黒い初期虫歯は…自分で治せる？進行度・治し方を歯医者さんが解説！

「黒くなった初期虫歯は自分で治せる…？」
「黒ずみとの見分け方はある？」

黒くなった初期虫歯は自分で治せるのかどうかを、歯医者さんに聞きました。
虫歯の進行を止める方法や、歯医者さんでの治療法なども解説します。

監修者

歯科医

菊地 由利佳先生

経歴

歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。

黒くなった初期虫歯は自分で治せる？

黒っぽくなった初期虫歯は、自分で治せることがあります。
歯に穴があく一歩手前の「初期虫歯の状態」でしたら、歯磨きなどで治せるケースがあります。
反対に、虫歯によって穴があいてしまった場合は、自分で治すのは不可能となります。

黒い点は歯の溝の部分にできてしまうことが多いので、歯ブラシの毛先を当てながら歯磨きするように心掛けると治せる場合があります。

「黒い虫歯が治った」という体験談に注意

よく「歯が黒くなっていたけど歯磨きしていたら治った」という話を目にすることもあるかもしれません。ただし、その体験談は「虫歯」ではなく「歯の着色汚れ」のケースもあります。鵜呑みにしすぎないように気をつけましょう。

黒い点は虫歯とは限りません。
ステインといわれる、コーヒーや紅茶、タバコなどの着色汚れで黒ずみになっている可能瀬も考えられます。

あなたの虫歯の進行度チェック

“歯磨きで治せるレベル”の黒い初期虫歯は、C1またはC2の状態にあたります。

C0

歯に磨き残しがある場合は、この状態になることが多いです。

歯のエナメル質の表面がわずかに脱灰していて、透明感はありませんが、まだ痛みはない状態です。

この場合、歯磨きで虫歯の進行止めは可能となっています。

C1

C0から少し虫歯が進行していますが、まだ初期段階です。

歯のエナメル質内部まで溶けた状態で、穴があくかどうか微妙な状態です。まだ、痛みがないことがほとんどです。

この場合、歯磨きにより、虫歯の進行を止められる場合もあります。

C2

歯の手入れを怠った状態が1ヵ月も続くと、図のような虫歯になる場合があります。

歯の表面よりも奥の象牙質まで虫歯が達しており、冷たい物や甘い物によって歯に痛みを感じることがあります。

この場合、自分では虫歯の進行止めは難しく、歯科医院での治療が必要です。

C3

歯の神経まで虫歯が達している状態です。進行スピードもとても早いです。

歯の神経で炎症が起きている状態なので、常にズキズキと痛みを伴います。
この場合、自分では虫歯の進行止めは不可能です。

C4

歯が崩壊して根だけになり、歯の神経が死んでしまっている状態です。

周囲から見ても虫歯だと分かる状態で、激しい痛みを伴います。
この場合、自分では虫歯の進行止めは不可能です。

虫歯の進行を止める方法

虫歯になってしまったときに自分でそれ以上の進行を止めるために、

• 正しい歯磨きを行う
• 糖質の摂取を控える
• 代用甘味料を活用する
• 間食の回数や時間を決める
• 唾液を分泌させる

といった方法をしてみるとよいでしょう。

方法①　正しい歯磨きを行う

歯磨きによって、口の中を清潔に保つことで、虫歯の進行を止めることができます。

歯ブラシを小刻みに動かして、歯を1本ずつ丁寧に磨くイメージです。

歯磨きには、フッ素入りの歯磨き粉を併用するとよいでしょう。
フッ素が配合されている歯磨き粉は、再石灰化を促進してくれるので虫歯の進行を止めるのに有効です。より高濃度のものを選びましょう。

方法②　糖質の摂取を控える

食事の糖質量を減らすことで、虫歯菌の活動を止め、虫歯の進行を遅らせることができます

方法③　代用甘味料を活用する

どうしても甘いものが食べたいときは、砂糖の代わりに使用する甘み物質「代用甘味料」が配合されたお菓子などを活用するとよいでしょう。糖質の摂取を控えることができます。

方法④　間食の回数や時間を決める

間食の回数や時間を決めて、口の中が酸性に傾く時間をコントロールすることで、口内環境の悪化を最小限に抑えることができ、虫歯の進行を遅らせることができます。

方法⑤　唾液を分泌させる

キシリトール配合のガムやタブレット噛み、唾液の分泌を促すことで、歯や口内に虫歯菌が増殖するのを抑え、虫歯の進行を遅らせることができます。

歯医者さんでの治療法

歯科では、

• ヒールオゾン
• ホワイトスポット
• PMTC
• フッ素塗布
• シーラント

といった治療を行います。
それぞれ詳しく解説していきます。

治療①　ヒールオゾン

歯を削らずに虫歯の殺菌を行う治療法です。

初期虫歯から、虫歯が神経に達した状態まで対応できます。

治療のメリット・デメリット

• メリット：削らずに済むので麻酔等も必要なく、患者の負担が軽くなる。
• デメリット：この治療を行っている歯科医院が少ない。

この治療にかかる費用

歯1本に対して、3,300円程度の費用がかかります。
保険は適用されません。

治療②　ホワイトスポット

アイコンという充填材を虫歯部分に塗り、傷んだエナメル質を溶かすことで、虫歯をなくしていく治療法です。

虫歯の進行が、エナメル質の外側部分まで進行している場合はこの治療が適用されます。

治療のメリット・デメリット

• メリット：治療後に歯が強化されて、歯石などが付きにくくなる。
• デメリット：治療後数年経過すると変色するリスクがある。

この治療にかかる費用

歯1本あたり、27,000円程度の費用がかかります。
保険は適用されません。

治療③　 PMTC

歯に定着した歯垢（プラーク）を、歯科医院にて専門の機器や技術で掃除する治療法です。

歯垢が付着し、固まってしまったことにより初期虫歯になった場合に推奨されます。

クリーニングなので、虫歯の進行を止めることはできますが、虫歯を治すことにはなりません。
毎日の歯磨きが改善されなければ、また同じ歯垢がたまる状態にすぐ戻ってしまいます。

この治療にかかる費用

予防、クリーニング目的のPMTCは自費のため、6,000円程度の費用がかかります。
保険は適用されません。

治療④　フッ素塗布

初期虫歯の部分にフッ素を塗布して、再石灰化の促進、歯質の強化、酸の抑制を行う治療法です。

穴があく前の初期虫歯に推奨されます。

この治療にかかる費用

子どもは300円程度で、その他の方は2,000円程度の費用がかかります。
保険が適用されます。

治療⑤　シーラント

歯の溝にプラスチック樹脂（レジン）を埋めることで、歯垢（プラーク）が溜まりにくくなる治療法です。

歯垢が溜まりやすい部分などの超初期段階の虫歯に推奨されます。
小児の治療で主に行われます。

治療のメリット・デメリット

• メリット：虫歯の予防効果が得られる。
• デメリット：歯の溝のみに可能な処置なので歯と歯の間などには適さない。

この治療にかかる費用

治療を受けるのは主に子どもで、300円程度の費用がかかります。
13歳未満の子供には、保険が適用されます。