「膀胱炎になってしまった場合って、診療科はどこがいいの?」
膀胱炎は何科に行けばいいのかについて、お医者さんに聞いてみました。
「改善のための注意点」や「予防法」についても紹介するので、膀胱炎をきちんと治したい人は必読です。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
膀胱炎は「泌尿器科」へ!
膀胱炎が疑われる場合には、泌尿器科の受診をおすすめします。
膀胱炎に多い「排尿痛」「血尿」といった症状は、「尿路結石症」や「膀胱ガン」といった病気でも起こる症状です。
また、男性の場合、前立腺の病気が隠れているケースもあります。
泌尿器科では、尿管・尿道・膀胱・腎臓などを中心に詳しく診てもらえます。
尿路の異常の早期発見につなげるためにも、できるだけ泌尿器科で受診するようにしましょう。
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「内科」や「婦人科」でも大丈夫?
内科・婦人科でも、「尿検査」を通して膀胱炎の有無を調べられます。
また、抗生物質の処方もできるため、軽度の膀胱炎であれば治療可能です。
といった場合は、内科・婦人科で相談するとよいでしょう。
また、女性が「同性の医師の診察を受けたい」という場合であれば、内科・婦人科で受診するのも構いません。
ただし、「症状が重い」「他の泌尿器の病気が疑われる」といった場合は、いずれにしても泌尿器科の受診が必要になるでしょう。
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「私は病院に行くべき?」膀胱炎の受診目安
- トイレが近い、尿の回数が多くなる
- 排尿中・排尿後に痛みが生じる
- 尿が出にくい
- 残尿感
- 血尿
- トイレを我慢できずに漏らしてしまう
- 夜間に何度もトイレに行く
- 下腹部痛
- 発熱を伴う
- 腎臓周辺の痛み
上記の症状が出現している場合は、早めに「泌尿器科」で受診しましょう。
膀胱炎などの泌尿器疾患は、早期発見により、苦痛を伴わない治療で症状が改善するケースが多いです。
また、膀胱炎を放置することで細菌が腎盂に広がり、「腎盂腎炎」という病気を発症してしまう人もいます。
腎盂腎炎は、悪化すると入院が必要になったり、命に関わったりすることもある病気です。
「膀胱炎かもしれない」と感じるときは、放置せず医師の診察を受けましょう。
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膀胱炎の診察って「陰部を見せるの…?」
膀胱炎の疑いで受診した場合、初診で陰部を見せる事は少ないです。
膀胱炎は、「尿検査」や「超音波検査」などで診断することが多いでしょう。
なお、「尿検査」「超音波検査」は、検査した当日に結果が分かります。
詳しい検査が必要になるケースも
特に症状が重い人は、以下のような詳しい検査を行うこともあります。
検査名
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検査方法
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尿培養検査
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尿を採取
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薬剤感受性検査
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尿を採取
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膀胱鏡検査
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尿道に管を入れて、膀胱内を診る
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血液検査
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注射器で血液を採取
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※「膀胱鏡検査」を行う場合は、陰部を見せる必要があります。
※診察内容に不安がある場合は、事前に受診する病院に連絡をして確認するとよいでしょう。
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検査・治療費用の目安
膀胱炎の検査・治療の費用は、あくまで目安ですが2000円~5000円程度と考えられます。
診療のケース
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費用目安
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尿検査のみ
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2000円程度
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超音波検査のみ
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2500円程度
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血液検査+尿検査
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3500円程度
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血液検査+尿検査+超音波検査
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5000円程度
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膀胱鏡検査
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4000円程度
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薬剤の処方がある場合
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診察料・検査料に+1000円程度
|
※医療機関によって異なります。
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膀胱炎を早く治すには、尿をたくさん出すことが大事!
