「歯の神経が死ぬ」ってどんな症状？変色・膿は要注意。歯科医師監修

「歯の神経が死ぬってどんな症状が出るの？」
「歯の神経が死ぬ原因はなに？」
気になる疑問に、歯医者さんがお答えします。

歯茎の腫れや痛みの原因にもなりますので、「歯の神経が死んでいるかも」という場合は要注意です。

監修者

歯科医

菊地 由利佳先生

経歴

歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。

歯の神経が死ぬと「どんな症状」が出るの？

歯の神経が死ぬと、

• 歯が痛む・しみる等の症状がなくなる
• 歯の色が変色する
• 歯茎が腫れる（歯の根元周辺）
• 歯が脆くなる

などの症状があらわれやすくなります。

症状ごとに詳しく解説していきます。

症状①　歯が痛む・しみる等の症状がなくなる

歯の神経には、受けた刺激を｢痛み｣として脳に伝達する機能があります。
そのため、神経が死ぬと歯の感覚が消失して、外部から刺激を受けても痛み・しみる等を感じなくなります。

症状②　歯の色が変色する

神経が死んでしまうと、歯の象牙質（歯の内側）に含まれているたんぱく質が劣化して、歯が黒っぽい色に変色していく場合があります。

これは、歯の神経が死ぬと歯の血管も死んで血液循環が止まり、歯に栄養分・酸素が届けられなくなることで引き起こります。

症状③　歯茎が腫れる（歯の根元周辺）

細菌感染（虫歯・歯周病等）により神経が死んだ場合、歯の根っこ周辺の歯茎が腫れることがあります。

これは、歯の根っこまで広がった細菌で膿の袋が形成され、歯の中に圧がかかるために起こります。

症状④　歯が脆くなる

歯の神経には、歯に栄養分や水分を運ぶ働きがあります。
神経が死んでしまうと、歯に栄養分や水分が届けられなくなるため、歯が脆くなってしまいます。

歯が脆くなると、歯が折れたり、抜けたりしやすくなります。

歯の神経が死ぬ「原因」は？

歯の神経が死ぬ原因としては、

• 虫歯の進行
• 歯周病

などが挙げられます。

原因ごとに詳しく解説していきます。

原因①　虫歯

虫歯が歯の奥まで進行し、菌が歯の神経に感染すると、やがて神経が死んでしまいます。
虫歯は、歯の神経が死んでしまう原因として最も多いです。

虫歯が神経に進行したばかりのときは、激しい痛みを感じます。
そこからさらに放置すると、神経が死んで痛みを感じなくなります。

原因②　歯周病

歯周病の細菌が歯周ポケット（歯と歯茎の間）から歯の神経に感染拡大すると、歯の神経が死んでしまうことがあります。

特に重度の歯周病の人は、歯周ポケットが深くなっているため、細菌が根管から歯の神経へと細菌感染しやすくなります。

虫歯ではない場合も要注意！

虫歯以外で歯の神経が死ぬ原因としては、

• 歯の外傷（打撲等）
• 歯の食いしばり・歯ぎしり
• 噛み合わせの問題

などが挙げられます。

なぜ歯の神経が死んでしまうのか、原因ごとに詳しく解説していきます。

原因①　歯の外傷（打撲等）

転倒や衝突等により歯に強い衝撃が加わると、歯の神経が死んでしまう場合があります。

外傷後すぐではなく、少し時間が経ってから神経が死んでしまう場合もあるため要注意です。

原因②　歯の食いしばり・歯ぎしり

寝ている間の食いしばり・歯ぎしりなどにより、歯に強い力が掛かり過ぎていると、歯への衝撃により神経が死んでしまう場合があります。

歯の食いしばり・歯ぎしりは、過度のストレスで無意識に行ってしまうこともあります。

原因③　噛み合わせの問題

噛み合わせに問題があり、常に上下の歯が強く当たっていると歯に亀裂やヒビが生じ、そこから細菌が侵入して、神経が死んでしまう場合があります。

噛み合わせに問題があると、歯ぎしりを引き起こす原因にもつながります。

歯の神経が死んでいたら、どう対処する？

「歯の神経が死んでいる」と疑われる場合、早急に歯医者を受診しましょう。

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 放置するとどうなる？

• 歯の根の先まで炎症が拡大する（根尖病変）
• 歯茎の腫れ・痛みが起きる
• 死んだ神経の腐敗が進む（歯髄壊疽）
• 顎の骨まで炎症が拡大する（顎骨骨髄炎）
• 歯の細菌が全身に送られ、敗血症を引き起こす

などを引き起こす可能性があります。

症状によっては手術が必要になる場合や、敗血症などの命に関わる重篤な症状を引き起こす恐れもあり、神経が死んでしまっている状態の放置は危険です。

早急に歯医者を受診し、適切な治療を受けましょう。

どんな治療を受けるの？

「虫歯」によって神経が死んでいる場合

神経を除去する根管治療が行われるケースが多いです。

細菌に感染している神経の除去→根管内を清掃・消毒して薬剤を詰める→被せ物装着という手順で治療が行われるケースが多いです。
根管治療により、さらなる細菌感染の予防や歯の温存につながります。

「歯周膿瘍」「根尖膿瘍」が起きている場合

ひどく腫れている場合、腫れている部分を切開して膿を排出し、切開した部分や歯周ポケット、歯根管の穴から薬を入れて洗浄する処置が行われるケースがあります。

痛みが改善した後、根管治療（※）や歯周病治療（※）が行われます。　

（※）根管治療：歯の神経を取り除く治療
（※）歯周病治療：歯垢の除去やセルフケア指導　など

歯がひどく痛む、痛んでいた歯に痛みを感じなくなったなど「神経が死んでいる」可能性が少しでもある場合は、放置せず早急に歯医者を受診しましょう。

早い段階で受診することで、早期の回復にもつながります。

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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。