大人の男性の発達障害には、どんな特徴があるの?
大人の男性のASDやADHDで見られる特徴について、お医者さんに聞いてみました。
大人になってから発達障害に気づいた人の体験談や、病院に行く目安も紹介します。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
「大人の男性の発達障害」4つの特徴
- 忘れ物が多い・同じようなミスを繰り返す
- じっとしていることが苦痛
- 集中力が続かない
- 衝動的な行動が多い
大人の男性の発達障害でよくみられる特徴として、上記の4つが挙げられます。
特徴① 忘れ物が多い・同じようなミスを繰り返す
「ADHD」や「ASD(自閉症スペクトラム)」などの発達障害では、物事に集中できず、忘れ物やミスが多くなることがあります。
脳の機能がうまく働いてないため、年齢不相応なミスを繰り返してしまいます。
特徴② じっとしていることが苦痛
「ADHD」や「ASD(自閉症スペクトラム)」などの発達障害では、
- じっとしていられない
- 突発的に行動してしまう
- 自分の気になっていることを優先してしまう
といった特徴が見られることがあります。
特徴③ 集中力が続かない
発達障害の影響で感覚が過敏になることにより、
といった状況に陥るため、一つのことに集中できない場合があります。
ADHDの多動(じっとしていられない)という特性が影響していることも考えられます。
特徴④ 衝動的な行動が多い
- 目先のものに惹かれる
- こだわりが強いものに対して我慢がきかない
といった衝動的な行動が多く見られます。
女性と男性では、なりやすい発達障害が違う?
- 女性 → 「不注意のADHD」が多い
- 男性 → 「ASD(自閉症スペクトラム)」「多動型・衝動型のADHD」が多い
あくまでも全体の傾向ですが、女性と男性では上記のような違いが見られます。
ただし発達障害は、症状が強く出ている人だけが診断・検査を受けているため、一概にどちらの性別が多いとは言い切れないのが現状です。
発達障害は、子どもの頃に男女差が出ることがありますが、大人になるにつれてその差は縮まります。
男性はわかりやすい特徴が出るケースが多く、女性は気づかれにくい傾向があります。
「ASD(自閉症スペクトラム)」と「ADHD」の違いとは?
ASDとADHDは、どちらも脳機能の働きに問題がある「神経発達症」ですが、主な症状が異なります。
ASDは、「対人関係・コミュニケーションが苦手」「強いこだわり」といった症状があります。
ADHDは、「不注意」「多動性(じっとしていられない)」「衝動性(後先考えずに行動してしまう)」といった症状が見られます。
【体験談】私が「発達障害かも」と気づいたキッカケ
仕事で失敗が多く、転職した先でも同じ様な状況になったことがキッカケです。仲の良い同僚に相談したところ、病院での診断を勧められました。(35歳男性)
親と奧さんから診断を受けるようにすすめられたことがキッカケです。
それまで忘れ物などが多いのと衝動的に行動してしまうことが多かったので診断してみました。(35歳男性)
仕事場に関わらずさまざまな環境で、どう努力しても「人とうまく」交わることができませんでした。関係を意識しているにも関わらず、うまくいかないのは根本的な何かが原因としてあるのではと思い、診断を受けようと思いました。(56歳男性)
もしかして発達障害かも…どうしよう?
- 頑張っているのにミスを繰り返してしまう
- 他の人と同じようにできない
といった悩みを抱えている人は、医療機関で相談しましょう。
大人の発達障害の場合は、「精神科」もしくは「心療内科」で相談してください。
発達障害の人は、生きにくさを感じたり、他人から誤解されたりして、自己肯定感が育っていないケースが多いです。
後ろ向きに人生を歩む傾向が強くなり、心の病気を発症するリスクが高くなるので、病院で治療を受けましょう。
どんな治療を受けるの?
「薬物療法」や「行動療法」により、本人が生きやすくなることを目指す治療を行います。
薬物療法は、薬の内服を行う治療です。「衝動的な行動を落ち着かせる」「頭の中を整理する」といった効果が期待できます。
ただし、人によって薬の効果は変わってくるため、慎重に投薬を行います。
行動療法では、患者の行動を整理整頓して、さまざまな局面でどう対応したらよいかを学んでいきます。
精神科を探す
心療内科を探す
合わせて読みたい
2023-01-27
何度注意されても治らない…もしかして発達障害?
何度注意されても治らない場合に発達障害が疑われるのかどうか、お医者さんに聞いてみました。
セルフチェックリストを紹介するので、心当たりがないか確認してみましょう。
ミスを予防するための対策も紹介します。
「何度、注意されても治らない」のは発達障害?
メモを取る・行動を見直すなどの対策をしても同じ失敗を繰り返す場合は、「ADHD」「ASD(自閉症スペクトラム症)」などの発達障害が疑われます。
こだわりが強くて注意されても伝わらない
注意した内容を忘れている
不注意が多く、同じミスを繰り返す
といった発達障害の特性により、注意されても治らないケースがあります。
発達障害の人が特に「ミスしやすい」作業は?
