだけでも症状改善に有効と考えらえています。
足底腱膜ストレッチ
片足の膝を床につけて、足のかかとを立たせます。
この状態で、足裏を伸ばすようにかかとを後ろに引きます。
10回カウント数えたら、もう片足に変更します。
毎日、何度か繰り返し行い足裏筋を強化します足裏が柔軟になり、足底筋膜炎を発症しにくくなります。
アキレス腱ストレッチ
段差がある場所で、つま先立ちをする
体重を後ろにかけるようにしてゆっくりとかかとを下ろす
段差が固定されている場所で手すりにつかまりながら行ってください。
1日3回程度を目安に行います
足底腱膜炎は「自然治癒する?」
一時的な足の酷使により足底腱膜炎を起こしている場合、安静にしていることで自然に症状が改善するケースがあります。
症状改善までの期間には個人差がありますが、痛みが改善したり悪化したりを繰り返しながら、半年ほどで自然治癒していきます。
「痛みにより日常生活に支障がある」ときは整形外科へ!
かかとの内側を指で押すだけで針を刺すような痛みが生じる
かかとを床につけないほど激しく痛む
2ヶ月以上痛みが続いている
歩行が困難になる
等、日常生活に支障がある症状が出現している場合には、早めに病院を受診してください。
病院は何科?
足底腱膜炎が疑われる場合、整形外科を受診してください。
医療機関では医師に、「いつから始まり、どのような症状があらわれるのか」、「痛みが生じる場所」、「痛みが生じる行動やタイミング」、「どのように痛むのか」、「日常的な運動の有無」などを整理して伝えると、診察がスムーズに進みます。
病院での治療法
医療機関では、足底腱膜炎に対して、
保存療法
薬物療法
注射療法
手術療法
体外衝撃波疼痛治療装置
といった治療が行われます。
保存療法
安静にして足の裏に掛かる負担を軽減させる治療法です。(運動しないまたは運動量を減らす等)。
使用している靴の適合性を確認し、問題がある場合は変更します。
インソールを用いて足底腱膜にかかる負荷を軽減させます。
薬物療法
消炎鎮痛薬(外用薬)を痛みが生じている部分に貼る治療法です。(内服薬を使用する場合もある)
注射療法
ステロイド注射(局所麻酔併用)による治療法です。(痛みが強い場合に使用される)
手術療法
保存療法や薬物療法で症状が改善しない場合に検討される治療法です。
手術により、足底腱膜の一部の切除や骨棘の切除が行われます。
体外衝撃波疼痛治療装置
痛みが6ヶ月以上継続している、難治性の場合に行われる治療法です。
超音波検査やMRI検査により炎症部分を確認後、痛みが生じている部分に衝撃波を当てることで痛みを抑えていきます。
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▼参考
徳島県医師会 足底筋膜炎
オムロン 痛みwith 足底腱膜炎に効果的なストレッチで足底(足裏)の柔軟性を保つ
神戸医療福祉専門学校 足裏の痛みの原因と対処法は?
日本足の外科学会 足底腱膜炎
病院を受診する目安
魚の目ができている部分の皮膚が硬くなり、痛みを伴う場合には医療機関を受診してください。
何科にいけばいい?
皮膚科や形成外科を受診するケースが多いです。
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魚の目の「治療方法」
※医師の裁量・魚の目の症状・患者さんの希望によって治療が変わることもあります。
固くなった角質をやわらかくする治療
魚の目にサリチル酸メチル等の薬を数日間貼り続けて、厚く固くなった角質をやわらかくする治療法です。
円錐状の角質を除去する治療
皮膚内部に食い込んだ角質を除去する治療です。
魚の目の大きさに合うように切ったスピール膏(硬くなった角質をやわらかくするパッチ) を、数日間貼り付けて角質をやわらかくしてから中心の眼(角質柱)部分をメスやはさみ等で切り取る方法です。
切り取る際に麻酔をする場合としない場合があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
除去後、1~5日くらい痛みが続くケースが多いようです。
▼費用の目安
費用は2000円程度です。
冷凍凝固療法
液体窒素を用いて患部を凍結して壊死させる治療法です。
複数回の治療が必要で、痛みを伴うケースが多いです。
▼費用の目安
費用は1000円程度です。
手術
局所麻酔後、魚の目部分をメスで切開し、中心の芯を除去する方法です。
魚の目自体の痛み以上に、手術後の方が痛くなるケースがあるため注意が必要です。
▼費用の目安
5000円以上であることが多いです。
「治療期間」はどれくらい?
皮膚よりも深い部分に魚の目の芯はできるため、この芯を確実に除去できないと完治は望めません。
そのためには、魚の目の芯に対する治療を正しく行い、数か月間かけて皮膚再生を待つ必要があります。
時間はかかりますが、諦めずにしっかり治療を続けることが、「完治させる近道」と考えられています。
市販薬って使ってもいいの?
