発達障害グレーゾーンの場合、障害者手帳はもらえないの?
発達障害のグレーゾーンは障害者手帳を取得できるのかどうか、お医者さんに聞いてみました。
グレーゾーンでも受けられる支援制度もあわせて紹介していきます。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
発達障害グレーゾーンは障害者手帳をもらえる?もらえない?
発達障害の診断が下りずグレーゾーンだった場合、障害者手帳はもらえないでしょうか?
はい、発達障害グレーゾーンの場合は、障害者手帳をもらうことはできません。
障害者手帳は「国際疾病分類第10版」によって決められた病名とコードを記載する必要があり、確定診断を受ける必要があります。
しかし、グレーゾーンとは確定診断には至っていない状態なので、障害者手帳は取得できません。
発達障害の方が取得できる手帳の種類
発達障害の人は基本的に「精神障害者福祉手帳」の対象となりますが、知的障害を伴う人は、「療育手帳」の取得も可能です。
▼精神障害者福祉手帳について
発達障害やうつ病などの精神疾患が原因で、日常生活に支障をきたしている人が対象です。
医師の問診や症状から総合的に判断され、交付されます。
また、精神科の初診から6ヶ月以上が経過している場合に交付の対象となります。
▼療育手帳について
知的障害を伴う場合に、「知的指数」や「日常生活に支障をきたしているかどうか」などを総合的に判断して交付されます。
精神障害者福祉手帳と同じく、初診から6ヶ月以上が経過している場合に交付の対象となります。
療育手帳を取得すると、障害者雇用枠で就職することができたり、医療費の助成や福祉手当を受給できたりと、さまざまな支援・サービスが受けられます。
※手帳の交付基準は各自治体によって異なる場合があるため、自治体に確認することをおすすめします
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2022-09-28
毎日、生きづらい…。
もしかして、発達障害が原因?
「大人の発達障害」について、お医者さんに聞きました。
発達障害の人が抱えやすい悩みや発達障害の種類、病院での診断・治療法についても解説します。
生きづらいのは「発達障害」が原因?
仕事や人間関係でうまくいかないことが多く、生きづらさを感じています…。
「自分は発達障害なのではないか」と思う機会も多いです。
大人になってから発覚することはありますか?
はい。
大人になって発達障害が判明するケースもあります。
▼発達障害の方に多いお悩み
コミュニケーションがうまくできない
臨機応変な対応ができない
曖昧な表現の場合、言葉の真意を理解できない
他者の気持ちを理解できない
他者と達成感や喜びを共有できない
場の空気を読めない
周囲の人が難なくできることが、自分にはできない
怠けていると誤解されがち
集中力がない・じっとしていられない
計算等の作業が苦手(遅い)
発達障害の方は、上記のような悩みを抱えているケースが多いです。
これらがキッカケで、仕事・人間関係のトラブルにつながることがあります。
発達障害の種類
発達障害には、
ADHD(注意欠如・多動性障害)
ASD(自閉症スペクトラム障害)
LD(学習障害)
といった種類があります。
いずれの場合も、生まれつきの脳の働きが異なるという共通点があります。
また、同じ障害であっても、特性の現れ方や生活上の悩みは人によって様々です。
① ADHD(注意欠如・多動性障害)
ADHDは、「注意力の欠如」もしくは「多動性・衝動性の症状」、またはその両方の症状が出現する障害です。
神経伝達が正常に行われておらず、特定の脳領域の活動が低下することが原因の一つだと言われています。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の特徴
▼不注意
集中力がない(注意がそれやすい)
約束を忘れてしまう
失くし物や忘れ物が多い
飽きっぽい
マルチタスクが苦手
興味があることだけには没頭できる
▼多動性
じっとしていられない
おしゃべり
おちつかずソワソワしている
場の状況を把握できない
人の話を聞かない
▼衝動性
考えなしに行動する(浪費・奔放な異性交遊など)
事故や怪我が多い
怒りっぽい
暴言を行う・暴力をふるう
時間管理・金銭管理が苦手
片づけが苦手
順番を待てない
大人になるまで見過ごされることはある?
