朝起きたら、まぶたが腫れていた…。
ヘルペスのような違和感や痛みもある…。
そんな症状の原因や対処法をお医者さんにお聞きしました。
病院を受診する目安や、再発させない方法も紹介します。
まぶたに感染するヘルペスの特徴
まぶたがヘルペスウイルスに感染すると、
・痛み
・水疱(水ぶくれ)
・発赤
・腫れ
などの症状があらわれます。
まぶたにピリピリやむずむずする違和感を覚えた後、水ぶくれや発疹などの症状が現れた場合はヘルペスを疑いましょう。
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2021-06-01
「目のふちが痒い…。これはなぜ?」
考えられる原因を、お医者さんが解説します。
おすすめの市販薬などの対処法もチェックしましょう。
なぜ?目のふちが痒い…
何らかのきっかけで目のふちに炎症が起こり、痒みを引き起こしていると考えられます。
眼瞼炎(がんけんえん)が原因かも
目のふちの痒みは、眼瞼炎が原因となっているケースが多いです。
眼瞼炎とは、感染症やアレルギー反応などによって、まぶたや目のふちに炎症が起こる病気です。
こんな症状に心当たりはありませんか?
目の中の異物感
目とまぶたの灼熱感、かゆみ
まぶたの縁が赤くなる
まぶたの腫れ
ものもらいができる
涙目になる
明るい光に過敏になる
目の乾燥
まつ毛が白く変色する
まつ毛の根元にできものがある
目やにが出る
まぶたが腫れて、一部のまつ毛が白く変色する場合、細菌感染による眼瞼炎が疑われます。
ものもらいができる場合は、皮脂腺の詰まりも考えられます。
また、寝ている間に分泌物(目やに)が乾燥して、まぶたがくっつくこともあります。
出血する恐れがあるため、まぶたの縁にできた“目やにのかたまり”は無理に剥がさないようにしましょう。
眼瞼炎(がんけんえん)の原因
細菌、ウイルス感染
アレルギー
まぶたの皮脂腺の閉塞、炎症
皮膚病
などが挙げられますが、はっきりとした原因がわからないケースもあります。
感染症は、ブドウ球菌や単純ヘルペスウイルスによって引き起こされるケースが多いです。
まぶたや“まぶたの縁にある腺”に感染症が起こると、眼瞼炎を発症します。
アレルギー反応の場合、花粉症が代表的です。
また、脂漏性皮膚炎や酒さ、アトピー性皮膚炎といった皮膚病が、まぶたの炎症を起こすこともあります。
こんな生活習慣だと発症しやすい!
不規則な生活
偏った食事
睡眠不足
ストレスや疲労の蓄積
などの生活習慣は免疫力の低下につながるため、感染症による眼瞼炎を引き起こしやすいです。
また、目をよく触る癖は、手指から細菌・ウイルスに感染する原因となるため、発症リスクが上昇します。
眼瞼炎(がんけんえん)の対処法
まずは、まぶたを清潔に保ちましょう。
清潔な湿ったガーゼなどで、力を入れずにそっと拭いてください。
市販の目薬を使ってもいい?
細菌感染が原因の場合には、市販の目薬で改善が見られる場合もあります。
市販薬を使用するのであれば、炎症を抑える作用がある“グリチルリチン酸二カリウム”や、かゆみを抑える作用がある“クロルフェニラミンマレイン酸塩”が配合された目薬をおすすめします。
なお、市販の目薬を3〜4日使用してもよくならない場合には、使用を中止して医療機関へ行きましょう。
また、「まぶたが腫れている」「目やにが多く出る」など、症状が重い場合には市販薬は使用せず、すみやかに眼科で相談してください。
眼科を探す
病院に行く目安
市販の目薬を3〜4日使用してもよくならない
かゆみが強い
症状が慢性化している
といった場合は、受診をおすすめします。
感染性(化膿性)の眼瞼縁炎の場合、悪化すると、まぶたが腫れてまつ毛が抜け落ちたり、まつ毛の根元に膿のたまった小さな膿瘍ができたりします。皮膚の肥厚、まぶたの変形が起こることもあります。
受診するのは眼科?皮膚科?
目の症状が強いときは、眼科を受診しましょう。
目の症状の例
目やにが出る
目の痛み
まぶたの腫れ
皮膚の症状(目の周り)が強いときには、皮膚科を受診しましょう。
皮膚の症状の例
目の周りのかゆみ
目の周りの腫れ
医療機関では、薬の処方をはじめ、症状に合わせた治療を受けられます。
早めの受診を心がけ、病気の悪化を防ぎましょう。
▼目の症状が強いとき
眼科を探す
▼皮膚の症状(目の周り)が強いとき
皮膚科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
MSDマニュアル家庭版 眼瞼炎
まぶたのヘルペスは市販薬で治せる?
市販薬の販売はなく、治療はできません。
抗ヘルペスウイルス薬は、ヘルペスであるかどうかの診断を医師が必ず行った上での処方となります。
病院を受診する目安
ヘルペスウイルスは初期の治療が大切です。
などまぶたのヘルペスウイルスが疑われる場合は早めに受診しましょう。
放っておくと、完治までの時間が長くなるだけでなく、結膜炎や角膜炎を合併するおそれがあり、最悪の場合は失明の危険性もあります。
まぶたのヘルペスは何科?
眼科または皮膚科を受診しましょう。
眼科を探す
ヘルペスが治るまでの期間は?