医療機関でも使われているサリチル酸メチル液やスピール膏は、市販薬として販売されているため自宅でのセルフケアができます。
しかし、セルフケアで万が一間違った方法を行うと、改善どころか悪化する恐れがあります。
できるだけ医療機関を受診し、安全で衛生的な治療を受けることをおすすめします。
市販薬の選び方
角質をやわらかくする働きがあるサリチル酸メチルを含む市販薬が治療に有効と考えられています。
軽度の魚の目に対しては有効に働く場合もありますが、魚の目の芯が皮膚の真皮層にあると、セルフケアでは治療が困難なケースもあります。再発や悪化のリスクを高める恐れがあるため注意が必要です。
魚の目の「再発予防のために」
一度魚の目を除去しても、「サイズの合わない靴を履く」「体の重心が安定しないヒールを履く」といったことで、再び同じ部分に魚の目ができるケースが多々あります。
魚の目の再発防止には以下のことを実践してみましょう。
- 自分の足のサイズに合う靴を履く
- 先が尖った形状でヒールがある靴を履かないようにする
- 靴底が適度に固い靴を履く
- 足底への衝撃を緩和するインソール等を使用する
- 歩き方に癖がある場合は補正し両足に均等に体重が乗るようにする
- 適度な運動で筋力を維持し、体重が増加しないようにして足への負担を軽減する
- 足裏のマッサージを行い、血行を改善し代謝を促進する
ハイヒールはできるだけ避けて!
再発を予防するには特定部分の皮膚への慢性的な刺激の解消が必須です。
フラットシューズを履く、移動中だけはスニーカーを履く等、できるだけ足に負担をかけないことが大切です。
どうしてもヒールを履かなければいけない場合は、シューフィッターがいる店舗で足のサイズや形状を測定してもらいましょう。
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「長時間歩くと足の裏が痛い…」
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長時間歩くと足の裏が痛くなる原因を、お医者さんに聞いてみました。
自宅でできるセルフケアの方法や、普段の生活から気をつけるべきことなども解説します。
なぜ?長時間歩くと足の裏に激痛が!
長時間歩くと足の裏が痛くなるのは、「足底腱膜炎」が疑われます
これは、足底腱膜(※)に過剰な負荷がかかって炎症が起こっている状態です。
※足の指の付け根からかかとの骨まで、足の裏に張られている強靭な腱の膜のこと
足底腱膜炎は、
急に運動を始めた人
扁平足の人
急に太った人
立ち仕事をする人
に発症しやすいです。
特に、中高年以降の女性に多くみられる傾向があります。
「足底腱膜炎」の主な症状
「土踏まず」や「かかとの下」あたりに、歩きはじめに特に痛みを感じます。
運動後にも痛みが生じたり、土踏まずを押すと痛みを感じたりします。
自分で治療できるの?
炎症がひどくなければ、自然治癒が期待できます。
痛みが軽いものであれば、しばらくするとよくなる人も多いです。
ただし、こんな症状は整形外科で相談を!
安静時にも痛みを感じる
靴を履くだけでも痛む
痛みが長期間続く
という場合には、治療が必要です。
病院での治療をせずに放置した場合、症状が悪化して痛みが長期間続く「難治性足底腱膜炎」になるリスクもあります。
早めに整形外科で相談するようにしましょう。
整形外科を探す
どうすれば治る?
「長時間歩くと足の裏が痛くなる」状態を治すためには、
湿布を使用する
入浴で足裏を温める
ゴルフボールを使用したマッサージ
などを行うとよいでしょう。
湿布で痛みを緩和させる場合は、急性期は「冷湿布」、痛みが慢性化しているときは「温湿布」を使用することがおすすめです。
「ゴルフボールを使った足裏マッサージ」のやり方
ゴルフボールを足の裏にあてて、前後に動かしましょう。
痛くない程度に、“気持ちいい”と感じる強さで行うとよいでしょう。
【悪化を防ぐために】足に合った靴を選ぼう
おすすめの靴
自分の足の形にあったもの
クッション性の高いもの(スニーカーなど底がフラットなもの)
低めのヒールのものにする
※地面からの衝撃を吸収する、アーチサポートのついた低反発素材のインソールもおすすめです
※ハイヒールの場合、足先用のインソールを使うとよいです。
足底腱膜炎の悪化を防ぐには、足裏に負担をかけないことが大切です。
扁平足対策エクササイズ
扁平足の場合、筋肉を鍛えて「土踏まずのアーチ」を形成すると、足裏の痛みが改善されやすいです。
そのため、
タオルギャザー
ビー玉拾い
といった「扁平足対策エクササイズ」をおすすめします
その① タオルギャザー
広げたタオルの上に片足をのせます
踵は固定し、足の指でタオルを手繰り寄せましょう
2~3回繰り返します
まずは1日に2~3回から始め、慣れてきたら回数を増やしましょう。
このストレッチで足の指の筋肉を鍛えると、土踏まず(縦アーチ)の維持につながります。
その② ビー玉拾い
足の指でビー玉を拾い上げます
足の指をひろげて、ビー玉を落とします
拾う個数や時間を設定するとよいでしょう
まずは1日にビー玉30個もしくは、60秒の訓練から始め、慣れてきたら回数や時間を増やしましょう。
扁平足にならないための予防法
家で裸足になり、できるだけ足指を使う
太っている人は減量する
扁平足にならないためには、足指の筋肉でアーチを支えることが重要です。
足指の筋肉が衰えないよう、日頃から使って鍛えるようにしましょう。
数日たっても「痛みが治らない」ときは病院へ!
3~4日経ってもよくならない場合は、整形外科で受診しましょう。
「足の裏に痛みが続く」状態を治療せずに放置すると、痛みがさらにひどくなるリスクがあります。治療は保険適用となります。
主な治療法
▼理学療法
ストレッチやインソール・テーピングなどを用いた治療法。
▼薬物療法
痛みを和らげるために湿布や鎮痛薬を用いる治療法。痛みが強い場合、注射をすることもあります。
※理学療法や薬物療法を行っても症状が改善しない場合、体外衝撃波療法やPRP療法・術療法を検討することもあります。
整形外科を探す
▼参考
公益社団法人 日本整形外科学会 成人期扁平足