大人になるまで気が付かないケースもあります。
ADHDは、親や先生の教えを守っていれば特性が目立たないため、子どもの頃は大きな問題にならないこともあるからです。
社会に出て幅広く能力が求められる時に、発症・顕在化する場合が多くあります。
うつやパニックなどの二次障害があった際に、その背景に発達障害の存在が疑われるケースが多いです。
ADHDの人が持つ「長所」
発達障害の特性は、見方を変えれば長所にもなり得ます。
例えばADHDの場合は、
衝動性が強い → 行動力・実行力がある・リーダーシップがある
おしゃべりである → 人懐っこい
金銭管理が苦手 → お金に躊躇しない・豪快である
などと捉えることもできます。
② ASD(自閉症スペクトラム障害)
ASD(自閉症スペクトラム障害)は、生まれつき、脳に小さな異常が生じていることが原因で起こる「神経発達障害」の一つと考えられています。
「人とのコミュニケーションが苦手」「独自の強いこだわりにとらわれている」等により、社会生活が困難になるケースが多いと考えられています。
ASD(自閉症スペクトラム障害)の特徴
コミュニケーションが苦手
独自のこだわりに執着する(臨機応変に対応できない)
興味のあることや関心事が極端に偏る
社会生活に適応しにくい・団体行動が苦手
他者との距離感がつかめない
他者の感情やその場の空気を読めない(想像力が乏しく、言葉の裏を読めない)
曖昧な表現を理解できない
運動が苦手・不器用
感覚過敏・感覚鈍麻
特定領域の記憶力に強い
傷つきやすく、フラッシュバックを起こす
同じ動作を行うことに没頭してしまう
大人になるまで見過ごされることはある?
ASDは軽度の場合、「先生からよく注意される」「友達とトラブルを起こしやすい」という程度で済むケースも多いです。
そのため、発達障害ではなく “ちょっと問題がある人”と認識されるだけで、気付かずに成長してしまう場合があると考えられます。
一般的には、1~2歳頃に言語発達の遅れが目立ちはじめて、気が付くケースが多いと考えられています。
また、保育園・幼稚園への入園など、集団行動の生活になったタイミングで、何らかの指摘を受けるケースもあります。
ASDの人が持つ「長所」
ASDの場合も、特性が短所となるか長所となるかは、周囲や本人の見方次第です。
例えば、以下のように考えることもできます。
空気が読めない → 表裏がない・率直である
だまされやすい → 素直である
こだわりが強い → 一貫性がある・専門性が高い
過敏である → 細かいことに気が付く
他にも、「優しくて素直な方が多い」「パターン化された作業が得意」「特定の物事に没頭できる(得意分野の場合、暗記力や探求心が発揮される)」等が挙げられます。
③ LD(学習障害)
LD(学習障害)とは、知的発達の遅れや視力・聴覚の異常は確認できないにも関わらず、話す・聞く・書く・読む・計算等の学習能力が低い状態です。
学習障害には、
書字障害(ディスグラフィア)
読字障害(ディスレクシア)
算数障害(ディスカリキュリア)
の3タイプがあります。
LD(学習障害)の特徴
▼書字障害(ディスグラフィア)
文字の大きさを揃えて書けない
作文用紙の方眼の大きさに合わせて文字を書けない
鏡文字になる
「てにをは」を使いこなせない
▼読字障害(ディスレクシア)
読解力が低い
正確に文字を読めない
文章をスムーズに読めない
▼算数障害(ディスカリキュリア)
数字を覚えられない
数字の感覚がつかめない
計算式を立てられない
大人になるまで見過ごされることはある?
LD(学習障害)は軽度だと発見されにくく、大人になってから、「読書」「話の理解」「考え方を説明すること」等が苦手で困る人もいます。
一般的には、本格的に勉強が始まる小学生になったところで、周囲に気付かれるケースが多いと考えられています。
一人で悩みを抱えず、まずは医療機関に相談を
発達障害が疑われる場合には、我慢せずに病院を受診して相談してください。
特に、
不眠や過眠の症状が出現している
ストレス過多の状態が続いている
強い孤独感を覚えている
抑うつ状態になっている
強い不安感に襲われる
等の場合には、早目の受診をおすすめします。
放置していると、仕事に行けなくなるなど、日常生活に支障が出る恐れがあります。
また、パニック障害・適応障害などの精神疾患を合併する恐れもあると考えられています。
病院へ行くほどなのか分からない…
自分が発達障害なのか分からない場合でも、思い当たることがあるのであれば、一度病院を受診して相談してみましょう。
どちらか分からない「グレーゾーン」の状態で過ごしていると、それだけでストレスが増えたり、不安感が強くなったりして、さらに心身に負担がかかってしまう恐れがあります。
発達障害は「何科」で相談すればいい?