これまでにやったことのない新しい作業
複数の工程が必要とされる作業
対人の対応
などはミスが起きる確率が上がります。
対人の対応は、マニュアル通りにいかないことが多いため、ミスが起きやすいです。
ADHDによく見られる特徴は?
集中力が持続しない
話の途中で別のことを考える
不注意が多い
忘れ物が多い
スケジュールや仕事の優先順位を忘れる
同じミスを繰り返す
落ち着きがない
人が話していてもじっと聞かずに動いている
待つことが苦手
衝動的な行動が目立つ
目先の利益優先に動いてしまい、長期的な損益を考えられない
整理整頓が苦手
上記のうち、半分以上当てはまる場合はADHDが疑われます。
当人のお悩み|何度注意されても治せないときは、どうする?
何度注意されても忘れてしまったり、失敗を繰り返してしまったりする場合は、下記の方法を試してみましょう。
注意を受けたらメモを取る
自分用のマニュアルを作る
ToDoリストを作る
対策① 注意を受けたらメモを取る
注意を受けた内容をメモに残しましょう。
同じ仕事を行う際に、メモを見返すことでミスを予防できることがあります。
また、ミスをした際にメモをとることで、反省の気持ちや再発防止に努めている姿勢を相手に伝えられます。
対策② 自分用のマニュアルを作る
後で見返せるように、作業ごとに注意点や過去のミスをまとめたマニュアルを作成しましょう。
写真を使って見やすくしたり、過去のメモをまとめたりするとよいです。
マニュアルを作ることで、過去の失敗を思い返し、再発を防ぐことができます。
対策③ ToDoリストを作る
その日に行う仕事をまとめた「ToDoリスト」を作りましょう。
流れをあらかじめ決めておくことで、落ち着いて仕事を進めることができます。
ToDoリストを作っておけば、急な仕事を振られてもスケジュールに組み込みやすいです。
周囲のお悩み|部下・家族に何度言っても治らない…対処法は?
発達障害の疑いがある人に注意するときは、下記の3点を意識するとよいでしょう。
簡潔に注意点をまとめる
注意した後は声がけをする
注意した次の日は明るく接する
ポイント① 簡潔に注意しよう
指摘や指示は短く簡潔に伝えましょう。
注意する際は、「どのようにしたらよかったか」を本人に考えてもらうとよいです。
注意するときに、感情的にならないようにしてください。指摘したい内容が伝わらない可能性があります。
特に、スケジュールが忙しくなると感情的になりやすいので、余裕をもって仕事を振ることも大切です。
ポイント② 注意の直後は声がけを
注意をして相手が落ち込むと、さらなるミスを招く恐れがあります。
過度に落ち込んでいないか確認して、声がけしましょう。
ポイント③ 翌日は明るく接しよう
仕事が終わったら気持ちを切り替えて接するとよいです。
注意した翌日は、笑顔で挨拶をしましょう。
何度もミスを繰り返して注意を受けると、人間的に否定されている気分に陥りやすいです。
過度な負担を与えないように、何度もミスを責めたり、緊張感のある空気を引きずったりしないようにしましょう。
ADHDを疑う場合、病院に行くべき?
頑張っているのにミスが続く
同じミスが多くて自信が持てない
といった場合は、医療機関で相談してもよいでしょう。
ADHDの人は集中力を多く使うため疲れやすく、怠けていると誤解されやすいです。
人に認められないストレスから、精神障害を発症する恐れもあります。
生きにくさを感じている人は、一度病院で相談することをおすすめします。
身近な人に受診を勧めたい場合は?
「身近な人がADHDの症状で受診したら仕事がスムーズになった」など、間接的に前向きな話を出してみましょう。
ADHDの人は活動的な一面もあるので、興味が出たら行動に移しやすいです。
病院は何科?
大人の発達障害は「精神科」または「心療内科」で相談できます。
※発達障害の診断を行っていない医療機関もあるため、事前にウェブサイトや電話・メールで確認してから受診することをおすすめします。
精神科を探す
心療内科を探す
【体験談】ADHDの診断を受けて変わったこと
小さい頃からADHDかもしれないと感じていて、大人になってから仕事がうまくいかずに生きにくさを感じていました。
診断書をもらってからは、自分の得意なことや苦手なことが再確認できたので、どのように生きればいいか考えやすくなりました。(22歳女性)
自分は他人よりも劣っているという考えが根強くありましたが、診断を受けて、これは特性の一つだと知って気が楽になりました。(39歳男性)
ADHDの診断を受けてから、障害者手帳をもらいました。福祉サービスの支援員の指導を受けて、特性を理解してもらいながら仕事ができるようになりました。(52歳女性)
自分自身は診断を受けてから気が楽になりました。ただ、親からは「ADHDだから~ができないだろう」と決めつけられるのでつらい面もあります。(18歳女性)
ヘルプマークを付けるようになって、周りの人から助けてもらいやすくなりました。精神的にも気持ちが軽くなった気がします。(26歳女性)
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス 「発達障害」とは・
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。