膀胱炎を治すには、
- 水分をたくさんとり、尿をしっかり出す
- 処方された「抗生物質」をきちんと服用する
といった点を守る必要があります。
特に「抗生物質」は、医師の指示通りに服用することが大切です。
症状が落ち着いたからといって、薬の服用を自己判断で中止しないようにしましょう。
膀胱炎を繰り返さないために…
膀胱炎は再発しやすい病気です。
普段から下記の点を心がけ、再発を予防しましょう。
膀胱炎の「予防法」
- 陰部を清潔に保つ
- ストレスや疲労をため込まない
- 尿意を我慢しない
- 下半身を冷やさないようにする
- 排尿・排便後は前から後ろに向かって拭く(肛門に常在菌がいるため)
- ナプキンはまめに交換する
- 就寝前・性行為後はトイレに行く
- ビデやウォシュレットの水圧を強くし過ぎない
- 睡眠を十分とる
- 下痢・便秘にならないようにする
- アルコールを過剰摂取しない
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合わせて読みたい
2022-07-28
「何度も膀胱炎に繰り返す…」
「病院は婦人科に行けばいいの?」
女性が膀胱炎を繰り返す原因について、お医者さんに聞いてみました。
「泌尿器科に行くケース」と「婦人科に行くケース」も紹介しているので、診療科に迷っている人は必読です。
女性に多い「膀胱炎を繰り返す6つの原因」
尿を我慢する習慣
水分の摂取不足
便秘・下痢
「抗菌薬」の効き目が悪い
膣内の免疫機能が低下している
「細菌性膣症」を患っている
膀胱炎は、尿道に細菌が感染することで発症します。
女性が膀胱炎を繰り返す場合、原因として上記の6つが考えられます。
それぞれ解説していきますので、心当たりのあるものがないか確認してみましょう。
原因① 尿を我慢する習慣
膀胱内で尿が溜まる時間が長くなると、膀胱内で細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎の発症リスクが上昇します。
原因② 水分の摂取不足
水分の摂取量が少ないと、尿が排出されにくくなります。
その結果、雑菌が膀胱で繁殖しやすくなり、膀胱炎の発症につながります。
原因③ 便秘・下痢
便秘・下痢が多い人は、便に含まれる細菌が尿道に感染して、膀胱炎を発症しやすくなります。
便秘の場合、肛門付近に便がとどまり続けることで、細菌感染のリスクが上がると考えられています。
また、女性は膣と肛門が近い構造になっています。
尿道も男性より短く、細菌が膀胱内に入りやすいため、便の影響で膀胱炎を発症しやすくなります。
原因④ 「抗菌薬」の効き目が悪い
膀胱炎の「原因菌」と「抗菌薬」の相性が悪い場合、菌を除去しきれないことがあります。
膀胱に除去しきれなかった細菌が残り続けていると、膀胱炎を再発しやすくなります。
また、「完治しないまま抗菌薬の服用を止めた」という場合も、膀胱炎を繰り返す可能性が高くなります。
原因⑤ 膣内の免疫機能が低下している
膣内の免疫機能が低下していると、雑菌が繁殖しやすくなるため、膀胱炎の発症リスクが高くなります。
特に、
生理中
妊娠中
更年期
ストレス・疲労が溜まっている
いずれかに当てはまる人は、免疫力が低下して膀胱炎を発症しやすいです。
「生理中」「妊娠中」「閉経後」の場合、女性ホルモンの「エストロゲン」の分泌量が低下します。
これにより膣内の善玉菌が減少すると、悪玉菌が増えて膣内環境が悪化しやすくなります。
原因⑥ 「細菌性膣症」を患っている
細菌性膣症とは、膣内で細菌が増えすぎてしまう状態です。
細菌を含んだ「オリモノ」が膣から尿道に侵入してしまうため、膀胱炎が再発してしまいます。
こんな「オリモノ」は、細菌性膣症かも
量が多い
臭いが強い
色が濃い
女性の繰り返す膀胱炎は「泌尿器科」へ!
膀胱炎を繰り返す女性には、泌尿器科の受診をおすすめします。
特に、
排尿痛
頻尿
残尿感
排尿困難
などの症状に心当たりがあるときは、泌尿器科で相談しましょう。
泌尿器科の医師は、「膀胱」や「尿路」が専門分野です。
受診すると、膀胱炎を繰り返してしまう原因を調べてもらえます。
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こんなときは「婦人科」へ!
尿検査を行っても細菌が検出されない
「下腹部」や「膣」の痛み・かゆみ・違和感を伴う
抗生物質(抗菌薬)を服用しても症状が改善しない
上記のような症状がある場合は、婦人科の受診を検討してみましょう。
上記症状には、膀胱炎に似た症状が出る「婦人科の病気」も疑われます。
原因が「子宮」や「膣」の病気だった場合、婦人科で治療を受けると快方に向かいやすくなります。
膀胱炎に似た症状が出る「婦人科の病気」
膀胱炎に似た病気
特徴的な症状例
過活動膀胱
頻尿/尿意切迫/膀胱痛
骨盤臓器脱
頻尿/排尿困難/尿失禁/陰部違和感
子宮筋腫
頻尿/尿意切迫/尿失禁
子宮内膜症
頻尿/排尿痛/下腹部痛
細菌性膣炎
オリモノの増加/オリモノの色が濃くなる/頻尿
間質性膀胱炎
下腹部の痛みや違和感/陰部の違和感
婦人科で受診する際に伝えるとよいこと
膀胱炎を発症した回数
出現している症状
症状が出現した時期
生理不順や生理痛の有無
おりものの異常の有無
出産経験の有無
患ったことのある病気
上記のことを伝えることで、診察がスムーズに進むと考えられます。
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膀胱炎の診察「陰部を見せなきゃだめ?」
「泌尿器科」 → 初診で陰部を診ることは少ない
「婦人科」 → 初診から陰部を診ることが多い
といった傾向があります。
婦人科で陰部を診ることが多いのは、婦人科系の病気の有無を調べるためです。
ただし、「内診に抵抗がある」といった旨を医師に伝えると、違う検査方法を検討してもらえる場合もあります。
特に「内診が必要」なのは、こんなケースのとき
不自然なオリモノ・不正出血がみられる
下腹部痛を伴う
外陰部のかゆみ・痛みを伴う
性器脱が疑われる
などの婦人科疾患が疑われる場合、内診で陰部を診るケースが多いです。
膀胱炎の診察・検査の方法
一般的には、
問診
腹部や背中の触診
尿検査
が行われるケースが多いです。
また、必要に応じて、「膀胱鏡」「血液検査」「腹部エコー検査」などが行われるケースもあります。
※初診の際に行われる診察・検査は、受診する病院により異なることがあります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人 奈良県医師会 膀胱炎はなぜ再発するのでしょうか
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。