大人で発達障害を疑う場合は、「精神科」を受診するとよいでしょう。
発達障害の種類によって診断方法は異なりますが、
問診(生活上での困りごと・生育歴など)
検査(知能検査・心理検査など)
などにより、総合的に判断されることが多いです。
また、周囲の人から見た客観的な情報も重要な診断材料になる場合があります。
発達障害と診断された場合、どんな治療をするの?
主に、「環境調整」と呼ばれる治療が中心となります。
環境調整とは、自身の特性で適応できそうなところ、または特性への配慮が受けられるところに生活の場を移すという方法です。
「発達障害支援センター」で相談会に参加したり、同じ境遇の人々と触れ合ったりするなかで、そのヒントを探すこともあります。
この他、発達障害の種類に応じて、薬を用いる「薬物療法」や、ものの受け取り方・考え方に働きかけてストレスに対応できるようにする「認知行動療法」などが行われるケースもあります。
なお、発達障害の特性がキッカケとなって、抑うつ・強い不安感などの精神的な症状(二次障害)が現れている場合は、それらも治療の対象となります。
治療の目的は、本人が「生きやすくなる」こと
発達障害は生まれ持った特性です。
そのため、それらを「治す」のではなく、本人が「生きやすいようにする」ことが治療の目的となります。
症状に合った治療を受けることで、生きづらいと感じる部分を少しでも減らしていくことができ、それにより、安定的な役割(仕事等)や居場所の確保につながると考えられています。
精神科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
沢井製薬 「大人の発達障害かも?」と思ったら
昭和大学医学部精神医学講座教授 誤解多き「発達障害」とは
発達障害グレーゾーンはどんな状態?
「発達障害のグレーゾーン」とは、発達障害の症状はみられるものの、病院を受診した時に症状が軽かったり、体調にムラがあったりして、「発達障害の傾向がみられる」と診断された状態です。
確定診断には至らなかったものの、確定診断を受けた人よりも症状が軽いとは一概には言えません。
発達障害の診断基準とは?
発達障害の診断は、アメリカ精神医学会による精神疾患の診断基準・診断分類を用いて診断がくだされます。
例えば自閉症スペクトラムの場合は、
- コミュニケーション障害
- 繰り返す行動や興味
- 早い段階で症状が現れている
- 症状によって日常生活あるいは社会生活に重大な支障をきたしている
という4つを満たしていると、確定診断となります。
グレーゾーンと診断を受けたけど、つらい…
病院に行ったらグレーゾーンと診断されました。確定診断は出ませんでしたが、生きづらくて苦しいです…。私はこれからどうすればいいんでしょうか?
別の医療機関を受診することをおすすめします。
確定診断が出る可能性があり、障害者手帳を取得できるかもしれません。
また、発達障害の疑いがある人は、二次障害としてうつ病などの精神疾患を発症する人も多いです。
うつ病などの精神疾患と診断された場合、手帳が交付される可能性は高いと考えられます。
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2022-02-24
「大人の発達障害」は診断を受けたほうが良いのか、お医者さんに聞いてみました。
「仕事でミスが多い…」
「人間関係が上手くいかない」
といった悩みがある方は、症状リストをチェックしてみましょう。
発達障害だと診断される基準、診断を受けられる診療科も併せてご紹介します。
発達障害かも「診断を受けるべきか」
「自分は発達障害かもしれない」と思うことがよくあります。
大人の場合でも、病院で診断を受けた方が良いのでしょうか?