症状が軽い場合は1週間ほどで治るケースが多いです。
病院で適切な抗ウイルス薬や軟膏を処方してもらえば、自然治癒よりも早い完治が期待できるでしょう。
処置が遅れると1か月ほどかかっても完治しない可能性もあります。
また、ヘルペスがまぶたから額部・頭部へと広がってしまった場合は、さらに長期治療を要することもあるでしょう。
ヘルペスを早く治すには
薬を使用する以外に、自分でできる早く直す方法はありますか?
免疫力が低下していると治りにくくなるため、十分な睡眠や休養をとり、体調回復に努めてください。
また、必要以上に触らないよう注意してください。
治りが遅くなるばかりか、手についたウイルスが他へと伝染する場合があります。
患部を清潔に保ち、必要な薬を塗る時以外は触らないようにしましょう。
ヘルペスに感染した原因は?
原因は大きく分けて2種類あり
- 単純ヘルペスウイルス1型
- 水痘・帯状ヘルペスウイルス
によるものです。
単純ヘルペスウイルス1型による感染
症状がある人との接触感染と、ウイルスがついたタオルや食器などからの接触感染があります。
感染力が強く、皮膚に傷や疾患がある人はそこから体内に入り込み感染します。
水痘・帯状ヘルペスウイルスによる感染
幼い頃にかかった水ぼうそうのウイルスによるものです。
症状が治まってもウイルスが神経節に潜み、免疫力が落ちたときに再びヘルペスとして現れます。
ヘルペスを再発させない方法
- 日頃のスキンケアを行う
- 規則正しい生活を心掛ける
- ストレスを溜めない
を意識しましょう。
強い紫外線は皮膚の負担になるので、日焼け止めを塗るなどの対策がおすすめです。
免疫力を高めるために、睡眠・栄養・適度な運動をし、規則正しい生活を送るよう努めましょう。
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2022-12-23
帯状疱疹ってどんな病気…?
放っておいてもいいの?
帯状疱疹という病気について、分かりやすくまとめました。
発症する原因や初期症状、治療方法についても解説します。
帯状疱疹とは?
帯状疱疹とは、過去に感染した「水ぼうそうのウイルス」が再活性化することが原因で発症する感染症です。
帯状疱疹になると、体の片側に痛みやチクチクとした感覚、かゆみが生じます。
その後そこに、まわりが赤い小さな水ぶくれがたくさんできます。ピリピリとしたしびれを感じることもあります。
帯状疱疹の症状
体の片側のかゆみ
体の片側の発疹・水ぶくれ
発熱
頭痛
※かゆみ・発疹等は、腕・胸・顔に出ることもあります。
症状の経過
帯状疱疹は、「①かゆみや痛み→②発疹→③水ぶくれ」と症状が変化していきます。
① 痛みやかゆみが出る
体の左右どちらか片側に、はじめは皮膚の痛みやかゆみなどの症状があらわれます。
胸から背中など、上半身に症状が出ることが多く、顔や目の周りに発症することも多いです。
② 紅斑・発疹ができる
痛みやかゆみなどの症状がある箇所に、赤い斑点(紅斑)が出てきます。
その後、虫に刺されたような発疹ができます。
発疹は神経に沿って帯状にあらわれ、数日から1周間ほど続きます。
③ 水ぶくれができる
発疹ができた部分にみずぶくれができます。発疹の中央の部分が膿のようになり、ただれたり、潰瘍のようになったりします。
やがて、かさぶたとなり、自然に枯れて剥がれ落ちます。
皮膚の症状は、一般的には1~2周間から1ヶ月ほどで良くなります。色素沈着が残る人もいます。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹は、体内に潜んでいる「水痘ウイルス(水ぼうそうのウイルス)」が原因です。
免疫力が低下しているときにウイルスが活動を再開すると、帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹になりやすい人は?
40~50代以上
疲労やストレスがたまっている
睡眠不足
免疫力が低下していると、神経細胞に潜んでいた「水ぼうそうのウイルス」が活性化して、帯状疱疹を発症しやすくなります。
※水ぼうそうに感染した人全員が、帯状疱疹を発症するわけではありません。
帯状疱疹は人にうつるの?
帯状疱疹は、周囲の人に帯状疱疹として感染することはありません。
しかし、過去に感染した水ぼうそうのウイルスが帯状疱疹の原因なので、乳幼児など水ぼうそうにかかったことがない人には、水ぼうそうとして感染することがあります。
帯状疱疹かもと思ったら…
時間をかければ自然治癒しますが、早めにウイルスや痛みを抑えるのがよいため、帯状疱疹の疑いがあったら、皮膚科にいくのがよいでしょう。
病院で処方される抗ウイルス剤を飲めば、自然治癒を待つより早い回復が期待できます。
また、免疫力が低下している状態です。まずは安静にして、食事をしっかりとりましょう。
お家では、お風呂に入ったりホットタオルをあてたりして、体を温めて痛みを和らげましょう。帯状疱疹による痛みは、血行が悪いと強く感じます。
治療内容
抗ウイルス剤の点滴や内服を行います。痛みに対しては鎮痛薬を使用することもあります。水疱には軟膏を塗ります。
皮膚科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
NHK健康チャンネル
『帯状疱疹 単純ヘルペス』漆畑修(Medical Tribune)
『帯状疱疹・単純ヘルペスがわかる本』本田まりこ(法研)