今後のトラブルを防いでいくためにも、まず「発達障害か否か」を明らかにすることが大切です。「脳のエラー」が原因の場合、薬の服用などで改善を図れます。
人間関係が上手くいかない
同じことで注意されても直らない
仕事でミスを繰り返す
など日常生活で困ることが多い人は、一度医療機関で相談してみましょう。
うまくいかない理由がわかることで「気持ちが落ち着いた」というケースもあるので、気になる方は受診してみると良いでしょう。
【体験談】私が受診を決めたキッカケ
昔からずっと人見知りで中々グループに馴染めませんでした。ある日知り合いから「発達障害じゃないか」と指摘を受けたので受診を決意しました。
(30代男性)
何個か仕事を頼まれた時にどれから手をつけていいかわからずパニックになってしまいました。
頼まれた業務内容を書き出すことで順調に進められたため、「もしかして」と思い受診をしました。
(20代女性)
新卒で入社してから事務仕事で、ケアレスミスばかりしていて、同僚や上司に怒られることが多々ありました。
何度教えてもらっても覚えが悪いので、上司から大人の発達障害を疑われて精神科に行くように言われたのがキッカケです。
(50代女性)
大人の発達障害の症状チェック
発達障害の症状には以下のようなものがあります。
当てはまる数が多いほど、発達障害の疑いが強くなるといえます。
▼「日常生活」で起こりやすい症状
物音に敏感
数字や時刻表などに意味なく惹かれる
集中すると他のことが目に入らない
スケジュール通りに動くのが苦手
衝動買いをしてしまう
▼「仕事」で起こりやすい症状
臨機応変な対応が苦手
物事を最後までやり遂げられないことが多い
作業を順序立てて考えられない
長時間座っているのが難しい、体を動かしてしまう
不注意が多い
同じ間違いを繰り返し、指摘されることが多い
▼「人間関係」で起こりやすい症状
人と関わることが苦手
考えたことをすぐに口に出してしまう
「おしゃべりが多い」と言われる
丁寧に話していても他人から注意される
他人の考えていること想像できない、同調できないことが多い
約束や用事を忘れやすく、「物忘れが激しい」と注意される
子供の頃から人とのトラブルが多い
医師が「発達障害だ」と診断する基準目安
ASD(自閉症スペクトラム)のケース
対人関係を上手く築けない
興味がパターン化する
こだわりが強い
感覚の偏りがある
などが見られる場合、ASD(自閉症スペクトラム)と診断されることがあります。
※上記は特徴的な症状の例です。診断は、診察・カウンセリング・検査(スクリーニング検査、評価や診断の検査、認知機能検査)を通して行われます。
ASD(自閉症スペクトラム)ってどんな発達障害?
対人関係が苦手である、興味・行動のこだわりが強いといった傾向を持つ先天性の脳機能障害のことです。
多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こります。
ADHD(注意欠如多動症)のケース
不注意(ミスを繰り返す・物忘れなど)
多動(落ち着きのなさ)
衝動的な行動
などが見られる場合、ADHD(注意欠如多動症)と診断されることがあります。
ADHD(注意欠如多動症)ってどんな発達障害?
「不注意」と「多動・衝動性」を主な特徴とする発達障害の概念のひとつです。
※上記は特徴的な症状の例です。
診断は、診察・カウンセリング・検査(スクリーニング検査、評価や診断の検査、認知機能検査)を通して行われます。
受診時に伝えるとよいこと
初診では医師に、
現在悩んでいること(実際にあったトラブルや悩みの事例)
今までの事故や注意された事柄
成長過程で悩んでいたこと(幼少期や思春期など)
などを伝えるとスムーズに診察が進行します。
大人の発達障害って…何科?
大人の発達障害は、精神科で相談できます。
また、「発達障害の専門外来」を設けている医療機関もあります。
※医療機関により専門が異なる場合があるため、事前にウェブサイトや電話・メールで確認してから受診をすることをおすすめします。
精神科を探す
もし「発達障害だ」とわかったら?
発達障害の症状はお薬を服用したり、トラブル回避のために対策を立てたりすることで改善を図れます。
主治医と相談しながら、ご自身に合った改善策を考えていきましょう。
「日常生活での対策」の例としては、
忘れ物を防止するために必ずメモを取る
人の話を最後まで聞き、よく考えて行動する
などが挙げられます。
うまく対処できるようになると、次第に対人関係や仕事でのトラブルが減り、自信を持って生活できるようになります。
「診断を受けるべきか」迷っている方へ
発達障害は脳の障害であり、性格ではありません。
トラブルを避けるためには、まず診断を受けて原因を明らかにすることが大切です。
発達障害の人は周りから理解されないことが多く、普通の生活を送るだけで精一杯になってしまう人もいます。
最近では発達障害の医療体制もすすみ、「どのように行動すれば良いか」をアドバイスする医療機関や施設も多数あります。
人生をより自信を持って歩めるよう、自分自身を深く理解して少しずつ対応手段を身につけていきましょう。
精神科を探す
▼参考
厚生労働省 発達障害
グレーゾーンかも…どうすればいい?
発達障害またはグレーゾーンが疑われる人で、生きづらさを感じている場合には、精神科もしくは心療内科で診断を受けましょう。
たとえグレーゾーンという診断であっても、受けられる支援もあります。
受診する際は、
- いつから、具体的にどのような症状で困っているのか
- 日常生活や社会の中でどのような困り事があるのか
といった点を医師に伝えられるように準備しましょう。
手帳がもらえなくても受けられる支援は?
発達障害グレーゾーンの人は、「自立支援医療制度」により、デイケアなどの利用者負担を軽減する支援が受けられます。
他にも、
- ハローワーク
- 地域障害者職業センター
- 発達障害者支援センター
- 障害者就業・生活支援センター
- 就労移行支援事業所(自治体の福祉課)
といった機関で、就労や生活に関する相談が可能です。
ただし、自治体によっては医師による意見書が必要な場合があるため、事前に確認してから利用しましょう。
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2023-01-27
考えていることをうまく言葉にできない…これって発達障害?
考えを言葉にできない原因について、お医者さんに聞いてみました。
発達障害が疑われる症状も紹介するので、心当たりがないかチェックしましょう。
「考えを言葉にできない」のは発達障害?
一概には言えませんが、「考えを言葉にできない」人は
ADHD(注意欠陥・多動性障害)
ASD(自閉症スペクトラム)
といった発達障害の可能性があります。
ADHDや自閉症スペクトラムは、知的発達に障害は見られないものの、脳の特性によりコミュニケーションが苦手です。例えば、話の内容に興味を持てず、集中して聞いたり考えたりできないため、考えが言葉にできない、といったケースが挙げられます。
発達障害以外の原因
考えを言葉にできない場合、「精神的なストレス」「どもり」「発声ができない」「聴覚の障害」などが影響している場合もあります。
また、知的障害がある場合も、よく知らないことを伝えたり、想像したりすることが難しいです。
この場合は、「ゆっくり話す」「知っている言葉で置き換える」と、コミュニケーションがスムーズになります。
もしかしたら発達障害かも…セルフチェック方法は?
下記のセルフチェックリストに1個以上当てはまる人は、発達障害の疑いがあります。
言葉をそのまま受け取ってしまうことが多い
こだわりが強いせいで、他の人と行動を共にすることが難しい
相手の話を何度も遮ってしまう
人の気持ちを汲み取ることが難しい
見たままのことを口にする傾向がある
目的がない会話やコミュニケーションが苦手
短くまとめるのが苦手・ついつい話が長くなる
相手の話を長時間、聞いていられない
話している途中で動き出して、相手を怒らせることがある
上記のセルフチェックはあくまでも目安です。症状には個人差があります。
発達障害かどうかをきちんと調べるには、病院で診断を受けることが必要です。
コミュニケーションがうまくいかないときは…
具体的な指示や要点を確認する
自分用のマニュアル・メモを作る
言いたいことがうまく伝えられないときは、上記の対処法が効果的です。
対処法① 具体的な指示や要点を確認する
話が終わったタイミングで、「次に何をしたらいいか」を確認しましょう。
話が長くなると要点や結論が分かりにくくなり、考えがまとまりにくくなります。
コミュニケーションがうまくいかない原因となるので、具体的な指示や要点を確認することが大切です。
相手の話を再度確認しているので、
「お手数ですが」
「確認ですが」
などの言葉を先に付け足しましょう。
対処法② 自分用のマニュアルやメモを作る
自分にとって「見やすくて分かりやすい」マニュアルやメモを作成しましょう。
マニュアルを見返すことで、分からない部分を人に聞く機会が減り、トラブル防止につながります。
会社などで共有されるマニュアルは、発達障害の人にとって分かりやすいものとは限りません。自分に合ったオリジナルのものを作りましょう。
発達障害かもしれない…病院に行くべき?
病院での「薬物療法」により、頭の中がすっきり整理され、改善が見られる場合があります。
他にも、場面に応じた対応方法を学ぶ「認知行動療法」を受けることで、活躍の場を広げていく人もいます。
何科に行けばいい?
発達障害の治療やトレーニングは、対応している「精神科」または「心療内科」で受けることができます。
※医療機関によって治療が可能かどうか変わってくるので、事前にウェブサイトや電話・メールで確認してから受診することをおすすめします。
精神科を探す
心療内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス 「発達障害」とは
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。